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Abstract of Dissertation and the Summary of the Examination Results

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Abstract of Dissertation and the Summary of the Examination Results
Nara Women's University Digital Information Repository
Title
Characteristics of Polymer Composite Films Containing Carbon nanotubes
as well as Electrical and Mechanical Properties of Carbonized Materials :
Abstract of Dissertation and the Summary of the Examination Results
Author(s)
小金丸, 愛; 松生, 勝; 飯田, 雅康; 原田, 雅史; 香川, 貴司; 榮永, 義之
Citation
博士学位論文 内容の要旨および審査の結果の要旨, vol.22, pp.166170
Issue Date
2005-08
Description
博士(理学),博課第278号,平成17年3月24日授与
URL
http://hdl.handle.net/10935/1271
Textversion
publisher
This document is downloaded at: 2017-03-29T07:34:52Z
http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace
氏 名 (
本 籍)
小金丸
学 位 の 種 類
博士 (
理学)
学 位 記 番 号
博課第 2
7
8
号
学位授与年月 日
平成 1
7
年 3月2
4日
学位授与 の要件
学位規則第 4条第 1項該 当
愛
(
宮 崎県)
人 間文化研究科
論
文
題
目
Char
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s
(
カーボンナノチューブを含む高分子複合 フィルムの特
性 ならびに炭素化素材 における電気 的および力学 的特性)
論文審査委員
(
委員長) 教授
松 生
勝
教授
飯
田 雅 史
教授
香 川 貴 司
助教授
原
教授
柴 永 義 之
田 雅 康
論文 内容 の要 旨
本論文 は、高分子 にフィラーを添加 した複合材料 の熱処理 および延伸 による構造 と物性 の変化 につ
いて検討 している。 フィラーとして用 いたのは、金属微粒子 と優れた力学特性、高 い電気伝導率、熱
伝導率 を有す るカーボ ンナノチューブ (
CNT) である。 これ らの複合材料 の力学 な らびに電気特性
を 1輪 な らびに 2軸延伸試料 につ いて検討す るとともに、炭素化過程 における構造変化のメカニズム
と得 られた炭素素材 の構造 と物性 につ いて検討 を加えている。 論文 は序論 (
第 1章) に続 いて次の 6
章か ら成 っている。
第
2章では、3
0
0
0
℃以上 の熱処理 によ って黒鉛化度 の高 いフイルムを作成で きるカブ トンタイプの
粒子 を添加 したフイルムを用 いて 1
6
0
0
℃で 5時間の熱処理 を行 い、 そ
ポ リイ ミドに、触媒 と して Ni
の構造変化 を明 らかに した。 これまでの研究で金属触媒 を炭素前駆 に加え ることは、低 い温度で黒鉛
化度 を上 げるための有効 な手段であるが、 フイルムの形状 を保っ ことは困難であるとされて きた。 し
粒子 を含 むポ リイ ミドの層 をポ リイ ミドのみの層で挟 み、三層 フイルムとす ることで、低
か し、 Ni
温での熱処理 によ って黒鉛化度 の高 い炭素 フイルム作成す ることに成功 している。 その得 られた炭素
材料 についてⅩ線、 ラマ ンスペク トル、走査型電子顕微鏡 によ り炭素化過程 における黒鉛構造の変化
:f
L
を明 らかに している。 また、結晶転移 に伴 う結晶の格子揺 らぎによるX線回折強度曲線 の変化を理論
的に算出 し、実験結果 との比較検討 によって、 グラファイ トであることを実証 している。
第 3章で は、高分子 と CNTの複合材料の同時直交二軸延伸試料 についての情報 を得 る前段階 とし
て、 マ トリックスであるポ リエチ レンについてゲルー結晶化法で作成 されたフイルムの 2軸延伸 に伴
う配向結晶化のメカニズムを検討 している。 モデル提唱を行 う際、非晶鎖 セグメ ン トは多少剛直であ
るとし、その指標 としてプロー リーやエルマ ンの液晶モデルを改良 したモデルを用 いて、彼 らの 2次
のモーメ ン トでの延伸軸 に対す るセグメ ン ト鎖の配向評価を分布関数 レベルで評価で きるような理論
に拡張 して検討を行 っている。 その計算結果 は実験結果 と配向関数 レベルでよ く一致 している。 この
結果、延伸 による配向は分子鎖が剛直になるほど大 きく結晶化 も促進 され ることが判明 したばか りで
な く、未延伸状態で も分子鎖が剛直なはどローカルな分子配列が高 くなることも明 らかになった。
第 4章では、高分子 に優れた電気特性、力学特性を有す る CNTを添加 した複合 フィルムの同時直
交二軸延伸 における構造 と物性 の変化 について、CNTのアスペク ト比 に着 目 して検討 した。 ポ リエ
チ レンでの試料作成が困難であったので、現時点では、 ポ リビニルアルコ-ルを代わ りの'
マ トリック
スとして用いた。 そのため解析 は、走査型電子顕微鏡観察 との対比でなされた。 その結果、CNTの
アスペク ト比が低 いと CNTのネ ッ トワ-クが充分 に形成で きずに、延伸 による分離が顕著 に発生 し
て電気特性が著 しく低下す るとともに、ヤ ング率や耐衝撃強度 も低 くなることが判明 した。
第 5章では、CNTの高 い熱伝導性 に着 目 して、CNT一高分子複合 フィルムの熱処理 による構造 と
物性変化 と CNT添加 の効果を検討 している。炭素繊維 の前駆体 として用 い られ るポ リアク リロニ ト
リル (
PAN) とアスペク ト比 の大 きな CNT をゲル法 によ りブ レン ドし、 これを1
0倍 まで一軸延伸
3
0
℃での酸化安定化 を経て、 アル ゴンガス中、1
0
0
0
℃で炭素化を行 った。 その結果、CNTが添
し、3
加 されていないと炭素化試料 は極めて脆 く試料の物性を測定す ることが不可能であった。 しか し CNT
を含んでいると 1
02S
/c
mの電気伝導度 と 37
GPaのヤ ング率を有す るフイルムとなった。 この理由は、
安定化の際に CNTが混入 されていると CNT の高 い熱伝導率のため、内部 の熱 をスムーズに外 に放
出 し、鎖 の切断を防 ぎ得 る DSC実験 よ り判明 した。 また CNT を混入す ると、安定化過程 において
バ ン ドギ ャップが小 さくなることも明 らかに している。
続 いて第 6章では、 さらに高温の2
8
0
0
℃で黒鉛化 した PAN とカーボ ンナノチュ-ブの複合 フィル
ムの構造 と電気化学特性の関係および CNT添加の効果を明 らかに した。複合 フィルムはゲルー結晶
8
0
0
℃で黒鉛化 した。
化法 によりブレン ドし、 これを 2倍 に一軸延伸 して2
この試料 は未延伸試料 よ りも黒鉛化がよ く進行 した。 リチウムフォイルを用 いて行 った電気化学実
験 よ り、延伸す る事で黒鉛化がよ り進み充放電容量が増加す ることが判明 したばか りでな く、CNT
に比べ、PANCNT複合 フィルムの不可逆容量 は非常 に少 な く、 クーロン効率 は9
0% となることも
明 らかに している。
」
互
最後 に第 7章で は本論文のまとめとこれか らの展望 を附記 している。
相
葉
論文審 査 の結 果 の要 旨
本論文 は、高分子 とカーボ ンナ ノチ ュー ブとの複合材料 の力学 な らびに電気特性 を 1軸 な らびに 2
軸延伸試料 につ いて検討 す るとともに、高分子 にカーボ ンナ ノチ ュー ブ並 びに金属微粒子 の複合材料
を炭素化 した した際 の炭素化 の メカニズムと得 られ た炭素素材 の構造 と物性 につ いて検討 を加 えて い
る。論文 は次 の 6章 か ら成 り立 って い る。
第
1章 研究 を行 うにあた ってのバ ックグ ラウ ン ドと解決すべ き問題点 につ いて本論文 の アプ ロー
チの仕方 が記載 されて いる。
第 2章
ポ リイ ミドの グラフ ァイ ト化 は少 な くて も2
8
0
0
℃で な され な けれ ばな らないのが、通説 で
あ る。本章 で はポ リイ ミドを合成 す るポ リア ミド酸 の段階 で ニ ッケル微粒子 を混入 し、 これを熱処理
6
0
0
o
Cl
して ポ リイ ミドーニ ッケル微粒子 の複合材料 を作成 し、 これ を前駆物質 と して炭素化 を行 うと1
で グラフ ァイ ト化 が な された。 グラフ ァイ ト化 の過程 は、 Ⅹ線、 ラマ ン散乱、走査型電子顕微鏡 で追
跡 した。 また、結 晶転移 に伴 う結晶 の格子揺 らぎによ る X線 回折強度 曲線 の変化 を理論 的 に算 出 し、
実験結果 との比較検討 によ って、 グ ラフ ァイ ト化 を実証 した。
第 3章
高分子 とカーボ ンナ ノチ ュー ブの複合材料 の 2軸延伸試料 につ いての情報 を得 る前段階 と
して、 ゲル法 で作成 された フイルムの 2軸延伸 に伴 う配 向結 晶化 の メカニズムを ポ リエチ レンにつ い
て検討 した。 この際、非 晶鎖 セ グメ ン トは多少剛直で あ ると し、 その指標 と して フロー リーや エルマ
ンの液晶 モデルを多少複雑 に したモデルを用 いて、彼 らの 2次 のモーメ ン トでの評価 を関数 レベルで
評価 で きるよ うな理論 に拡張 して検討 を行 った。 その計算結果 は実験結果 と配 向関数 レベルで よ く一
致 した。 この結果、延伸 によ る配 向 は分子鎖 が剛直 にな るほど大 き く結 晶化 も促進 され る ことが判 明
した。 また未延伸状態 で も分子鎖 が剛直 な ほど ローカルな分子配列 が高 くな ることが判 明 した。
第 4章
高分子 とカーボ ンナ ノチ ュー ブの複合材料 の 2軸延伸試料 の力学 と電気物性 をカーボ ンナ
ノチ ュー ブの アスペ ク ト比 との関係 において検討 した。 ポ リエチ レンで の試料作成 が困難 で あ ったの
で、試料 と して はポ リビニル アル コールを用 いた。 このため、解析 は理論 的 に行 えず、走査型電子顕
微鏡観察 との対比 でな された。 その結果、 ナ ノチ ュー ブの アスペ ク ト比 が低 い と絡 み合 いが充分 に形
成 で きず に、延伸 によ る分離 が顕著 に発生 して電気特性 が著 しく低下 す るとと もに、 ヤ ング率 や耐衝
撃 強度 も低 くな ることが判 明 した。
第 5章
ポ リア ク リロニ トリル とアスペ ク ト比 の大 きな カーボ ンナ ノチ ュー ブをゲル法 によ りブ レ
0
倍 まで延伸 し、 それ を用 いて2
3
0-3
3
0
℃ の温度範 囲で安定化 を経 て 1
0
0
0
℃ の アル ゴ
ン ドし、 これを 1
ンガス中で炭素化 を行 った。 その結果、 ナ ノチ ュー ブが混入 されて いない と炭素化試料 は極 めて脆 く
モ
;
一
・
試料 の物性 を測定 す る ことが不可能 で あ った。 しか しナ ノチ ュー ブを含 んで い ると 1
0
S/c
mの電気伝
7
GPaの ヤ ング率 を有 す るフイル ム とな った。 この理 由 は、安定化 の際 にナ ノチ ュー ブが混
導度 と 3
入 されて い るとナ ノチ ュー ブの熱伝導率 が高 いため、 内部 の熱 を外 に放 出 し、鎖 の切 断 を防 ぐことが
DS
C実験 よ り判 明 した。 またナ ノチ ュー ブを混入 す ると、安 定化過程 で のバ ン ドギ ャ ップが小 さ く
な る ことも明 らか にな った。
第 6章
ポ リアク リロニ トリル とアスペ ク ト比 の大 きなカーボ ンナ ノチ ュー ブをゲル法 によ りブ レ
8
0
0
℃ で グラフ ァイ ト化 した。 この試料 は未延伸試料 よ りもグ ラフ ァイ
ン ドし、 これを 2倍延伸 して2
ト化 が よ く進行 した。 この試料 を リチ ウム電池 の負極材料 と して用 いた と ころ、 リチ ウムの出入 りに
よ るチ ャー ジ-デスチ ャー ジ容量 が延伸試料 を用 いた方 が良好 で、新 しい負極材料 と しての用途 が期
待 され ることが判 明 した。
第 7章
I
学位論文全体 の総括 を述 べて い る。
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