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Title 可能発電力に関する時系列解析その他の応用( Abstract_要
Title Author(s) Citation Issue Date URL 可能発電力に関する時系列解析その他の応用( Abstract_要 旨) 相馬, 敬司 Kyoto University (京都大学) 1963-06-25 http://hdl.handle.net/2433/211103 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 敬 加博 即 工 学 位 の 種 類 馬 ま学 相 氏 【167 】 司 し 士 ~ 学 位 記 番 号 工 学位授与の 日付 昭 和 38 年 6 月 25 日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 1 項 該 当 研 究 科 ・専 攻 工 学 研 究 科 電 気 工 学 専 攻 学位 論 文題目 可能発電力に関する時系列解析その他 の応用 論 文 調 査 委員 教 授 大 久保 達 郎 博 第 63 】「 号 (主 査) 論 文 内 教 授 西 原 容 の 要 宏 教 授 林 重 憲 旨 本論文は, 時系列解析その他の応用に よる統計的手法を使用して, あ る河川 または系統 の記録 にもとづ き, 水 力の可能発電 力または これに関連す る流量を推定 した結果を ま とめた ものであ って, 緒言 , 結言を 含み 6 章 よ りな っている。 第 1 章は緒言であ って, 水力の可能発電力または これに閑適す る流量の ごとき水文量の推定 に 際 し て 紘 , 本論文に示す ごとき理論的根拠の明確 な統計的手法に よるべ きことを記述 してい る。 第 2 章 においては, 本論文に必要な時系列解析の理論を記述 してい る。 第 3 章 においては, 時系列解析を応用 して, 可能発電 力または これに関連す る流量を推定す る方法を記 述 した ものであ る。 まず , 流量を表わす パ ラメータとしては年平均流量を使用 し, また発電所 の最大使用水量 の決定に際し ては, 継続 日数 または流量に もとづ くべ き ことを提案 してい る。 長期にわた り平均的にな りたつ可能発電力を求め るために必要な河川の年平均流量を推定す るに際して は , 標本の大 きさが比較的小 さいので, 長期傾 向の決定が きわめて困難 となるが , 著者は この長期傾向を 最 長主要周期の整数倍の長 さを周期 とす る周期関数 と仮定 して見出す方法を提案 し, またその際不規則的 な変動の影響を軽減 し, 周期的変動の大勢を見出しやす くす るため, 適 当な加重移動平均 を行 なえばきわ めて効果的な ことを実証 してい る。 冬期渇水期の平均流量の短期の予想に際 しては, 秋期お よび冬期の平均流量につ きその周期成分を引去 って得 られ る残差に, 著者が拡張 した 2 重時系列に対す る外挿公式を適 用すれば推定の精度を高め うるこ とを明 らかにしてい る。 代表年度の選定 に際 しては, 年平均流量の周期的変動を考慮 した変動域に よる判別に合格す る年度につ 普, さらに年 間の流況を期別流量の変動域お よび流況 曲線 の変動範囲に よ り判定すべ きであ ることを実績 につ き示 している。 - 414 - 与え られた数個の点を通 る流況 曲線の当てはめに際し, 可能発電力に対す る等価 な最大使用水量を指定 した ときの曲線の画き方を導 き, 流量の値を指定 した場合その継続 日数が年に よ りば らつ き, 点の配置が 非対称 となるが, この場合にも岩井氏の方法を変形 して適用す る方法を示し, また流況 曲線の当てはめの 際見出され る定数 よ り流量の確率分布曲線を求め る関係式を導 き, 供給予備力の算定に際 して必要な可能 発電力の確率分布を簡単に求めることを可能な らしめ, かつその確率分布については, 継続 日数を指定す る岩井氏の場合 と, 最大使用水量を指定す る場合 とにおけ る結果が実用上はば一致す ることを明らかに し ている。 系統の年お よび冬期の平均可能発電力の推定に際 しては, 標本の大きさが とくに小 さいので, 長期の記 録のある降水量を利用す ることとし, 全系統に対応す る総合的降水量を求め, その周期成分 よ り可能発電 力の周期成分を見出す方法を適用 し, 実績の変動傾 向と比較的よく一致す ることを明らかに している。 第 4 章においてほ, 情報お よび推移確率の理論を応用し推定の精度を高め る方法を検討した ものであ っ て, 標本の大 きさが比較的大 きい月平均可能発電力につ き, その12か月周期成分を引去 り一応不規則的 と 考え られ る系列に残 された情報を さらに拾い上げ, 次の 3 種の方法に よ りこの不規則系列を推定 した結果 を比較してい る。 まず, 符号化して得 られた 2 , 3 の要素につ きその推移確率を用いて推定 した結果, ともに推定の精 度 が約 7 % 向上す るが, 次に統計的判定におけ る情報の応用 として不規則系列の分布を正規型 として推定す る際, 分散未知 とした複合仮説の場合 も単純仮説の場合 と同様, 一様最強力検定の存在す る条件つ きの期 待値を求めれば よい ことを明 らかにし, その結果推定の精度が約10% 向上す るが , さらに不規則系列の系 列相関係数が マル コフ連鎖の条件を満足す るよ う, 輪廻的周期性を引去 った ときの推移確率を用い ると推 定の精度は約15% 向上し, 上記 3 種の方法の うちでは最 もよい結果を示す ことを莫証し, また条件つ きの 確率 の系列が マ- チソゲ- ルであ ることを利用し, 標本の大きさの小 さい場合の推移確率 の数倍の信重度 を検討 し うることを明らかにしている。 第 5 章においてほ, 従来 よ り簡便法 として利用 されている移動平均法を活用し, その応用面をも考慮 し てこれを系統的に検討した結果を記述した ものであるノ 。 可能発電力の場合の ごとく, 一様に有界な時系列に対 し周期成分に対す る効果を検討した結果, 対称的 な重み係数を もつ加重移動平均に よるべ きであ り, かつ重み係数の総和は必ず しも 1 であ るとは限らず , とくに直流分を除去す るためには, 重み係数の総和が零なる移動平均を適用すれば よい ことを明らかにし ている。 また, 不規則的な変動成分を有効に除去す るための移動平均を求め るため, 振幅変化率を検討してその 効果的な実例を列挙 し, かつ , 上記第 4 章に記述の月平均可能発電力の不規則系列に これを適用すれば推 定 の精度が約20 % 向上す ることを示している。 連続スペ ク トルをもつ過程に移動平均を行なってもやは り連続 スペ ク トル とな り, 確率過程の分解の一 義性は移動平均後も保持 され ることを明らかにし, これ よ り冬期の平均流量に移動平均を行なった ものに つ き推定 しても, 直接冬期の平均流量 よ り推定 した第 3 章の場合 と同程度の精度をもつ もの と期待 してよ い ことを確かめている。 - 4 1 5 - 第 6 章は緒言であ って, 本研究の結果を要約している。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 水力の可能発電力または これに関連す る流量の推定に際しては, 従来一般に過去に得 られたすべての記 録の算術平均を使用しているのであ るが, 標本の大 きさが比較的小 さいに もかかわ らず , あ る河川 または 系統の記録に もとづ き時系列解析その他を応用して, 長期にわた り平均的にな りたつ可能発電 力を求め る ために必要な年平均流量 の推定, 冬期の平均流量の短期の予想, 流況の代表年度の選定, 最大使用水量を 指定した場合の流況 曲線の求め方お よび系統の年お よび冬期の平均可能発電力の推定につ き, 理論的根拠 の明確な統計的手法を適用し, また比較的標本の大きさの大きい月平均可能発電力につ き, 周期成分を引 去 った残差系列に情報および推移確率の理論を応用して推定の精度を高め る方法を検討し, 符号化した場 合の推移確率 または一様最強力検定の存在す る条件つ きの確率 の方法 よ りもマル コフ連鎖の推移確率の方 が推定の精度が一層向上す ることを明らかにし, 次に不規則的な変動成分を除去す るためには, 移動平均 法を適用す ることが きわめて有効であ ることを実証 し, 可能発電力の場合の ごとく一様に有界な時系列に 対 しては対称的な重み係数をもつ移動平均に よるべ きであ り, かつ重み系数の総和は必ず しも 1 とならな い ことを示し, 確率過程の分解の一義性は移動平均後も保持 され, これ よ り冬期の平均流量を推定しても 所期の精度を保持し うることを明らかにしてい る。 これ らの研究はいずれ も学術上, 工業上寄与す るところが少な くない と考え られ, よって本論文は工学 博士の学位論文 として価値あるもの と認め る。 - 416 -