...

(ファイル名:sankou2(6) サイズ:883.57 KB)

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

(ファイル名:sankou2(6) サイズ:883.57 KB)
精神障害者の保健福祉対策の
新たな展開について
答
申
平成 9年 6月 24日
東京都地方精神保健福祉審議会
また、地域精神保健福祉対策促進事業の活用などを通 じて、地域の特性を活
かし、創意工夫を凝 らした、普及啓発活動やボラ ンティア育成事業等のな饉的
な展開を図 り、精神障害者に対する誤解や偏見の解消に努める必要があ/・
。
社会復帰施設等の菫費については、地翅 =民 の理解 と協力を得 るよう"め な
が ら、 自ら主体的にその設置を図るとともに、グループホーム及び共同作業所
については、その適正な運営の確保に努めることが求め られる。
さらに、精神障害者及び家族に対す る相談 指 導や地域0当 事者団体及び家
族会などの育成、その活動への支援などについては、保健所 との連携 協 働の
もとに積極的に取組む ことが求め られる。
地域の医療ニーズを もとに、夜間休 日の精神科診療体制や訪間看護 ステー シ
ョンなどの整備について も、地域医療機関や関係団体に対 し働 きかけるととも
に支援を行 うことが望まれる。
第 5節 よ り良 い保健医凍をめざ して
「
疾病」と 「
障害」を併せ持つ精神障害者が地域において、自立と社会参加
の実現を図るためには、病状の安定が基本である。
■に再発の不安を持つ精神障害者にとって、医療は地域での生活を支える最
も彗本的かつ重要なサー ビスの一つであ り、通時適切な医療力啜 けられるよ う
な体制整備が必要である。
また、長期間経続的に医療を必要 とす る精神障害者にとって、医療機関 との
信頼関係は極めて重要である。そのためには、医療機関が地域に開かれた施設
として、適切 な情報の提供や精神鷹著者力‐ 心して受けられる質の高い医療を
提供する必要がある。その方策の一つ として、最近、一部の民間欧 機関同士
で、お互 いに医療の質を評価 し合 う 「ピアレビスーJ力漱 行的に始められてい
るが、 こうした自主的な努力にも注目する必要がある。
さらに、精神病院や、最近、都内で増加 している精神神経料診療所が、身近
で地域に溶け込んだ医療機関 として、地域での各施設 とのよリー層密接 な連携
が望まれる。
- 2 -
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
,
一
●
ヽ
は)再 発予防 と通院医療 の確保
近年 の菜物療法等の進歩により、外来診療 での症状 コ ン トロールが相当程度
可能 とな ってきて いる。 しか し、服菜 の中断 は もちろん、通囲 1案 を継続 して
いて も、種 々のス トレスが症状悪イ
ヒの契機 とな りうることが知 られている。
ス トレスヘ の対処や、再発 のサイ ンを早めに見つ け、それに対応す るの は精
神障害者本人 であ るが、医療機関や保健所 は連携 して服栞指導に止 まらず、個
々の障害者 の特性 に応 じた症状 の 自己管理に向けた教育的援 助を行 う必要があ
る。 また、再発予防に効果があると言われてい る心理教育的プログラムに基づ
く系統的 な家族教室を、保健所 の重要 な事業 として位置づ ける必要がある。
入院患者 の早期退院を進め通院 による医療 を確保す る上で、医療機関でのデ
イケアや訪間看護活動 は大きな役 害1を果 たして い る。また、保健所 における訪
問活動も、 これ らの活動を補 うばか りでな く、 よ り地域 に密着 しているとい う
点 で極 めて重要 であ る。訪問活動を円滑 で実効あるものにす るためには、退 院
が予定された人 院患者 に対 して、必要 に応 じて、退 院準備 の段階か ら本人の居
住予定地 の保 健所 の保健婦が関わるなど、保健所 と医療機関 の連携 協 働 をよ
リー層強化す るシステムlFりが必要である。 さらに、 この領域での訪間看護 ス
テー シ ョンの役割 も期待 される。
精神 障害者 が様 々な生活上 の危機 や困難 に直面 した際、当惑や不安か ら病状
を思イ
ヒさせないため、身近 な援助者が相談 に乗 りF.3題
解決の手助 けを した りす
るなど、時宣を得 た援助をす る必要がある。 なかで も病状 の悪化 によ り、周囲
との関係 を含 めた生活上 の困難が増幅されて い る事例等 に対 し、保腱所 は関係
機関 との連携 の もと、適時適切に援助す る必要 があ る。
さらに、複雑又 は困難 な事例 については、保健所 と精神保掟福祉 センター と
が連携 して対応す る必要があり、併せて地域 の医療機関 との協力体希1について
も検討す る必要 がある。
総合精神保腱福祉 セ ンターの援護寮 で実施 されている シ ョー トステイ事業等
は、危機ヽヽ と休息 の場 の提供等 の援助 によ り、周囲 との関係の破綻 や症状 の
悪化を予防する ことを 目的に してい るが 、 さ らに対応の幅を広げ るため、同セ
ンターの社会復帰病床の活用等 も含 め充実策 を検討す る必要があ る。
こ―ズ調査によると、日常生活で困 った経験 で手帳該 当群 の 12%が
―
―
ゐ
「
外出
の際同行者がいない。」 と回答 しており、通院に伴 う付 き添い者の確保施策の
充実が求め られている。その支援策 として、精神障害者ホームヘルプサー ビス
事業の活用の他に地域生活支援センターヘの役割付与 も検討すべ きである。
12)・
7m聯 や酬団関●助熙俸純り整備
ニーズ調査によれば、 「
夜間や休日に具合が悪 くな って因 ったことがある。J
とい う答 えが 、全体 で約 42%と
な って いる。
また、 「
夜間や休 日に相談す るところがな く因 った。」 とい う容 えが、全体
の約 28%に
なって いる。
今回の調査対象者が 、都内の精神科 神 経科 に通 院 して いることを考 えれば、
通院中の医療機関があ って も夜間休日の相談 診 療等の対応が不十分であるこ
と、現在 の夜間休 日精神料教急診療 システムが地域 の精神 障害者 に とって身近
で利用 しやすい制度 とはいい難い ことを示 してい る。
東京都 は、精神障害者 か らの相談 に応えるため、精神保撻福祉 センターや都
保健所 において相談時間を延長す るなど、精神屎健福祉相談の充実 に努めて い
る。また、東京都精神神経科診療所協会では、毎週土曜 日の午後 に、 こころの
病気や悩みに関す る電話相談事業を開始 したが、家族や当事者 などか ら数多 く
相談が寄せ られてい る。
再発の不安や病状 の変イ
ヒ等による夜間休 日等 の時間外相談や診療 に対 しては、
ます通院中の医療機関が対応す ることが原則 である。 しかし、昨今のオ フィス
ピルの中にある精神神趣科診療所 の増加等 の医療事情 を考慮 し、地域での医療
機関 のネットワー クによる当番医制や、夜間休日診療所 の設IE●を検討す る必
要がある。
(31 救急医療体制のコ 廂
現在の精神科教急医療体制は発足か ら20年 が経過 し、その間、取 り扱い件
数が約 2倍 となっており、今後、さらに精神科教急医療を必要 とする患者が増
加す るものと考えられる。
このため、精神病床を有する医療機関に通院中の患者については、時間外に
おいても、まず当該医療機関力対 応することが原則であることを再確認 した う
―
" ―
えて、当面の対策 として、改築中の都立壺島病院に精神科救急医療機能を備え
ることや、休 日における救急口当病院か ら他の病院への移送体制を強化するこ
とを検討すべ きである。
また、現在の精神科救急医療体制の問題点等を整理 し、将来の医療需要を見
い医療体制などを参考に、
据えた うえ、一般赦急における 1次 、 2次 、 3^
救急指令系統の工充や都立病院 と民間病院の役割分担の在 り方を含め、新たな
救急 医療体制の構築 に向けた検討を早急に行 う必要がある。
なお、病状が悪化 した精神障害者を、受診医療機関まで移送す る手段が不十
分であるため、家族等は■むな く民間企業による患者搬送を利用することがあ
る。 しか し、この場合に、医師等専門職による判断なしに行われることが多 く、
人権への配慮を欠 く恐れがあるほか、経済的負担 も伴 うことから、医療体制の
整備にDFせて、安心 して利用できる移選手段 も検討すべ きである。
(0 身 体合併症対策の充実
_や
精神障害者の身体合併症対策は、既に精神病院に入院中の患者が内瞑疾●
外傷、骨折などにより、人院中の病院での専門治療が困難な場合に限 って制度
ヒされている。 しかし、現在 6病 院に委託 し治療を行 っているが、入院息者の
イ
とに/Hう身体合併症息者の増カ
高齢イ
ロ
等に対応できる専門治凍施設を確保するこ
とが発 しい状況である。身体合併症対策の充実のため、人院患者を対象 とした
精神科身体合併症診豪委託医療機関の紘大を検討す る必要がある。
夜間休 日精神科散急患者の中で も、身体合併症患者が増えているが、現在は
受入れ体制がないため、都立病院が一部受け入れている状況である。今後精神
科病床 を有 している都立総合病院での受入れ体翡1の整備を進めるとともに、大
学病院等 との連携体制について検討す る必要がある。
また、地域の精神障害者に身体疾患が併発 した場合は、一般病院等に受診 し
治療を受けることが基本であるが、診療を円滑にするためには精神病院や精神
神経科診療所 と地域の一般医療機関 との相互 の診療紹介や コンサルテー ション
(相談 助 言)サ ー ビス等、診療連携体制の一日の推進を検討す る必要がある。
なお、成人病等の慢性疾患については、予防対策が非常に重要であり、精神
障害者の身体的健康管理に関 し、医療機関や保健所 は定朗横診や健康教育の実
-27-
施等の援助を一層充実す る必要がある。
6)党 せい剤等薬物依存症対象
近年、党せい剤を含む薬物乱用者が著 しく増加 している。また、その対象が
となって
中学生や高校生 と低年酬 ヒ
傾向が頸者 となっており、大きな社会P.3題
いる。 このため、東京都は莱物乱用対策推進本部を設置 し、薬物乱用による弊
害を周知 し、乱用を根結するためのな発活動を展開 しているところである。
覚せい剤中毒等による幻党姜想等の精神症状によって、措置入院等になった
患者 の中には、それらの症状の回復期に反社会的問題行動を目す例が見 られ、
治僚 に当たる医療現場では、その対応に吉慮 している。
また、治療後のケアを行 う体制が未整備であることか ら、再入院等を繰 り返
す ことが多い。再び、入院を繰 り返 きないために も、司法等の関係機関との役
害1分担を明確に した上で、予防、治療、 リハ ビリテーションまで一貫 したプロ
グラムの もとでのケアが必要であり、早期の対応力(望まれる。
静憎科医療●「
5では、中毒による幻覚妄想等の構着症状に対す る対応や党せ
い剤■ か薬物 をrl pことに意欲のある依存症者 に対する教育的治療●を世当す
ることとなるが、一般的な精神障害者 との対応とは大きく奥なるため、都立病
院●において専門病床の整■を検討する必要 がある。
また、増加 しつつある中学生や高校生、主婦等の薬物乱用者に対 しては、保
健所や精神保健福祉セ ンターの専門相談機能を強化す るとともに、社会復月対
策 として、精神保健福祉センターのデイケア等への受け入れなどを積極的に検
討する必要がある。 さらに、民間団体が実施 している相談やケア事業に対 して、
援助 してい く必要がある。
- 2 -
第 5章 今 後の課題
,
・
〓
以上、諮問事項 に添 って審議を重ね提音 したが 、地域 におけ る精神障害者 の
「自立と社会参加 の促進」を図 るためには、諮問事項以外 にも、下記 の とおり■
要 な課題 が ある。今後十分 に検討を加え た うえて、具体的な対策を譲 す ることを
期待する。
1 精 神障害の正 しい知識 の普及 啓 発
平成 8年 の答申で も、今後 の課題 とされてい るが 、現在 もなお、社会に誤解
や偏見が根強 く存在 してい る。
精神障害者 の 自立と社会参加 の促理を図 るためには、ノーマライゼー シ ョン
の理念が広 く定着 し、 「だれ もが人間 らしく暮 らせるよう、人間 としての権利
が守 られ、かつ人間 としての尊厳が い ささか も損 なわれることのない社会Jの
実現力必 要 である。
都民一人ひとりが精神障害者 について、正 しい理解を持つ とい う 「,いのパ リ
アフ リー」を実現す る必要 が あり、地域住民を対象 にした普及 ‐啓発活動の売
実を図 るとと もに、近年活発化 して いる当事者 による地域交流活動 などの絋売
を図 ることが非常 に大切 である。
また、精神屎 腱福祉施策 に地域住民の参画 を促 し、社会復帰施設 な どにおけ
るボランテ ィア活動 を薇極 的に推進す るため、現在精神保健福祉 センター及 び
一部 の保健所 にお いて実施 してい る、精神保健福祉 ボランティア研修事業 を社
会福│■
協議会等 とも協力 しなか ら一層拡充 し、広 く住民 に理解 と協力 を求めて
い く必要 がある。
2 精 神保 健福l■
業務に関す る人材青成
精神障害者を地域 て支えて いる社会復帰施設等 は、自ら適切 な運 営及 び利用
者処理 の向上 に努あることが不可欠である。そのために は、保健所及 び精神保
腱福祉 センターは区市町村 と協0し て 、施設職員 に対す る、指導援 助及び研修
の実 施な どを行 う必要 が ある。
また、在宅の 精神障害者 への支援 サ ー ビスとして、ホームヘ ルプサ ー ビス事
業が あるが 、担 い手 となるホームヘ ルパ ーの増員 と資質の向上を図 り、区市町
―
a ―
Fly UP