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「成功」 の要因と不公平感に関する社会意識
Title Author(s) 「成功」の要因と不公平感に関する社会意識 小野寺, 理佳; 品川, ひろみ Citation Issue Date 2012-01 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/48224 Right Type bulletin (article) Additional Information File Information AINUrep01ja_009.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 第 7章 「成功」の要因と不公平感に関する社会意識 小野寺理佳 名寄市立大学保健福祉学部教授 品川ひろみ 札幌国際大学短期大学部准教授 はじめに これまで行われてきた調査の中で、アイヌの人々の生活が厳しい状況にあることや、差別を受け た経験があることなどが明らかになっている。彼らはどのような意識を持って日々の生活を送って いるのだろうか。そこで、本章では、アイヌの人々の社会意識をとりあげる。社会意識とは、若者 の進学や就労への考え方をはじめ、人生を考えるときの基盤あるいは背景となるものである。アイ ヌの人々の考え方や志向を知るためには、彼らがどのような社会意識をもっているのかを探ること 不公平感j という 2 は非常に重要である。本章では、社会意識を「社会で成功するための要因 J r つの点から検討する。その際、年齢階層、就業形態、ジェンダー、社会階層に着目して分析をすす める。 第 1節社会で成功するための要因 社会で成功するための要因として何が重視されているのだろうか。いくつかの選択肢を用意して 尋ねた結果をまとめたものが表 7-1である。これをみると、半数以上が「個人の努力」をあげて 運やチャンス」、「学歴」 いる ( 6 3 . 5 % )。次いで比率が高いのが「個人の才能」である ( 3 7 . 0 % ) 0r .0%、20.3%)。この 4項目を第 7回世界青年意識調査(表 7- 2) に は 2割程度となっている ( 21 おける当該項目と比較すると、「個人の努力」、「個人の才能」、「運やチャンス」については、世界 青年意識調査のほうが高い比率を示しているが、「学歴」だけは本調査のほうが高いという結果と なっていた。 表 7-1 社会で成功するための要因 ( 2つまでの複数回答) 単位:人、% 家柄・ データ数 実数 5 , 7 0 3 比率 1 0 0 . 0 表 7-2 第 7回世界青年意識調査 ( 2 0 0 3年・日本) 家柄・ 親の地位 比率 2 . 8 個人の才能 5 3 . 6 個人の努力 7 5 . 6 単位:人、% 運やチャンス 学歴 9 .1 4 0 .1 わからない・ 無回答 データ数 2 . 0 1 1,0 4 20 0 0 . 0 ) では、男女別にみるとどうだろうか。表 7-3によれば、男性の72.7%、女性の72.6%が「個人 の努力 j を選んでいる。次いで高い比率を示しているのが「個人の才能」であり、男性42.9%、女 .8%がこれをあげている。男女差はほとんどみられない。即ち、男女ともに、個人の努力と才 性41 89 i 現代アイヌの生活と意識 却師同海道アイヌ民法生時盤調査報告香 能による成功というイメージが強く持たれているというととであろう。 表 7 - 3 社会で成功するための巣凶 (2つまでの複数回答) (性別) 家柄ー 他人の才憶 他人の努カ 親の地位 男性 女性 │ 案 比 書 串室 築数 比車 単位入、% 有カ者との つなが型 遣軍や チャンス 学療 デ}タ数 その他 2日 告 1 ,0 5 4 1 ,7 8 6 507 617 328 50 1 , 日4 42.9 7 2 .7 20.6 2 5 .1 1 3 . 4 2日 部4 1 ,0 5 5 1 ,お4 648 579 1 2 . 0 41 .8 72 .6 2 5 .7 22.9 1 2 0 8 6 5 1 1 1 4 8 9 1 1 2 ,4 5 6 1 0 0 . 0 2 ,5 2 5 l α 0 . 0 注〕不明・鶴田署を除く 続いて、年齢毘I Jfi:見てみよう(表 7-4)。年齢階層別に社会で成功する要闘についてみたとと ろ、『個人の才能j、「学歴J 、「還やチャンス j については有意な楚が見られた (P> 0 . 0 1 ), f 個人 ω の才能Jは3 0 歳未満、 30-40 歳未満において多く選択されていた ( 4 66%、4 8. 4 < J 。それに対して、 岨 年齢層が高い 60-70 歳未満ではぬ 3%、7 0 歳以上では3 5.8%であり、高い年齢帯では 4割以下しか 選択おれていないという結呆であった。 また、「学歴J と回答した者は全体として 2 割程度の比率であるが、 30~40歳未満(1 65%) と 40 ~50歳未満 (2 1.7%)ではやや低い傾向にある o 一方、「運やチャンス J が選択された比率はお歳 未満の 2 9 . 1 %を最高値とし、年齢が上がるほど低下傾向を示している。 7 0 歳以上では 1 5 . 2 %であり、 3 白歳未満の半数程度であった。 これらの結果から社会で成功するための要因の選択理由を考えるならば、個人のパーソナワテイ というよりも、社会における経験によって考え方に違いが生じているのではないかという推iJI.~が成 型立つ。 5 渇9 事8 385 46.6 71 .3 1 9 2 23.2 実数 沈畢 実数 比串 実数 比畢 6 1 9 .7 3 0 5 48.4 463 73.5 1 0 4 1 6 . 5 1 1 4 1 1 . 2 423 41 .6 752 74.0 1 4 4 1 2 .1 4 9 3 41 .4 8 6 5 72.6 2 2 0 21 .7 3 田 歳未満 60-70 実 比 数 串 84 1 0 . 3 322 39.3 5 9 1 72.2 0 i 議 j ; ( [ : 7 実数 比畢 1 5 6 9 4 1 1 1 6 0 35.8 7 2 3 Z 5 4 1 1 議宋満 30-40 40-50 歳未満 議来構 50-60 25.2 却 2 2 6宮 }圃ス 別アン 語四キヤ 勝一連チ 齢一 年一 (圃 )一報 容一 回 一 数﹃ l 時一期 で一ん ま一徳 川い一捕 8 1 周一 W め一立 岨一一札 たで地 実 沈 数 串 る Z附 申 す一家親 ム幅一 功一 成一 で 一 3 σ歳宋溝 社一 表 7-4 単位向入、% │有力者との lつえまが哲 2 4 日 │デ]タ数 81 9.8 2 .3 8 6 1 3 .7 1 .3 26.5 1 2 5 1 2 . 3 1 .6 2 7 8 23.3 1 5 8 1 3 . 3 1 .7 1 6 1 1 9 . 7 91 1 1 .1 2 .4 819 1 0 0 . 0 12: 2 .7 147 1 告白日 2主 1 1 6 8 2 6 .7 26 宮 1 0 8 2 4 .2 その他 42 1 5 田2 1 1 車4 19 8 18 2日 2日 826 1 0 0 . 0 6 3 0 1 品目。 1 ,0 16 1 0 0 . 0 1 ,1 9 1 1 0 0 . 0 注)不明・無関審を絵〈 そこで緩験の質の カ、 J ム f j 悩撞人の才能J ム、「家柄@親の地位J ム、「学歴J において次のような特徴がみられた。 まず、全体を通して最も多く選択されているのは「個人の努力 Jであるが、なかでも経営者・役 員においてその比率が最も高く ( 7 9 . 6 % )、次いで自営業主の7 8 .9%が続昔、この 2つの就業形態に 90 第 7輩 「 糊j の要闘と不公平感花関する社会意識目 おいては呂割近くが個人の努カを成功の要因だと考えている。しかし、パート・アルパイト・臨時 1百%であ担、 7割前後にとどまる。また、次に 雇用・季節労働と無職の溜ではそれぞれ68.9%、7 多く選択されている「偶人のJ"能』については、経営者・役員、-----般従業員の数値が高く ( 4 7 . 5 %、 47.2%)、自営業主と無職の数値が低くなっている ( 3 6 . 7 %、3 88%)0 ‘ 続いて「家柄・親の地位J を見ると、経営者・役員において最も数僚が低い ( 6 . 2 % ) のに対し て、パートーアルパイトー臨時雇用 a 季節労働 ( 1 3 . 3 % )と無職 ( 1 4 . 5 % ) では相対的に高い数値が 示されている。 最後に「学歴j に着目すると、それを選択した比率が最も低かったのは経営者・役員であ母 (13β%)、その次に低かったのは家族従業員 ( 1 6 . 5 % ) であった。これに対して f 学歴Jが多く選 択されていたのは学生と無職であった ( 3 6. 4 % 、 28.3%ふ とれらの結果を見ると 2つの傾向があるととがわかる。一つは、経営者・役員など安定した就業 形態の者において選択される比率が高く、パ}トー臨時援用等や無職のように不安定な就業形態に おいて選択される比率が低い項目がみられることである。それは、すなわち『偶人の努力」や「個 人の才能j である母もう一つは、それとは逆に、無職やパート・臨時雇用等で選択される比率が高 く、経営者・役員や自営業主においてあま静選択されない項目、 f 家柄・殺の地位Jや f 学援j の 存在である。つま弘社会的な安定を得ている者は、現在の安定が自分自身の才能や努力に起因し ていると考え、不安定な現状にある者は、成功の条件を努jJではなく家柄や殺の地位または学歴に あると考えているといえよう。このことは、 f 世帯収入による回答傾向の違いからも明らかである ( 表 7 引。即ち、世帯年J/)(4群すべてにおいて 7割以上の者が f 個人の努力Jが重要であると回 答しているとはいえ、収入が高くなるにしたがって、努力を主重視する比率が徐々に上が札 rO~ 3 0 0 万円未満J では7 0 五%であるのが、 r 9 ∞ 万 円 以 加 で は7 8 . 8 %にまで高くなっているからである。 学喜善j がE 重要であるとする者の比率は、収入が高くなるにしたがって低下している a それとは逆に、 f 無磯 学生(夜学中} 実比 串 数 実数 比畢 実数 沈串 実数 比率 s5 5 1 1 3 8 ι 71 .9 3 5 4 5 . 5 7 1 5 4 5 1 1 §凶 2 8 3 6 . 4 2 5 2 0 D 1 1 E その他 比畢 3 3 2 0 . 4 1 3 0 1 1 .1 1 3 3 1 2 . 9 8 2 1 4 .1 4 6 1 0 . 9 2 4 .4 9 8 1 1 .7 7 9 .1 他 の ふ、 家族従業員 比串 実数 4日 2 4 .7 3 0 9 2 6 . 4 2 5 6 2 4 . 8 1 6 4 2 8 . 1 9 2 21 .7 1 1 2 4 .4 1 7 4 2 0 . 8 η d 自費業主 実数 2 2 1 3 . 6 2 7 2 2 3 . 3 2 5 6 2 4 .8 1 0 2 1 7 . 5 7 0 1 6 . 5 9 2 0日 2 3 6 2 也3 ﹀ ﹄ パート・ 臨時離用等 1 2 9 吉6 7 8 6 3 7 3 . 8 7 1 2 6 8 .宮 4 田 7 8 . 9 3 0 7 7 2 . 6 3 2 71 . 1 の 実数 沈畢 7 7 4 7 . 5 5 5 2 4 7 . 2 4 5 5 4 4 . 0 2 1 4 3 6 .7 1 7 1 4 0 . 4 1 9 4 2 . 2 3 2 4 単位向入、% 審判伊 ゐ般従業員 1 0 6 . 2 1 1 5 9 . 8 1 3 7 1 3 . 3 5 2 8 . 9 4 5 1 0 . 6 4 8 . 9 1 2 1 1 4 . 5 有つ 実沈 串 数 カ者 経営者・役員 l個 人 的 才 能 紹 人 的 努 力 l ス 親的地位 歴 学 家柄- ン やヤ 運チ 表 7-5 社会で成功するための要因 (2つまでの複数回答) (就業形態別) ラマ]タ数 3 1 .9 2 6 2 .2 1 4 1 .4 9 1 .5 8 1 .9 2 4 . 4 1 8 2 .2 3 3 9 1 1 1 6 2 1 0 0 . 0 1 , 1 6 9 品目。 1 1 , 0 3 3 1 0 0 . 0 5 8 3 1 0 0 . 0 4 2 3 1 0 0 . 0 4 5 告白日 1 8 3 5 1 0 0 . 0 7 7 1 0目。 注)不明・無関審を徐〈 9 1 i 現代アイヌの生活と意識 却師同海道アイヌ民法生時盤調査報告香 単位・入、% 表 7-6 社会で成功するための要因 (2つまでの複数掴答) (世帯年収別) 有力者主的 個人的 領人的 家柄・ 速や デ}ダ数 その他 学歴 童量的地位 努力 才能 チャンス つながり 1 , 3 7 4 1 , 9 関 5 語教 2 5 3 7 9 3 5 0 7 4 3 1 2 3 8 4 5 。-300 万円未満 比率 1 3 . 0 4 0 .7 7 0 . 5 2 6 . 0 2 2 .1 1 2 . 2 2 . 3 1 0 0 . 0 8 即 却8 実数 1 , 2 6 1 , 7 5 5 1 1 9 2 4 3 3 2 2 3 3 7 曲。万伺未満 300l 朗自 比車 1 0 . 9 4 5 . 6 7 1 .9 2 3 . 2 2 4 .7 1 2 . 7 2 . 1 初日 朗自万円未満 実 比 数 率 朝日万円以上 比 E E 車 数 3 6 7 . 2 3 6 告5 2 3 0 4 6 . 3 1 5 8 41 .8 3 8 7 1 7 .9 29 活 7 8 . 8 9 6 1 9 . 3 5 0 1 3 . 2 1 2 0 2 4 .1 1 0 7 2 8 .3 5 5 5 1 1 . 1 4 日 1 0 .6 5 4 9 7 1 0 0自 3 7 8 1 .3 l 以 自 1 .2 o 註〕不明・無囲響を除く 第 2節 不 公 平 の 存 在 先1 1:、社会で成功するための要悶として選択される;領自には年齢や現在の就業形態、世帯収入が 影響を与えていること、特に現在の就業形態が安定的か不安定かによって異なる傾向があることを 述べ芦じでは、アイヌの人々は不公平感をどの程度感じているのだろうか。不公平感は公JF. J 惑と現 状認知の聞にズレが生じると増大することが明らかになっている(問淵 2 0 0 0 )。社会で成功するた めの要因として「個人の努力 J が最も多く選択おれていたことから、人々は努力した者が社会で成 功することが公正だと考えているといえる。とするならば、努カしているのに現実がうまくいかな いと、それを「不公平J だと感じるのではないだろうかa ではもその不公平の要因をアイヌの人々 は何だと考えるのだろうか。 不公平が「大いにある J r 少しはある J と答えた人の合計が最も多かったのは「学歴による不公 平 J6 6.4%、次いで f 所得・資産による不公平J6 1 .8%、 3番目が「職業による不公平J60.0%、 4 番円が「人種・民族による不公平J5 7.4%であった(表 7一円。 また、「ない j と答えた項目に着目すると、との数値が最も低いのは「学僚による不公平J であ 号、「所得・資産による不公平J r 職業による不公平J r 人種ー民族による不公平J と続く。 このように、アイヌの人々が日常的に感じている不公平感は、学歴や所得・資産といった各種の 資本における格主義に起因するものだけでなく、人穂・民族という属伎に因るものもあることがわかった。 表 7-7 不公平感 単位入、% 大いにある 性別による 不公平 半減による 不公平 職業による 不公平 所得・資産比 よる不公平 家柄による 不公平 人穏・民族 よる不恭平 92 実数 構成比 構 実 数 成比 構 実 数 成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 自 由 む 1 自1 1 , 9 0 4 3 3 . 4 1 , 4 6 4 2 5 .7 1 , 8 4 7 3 2 . 4 1 , 3 2 8 2 3 . 3 1 , 4 4 3 2 5 . 3 掛しはある │ 2 , 2 5 9 3 9 . 6 1 , 8 8 3 3 3 . 0 1 , 9 5 8 3 4 . 3 1 , 6 7 9 2 9 . 4 , 7 5 7 1 3 0 . 8 1 , 部2: 3 2 .1 主 主 い わからえE い 8 5 9 1 5 . 1 4 7 7 乱4 6 7 8 1 1由 5 1 5 吉6 8 剖 1 5 . 6 8 1 8 1 4 . 3 5 7 0 1 0 . 0 4 6 5 8 . 2 5 2 9 9 . 3 5 7 3 1 0 . 0 6 2 0 1 0 .9 6 3 1 1 1 .1 無回答 1 , 0 9 5 1 9 . 2 9 7 4 1 7 . 1 1 , 0 7 4 1 8 . 8 1 , 0 5 9 1 8 . 6 1 , 1 0 8 1 9 . 4 9 7 9 1 7 . 2 骨計 , 7 0 3 5 1 0 0 . 0 5 , 7 0 3 1 0 0 . 0 ι703 1 0 0 . 0 5 , 7 0 3 1 告白日 5 , 7 ' 日3 1 0 0 . 0 5 , 7 0 3 1 0 。 目 第 7輩 「 糊j の要闘と不公平感花関する社会意識目 ととで、性別による回答の傾向をみてみよう。性別、学歴、職業、所得・資産、家柄、人種・民 族の 8項 Rについて、いずれも不公平が「大いにある j を選択している比率がよ哲高いのは女性で あった(表 7ー針。「大いにある j と「少しはある』の合計も女性において高率であ型、全体とし て、女性の方が男性よ事不公半の存在を強く感じているといえる。項間ごとにみていくと、回答に 少しは おける男女差が最も大きいのは、性別による不公平についての回答である。『大いにある J r ある J の合計が、男性6 3 . 7 %、女性7 3 . 9 %であり、約 1 0ポイントの違いがある。これは、女性の場 合、アイヌであるかどうかにかかわらず、女性であるゆえに、教育達成、就職・昇進、収入、結婚 などについて様々な不公平に直面せざるをえないというジェンダーの問題が、?当事者である女性に おいてよ型強く意識されているということであろう。 表 7-8 不公平感(性別) 単位人‘% 大いにある 性別 男性 主役 学歴 男性 立性 職業 男性 女性 所得・ 資産 男性 女性 家柄 男性 女性 人種・ 民族 男性 女性 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 5 定数 構成比 実数 構成比 実数 構成比 ヰ ま い るかしはある 3 5 7 わからない 合計 且2 1 7 1 , 0 5 6 5 1 3 2 9 1 1 6 . 1 4 7 . 6 2 3 .1 1 3 .1 1 α 0 . 0 5 6 2 1 , 2 0 3 3 4 6 2 7 8 , 23 8 9 2 3 . 5 京J . 4 1 4 . 5 1 1 . 6 1 α 0 . 0 884 9 0 4 2 7 6 2 2 3 , 22 8 7 3 8 .7 3 9 . 5 1 2 .1 9 . 8 1 0 0 . 0 1 ,0 1 9 9 7 9 2 0 1 2 4 1 2 , 4 却 4L8 4 0 . 1 8 . 2 9 . 9 1 0 0 . 0 時3 9 5 2 3 5 6 2 4 8 2 ,2 3宮 3 0 . 5 4 2 . 5 1 5 . 9 1 1 . 1 1 0 0 . 0 7 説 。 1 日 ,0 6 3 2 2 2 8 0 , 23 8 8 3 2 .7 4 2 . 1 1 3 . 5 1 1 . 7 l α E日 2 ,2 4 1 8 7 3 8 1 9 2 9 0 2 5 9 3 9 . 0 3 6 . 5 1 且9 1 1 . 6 1 0 0 . 0 9 7 3 8 6 0 2 5 5 3 1 3 4 0 . 5 3 5 . 8 1 0 . 6 1 3日 且4 0 1 1 α 0 . 0 6 1 4 自1 6 品 目3 怨3 , 22 2 6 2 7 . 6 3 6 .7 2 2 . 6 1 3 . 2 l(初日 , 23 崩 7 1 2 9 4 1 3 8 7 3 2 6 3 0 . 1 3 9 . 8 1 6 . 4 1 3 . 8 6 5 3 8 7 5 4 6 0 2 9 6 2 8 .6 3 8 . 3 2 0 .1 1 3 . 0 l[泊。 2 , 4 3 6 1 0 0 . 0 7 8 7 9 5 7 3 5 8 お4 3 2 . 3 ヨ . 3 3 1 4 .7 1 3 .7 1 0 0 . 0 2 ,2 剖 開)不明・韓関容を檎〈 では、就業形態によって不公平感はどのように異なっているのだろうか。それぞれの項月別に不 公耳主主主『大いにある J r 少しはある』の数値を合わせてみたところ、以下のような結巣となった ( 表 7-9lo 全体として、自営業主、家族従業員、学生における数値は他群の数値に比較してやや 低めである α つま号、緩営者ー役員、一般従業員、パート・編時雇用等といった「組織に属する労 働者」において、不公平感がよ 9強く意識されているということである@ こ関する不公平感を、就業形態という 一例として、アイヌの人々が特に強く感じている「学歴J I 視点から考察してみよう。学涯による不公平が「大いにある J r 少しはある J の合計は、経営者・ 役員、一般従業員、パート・臨時雇用等においては 8争jを超える。一方で、学生、家族従業員、自 93 i 現代アイヌの生活と意識 却師同海道アイヌ民法生時盤調査報告香 営業主の数値はそれより最大で 1 0ポイント近く低くなっている。学生の数値が和対的?と見て多少低 くなっているのは、まだ社会に出る前であ明、不公平の実感がないためと考えられる。また、自営 業主や家族従業員の場合、雇用者よ乃も、学歴の差を問題とされることが少ないのではないだろう か。それに対して、経営者や役員は、その社会的な地位の高さゆえ、学歴が問題となるような場商 にしばしば遭遇したのではないだろうか。また、一般従業員には、康われる側として学療の盤?とぶ つかった経験を持つ者が少なからずいると思われる。さらに、パート・臨時雇用等については、自 こするところがあるのではないかと推察される. らの不安定な就業形態を学歴のせい i こうした不公平感は世帯収入によっても異なってくる。世帯収入が多くなるにしたがって、不公 半を認識する比率が全体として低下する傾向がみられる(表 7-10)。世帯収入 r 9 0 0 万円以上j の 君事においては、不公平が「ない』と回答する者が突出して多い。資源を多く持っているほど不公平 J 惑が弱まることが確認された。 また年齢による遠いも認められた{表 7-11)0 不公平が『大いにある J と「少しはある j の合 歳未満の年齢階層 計をみると、性別、学歴、職業、所得,資産、家柄の 5項目については、 40-50 歳未満 において数僚が最も高く、その前後の濯においてそれに準ずる数僚が示されている。 40-50 において不公平感が強いのは、彼らが働き藤明として社会を支える年代であ哲、不公平を感じるこ とが多いからだと考えられる。一方、 3 0 歳未満の若い世代 l 土、まだ社会経験が少なく、上の年代に 庇護されることも多いために、不公平をそこまで自覚せずにすむのだろう。 日すべきは、人種剛民族による不公平を最も強く感じているのが、他 5 項目とは異なり、 60~ 7 0 歳未満という高い年齢階層だということである e 若い世代になるほど数値が低くなっていること は、社会における譲別約な状況が徐々に改善されつつあることを示しているといえる。 表 7 - 9 不公平感{大い b とある・少しはあると答えた割合) (就業形態別) 経営者・ パ ぃ ー ト ・ 一般従業員 臨時嵐用等 自嘗業中 家主主従業員 役員 告6 吉7 7お 3 1 7 2 6 4 7 性別による 実数 不公j J Z 冊。 割合 日7 . 2 7 0 . 9 7 4 . 5 6 0 . 6 1 2 2 9 2 6 8 3 3 4 1 3 3 0 4 学擦による 実数 不公平 割合 8 4 .1 8 0 . 9 8 4 . 0 7 6 . 8 7 5 . 2 1 0 9 8 6 0 7 8 1 3 5 8 2 7 0 職業による 実数 不公平 邸8 . 2 7 6 . 8 7 6 . 2 7 9 . 3 6 7 . 3 割合 実数 1 1 1 8 6 8 7 7 6 3 9 1 2 8 8 E 野袴・資産に よる不公平 割合 7 8 .1 7 6 . 6 7 9 . 4 7 4 .7 7 1 .7 9 6 7 4 9 7 0 4 3 2 3 2 4 7 家柄による 実数 不公平 自8 . 0 6 6 . 6 1 2 . 6 61 .9 6 2 . 3 割骨 1 0 7 7 6 2 7 3 2 3 5 8 2 5 0 人種・民族,1: 実数 よる不公平 割合 酷 4 61 7 2 . 2 6 7 . 0 7 4 . 6 .9 性〕不明・輯回事事を除く 9 4 単位 e 入、% 学生 { 夜 争 中 〕 無耳韻 その飽 3 2 5 3 7 5 2 6 9 . 6 6 7 . 8 6 7 . 6 部 省 7 6 . 6 6 3 8 5 7 7 8 .7 7 4 .1 3 7 5 7 2 5 1 思2 . 2 .9 71 6 6 . 3 3 6 5 9 5 81 .9 7 5 . 0 3 3 5 3 7 4 6 7 1 . 7 8邑 2 6 0 . 5 告 白 6 5 . 8 2 9 5 8 8 4 7 61 .7 7 2 . 2 6 0 . 3 第 7輩 「 糊j の要闘と不公平感花関する社会意識目 単位・入、% 表 7-10 不公平感(世帯年収別) pしはある 大いに晶る 性別 。-300 実数 万円未満 構成比 ∞ 呂田 3 実数 万円未満 構成比 600-拙 3 主主数 学歴 職業 万円未識 構成比 9∞万円 実数 以上 構成比 。-3 日 。 実数 万円来構 構成比 開 自(迎。 3 実数 万円未満 構成比 6 C 渇 醐告 察署主 万円来構 構成比 9∞万円 実数 以上 構成比 。-300 実数 万円未満 構成比 0 実数 300-自0 所得 万円未満 構成比 6 曲 -9 曲 実数 万円未満 構成比 日∞万 1 ' 1 以上 史教 目 。 。-3 実数 合計 3 2 6 2 3 2 1 , 7 4 7 2 3 0 5 1 8 07 1 3 0 3 1 α 0 0 0 3 0 2 4 4 0 5 部l 3 0 2 1 6 6 1 , 6 7 1 1 8 01 5 3 0 9 1 8 01 9 0 9 l ( 道 官 。 8 5 2 3 3 7 9 7 6 1 8 .0 4 9 0 3 1 6 07 1 6 0 1 4 7 3 l α 0 0 0 5 9 1 7 0 8 9 4 8 1 6 01 4 6 . 4 2 4 0 3 1 3 0 1 7 7 5 6 6 1 1 7 7 1 8 7 4 3 01 3 6 07 9 0 8 1 0 .4 3 描 1 0 0 0 0 1 , 8 開 1 0 0 0 0 7 0 2 7 3 1 1 4 7 1 2 7 1 , 7 0 7 1 1 .1 4 2 0 8 8 0 6 7 . 1 l α 0 0 0 i 時 1 9 9 5 5 5 8 4 田 3 5 0 0 41 .5 1 1 .5 1 2 .1 1 2 7 1 3 7 5 8 5 0 3 7 2 3 4 01 3 6 0 8 1 5 0 6 1 3 . 4 1 0 0 0 0 l α 5日 5 8 7 7 1 2 2 4 6 2 1 3 1 , 7 5 8 3 3 0 4 4 0 0 5 1 4 0 0 1 2 0 1 1 0 0 0 0 5 5 5 7 5 3 2 2 3 1 1 8 1 , 6 7 9 3 3 01 4 4 0 8 1 3 0 3 乱8 1 1 5 2 0 8 7 8 6 8 1 α 0 0 0 4 田 2 4 0 5 4 4 0 3 1 6 0 6 1 4 .5 1 0 0自 3 6 5 1 0 0白 9 8 1 3 6 8 1 5 0 2 6 0 8 3 7 0 3 2 2 0 2 1 , 7 5 9 l α 0 0 0 7 6 5 5 6 2 1 9 5 構成比 1 3 0 5 3 1 .9 1 1 .1 1 3 . 5 3 田 自由 察署主 6 6 6 1 7 2 1 6 2 1 , 6 7 5 万円未満 構成比 6 7 5 4 日3 3 9 0 8 1 0 .3 9 0 7 1 0 0日 自由 鵬 万円未満 実数 9開万円 実数 以主 構成比 。-300 実数 万円未満 構成比 構成比 構成比 実数 人種 わからない 7 7 8 1 3 0 7 羽7 J 未満 資 産 万I' 家精 可 知 、 4 1 1 万円未満 構成比 6 郎 自由 史教 万円未満 構成比 9 (0)5円 以上 実数 。-3 日 。 築費主 民族 万 円 来 構 構成比 構成比 3自民)-自決) 実数 万円未満 構成比 自開 醐出 万円未満 実数 : 9 曲万円 以上 構法比 実数 構成比 1 5 6 1 8 7 6 4 6 9 4 7 6 3 2 0 8 3 9 0 3 1 3 0 4 1 , 45 1 0 0 0 0 1 2 6 7 5 5 4 1 2 0 0 3 4 .6 1 5 1 1 6 2 4 2 9 8 2 5 1 1 , 7 1 4 3 2 07 3 5 0 8 1 7 01 1 4 .4 1 α自白 4 8 7 8 ヨ 8 3 0 0 1 8 2 2 9 0 2 41 .9 1 0 0 9 , 6 6 7 1 曲目 1 1 0 9 2 3 01 1 7 9 3 8日 1 8 0 0 1 日l 2 1 .4 1 7 . 4 8 8 1 日4 3 6 3 2 8 07 1 1 6 3 2白 5 5 2 4 0 2 1 5 0 2 1 0 0 0 0 1 1 4 3 0 0 9 刻 。 8 2 3 6 9 l ( 沼 o 4 7 1 1 0 0自 6 7 0 6 3 2 2 6 1 幻 自 L田2 3 7 0 2 3 5 01 1 4 0 5 1 3 0 3 1 0 0 0 0 4 6 9 7 3 5 3 0 1 1 9 6 1 , 7 0 1 2 7 0 6 4 3 0 2 1 7 0 7 1 1 . 5 l α 0 0 0 1 0 5 2 0 3 8 8 8 6 4 8 2 2 1 .8 4 2 01 1 8 0 3 1 7 .8 1 0 0 0 0 2 7 1 日7 2 1 1 1 5 5 6 2 1 1 8 9 2 4 0 2 1 2 1 : 3 2 0 9 3 6 8 1 α 0 0 0 注)不明・無回審を徐〈 9 5 i 現代アイヌの生活と意識 却師同海道アイヌ民法生時盤調査報告香 表 7-11 不公平感(大いにある・少しはあると答えた割合) (年齢階層別) 30 歳未満 件 ; J J U による 不公平 30-4 鍛未満 40田口歳末講 場位'入、私 50-印 歳 未 満 5 日議 -7 口議未満 7 日歳以上 実数 5 1 9 4 3 1 7 2 5 7 8 8 4 5 1 2 3 0 都合 6 4 . 9 7 0 . 0 7 4 . 1 7 0 . 9 6 6 . 9 5 日7 学歴による 不公平 実数 5 8 3 4 7 8 富田 9 5 9 5 7 6 2 8 9 都合 7 2 . 4 7 7 .2 8 6 . 2 8 4 . 0 在1 . 2 7 3 . 0 職裁による 不公平 実数 5 4 1 4 5 9 5 0 0 2 4 7 6 7 . 4 7 4 . 3 7 7 6 7 且7 8 6 0 重再骨 7 7 . 3 7 3 . 3 6 5 . 0 E 耳縛・資産 ! c 実数 5 型S 4 6 0 7 8 9 8 9 4 2 8 4 6 7 . 5 7 4 . 3 8 0 . 4 7 9 . 9 5 2 2 7ι7 4 7 7 S ヨ9 4 < ) 9 6 9 7 7 6 8 4 田 2 3 7 6 6 . 5 7 0 . 9 6 9 . 6 6 8 . 2 6 3 . 4 よる不公平 叡合 実数 家柄による 不公平 害 時 合 人種・民擦に 実数 よる不公平 割合 注〕不明・無国審を徐〈 4 7 5 5 9 . 4 剖3 宮2 8 1 1 7 3 . 4 7 1 4 8 1 9 5 4 3 2 8 7 7 1 . 6 7 2 .7 7 5 . 5 7 0 . 2 第 3節 ま と め 以上、アイヌの人々の社会意識を考察してきた。 まず、社会で成功ずるための要因を闘うと、社会的な安定を得ている人と不安定な状況にある人 では、選択した項目に異なる傾向が見られた。前者は自分自身の才能や努カによって成功があると 考え、後者は家柄や親の地位さらには学歴?とよって成功がもたらされると考えている a 次に、不公平の存在を尋ねると、学援や所得・資産といった資本の格差に因る不公平感の方が強 かったものの、人種・民族に因る不公平感も根深く認識されていることがわかった。差別の問題は 予想されたところであるが、調査の結果、是非数以上の人々が人種・民族による不公平感を抱えてい ることが明らかとなったわけである。これは看過できない現実である。また、この不公平感を、性 別、就業形態、収入、年齢によってみると、さまざまな傾向が浮かび上がった。大まかにまとめる と、女性、不安定な就業状況にある人々、世帯年収の少ない人々、中高年1lt代の人々において不公 平感が強いということができるだろう。 このように、アイヌの人々の社会意識を概観すると、和人の人々となんら変わらない部分とアイ ヌゆえに強いられた部分というふたつの商が認められる。彼らの不安定な生活状況が、格差の再生 産によって国定化されてきたものであると認識されたならば、その不公平感のありょうはまた違っ た形で現れてくると考えられる。 重量考文献 情説目領答, 2000,r 不公平感が高まる社会状況は何かj 海野道郊縞『公平感と政治意識』東京大学出版会. 総務省, 2 0 0 3 . r 第 7回世界青年意識調査 J ( h t t p : / 抑 ww8明 。 酔 j p / y o u 也/ken均o/ w o r l d y ' 凶也7 / p d f / g a i y 叩凶:0. {小野寺理後・品川ひろみ} 96