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日本におけるバカンスの法的条件

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日本におけるバカンスの法的条件
一日本におけるバカンスの法的条件
1
日本におけるバカンスの法的条件
目 次
序何が必要か
一 時 間
二 所 得
四 平 等
三 空 間
五 さいごに1発想の転換
序 何が必要かー.バカンスの立法・行政等の提言
松
岡
日本人は、よく働く。それは、世界に冠た澄登のである。それは、世界に誇ってよい。
郎
それゆえ、第一次大戦後、ヴェルサイユ平和条約が締結され、ILOが誕生し、一九一九年第一回のILO総会の
公正競争をすると、大げさな表現によれぽ、国際紛争−戦争の一つの原因ともなりかねない。
しかし、日本人は、他方、憩いをとらないで、働きすぎているという国際的批判もある。働き過ぎて、国際的に不
三
2
冒頭で、工業における八時間労働条約が締結された。
しかし日本は、これを批准しなかった。日本が、第二次大戦に敗北し、ポツダム宣言の受諾によって、平和的民主
国となることを世界に誓い、一九四七年に、労働基準法を制定し、原則として、八時間制、週休制、年次有給休暇制
を当時のILOの水準を指向した。
ところが、これらの労働時間制は、途上国も賛成したILOの水準を指向したに止まるだけでなく、その低い水準
も、十分にまもられなかった旧− r −
ILO総会で、﹁我国の伝統とそσ生活様式の影響で、人々はけ一つの仕事を長い時間かかって呑気にやることを欲し
︵2︶
て、決して時間を短縮してその代りに緊張した労働に従う事を嫌ふ﹂と断言している。
金の割増ある超過時間をこの上に設定することを希望するもので、八時間打切りに賛成する者は極めて少数であり、
︵1︶
且急激な制限は職工間においても反対である旨確信する﹂と述べ、また、日本の使用者代表松方幸次郎氏は、第八回
い口実として、例えぽ政府代表の岡実氏は、第一回ILO総会で、﹁日本のの労働者の多数は八時間を基礎として賃
その一つは、日本人は憩いを知らないことである。そして、日本の政府代表者や使用者は、ILO条約を批准しな
ればならない。
しかし、その成功のためには、日本が明治以来、一〇〇年余りの封建的遺制をよく頭に置いて、これを克服しなけ
そこで、日本は、真剣に、国際協調に合致し、平和に取り組まざるを得なくなった。
長時間制に向けられた。
り、他方、日本の経済は立直り、そのGNPも、世界二位、三位になるに及んで、世界の日本に対する批判の目は、
その間、四〇年も過ぎ、世界の労働時間は、週四〇時間、週休完全二日制、年休も、四労働週から五労働週にな
ue r
訟
百冊
律
法
日本におけるバカンスの法的条件
3
そういう一面もあるが、その原因をみることは、大事である。横山源之助は、﹁世間何者か過度の労働を喜ぶ者あ
らんや、職工にして労働時間の長きを欲するが如きは、普通の労働時間にて侭到底生活を維持し得ざるが故のみ﹂と
︵3︶
述べている。
それから一〇〇年以上過ぎても、その生活様式は、非常に異っても、今日の日本の労働者状態は、基本的には、異
るところはない。たとえぽ電機労連第三回生活時間調査結果から、その妻が夫の過重な労働をどう見ているか。﹁夫
の健康面や家庭生活を重視すれぽ“働き過ぎ”を解消すべきだと考えながらも、家計を支えるためにはそうもいかな
いというのが、電機に働く夫に対する妻たちの平均的結論のようである﹂と結んでいる。
、 ︵4︶
現在、過労死といって、働き過ぎて死んでゆくことが、やかましい社会問題となっているが、これは、一〇〇年を
こえる経過の間、問題とされなかったに過ぎないことかも知れないが、最近の注目すべきものである。
その二は、右の過労死にみられるごとく、健康に対する関心が、日本人の意識の中で低いということである。﹁健
康とは﹂世界保健機関︵WHO︶憲章によると、﹁肉体的、精神的並びに社会的に完全な良好な状態をいうのであっ
て、単に病気や虚弱でないことをいうのでない﹂と宣言している。
﹁公害日本﹂﹁労災日本﹂の甘しくない国際的評判がたてられて、﹁健康障害﹂の防止のために、一九七四年に、労
働安全衛生法が制定されてから、一七年目に、ようやく、健康障害だけでなく、﹁健康の予防﹂のために、右のWH
Oの精神を指向して、労働安全衛生法の法改正が行なわれた。
①労働者の従事する作業を適切に管理する︵安衛法六五条の三︶。②健康教育、健康相談その他健康の保持増進を
図るため必要な措置︵健康測定など︶を継続的かつ計画的に講ずる︵同六九条︶。③健康増進の体育活動等について
便宜供与する︵同七〇条︶。④また、各経営︵事業場︶に、総括安全衛生管理者を先頭に立て、新たに、産業医を衛
叢
4
論
律
法
生委員会のメンバーとして、予防の仕事を与え︵同一〇条、一八条︶、また、国に、必要な指針や援助の義務を課した
︵同七〇条の二七一条︶。
しかし、①∼④は、いずれも、事業者の努力義務にすぎない。したがって、事業者がその気持にならなけれぽ、実
効性を期待できない。
ところで、その三は、労働者の監視力である。日本には、日本国憲法の中で、労働者の団結権、団体交渉その他団
体行動権が保障され︵二八条︶、労働組合法は、労働法の中で、最初に、 一九四五年につくられたけれども、現在、
日本の労働者の組織率は、低く、全労働者の二六%足らずであり、組織された労働組合も、先進諸外国と異なり、企
業内労働組合がほとんどで、企業間の競争の影響を強く受け、企業リードの下、世界の突出する残業、休暇の放棄が
続いている。
しかも、長い間、二宮尊徳流の長時間労働が美徳とされてきた。
このネックを排除する努力は、続けられているが、先進国なみの自由時間を国内に導入するには、バカンス︵主に
保養地などで過す長期のしかも連続した休暇︶という視点が大事である。この視点から、先進国なみの自由時間を保
障するには、日本の企業内労働協約や行政指導だけでは、限界があり、企業間の横ニラミ競争から、妨害を受けない
ようにするために、先進国なみの実体を立法化する必要があり、それは、国際なみの義務である。
その国際義務の履行のためには、①先進国なみの自由時間の保障が必要である︵時間︶。②その自由時間を楽しめ
るに足る賃金、収入が保障されなくてはならない︵所得︶。③楽しむ空間が必要である︵場所︶。④その場合、富裕
者に限らず老齢者、身障者を含めてすべての国民のためのもの︵平当︶でなくてはならない。
そのためには、みんなの頭の切替えが、なにより大事である。そのためには、そのネックとなっている、かなり多
日本におけるバカンスの法的条件
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くの法律、行政慣行を見直し、しかも新たな発想から、”.バカンス基本法”を考える必要がある。しかしそれは、国
際的にみて、決して突飛なことでなく、一〇〇年以上も、否、それよりも前から、日本人が、栄々と、朝は星をいた
間
だき、夜は、月を見て帰るという風に、働き続け、漸やく先進国際仲間に追いついた日本の誇りであり、国際的義務
といってよい。
一 時
① 労働時間の長さ
バカンスには、まず時短が絶対に必要である。一九八八年の労働基準法の改正は、労働時間が主なもので、それ
は、労働時間について、主に、国際的協調を狙ったものである。左の図表は、労働大臣の私的諮問機関である労働基
準法研究会が、立案に際して参考にし、労働大臣に報告の際使用したものである。
だから、労働省は、この︵表1︶によって、﹁欧米主要国とわが国について、年間労働時間を比較すると、アメリカ、
イギリスとの間では二五〇時間前後、西ドイツ、フランスとの間では五〇〇時間程度の大きな差がある。このうち所
定外労働時間による差はアメリカ、 イギリスとの間では五〇時間、 西ドイツ、 フランスとの問では=一〇時間程度
で、総実労働時間のうち四分の一から五分の一を占めている。一方、所定労働時間についての差は主に休日数の差に
よるものであり、一日当り実労働時間の差によるものは比較的小さい。特にフランス、西ドイツとの間では所定内労働
時間の差約四〇〇時間のうち、三〇〇∼四〇〇時間弱が休日日数の差によるものとみられる﹂とコメントして臥聴。
6
一法 律 論 叢一
表1労働時間の国際比較
名
国
総実労働時間
所定内労購剛所定外労働關
本カスアッス
リリリイン
メギタドラ
日アイイ西フ
202
2,152
1,950
1,898
1,742
156
1,938
1,798
140
1,622
1,577
45
ユ,6ユ3
ユ,535
78
1,579
78
1,657
資料出所:EC及び各国資料(1983年)
労働省労働基準局推計(1983年)
注1 EC諸国については, E C統計局「Labour Costs」による年間総実労働時間の公
表値を各国資料を用いて延長推計したものである。
2 原則として製造業生産労働老である。
3 所定内労働時間は,総実労働時間から所定外労働時間を引いたものである。
4 アメリカについては,週当り支払労働時間を実労働時間に換算し52倍したもので
ある。
5 日本は規模5人以上,アメリカは全規模,イリギス,イタリア,西ドイツ及びフ
ランスは規模10人以上の事業所である。
〔参 考〕
カナダについては,年間総実労働時間を正確には推計できないが,年間の支払労働
時間から,実際には労働しない年次有給休暇日数(4週間程度)分と,有給休日日数
(11日)分を引けぽ1,750時間程度となる。
このコメントによると、日本の長時間は、所定時
間外労働の多いことと休日日数の少ないことによ
る。
これを背景に、日本政府が、日本の労働時間の
方針の基礎にしたいわゆる新前川レポートは、﹁二
〇〇〇年に向けてできるだけ早期に、現在のアメ
リカ、イギリスの水準を下回る千八百時間程度
︵例えぽ完全週休二日制実施、有給休暇二十日完
全消化のケ⋮スにほぼ対応︶に目指すことが必要
︵6︶
である﹂としている。
そして、日本政府は、週四〇時間には、﹁目標
年度としては一九九三年﹂としていると、国会で
︵7︶
答弁している。
しかし年休については、常時三〇〇人以下の事
業場では、一九九四年四月一日から、年休一〇
日、最高二〇日になる︵附則二条二項︶。
一九九三年までに、年休二〇日、年一八〇〇時
間になるとは、夢物語りである。
日本におけるバカンスの法的条件
7
しかも注意すべきことは、政府当局がモデルとした右の表は、一九八三年のもので、政府案は、その一〇年後の一
九九三年以降に属する。そのときには、英、米、仏、西独、伊は、、さらに、発展を遂げていると考えられる。
そのことは、誰でも、少し考えればわかることである。だから、労相の私的諮問機関の﹁労働時間短縮政策会議﹂
︵座長・前川春雄前日銀総裁︶は、各界の頭の切り換えが大事とみて、﹁しっかり働き、−ゆっくり休む﹂をはじめ各
︵8︶
界に対する一五の呼び掛けを行っている。
しかし呼び掛けただけでは不十分であるとし、経済企画庁、綜合計画局長の私的諮問機関の﹁労働時間短縮のイン
パクト研究会﹂︵座長・竹内啓東大教授︶は、 一九八八年の労基法の改正ではふれなかった法規制に一歩踏みこみ、
所定外給与の割増率現行の二五%を五〇%以上とし、労働者の超過手当に高率の所得税を課するなどして脱産業社会
を実現し、年次有給休暇を消化しない場合には、企業に罰金を課するなどしてその完全消化のための具体的提案をし
︵9︶
ている。
その間、フランスでは法律で、三九時間となり、西ドイッでは、中小企業にも及ぶ企業外の労働協約で、週三七∼
五時間も登場し、その他の先進国でも、週四〇時間を下回り、三五時間前後のものが少くない。
ω自由時間
バカンスを楽しむためには、労働時間の長さを短くするだけでなく慰いの時間ー自由時間を長くする必要がある。
この点、日本政府も、認めざるを得ない程、日本の自由時間が、少なすぎる。労働大臣の私的諮問機関である労働
基準法研究会が、労働大臣に、労基法改正にあたり、使用した︵表2︶をここでも引用しておこう。
この表2について、右の﹁労働基準法研究会﹂報告書は、﹁これら諸国の年間の年次有給休暇、祝祭日等の実態を
8
一法 律 論 叢一
表2休日の国際比較
年次有給休暇 週休日及び祝日等の休日
労 働 日
国 名
アメリカ
233
4
8
イギリス
230
不 明
イタリア
231
西ドイツ
220
フフンス
228
21
21
19
102
84
113
104
112
104
114
104
114
104
111
103
8
81
00R︶
1 9
1
252
09
り4
1戸
1
102
2
302
日 本
陣休日祝日等の休日
取得日数
欠勤日数
資料出所:EC及び各国資料(1983年)
労働省労働基準局推計(1983年)
注1原則として製造業生産労働者である。
2 「年次有給休暇取得日数」の欄の諸外国の数字は,年次有給休暇付与日数を用い
ている(日本の平均年次有給休暇付与日数は,15.3日である。)。
3 フランスの年次有給休暇取得日数については,1982年の資料を用いたが,フラソ
スでは,1982年に,年次有給休暇の法定付与日数が24日(4労働週)から30日(5
労働週)に改正されている。
4 イタリアの年次有給休暇取得日数については,4労働週=24日として計上した
が,週休2日制の土曜日も年次有給休暇の取得に際しては,取得日とカウントされ
ることとされているので,労働日の計算においては20日として計算した。
5サミット構成諸国については,フランス以外は最近の統計資料はないが,完全週
休2日制が普及していると考えられる。
〔参 考〕
カナダについては,完全週休2日制がほぼ普及しているほか,祝日等の休日が11日
ある。また,年次有給休暇については,4週間程度であると考えられ,これらのこと
から,年間の労働日数は,230日程度であると考えられる。
みると、週二日制が定着しているこ
と、年次有給休暇の平均的な付与日
数は二〇日ないし三〇日に達してい
ることがみられ、また、週休日以外
に、各国ともに一〇日程度の祝祭日
等の休日が与えられているが、これ
らの祝祭日には、ほとんどが有給休
日となっている実態にある﹂と説明
している。
日本政府は、第二次大戦後、人間
尊重を誓って、ILOへの復帰をし
たが、労働時間、自由時間に関連す
る限り、発展途上国も賛成したもの
についても、反対した。一九六二年
のILO=六勧告の週四〇時間制
も、一九七〇年の=二二号条約の年
次有給休暇三労働、そのうち二労働
週の連続休暇制も、受け容れなかっ
日本におけるバカンスの法的条件
9・
た。経済大国日本に対して国際的非難が集中したのは、そのためである。
また、右の表2の注で説明したように、フランスでは、法律で、二四日から三〇日に改正された。
ここで特筆すべきことは、各先進国では、法律や協約で保障された年次有給休暇は、殆ど、完全に取得されている
が、日本では、短時日の年次有給休暇も、五〇%∼六〇%消化されているに止まっていることである。
そこで、一九八八年の労基法の改正にあたって、完全消化が、苦心された。その場合、二つの方法がとられた。
その一つは、計画付与規定である︵労基法三九条五項︶。それには、事業場ごと、過半数協定の締結と付与日数が
各人の有する年次で五日を超える部分に限定といった条件がついている。
その二は、年休の取得者に対し、賃金の減額その不利益取扱の禁止である︵労基法一三四条︶。
幽亡れら二つの条項を整備しただけで、年休の完全消化に役立つという実証が得られない。
そこで、労基法改正以後、首相の諮問機関の﹁余暇充実のための基本的方策﹂は、一週間程度の年休の連続取得を
義務づける法的措置、病気休暇などを提案したが、その実りは、現在までない。フラソス、西ドイツは、年休三〇
︵10︶
日、内二週間は連続、ILO=二二号条約は、年休三労働週、内二週間は連続となっている。
さらにに、年休を取り易くするために、既に一〇力国以上にみられるが、通常賃金の保障の外、休暇に先だって、
年次休暇特別手当が支給されている。その支給額は、データとして多少古いが、ノルウェー、オランダ一〇〇%、
︵11︶
西ドイッで、四〇∼五〇%、フランス、イギリスで三〇%、などである。
要するに、日本の長時間労働は、①残業が多く、政府当局者の説明では、年間で、総労働者の残業手当は、十兆六
千億円と鶴嘩、それに・手当がつかない〃サをス肇”がある・②年休権の放棄が目立ち、その公的数字はない
︵13︶
が内ジャーナリズムでは、毎年、その権利放棄は、二兆円∼四兆円に及ぶと伝えている。
律
それが、日本の会社人間に必要な愛社精神、忠誠心に由来するものであり、また、会社人間像に関連深い、社会の
︵14︶
チームワーク︵和︶のための集団主義に由来するものである限り、財界から批判も出てきた。会社人間や集団主義、
チームワーク第一主義のやり方が通用するのは、日本のしかも高度成長時期だけと認識する必要があり、最近、急成
長しているソフト的要素の多い新しい分野は、マスプロ産業とまったく原理がちがい、個性のない﹁会社人間﹂は役
に立たないと述べている。この会社人間や集団主義は、これによって生産が期待できる業種においては、企業は今ま
︵15︶
で通り、これを維持したいところであろう。しかし従来の会社人間や集団主義では役に立たず、個々人の新しい技術
によらなけれぽ生産性を期待できない業種では、企業は、その会社人間、集団主義の育成を放棄するだろう。
しかし、日本国憲法、労働基準法が制定されて四〇年以上も経た現在、日本国憲法の労働者の個人としての人間の
尊厳︵=二条︶、労働基準法の労働者の人格と家族を含めての人間らしい生活の保障︵一条︶を原点とした労使関係
二 所
︵16︶
にふみきるときだ 。
ω物
バカンスを楽しめるに足るだけの収入が保障されなくてはならない。そのためには、まず物価の安定が必要である。
得
比較して、高いことを知り得る。また、昨年の当局の小売価格や暮らしの国際比較も、印象は、大体同じである。
データは、古いが、現在の印象に近いので、ここに掲げておく。次頁の図を見るだけで、東京の物価が、先進国に
︵17︶
価
10
叢一
論
一法
一日本におけるバカンスの法的条件一
11
米(1㎏) 5都市の物価(住友商事1986年7月観べ)
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四八四円
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缶ビール(1個)
じゃがいも(1kg)
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一
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四
四
四
⑳
墨.
牛乳(1s>
食パン(1阪g)
牛肉(100g)
ユ
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②学費、生活費
特に大学生の授業料が法外に高い。西ドイ
ツ、フランス、スウェーデンなどでは、無料で
あり、それどころか、西ドイツでは、生活の助
成をしているほどである。
東京に下宿する私立大学生︵昼間部︶の学費生
活費が合せて一九七万円もかかり、親の仕送り
も一六九万円に上ったことが、文部省の発表し
た﹁六一年学生生活調査費﹂で明らかにされた。
東京では、国立大でも、一五〇万六千円という
数字である。
︵18︶
現在は、その学費、生活費は、もっと、上昇
していることは確実である。
③土地、住宅費
土地並びに住宅の価格が異常に高く、庶民の
手に及ぽない。土地、住宅を保有しておれぽ、
京
マ
一
口
12
叢一
論
律
一法
(国連資料、1987年1月現在、1ドル154円)
国連職員の年俸(31∼35蔵 2等事務官)
東
ジュネーブ
パ リ
ウィーン
ロンドン
モントリオール
ニユーヨーク
その価格の上昇によってもうかるという”神話”が出るほど、土地、住宅の
価格が、これまで上昇してきた。
その結果、新卒者は、都会に就職をあきらめて、田舎に帰郷する者が増え
てきた。
そのために、企業は、労働者をひきとめるために、社宅を準備し、節税効
果が非常に高いうえ人材確保、資産活用に役に立つというので、その建設に
乗りだしている。しかしこのことは、一面、労働者に有利な面があるが、会
社を太らせ、土地もち企業ともたざる企業との格差を拡げ、労働者の私生活
を支配する結果になるという非難も、出る。労働者の持家に連がるものが欲
︵19︶
しい。しかも安くて先進国にふさわしい床面積の広さが欲しい。 一
また、政府は、とにかく、土地の値上りを防いで土地神話説をなくするた
めに、居住用の土地、国、自治体などの所有地など、特定のものを除いて、
課税する新土地保有税法を準備している。大事なことは、土地の基本政策な
のだが、とにかく、税制に手をつけたことは、一つの進歩であり、骨抜きに
しないことを祈る。
︵2D︶
ω 賃金の購買力
食費、学費ならびに住居費が高けれぽ、それだけ賃金の購買力は、低いこと
日本におけるバカンスの法的条件
13
になる。日本の賃金の購買力は、先進一五力国中の最低で、西ドイツの一・六分の一、アメリカの二・五分の一に過
ぎないといわれている。前頁に掲げた表によると、同じ国連職員の二等事務官の年俸について、東京勤務者を高くし
ているのは、東京の物価高と東京における賃金の購買力の低いことを示している。
さらに、労働時間の購買力の国際比較の一例を示すと、アメリカの電機産業労働者は、牛肉一キロを買うに充分な
賃金を得るのに一六分四五秒働く必要があり、西ドイツの場合は一時間=秒、イギリスでは、 一時間 七秒であ
り、フランスでは一時間四二分働かなけれぽならない。ちなみに日本の場合は二時間二六分で、先進工業国の中では
最も長い。
︵21︶
㈲ 収入ー労働分配率
さいごに、わが国の労働分配率が英・米・西ドイツに較べてきわめて低い水準にあることに着目しておかなくては
ならない。もっとも、その国際比較は、必ずしも容易でない。例えぽ国レベルでみても、一人当りのGNP、国民総
︵22︶
生産に対する雇用者所得の割合など、いろいろの方法があるが、欧米先進国と較べて、わが国の分配率は低い。
この点について、NHK解説委員の岩瀬孝氏は、﹁我が国の労働分配率の現状は、企業に厚く、労働者、消費者に
薄い、というゆがんだ形を示している。強い経済力を持っている半面で、国際的には諸外国との経済摩擦を起し、国
内的には、国民一人一人の生活が豊かにならない、という構造的盾矛の重大な要因の一つに、労働分配率のあり様の
︵認︶
問題がある、と指摘できる﹂と述べている。
日本の企業は、対外純資産で、世界に突出し、GNPも、世界のトップを争うようになったと言われているのに、
日本の一般庶民は、土地や住宅に恵まれず、物価高に悩まされながら、世界の人が驚く程休みは少なく長時間労働な
律
14
のである、“企業︵国︶栄えて民なお貧し”という新聞語録は、そんな側面を描いており、 庶民の憩に対する権利意
間
識の芽生えや不公正競争の国際的非難への対応が迫られている。
三 空
バカンスをとるためには、楽しい場所が必要である。最近、海外に出かける人が多くなっているが、フランス、西
一、ゆとりある国民生活の実現を図るため、労働時間の短縮等余暇時間増大の施策を積極的に推進すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
︽総合保養地域整備法案に対する附帯決議︾
ーショソができることを理想としている。しかもそれは、安価であることが期待される。
︵24︶
そしてこの法律の附帯決議は、参議院で、つぎの如く行なわれた。
この法律は、それまでの通過型の観光とは異なり、滞在型ともいうべきもので、スポーツ、研修、各種のリクリエ
いる︵一三条︶Q
の整備は、民間事業者の能力の活用に重点を置いて行うこととし、税制、財政、金融上の措置など講ずることとして
本方構想を定め、主務大臣の承認を申請することができることし︵五条一項︶、基本構想に基づいて実施される地域
が制定された。それは、この法律によると、都道府県は、主務大臣の定めた基本方針に基づき、特定地域について基
日本には、それが少ない。そこで、一九八七年に、労基法の改正の一年前に、﹁綜合保養地域整備法﹂︵リゾート法︶
ドイツ、イタリアなどに出かけると、いたるところに、公園や彫刻などをよく見かける。
叢一
論
法
日本におけるバカンスの法的条件
15
二、総合保養地域の円滑かつ効率的な整備を図るため、関係行政機関の緊密な連絡体制を確立すること。
三、地域の設定及び整備に当たっては、地元の実情をふまえ弾力的に対処するよう努めるとともに、地元自治体の
自主性を尊重すること。
四、地域の設定及び整備に当たっては、土地利用の適正化に努めるとともに、地価対策に万全を期すること。
五、地域の整備に当たっては、自然環境の保全との調和に十分配慮するとともに、生活環境対策に努めること。
六、国民保養地にふさわしい良質な施設の整備に努めるとともに、適正な料金で利用できるよう十分配慮するこ
と。
右決議する。
この法律は、どのような効果をあげたであろうか。
そのために、これに関連する﹁日米構造協議﹂の決着にふれなくてはならない。日米構造問題協議会でアメリカ側
の強い要請で、日本の生活関連の下水道、住宅、公園、廃棄物処理施設など公共投資用として、一〇力年計画投資総
︵25︶
額四三〇兆円、九一年度分、四三兆円を計上することを、日本政府は、受諾した。これによって、期待される通り、
ほんとうに、憩いの場所が拡大するなら、結構なことである。
なお、その外、日米協議で、独禁法の改正で、その実効性の強化、その外、談合防止など、消費者向の行政など、
期待も大きい。
そのようなさ中に、憩いの場所の拡大に民間活力を導入し、庶民に大きな期待を与えて、労基法の改正と略、同時
期に誕生したが、リゾート法の数々の弊害が、報告されてきた。
民間活力は、リゾート開拓に、民間のよいアイデアを与える点にすぐれたものがあるが、それに利潤の追及に重点
律
法
16
を置くと、弊害が、目立ってくる。
たとえぽ、リゾート法による構想の予定地にされると、不動産業者らが土地を買い漁り、その土地に高値をつける
なら、その高値を背景として、高値の民間活力とならざるを得ない。そこで、二重あるいはそれ以上の利潤の追及が
行なわれ、その結果、高額な料金を利用者に求めざるを得ず、家族連れで、長期滞在できる低廉の宿泊料を掲げた政
︵ 2 6 ︶
府答弁とは矛盾する。
わたくしが、それを強く感じたのは、裏磐梯リゾート計画について、国の承認も得ている重点整備地区の当初計画
えられている︵九〇年九月一七日︶。さらに、リゾートホテルの海浜独占を認めないという﹁海浜自由使用条例﹂が、
他方、真鶴町は、二十戸以上の新規中高層マンションに給水しないという給水規制条例制定というニュースも、伝
それで、利潤があがるので、有力政治家に献金をし、中には、犯罪容疑で、その業者並びに自治体の長が、逮捕さ
︵28︶
れたというニュースが、伝えられている。︵九〇年=月、千葉県成東町の場合、ゴルフ場開発で町長一億円汚職︶。
︵27︶
く、庶民の手の届き難いところにある。
その二は、会員権を持っている特定の人だけが、楽しむということである。とくに、その会員権の料金が、法外に高
つの問題が生じている。一つは、それによって、自然の破壊、特に農薬による環境汚染、水源汚染が、心配である。
別のケースを指摘しておくと、国の承認を受けた整備構想のほとんどが、ゴルフ場に大きなスペースをとられ、二
れないが、このリゾートが高値になることは、間違いない。
する限り、当初から、予想された。おそらく、この地権者は、土地を別の企業との売買計画で進めることなるかも知
して、三社は、事実上断念したというニュースに接したときである。このようなことは、土地神話が、日本に、存在
が、せっかく、三社の民間活力で進められていたが、この土地の地権者との用地の買収の交渉で、採算が合わないと
叢一
論
一日本におけるバカンスの法的条件
17
︵29︶
沖縄県議会を通過した︵九〇年一〇月一五日︶。
中には、開発による、自然破壊にたいして、地域住民から、県に対して、訴訟の提起もあらわれた︵九〇年八月三
〇日日光国立公園内の訴訟︶
その外、リゾート法の対象にならないマンションの建設ブームも盛んで、それがきっかけとなり、土地漁りで、地
価高騰もおき、そのため、熱海市は、九〇年一〇月一五日から、マンション建設申請の受け付けを凍結した。
バカンスの期待を一身に背負って、リゾート法が生まれて三年目になって、期待に合った成果を生んだものもあろ
うが、その弊害は、少なくない。それは、土地漁りをはじめ、リゾートをめぐり、利潤追及が前面に出たが、これを
等
チェックする法的整備が十分でないことによる。いちぽん大事なことは、誰でも、公平に安く利用できることであ
る。
四 平
誰でも、国民が平等に安くリゾートを利用できるために、地域住民が立上らなくてはならなかった。時には、訴訟
まで提起しなくてはならなかった。
他方、バカソスで有名なフランスでは、国民平等にという思想を強力に打ちだし、リゾートを設定する場合に、低
所得者を配慮している。たとえば、フラソスのラングドック・ルシオンでは、計画自体は、国がつくり、大臣を長と
し産業開発局DTARに土地の先行取得権を与えて、一五年間、地価を凍結する。そして土地を民間企業に分譲して
施設をつくらせるのだが、この際やはり承認を得させる。このフランス方式について、日本政府は、はっきりした答
18
︵30︶
弁を避けている。
しかし、日本の政府当局者は、フランスの有名なラングドック・ルシオンの宿泊料については、ホテルなどは一泊
五千円から一万四千円だが、賃貸のマンションでは大体一週間で二万四千円ぐらい、キャンプで泊まると一泊千円ぐ
︵31︶
らいで済むと述べている。
さらに、フランスでは、子のレジャー補助制度があるし、また、夫婦共稼ぎの場合、同じ時季に年休がとれる協約
の仕組みもある。
や富裕者の利益に走らずほんとうに多数の庶民−老齢の年金生活者、身障者を含めてーのための安くて楽しくて健全
として、自然と地域住民の生活の破壊することなく、また、土地値上りをはじめ物価を監視し、抑制しながら、業者
しかし現実に、それが、実現していないことが、明白であるから、あるべき視点をもう一度復習してみよう。視点
憩いもゆとりを当然享有する権利を有する。猿マネは、回避すべきだが、その内容を立法化すべきであろう。
金持である。それならば、日本の国民は、それに値する憩いとゆとりを与えられなくてはならない。フランス並みの
以上、フランスのバカンスの一端を日本のそれと比較してみた。現在の日本は、世界も認めるように、世界有数の
︵32︶
オンが登場している。
助するバカンス小切手の創設も、同じ年の一九八二年であり、翌年一九八三年に、すでに述べたラングドック.ルシ
国民にレジャー・バカンスの情報を与える﹁国立観光情報センター﹂の設立、低所得者の勤労者に雇用者が資金援
一九八二年に、週三九時間制と共に、年次有給休暇五週間︵三〇日︶の立法︵内二週間は連続︶を確立した。
のを皮切りとし、一九五〇年代に三週間、一九六〇年代に四週間に、ミヅテランが一九八一年に大統領になった後、
フランスでバカンスが制度化されたのは、一九三六年で、シオン・ブルム内閣時代に二週間の有給休暇を樹立した
叢一
論
律
法
日本におけるバカンスの法的条件
19
な憩いの場所を確立することである。リゾートは、比較的長期滞在者のためであるが、空気がきれいで景色もよいこ
とが大事であり、ゆっくり休養もできるし、また、比較的長期の教研や各種のスポーソ、娯楽施設の揃っていること
も、条件である。ホテルの外、割安の週間決めの賃貸のマンション、ペンション、さらに、割安のキャンプなども欲
しい。
リゾート法は、この視点から見直し、運営すべきである。民間活力を言うなら、本省の整備構想の際はもとより各
自治体の政策決定の際に、地域住民の各界の代表の気持を容れる必要があろう。自治体は、この目的を達成するため
に必要な条例をつくるべきだが、この作成、運営に当たって、地域住民の代表者、バカンス関係の代表者の参加にょ
る民主的組織による協力を求めるべきである。他方、自治体は、その地域住民に対しバカンスのサービスをする必要
が増加してきたが、よいアイディアを得るためにも、そのような組織による協力は有益でないか。
もう一つ、本省といっても、日本では、バカンスの本省は、いろいろにわかれている。①国土庁、②農林水産省、
③通商産業省、④運輸省、⑤建設省、⑥自治省、⑦環境庁、⑧林野庁、⑨労働省、⑩文部省、⑪厚生省の各省庁が、
それぞれ管轄し、また、それぞれが、リゾートプランをもっている。
平成元年の一年をとってみても、すでに述べたが、労働省、経済企画庁、総理府が、それぞれ、憩いー、バカンスに
ついてのプランをそれぞれの私的諮問機関に研究を依頼し、その研究成果を新聞発表をし、中には、結論を微妙に異
にしているものもあり、現在までのところ、その目にみえる成果があらわれていない。
成果としてあえてとりあげるなら、リゾート法で、国土庁が窓口となっていることであるが、その各省庁のバカン
ス部門を整理し、統一して、バガゾス片といった独立した行政機関をつくり、総理府に直属し、これに民間の有識者を
委員として土地の値上りなどを監視させ、右に述べた自治体の現地指導を応援するといった方式が考えられないか。
20
五さいごにー発想の転換
さいごに、なんといっても、大事なことは発想の転換である。経営者も、労働者も、夫夫の立場を見失ってはなら
ないけれども、良い市民であるべきである。
ω企業−終営者
︵35︶
をリードしているという。
る巨大な企業の社長は、年齢が七八歳になるが、ディスコによく出かける。それによって、発想を転換して、大企業
けるだけでなく、その憩いにより、発想を転換し、豊かな想像力で考えるトップに変身し、経営を伸ばせないか。あ
その一つは、憩いーバカソスの効用の認識である。トップは、率先して休みをとり、増加する突然死−過労死を避
ここに、日本の企業−経営者に、二つの発想の転換が求められている。
︵34︶
協力し、協力させられたことがある。
洗剤、砂糖などの住民の生活必需品が、店頭から、姿を消したことがある。しかも、その労働者はその隠匿の仕事に
それが、利潤第一主義になると、モノ不足の場合には、買占め、売り惜しなみどによって、トイレットペーパー、
トップが長時間働くと、管理職、一般労働者も、長時間労働するようになるし、長時間労働させられ勝ちである。
気にかかる。
︵33︶
日本の企業−経営者は、企業競争に勝ちぬくために、自らも長く働き過ぎ、突然死が増えているのが、目につき、
法律論叢
日本におけるバカンスの法的条件
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国際市場で世界有数の地位にある日本の大企業には、製品やサービスは、世界一だが、労働者の憩いーパカソスも
世界一の夢をかけるべきである。
資金や人材の不足に悩む中小企業には直ちにそこまで望めないが、政府公約の援助の下に、大企業と一味違った労
務管理の魅力によって、特に時短と憩いを創出して、バカンスで人材を吸収して、対外的信頼を得べきである。
アメリカで、黒人の多い地区では、百貨店や弁護士事務所で、黒人とくに黒人の婦人労務管理老を多く目立つ場所
に置いて、黒人とくに婦人の消費者に信頼を狙っている。
その二つの発想の転換は、アメリカの右の動きと軌を同じくするもので、企業は、もうけ一辺倒でなく利益に直接
つながらなくても、企業が、文化事業や地域交流、環境対策、社会福祉などを通じて、消費者や市民との触れ合いを
︵36︶
深めることを通して、企業のイメージアップする道を選択はじめた。
② 労働者ー労働組合、市民集団
労働老は、同時に、市民でもある。その内容をさらに分析するなら、①生産者、②消費者、③納税老でもある。
日本の労働者は、①生産者として、長い間、働き続け、とくに、一九四五年六年、労働三法、憲法によって、労働
に関する権利を保障され、それまでと異なり、かなり高い地位を得た。
︵37︶ ︵38︶
しかし日本の労働者の休暇の未消化、残業、特にサービス残業にみられるように、その権利放棄は、世界を驚か
せ、且つ警戒をさせている。
思うに、憲法の権利としての自由時間の拡大は︵憲法二七条二項︶労働者お互いの健康をまもり、今、問題となっ
ている労災死を防止し、私生活の質を高め、仲間に仕事を与え、賃上げにも奉仕し、内需の拡大や貿易摩擦の解消に
律
通じ、今や、それは、国際的責任ともなっている。
︵39︶
日本の労働者は、この国際責任を果たすためには、これまでの生産者として地位を高めるだけでなく、これからは
消費者として、物価高に挑戦し、購買力を背景に高値の商品は買わないというボイコットの理論と実践を身につけ、
と同時に、税負担者として、公園や下水道の完備を要求し、また公平の見地から、土地保有税さらに土地利用計画、
土地に対する金融にも発言すべきである。
これまで、日本の労働者は、一市民として消費者、納税者の地位について、上から、あるいは他から与えられたま
まに動き、刹那的な警くべき行動を示したものの、一般的には、大きな発言力を示さなかった。
日本が先進国の一員として、世界の国際的責任を果してゆくためには、労働者が市民として高い地位を認められな
くてはならない。そのためには、労働者はすぐれた市民感覚と行動力を発揮しなくてはならない。
それは、一人の力ではできない。日本の労働組合ならびに市民集団は、労働者意識の外に、そのような市民感覚を
発揮しながら、日本の国民に憲法を背景に、世界にすぐれたバカンスを保持するために、政府、中小企業を含めて経
﹁電機ジャーナル﹂μO◎Q刈Oo8ぴo﹁冥o°QoS7HO
八九頁−九〇頁
営者に右の注文をし、また、労働者のモラールを高めるべくフランスやドイツなど先進国の労働組合に負けない位に
先頭に立ち、世界の人達から信頼と尊敬を得たいものである。
︵4︶
︵3︶ 横山源之助﹁日本の下層社会﹂二一八頁
︵2︶ 前田多門﹁国際労働﹂ニニ六頁、一五八頁ー一五九頁
︵1︶ 外務省﹁第一回国際労働会議報告書﹂︵大正九年四月︶六五頁−六八頁、
註
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一法
一日本におけるバカンスの法的条件
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︵5︶ 労働省編﹁昭和61年労働白書﹂二三三頁−二三四頁﹁最近の日本の連合総研とドイツ労働総同盟・社会経済研究所との共
同調査によると、日本の労働者は、ドイツに比べて一日平均で約二時間も長く会社に居り、年間で五百二十八時間︵六十六
日相当︶も長く働いている。⋮また、日本・十二日、ドイツ・三十日という年次有給休暇の取得状況の差︵十八日︶を加え
︵6︶ 昭和六二年四月二三日の経済構造調整特別部会報告構造調整の指針︵総理府編輯︶昭和六二年五月一五日﹁政府の窓、時
ると、年間八十四日多く働いていることになると指摘している﹂︹週刊労働ニュース一九九〇年平成二年一二月三日︺
の動き﹂八三頁
︵7︶ 昭62・9・17参院社労委平井労働大臣
︵9︶ 平成元年四月一八日
︵8︶ 平成元年一月一一日
︵11︶ oゆρd>菊国゜Zo°らo。
︵10︶ 平成元年四月二〇日
︵12︶ 昭62・8・25衆院社労委
︵14︶ ↓冨Z①≦鴫o時目ぎ①゜・°﹀ロ中トHり゜。α
︵13︶ 昭和六一年八月号﹁学習のひろば﹂
︵15︶ 昭和六三の経済同友会の﹁行動原理の革新を求める﹂という年頭見解、昭和六三年一月一五日朝日新聞
︵16︶ 昭22・9・13発基一七号、昭22・11・27基発四〇一号
︵17︶ 電機ジャーナル一九八七 NO八八、なお一九九〇年経済企画庁﹁小売価格の国際比較。又同年の総務庁統計局の﹁国際
統計要覧﹂によると、特に、日本の住宅価格は高いし、又一人当たりの床面積は、二五・二平方メートルで、米国の六〇・
︵18︶ 一九八八年四月七日東京新聞
九平方メートルの半分にも満たない。
︵19︶ 九〇年六月八日東京新聞
︵20︶ この法律案は、日米構造協議で、アメリカ側の要請もあり、九一年の議会に提案するため、与党の自民党の案が、九〇年
一二月六日に、発表された。それは、九一年に統一地方選挙もあり、それを考慮し、また、大企業の意向をいれ、当初の
﹁税率○・五%、課税最低限︵基礎控除︶五億円﹂は、現在の固定資効税率を参考に、九二年︵平成四年︶は○・二%、二
24
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論
律
法
ことも、かなりの税額軽減となる。だから“骨抜き”され地価は下がるはずない、という庶民の声は、大きい。財界の中で
年目以降は○・三%とし、また、課税最低限は、一〇億円に引き上げられ、または、一平方メートル当たり三万円とされた
も、日経連会長・︵鈴木永二氏︶は、経団連や日商と異なり、税率を引き下げたことに保有税の地価引下げ目的に反するとし
て、批判的である︵九〇年一二月一二日朝日新開︶。また臨行改革推進審議会は﹁海部首相に、国民豊かさの実現﹂のため
には、地下の引下げが最も重要とし、具体策として、新土地保有税の導入と固定資産税の見直しを求めている。︵九〇年一
月ニニ日朝日新聞︶しかしこの案は、今のところ、自民党案にすぎない。これに反対している野党側の見解も、国会に出る
だろう。土地金融のブレーキ、さらに、土地利用計画を立て用途を制限することが、明かにされるならば、右の税制の内容
︵21︶ 電機ジャーナル一九八七 NO八六、四一頁、五八頁
の評価も、異ならざる得ない。
︵22︶ 昭和六三年度版﹁労働白書﹂四四頁
︵24︶ 昭和六二年五月一四日
︵23︶ 同氏の﹁労働分配率の視点﹂一九九〇年︵平成二年︶四月二三日週刊労働ニュース
︵25︶ 平成二年六月二八日朝日新聞
︵26︶ 昭和六二年五月二一日衆院建設委一八頁
︵27︶ リゾート、ゴルフ、スポーツクラブなどの会員制について、トラブル防止のため、通産省は、九〇年一一月二八日に、全
国の通産局長、都道府県知事、関係事業者団体に、訪問販売法の運用を厳正に行うよう通達をだした。その骨子をいうと①
︵同月二九日、日経新聞︶
契約時に交付する書面の記載事実の明確化、②禁止行為である不実告知の例示、③重要事項の不告知の例示などである。
︵28︶ この汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された緑地計画専務は、同町内に建設予定のゴルフ場﹁アンバーヒルズ・カントリーク
ラブ﹂の着工が本決まりになった場合には約一億円の報酬を親会社の東武緑地建設から受け取る約束を取り付けていたこと
が、四日︵九〇年=一月四日︶までの警視庁と千葉県の合同捜査本部の調べで明らかになったと報じられている。また、同
じく逮捕されている緑地計画社長は、ゴルフ場オープソ後は、運営会社の経営陣に加わることも約束されていたと報じられ
︵29︶ ゴルフ場については、それが、リゾート法の重点整備地区内の特定民間施設となれぽ、税の優遇措置や政府系金融機関か
ている︵九〇年一二月五日東京新聞︶ . ・
日本におけるバカンスの法的条件
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らの低利融資が受けられるし、また、特定の会員にのみその利用を認めて、利益をあげることができるので、各県は、国の
み、リゾート施設からゴルフ場を除外する方針をとったといわれる︵九〇年一二月五日朝日新聞︶。かくしてリゾート法は、
承認を受けているが、静岡県は、右に述べたゴルフ場の建設をめぐるいろいろのスキャンダル、自然破壊などの弊害に鑑
︵30︶ 昭和六二年五月一四日参院建設委三頁、二〇頁
制定をされて三年目にして、はやくも、改正論がでている︵九〇年一一月一九日、二五日東京新聞︶
︵31︶ 昭和六二年五月一四日参院建設委九頁
︵32︶ レジャー・サービス産業労働情報開発センター、バカンス基本法のための市民立法プロジェクト編﹁バカンス先進国をめ
︵33︶ 昭和六三年新井喜美夫著﹁重役の素顔 重役の条件﹂二一〇頁以下、昭和六一年七月号Z国×日六二頁以下﹁ビジネス戦
ざして﹂中﹁フランスの余暇﹂
士の突然死﹂
︵35︶ 潮真一郎﹁ビジネス処方箋﹂Hり。。。。ZρH8ぎho象Pや器゜
︵34︶松岡三郎著﹁労働法のすすめ﹂六五頁ー六六頁
︵37︶ 松岡三郎﹁日本人の法意識と労使関係﹂︵法律論叢六一巻四・五合併号一八頁以下︶
︵36︶ 九〇・一二・六 朝日新聞
︵38︶ 一九七九年、カーター政権下の米政府は、働き過ぎる国の輸出を輸入制限の対象とする姿勢を示し︵昭和五四年四月二四
日朝日新聞夕刊︶、レーガン政権下の米政府は、日本政府にたいし、貿易不均衡是正の観点から、内需拡大を強く要請し、
︵ベネチア.サミットをはじめとする一連の国際会議における米政府代表の発言昭和六二年一一月一四日朝日新聞︶、労働
︵39︶ ドイツの経営者が﹁日本の労働者を見習え。あんなに長時間労働に耐えているのではないか﹂と、労働時間の短縮を要求
サ、ミットにおける各国労働代表も、日本の内需拡大と時短を強く訴えている︵週刊労働ニュース一二一九号︶。
する労組に反論しているという。 一九九二年に週労働時間を三十五時間に短縮することになったドイツでは、﹁これ以上の
時短は、日本の時短が進まない限り無理だろうともいわれている。︵九〇年=一月一〇日東京新聞︶。ちなみに、国際自由労
連︵ICFTU、P.P・ナラヤナン会長︶の執行委員会が初めて東京で開かれ、同年一二月七日閉会した。
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