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群馬県有機農業推進計画(平成27年3月改正)
群馬県有機農業推進計画 平成27年3月 群馬県農政部 は じ め に 群馬県では、平成19年4月に施行された「有機農業の推進に関する法律(以下 「有機農業推進法」という。」及び平成19年4月に公表された「有機農業の推進に 関する基本的な方針(以下「有機農業基本方針」という。)」に基づき、平成22年 7月に「群馬県有機農業推進計画」を策定し、生産者の自主性を尊重しながら有機農 業を推進してきました。 このような中、国全体として有機農業の取り組みはわずかながらも増加傾向を示し、 有機農業により生産される農産物に対する需要や、新たに有機農業に取り組もうとす る者の数も増大しつつあります。そこで、国は、こうした傾向を適切に助長すること の重要性をかんがみ、平成26年4月25日に新たな「有機農業基本方針」を公表し ました。 本県においても、新たに公表された「有機農業基本方針」に基づき、有機農業者そ の他関係者および消費者の協力を得つつ、本県における有機農業への更なる推進を目 的として、「群馬県有機農業推進計画」を改正しました。 - 1 - 目 次 第1 定 義 ……………………………………………………………………… 3 第2 目 標 ……………………………………………………………………… 3 第3 計画の期間 ………………………………………………………………… 3 第4 目標達成に向けての推進施策 ……………………………………… 3 ……………………………………………… 3 1 有機農業への取組支援 2 有機農業により生産される農産物の流通・販売の支援 3 有機農業に対する消費者等の理解増進 4 その他有機農業の推進に必要な支援 …………… 4 ………………………… 5 …………………………… 5 ……………………………………… 5 ………………………………………………………………… 6 第5 有機農業の推進体制の整備 第6 用語解説 1 2 3 4 5 6 7 環境保全型農業 有機農業により生産される農産物 有機農産物 有機農業の推進に関する法律(有機農業推進法) 有機農業の推進に関する基本的な方針(有機農業基本方針) 有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格) 全国環境保全型農業推進コンクール - 2 - 第1 定 義 本計画の有機農業とは、「有機農業推進法」第2条で定められているように「化学 的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しない ことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産 の方法を用いて行われる農業」と定義します。また本計画の有機農業者とは、先に定 義された有機農業を行う者とします。 第2 目 標 本計画では、「有機農業推進法」及び「有機農業推進基本方針」に則し、県内の農 業生産現場の実情や農業者等の意向に配慮しつつ、次の目標に向けた推進施策を実施 します。 (1)農業者が有機農業に容易に取り組めるようにする。 (2)農業者その他の関係者が有機農業により生産した農産物の流通・販売に取り 組み、消費者がこれを容易に入手できるようにする。 (3)有機農業に対する消費者等の理解を増進する。 第3 計画の期間 本計画の期間は、平成27年度から平成31年度までの5年間とします。ただし、 情勢の変化や目標達成状況等に的確に対応するため、期間内であっても必要な場合は 見直しを行います。 第4 1 目標達成に向けての推進施策 有機農業への取組支援 (1)有機農業者等への支援 ア 有機農業の栽培技術や資材に関する情報交換を行うため、先進的な有機農業者 等による研修会を開催し、有機農業者の栽培技術の習得・向上を図り、有機農業 関係者のネットワーク化の支援を行います。 イ 試験研究機関、普及組織、行政機関等は、先進的な有機農業者と連携して土づ くり、施肥、病害虫防除及び雑草防除における省エネ技術や低コスト化・軽労化 技術等、有機農業に関する技術支援を行います。 ウ 農業者が有機農業に容易に取り組めるようにするために、次のような施策を実 施します。 ① 研修受入れ可能な県内有機農業者の情報をデータベースを活用し、研修希望 - 3 - 者に紹介するとともに、有機農業を推進している民間団体等が行う就農研修な どの情報を提供します。 ② 農業事務所などの既存の就農相談窓口を活用し、就農計画の策定や就農資金 等の指導を行うとともに、就農に必要な情報の収集、提供に努めます。 ③ 有機農業を行おうとする新規就農希望者や慣行農業から有機農業へ転換しよ うとする者に対して、普及指導員等による適切な指導及び助言を行います。 ④平成23年から実施している環境保全型農業直接支援対策の活用により、有機 農業者を支援します。 (2)有機農業を推進する人材育成 ア 有機農業を行おうとする新規就農希望者や慣行農業から有機農業へ転換しよう とする者に対して、適切な指導及び助言を行えるよう普及指導員等の資質の維持 ・向上に努めます。 2 イ 有機農業の指導を行う県関係職員を国、民間団体、その他が開催する有機農業 に関する研修会、現地検討会などへ派遣します。 ウ 県、市町村、その他関係機関の職員に対して有機農業の支援施策に関する情報 提供、先進的な有機農業者と連携して現地研修などを行います。 有機農業により生産される農産物の流通・販売の支援 (1)規格・認証制度の活用と適正表示の推進 ア 有機農業により生産される農産物の流通を促進するため、消費者、流通業者及 び販売業者等に対して有機農産物等の規格・認証制度及び表示ルールについて啓 発を行い、理解の増進を図ります。 イ 有機農業により生産される農産物に関する適切な情報を消費者等に提供するた めに、「有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格)」、「有機農産物検査認 証制度」等の規格・認証制度等の活用を有機農業者に対して啓発します。 ウ 不適正な表示が原因になり、有機農業により生産される農産物の信頼を損ねる ことがないように、「JAS法」等の農産物表示ルールについて有機農業者に対 して周知を行い、適正表示を推進します。 (2)流通・販売に対する支援 ア 消費者、流通業者及び販売業者等が、有機農業により生産される農産物を容易 - 4 - に入手できるようにするために、県内有機農業者の販売可能な農産物などの情報 を収集して提供します。 イ 3 4 有機農業に対する消費者等の理解増進 消費者、流通業者及び、学校関係者等に対し、有機農業が有する自然循環機能 の増進、生物の多様性の保全、環境への負荷低減などの環境保全的な機能につい て理解の増進を図るとともに、有機農業者との相互理解を促進するために、次の ような施策を実施します。 ア 関係機関等が開催するイベントにて、有機農業の有する様々な機能について の知識啓発並びに有機農業により生産される農産物の生産、流通、販売及び消 費に関する情報を消費者等に提供します。 イ 先進的な有機農業者と連携した現地圃場見学や関係団体等が行う食育や地産 地消の推進などの活動を通じて、有機農業者と消費者等の交流を支援します。 ウ 全国環境保全型農業推進コンクールなどの表彰制度を活用し、県内の有機農 業の実践に関する優良事例の取組について、県ホームページ等による情報発信 を行います。 その他有機農業の推進に必要な支援 ア 有機農業の支援・推進に取り組む民間団体等に対し、指導、助言、情報提供な ど必要な支援を行うよう努めます。 イ 第5 1 関係機関と連携・協力して、流通業者、販売業者又は実需者と有機農業者や農 業団体等との意見交換の場等を設定するなど、両者の良好な関係の構築の支援に 努めます。 有機農業の推進に当たっては、有機農業者、その他関係者の意見が反映される よう努めます。 有機農業の支援体制の整備 県段階における支援体制 ア 本推進計画に基づき群馬県における有機農業の推進を図るために、有機農業者、 農業者、農業者団体、消費者、販売業者、流通業者、市町村及び県等からなる協 議会を設置します。 - 5 - イ 2 県関係機関が連携して有機農業に対する支援を円滑に行うために、庁内の有機 農業推進体制及び技術支援体制を整備します。 市町村段階における支援体制 地域の実情にあわせた有機農業の推進を図るために、市町村における有機農業 推進体制の構築を支援します。 【年度別推進計画】 項目 H27 H28 H29 H30 H31 ○有機農業への取り組み支援 ・有機農業者のネットワーク化 ・有機農業推進体制の構築 ○有機農業により生産される農産物の流 通・販売の支援 ○有機農業に対する消費者等の理解増進 ・消費者への有機農業に関する情報 提供 ・有機農業者と消費者の交流支援 県として重点的に支援する事項 農業者の主体的な取組を支援する事項 - 6 - 第6 1 用語解説 環境保全型農業 農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり 等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業 と定義されている。 (平成6年4月農林水産省環境保全型農業推進本部) 2 有機農業により生産される農産物 有機農業の推進に関する法律に定義された「有機農業」により生産される農産 物。有機JAS規格の認証による有機農産物のほか、生産者と消費者の間の特別な 信頼関係に基づいて行われる販売形態である「産消提携」による農産物などが含ま れる。 3 有機農産物 有機農産物の検査認証制度に基づき、有機農産物の日本農林規格(有機JAS規 格)に適合すると判定され、有機JAS規格マークを付された農産物。このような 手続を受けていない農産物には、「有機農産物」、「オーガニック」、「有機」な どの名称の表示やこれと紛らわしい表示を付すことは法律により禁じられており、 有機農業推進法で定義された有機農業で生産された農産物についても、有機JAS 規格に適合すると判定されないとこれらの表示は法律によって禁止される。 4 有機農業の推進に関する法律(有機農業推進法) 平成18年12月に成立し、施行。 有機農業の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明 らかにするとともに、有機農業の推進に関する施策の基本となる事項を定めること により、有機農業の推進に関する施策を総合的に講じ、有機農業の発展を図ること を目的とした法律。 5 有機農業の推進に関する基本的な方針(有機農業基本方針) 有機農業推進法に基づき平成26年4月25日に公表された方針。平成26年度 から約5年間を対象として①有機農業の推進に関する基本的な事項、②有機農業の 推進及び普及の目標に関する事項、③有機農業の推進に関する施策に関する事項、 ④その他有機農業の推進に必要な事項について定めたもの。 - 7 - 6 有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格) 有機農産物の生産方式についての基準等を定めたもの。そ の内容は、有機農業推進法に定義される有機農業に加え、有 機農業による栽培を前2年行ったほ場で生産された農産物で あること、有機JAS規格で禁止された農薬・化学肥料が周 有機JASマーク 辺から飛来、流入しないように処置され生産された農産物であることなどが定めら れている。 有機JAS農産物 (農林物資の規格) 有機農業推進法 (農法の推進) 有機農産物の生産の方法の定義 (国際ルール(CODEX)に準拠) 有機農業の定義 ① 栽培中:禁止された農薬・化学 肥料を使用しない ② 遺伝子組換え技術を使用しない ①、②は有機JAS農産物と同じ ③ たい肥等による土づくり (土づくりの条件) ④ ①による栽培を前2年以上行ったほ場 で生産 (取組期間の条件) ⑤ 禁止された農薬・化学肥料が周辺から飛来、 流入しないよう措置 (緩衝地帯の条件) ⑥ 収穫後も薬剤の汚染や一般農産物が混入 しない管理 (収穫後の取り扱いの条件) ⑦ 種子、苗等の条件 (農法としては③~⑦は不要) 農法の推進は有機JAS農産物の厳格な 規定によらないで取組可能 ◎有機農業への新たな取組を後押し ◎有機農業の普及に大きく貢献 (有機JASの裾野拡大にも寄与) 有機JAS規格と有機農業推進法 7 全国環境保全型農業推進コンクール 平成7年から行われているコンクール。 有機農業をはじめとする環境保全型農業の確立を目指して意欲的に経営や技術の 改善に取り組み、農村環境の保全活動を通じ地域社会の発展に貢献している農業者 や、それらの取組の普及・拡大に貢献した団体等を表彰する。こうした成果を広く 紹介して環境保全と農業に対する国民の理解を深めるとともに、地域社会の活性化 につながる有機農業をはじめとする環境保全型農業の面的拡大に役立たせるため実 施している。 なお、本コンクールは農林水産省が主催している。 - 8 -