...

Title 精子の生存性,形態並びに代謝能に及ぼす温度衝撃の影響 とくに牛

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

Title 精子の生存性,形態並びに代謝能に及ぼす温度衝撃の影響 とくに牛
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
精子の生存性,形態並びに代謝能に及ぼす温度衝撃の影響
とくに牛精子と豚精子の比較について( Abstract_要旨 )
白山, 勝彦
Kyoto University (京都大学)
1971-01-23
http://hdl.handle.net/2433/213552
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏 名
白
山
しら
やま
かつ
勝
ひこ
彦)
学 位 の 種 類
農
学
博
士
学 位 記 番 号
論 農 博
学位授与 の 日付
昭 和 46年 1 月 2
3日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位論文題 目
精子 の生存性, 形態並びに代謝能に及ぼす温度衝撃の影響
第 2
93号
とくに牛精子 と豚精子の比較につ いて
(主 査)
論 文 調 査 委員
教 授 西 川 義 正
論
文
内
教 授 上 坂 章 次
容
の
要
教 授 小 野寺 幸 之進
旨
体外に射 出された精子は温度の急変 によ って著 しく影響を うける。 著者 は牛精子 と豚精子につ き, 同一
条件の温度衝撃を与え, 精子の生存性 , 形態および代謝能に及ぼす影響を比較検討す るとともに, さ らに
進んで温度衝撃の防除方法について も検討を試みている。
精子の生存性については, 顕微鏡下で運動の強度や性質を調べ , またエオジ ン染色による精子の生存率
を調べているが, その結果, 精子の生存性は温度衝撃によってかな り低下す る こと, およびその程度は牛
精子 よ りも豚精子の方が著 しい ことを明 らかに している。
精子の形態 については, アクロゾームの染色性 と形を調べ , 豚精子では温度衝撃 によ り容易にアクロゾ
ームに異常がお こるが, 牛精子ではアクロゾームの抵抗性が強 く, ほとん ど形態的変化がみ られない こと
を確かめている。
精子の代謝能に及ぼす影響 として, 精子の呼吸能と嫌気的解糖能を調べ , 両種の精子 とも代謝能が低下
す るが, その程度は豚精子の方が著 しい こと, および呼吸能よ りも解糖能に著 しい影響のあることをみて
い る。
なお精子の 内在呼吸基質で あるプラズマ ロジ ェン量に及ぼす温度衝撃の影響を調べた実験では, 予想 に
反 し, 牛精子でかな り低下す るが, 豚精子ではほとん ど影響を うけない ことを確認 して いる。
温度衝撃の予防方法につ いては , 3 重壁の人工膜が採精直後の精液温の変動を防 ぐのに効果が あ り, ま
た精液希釈剤に卵黄を用 いることによ り, 低温衝撃の悪影響を低減せ しめ うることを明 らかに している。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
精子に対す る温度衝撃の影響を明 らかにす ることは, 精子生理学の立場か らも, また人工授精の技術を
進展せ しめる上か らも, きわめて必要な ことで ある。 精子の生存性に対す る低温衝撃の影響につ いては ,
これ まで個 々の動物種についての研究報告が散見 され るが, 同一条件を設定 し, い くつかの動物種の精子
-8
0
3-
に対す る影響を比較検討 した報告はみ られない。 著者は牛精子 と豚精子につ き, 同一条件の温度衝撃を与
え, 精子の生存性 , アクロゾームの形態, 代謝能な どの変動を調べ , 両動物種 とも精子は温度衝撃の影響
を受けるが, 豚精子は牛精子よ りもは るかに著 しく影響を うけることを明 らかに している。 この ことは,
と くに豚精子を とり扱 う上に, 温度衝撃をで きるだけ避けることの必要性を裏書 きす るものである。
なお低温衝撃が精子のプラズマ ロジェン含量に及ぼす影響については , 牛精子の場合は衝撃後に著 しく
減少す るが, 豚精子ではほとん ど変化のないことを確かめている。 この ことは, 上記の実験結果 と一致 し
ないものであ り, 豚精子の プラズマ ロジュン含量が低温衝撃によ り低下 しないのは, 豚精子の特異性によ
ることを提言 して いる。
著者 はさらに低温衝撃の防除手段 として, 3重壁の新 しい型の人工歴を使用す ることの効果を確認 し,
また精液希釈剤 に卵黄を使用す ることによ り, 低温衝撃の悪影響を低減せ しめ うることを明 らかに してい
る。
以上のように本論文は家畜繁殖学な らびに人工授精の技術開発の面で貢献す るところが大 きい.
よ って, 本論文は農学博士の学位論文 として価値 あるもの と認める。
ー8
0
4-
Fly UP