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小田原市有機農業推進計画

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小田原市有機農業推進計画
小田原市有機農業推進計画
平成22年3月
小 田 原 市
【目
次】
はじめに
1
計画策定の趣旨
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
計画の位置づけ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
3
有機農業の定義
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
4
計画期間
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
第1
有機農業の現状と課題
1
有機農業を取り巻く情勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
2
有機農業の現状と課題
4
第2
有機農業推進の基本的な考え方
1
本市の農業環境に即した有機農業の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
2
有機農業の課題を踏まえた推進施策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
3
環境保全型農業との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
4
推進計画の目標
7
第3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
有機農業の推進施策
1
有機農業に関する栽培技術の開発・情報の収集
2
有機農業に関する普及指導の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
3
有機農業者等への取組支援
4
新たに有機農業に取り組もうとする者への支援
5
有機農業に対する消費者の理解促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
6
有機農業による農産物の販路の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
有機農業の推進体制の整備
1
第5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
市段階の推進体制
その他必要な事項
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
【はじめに】
1
計画策定の趣旨
有機農業は、農業の自然循環機能を増進し、農業生産に由来する環境への負荷をで
きる限り低減し、生物多様性の保全に資するものであり、昨今の輸入農産物の残留農
薬問題等に起因した食の安全・安心に対する消費者ニーズの多様化とともに、地産地
消や食育の観点からも、有機農業に対する消費者の期待が高まりつつある。
神奈川県では、他県に先駆けて平成2年度から生態系活用型農業の推進に取り組み、
平成9年度からは化学合成農薬及び化学肥料の使用料(成分量)の30%削減を目標
に、生産者、農業団体と行政が一体となって、環境保全型農業を推進しているところ
である。また、小田原市においても、平成21年度より、行政と農業関係団体が連携・
協力し、国が支援を行う有機農業総合支援対策のなかで、神奈川県で唯一のモデルタ
ウンとして有機農業発展のために活動しているところである。
本市の農業は、市の中心部を貫流する酒匂川流域での稲作と西部及び南部の箱根山
麓及び曽我丘陵の樹園地のミカンや梅を主体とした果樹や下中地区では玉ねぎの生
産が大変多い。また、本市は東京・横浜等の首都圏に近く、生産地と消費者が近接し
ているという利点を生かし、消費者ニーズの高い「安全・安心」な農作物の提供を図
るとともに、都市住民との交流を目指した都市農業の促進が求められている。
また、本市における有機農業に取り組む農業者(以下「有機農業者」という。)は、
農業者全体に対する割合においては不明確であり、慣行農業者や環境保全型農業者か
らの転換への促進、農家以外からの新規参入者への対応、栽培技術の習得、農地の確
保、販路の拡大、農業経営の安定化等、様々な面で課題を抱えている。
今後、環境と調和した農業生産をより一層推進するために、県による環境保全型農
業を推進するとともに、環境保全型農業等から有機農業への転換や新たな有機農業へ
の取組を促進し、将来的には、小田原市の農業において有機農業や環境保全型農業等
の農業形態におけるバランスを保つことで、有機農業が都市農業の一翼を担うことを
目指すこととする。
このため、市は有機農業を推進するために「小田原市有機農業推進計画(仮称)」
(以下「推進計画」という。)を策定し、有機農業における栽培技術の開発・普及や
有機農業者等への支援、市民の理解・関心の増進等、有機農業を推進するための条件
整備に取り組むこととする。
2
計画の位置づけ
日本の有機農業の確立と発展を目的とする「有機農業の推進に関する法律」(平成
18年法律第112号。以下「有機農業推進法」という。)に基づく市町村段階の有
機農業推進計画として、「有機農業の推進に関する基本的な方針」(以下「基本方針」
という。)に即し、また、
「神奈川県有機農業推進計画」を参考に本市において有機栽
培できる地域や作物における有機農業の実情に合わせ、推進計画を策定する。
1
本推進計画は、市が進めようとする有機農業推進の基本的な考え方や推進施策、今
後3年間に実施する具体的な取組等を示すものとして策定するものである。
3
有機農業の定義
有機農業推進法では、有機農業を「科学的に合成された肥料及び農薬を使用しない
こと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環
境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と規定して
いる。
<有機農産物と有機農業の関係>
有機農産物
有機農業
(JAS法、農産物の規格)
(有機農業推進法、農業生産の方法)
(認定マーク)
有機農業の定義
有機農産物の定義
①
栽培期間中、禁止された農
薬・化学肥料を使用しない
②
遺伝子組換え技術を使用しない
③
堆肥等による土づくり
(土づくりの条件)
④
①、②は有機農産物と同じ
(③~⑥は規定せず)
農業生産方法の推進とし
①による栽培を2年以上行っ
た圃場で生産
(取組期間の条件)
⑤
禁止された農薬・化学肥料が
周辺から飛来、流入しないよ
う措置
(緩衝地帯の条件)
⑥
収穫後も薬剤の汚染や一般農
産物が混入しない管理
(収穫後の取扱条件)
ては有機農産物の厳格な規
定によらずに取組可能
◎ 有機農業への新たな取
組を後押し
◎ 有機農業の普及・拡大
2
4
計画期間
この推進計画の計画期間は、平成22年度から平成24年度までの3年間とする。
第1
1
有機農業の現状と課題
有機農業を取り巻く情勢
(1)国の動き
平成18年12月に公布・施行された有機農業推進法は、有機農業の推進に関
する基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、国及
び地方公共団体が農業者その他の関係者及び消費者の協力を得て、生産、流通、
販売、消費の各側面から有機農業の推進に関する施策を総合的に講じることによ
って、有機農業の確立と発展を図ることを目的としている。
平成19年4月には、有機農業推進法に基づき基本方針が策定され、これに即
して、国及び地方公共団体は、農業者その他の関係者及び消費者の協力を得て有
機農業の推進に取り組むことになった。
国では、有機農業への参入促進や有機農業に対する理解促進、さらには、有機
農業推進の核となる地域の育成等を進めるため、平成20年度から事業実施希望
者を募集し、採択された提案に対して支援を行う公募型事業として「有機農業総
合支援対策」を実施している。
その普及目標は、おおむね平成23年度までに、安定的に品質・収量を確保で
きる有機農業の技術体系の確立を目指すこと、また、普及指導員による有機農業
の指導体制を整備した都道府県の割合を100%とすること、そして、有機農業
を理解する消費者の割合を50%以上にすることとしている。
(2)県の取組
ア
環境保全型農業
環境保全に対する県民意識や安全・健康志向が高まり、消費者ニーズが多様
化する中で、化学合成農薬・化学肥料等の化学合成資材の使用を減らし、地域
の未利用資源を有効活用するとともに、安全で安心な農産物を生産・供給して
いくことが求められ、消費者との結びつきを深めた農業が拡がりつつある。
平成9年度から環境保全型農業を総合的に推進し、化学合成農薬及び化学肥
料の使用料(成分量)は削減されてきたが、環境保全型農業のさらなる推進を
図るためには、なお一層の実践者の拡大が必要である。
このため、平成19年4月に「環境保全型農業推進基本方針」を改定し、平
成19年度から平成23年度までに、現在の環境保全型農業推進運動協定締結
団体構成員数とエコファーマー数の合計を販売農家数の25%以上とするこ
とを目標に掲げ、環境にやさしい農業として環境保全型農業が一般化・定着化
するための取組を推進している。
3
イ
有機農業
有機農業の推進については、平成19年4月に国の基本方針が策定されたこ
とから、平成19年度に県機関や関係団体で構成する環境保全型農業検討会で
有機農業推進のあり方について検討するとともに、県内の有機農業の実態を把
握するため、有機農業者に対する「有機農業の実態把握のためのアンケート調
査」や、県民・消費者を対象に「有機農業・有機農産物に関するアンケート調
査」を実施した。
平成20年度は、有機農業の推進方策について県民に論議していただくため、
平成20年6月から9月まで一般公募による参加者で「有機農業の推進に関す
るワークショップ」を開催した。
その後、「神奈川県有機農業推進計画」を平成21年4月に策定し、平成2
1年度から23年度までの3年間を計画期間として推進している。
(3)市の取組
小田原市では、昭和30年代から自然農法が取り組まれ、有機農業技術の蓄
積が存在しているが、農家ごとに独自の手法により行われていたため、後継者
不足になっている農家においては、技術の継承ができない状況にある。
そのようなことから、農業者に有機農業を理解してもらうことで技術の伝承
につなげていき、生産された有機農産物においては市民に理解して消費してい
ただく仕組みを構築していくことが重要である。
そのため、平成20年度末に小田原市長が代表となり、地元農業関係団体の
協力により発足した「小田原有機の里づくり協議会」が、平成21年度に国が
支援を行う有機農業総合支援対策による事業採択者となり、神奈川県で唯一の
モデルタウンとして有機農業発展のために活動しており、市として連携・協力
を図っている。
2
有機農業の現状と課題
(1)現状
ア
生産者
県内で有機農業に取り組む有機JAS認定事業者数は、農林水産省の公表に
よると、10事業者、農家戸数38戸となっているが(平成21年5月31日
現在)、そのうち、市内の認定者は26戸で、県内の半数以上を占めている。
このことから、本市が有機農業に適している環境にあり、農業者の有機農法へ
の理解の高さがあると言える。
また、エコファーマー認定状況は、農林水産省の公表によると、県内は16
3件となっており(平成20年9月30日現在)、そのうち、市内の認定者は
0件で、県西地区において大変少ない結果となっている。
4
しかし、神奈川県とJAグループが展開している環境保全型農業推進運動協
定締結団体においては、県内51団体(平成20年7月1日現在)のうち、市
内の締結団体は5団体となっており、団体に登録されている農業者は、有機農
業者をはじめとする環境にやさしい農業者が多数を占めている。
このことから、本市は、県内でも有機農業者が大変多く、慣行農業者におい
ても環境保全型農法によるものが多いが、登録手続きや栽培記録等のデータ作
成において、登録費用や手続きの煩雑さ等を理由に独自で記録をつけているた
め、登録者が少ないと言える。
一方、販売先については、直売所での販売や生協等への契約販売、消費者へ
の宅配等を中心にいくつかの出荷先を組み合わせており、有機農業者が独自に
開拓している。
イ
市民・消費者
市内に有機農業者が多数いるにもかかわらず、有機農産物の多くは市外へ流
通していることから、市内の消費者へは届いていないのが現状である。有機農
法で栽培しても、その農産物は有機JASの認定基準を満たさなければ有機農
産物として販売できないことから、消費者へのPRに乏しい。
消費者においても、有機農産物が慣行農業の農産物より割高であることから、
低価格の農産物を購入する傾向にある。
(2)課題・要望
ア
生産者側
県が実施した有機農業者へのアンケート調査では、有機農業を進める上での
課題として「有機農業(農産物)に対する消費者の理解促進」が最も多く挙げ
られ、次いで「品質・収量の向上や安定化」、
「販路の拡大等による所得の向上」、
「有機農産物の消費拡大」の順に多かった。回答の傾向として、取組年数が短
いと栽培技術面、長いと流通販売面の課題を選択していた。
有機農業の栽培技術に関しては、これまで一部の有機農業者等の経験や工夫
等に基づいて行われているものであり、安定した収量や品質を確保するための
技術が確立していない実態がある。このため、有機農業者等と連携・協力した
中で、実際の取組事例や栽培方法等を調査・検証した上で、代表的な作物ごと
に栽培技術を確立していくことが求められている。
また、有機農業については、就農年数が短い農業者の方が興味を持ち有機農
業への転換を希望する傾向にあるという特徴がある。新たに就農した有機農業
を目指す農業者を含めて栽培技術を習得するための研修場所(機関)の設置や
日常的に技術指導が受けられるような指導体制の整備が必要となる。
生産活動の基盤である農地については、借地による利用形態が多いことから、
5
安定的、継続的な農地の利用、確保も強く望まれている。
さらに、慣行農業と有機農業の関係については、有機農法の正確な技術の習
得不足による、有機農業の圃場における雑草や病害虫防除対策の遅れに伴う周
辺圃場への影響や、逆に慣行農業の圃場から有機農業の圃場への農薬の飛散等、
相互に課題を指摘する声もある。
イ
消費者側
県が実施した消費者への意識調査では、有機農業は、環境にやさしい生産方
法であると同時に、安全な農産物を作るための生産方法として、認識されてお
り、生産される有機農産物についても「安全だから」、
「健康によいから」とい
った理由で購入されていた実態が明らかとなった。自由意見では価格がもっと
安くなることを望む意見や、昨今の食品偽装表示の問題から有機JAS等の表
示に対しても不信・不安があるといった意見が多かった。
有機農業は、農業の自然循環機能を増進し、農業生産に由来する環境への付
加を大幅に低減するものであり、生物多様性の保全に資するものであるといっ
た理解については、未だ十分とは言えない状況にある。また、JAS法に基づ
く「有機農産物」、
「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」、
「エコファーマ
ー」等、消費者が正確に定義等を把握していない用語が多いことから、正しい
知識や情報提供等により、消費者の理解促進を図ることも必要であると思われ
る。
第2
1
有機農業推進の基本的な考え方
本市の農業環境に即した有機農業の推進
本市の農業の特徴は、都市の中で営まれる農業として、生産現場と消費者の物理
的な距離が短く、直売・宅配便を利用した消費者への直接販売や、市民が農作業に
参加する交流型農業を進める上で有利な立地条件にあることである。
また、県内の有機JAS認定農業者の内、半数以上が市内にいることで、新たに
有機農業を始めるために必要な研修場所や意見交換者等、小田原で出来る有機農業
の見本が地元にある強みがある。
農業者その他関係者の自主性の尊重を図りながら、有機農業が、環境に調和する
農業生産というだけでなく、食の安全・安心の確保や地産地消の推進、そして子供
たちへの食育等を通して将来的に都市農業の一翼を担うことができるように推進
する。
2
有機農業の課題を踏まえた推進施策
有機農業は、安定した収量や品質を確保するための技術が確立しつつあるが、整
理が不十分であるために、農業経営が成り立ちにくいことや、慣行農業者との相互
6
理解が少ないこと、また、有機農業に対する消費者の理解等についても未だ不十分
であることにより、本市における有機農業への取組は、現在、各農業者や団体が独
自に行っている状況で、限定的である。
今後、有機農業を拡がりのあるものにしていくためには、より多くの農業者が容
易に有機農業に取り組めるようにすること、消費者が容易に有機農業により生産さ
れる農産物を入手できるようにすること、農業者その他の関係者が有機農業による
農産物の生産、流通または販売に積極的に取り組めるようにすること等、有機農業
者その他関係者と消費者との連携を図りながら、生産、流通、販売及び消費の各側
面において、有機農業推進法に定める基本理念を実現するために必要な条件整備を
行う必要がある。
このため、推進施策として、有機農業に関する栽培技術の開発・情報収集、有機
農業に関する普及指導の強化、有機農業者等への取組支援、新たに有機農業に取り
組もうとする者への支援、有機農業に対する消費者の理解と関心の増進、有機農業
による生産物の販路の確保を設定する。
3
環境保全型農業との連携
有機農業は、化学合成農薬や化学肥料を使用しないことを前提としているが、こ
れらの使用を最小限にする環境保全型農業とは栽培技術の面で共通する部分が多
い。
有機農業の栽培技術の開発等にあたっては、環境保全型農業の個別技術を活用す
る等効率的、効果的に進めるとともに、環境保全型農業の実践者に対する栽培技術
情報の紹介や、生産者同士の交流による相互理解を促進し、有機農業の拡大に役立
てることが重要である。
また、慣行農業者を環境保全型農業へ導き、市内農業者の底上げを行っていくこ
とで有機農業への転換へスムーズに対応できるようになる。
4
推進計画の目標
推進計画の目標を次のとおり設定し、推進するものとする。
(1) 実態調査に基づく有機農業に関する技術の確立
有機農業者の代表的な作物の栽培技術等の事例調査や個別技術の検証に基づ
いた有機農業の栽培技術を確立し、栽培マニュアルを作成する。
(2) 相談・指導体制の整備
県により有機農業に対応できる普及指導員が育成されることにより、農業者
への相談・指導体制を整備し、指導者リストを作成する。
(3) 消費者の理解と関心の増進
有機農業が自然循環機能の増進や生態系の保全等環境への負荷を低減した農
業であること及び、農産物に係わる表示制度等について消費者の理解と関心の
7
増進を図るためにPRイベント等を行う。
(4) 農産物の販路の確保
有機農業者の経営の安定化を図るためには、栽培した有機農産物の販路を確
保することが重要であり、直販、宅配、契約販売、農協出荷、市場出荷等の販
売及び出荷方法について、成功者の事例を基に開拓できるようにし、流通、販
売業者等と生産者が交流を図れるようにする。
(5) 有機農業の推進体制の整備
推進計画に基づく取組を進めるための有機農業者や有機農業の推進に取り組
む民間の団体等で構成する有機農業の推進を目的とした体制を整備する。
8
有機農業推進のイメージ
~都市農業の一翼を担う有機農業を目指して~
環境に調和する農業の推進
食の安全・安心の確
地産地消の推
有機農業
(化学合成農薬、化学肥料を使用しない)
有機JAS認定事業者
(JAS法に基づく有機農産物)
有機農業者の拡大
技術・人・情報の連携・交流
環境保全型農業
(化学合成農薬、化学肥料を30%以上削減)
・ 環境保全型農業推進運動協定締結団体
・ エコファーマー
環境保全型農業の推進
新規参入者
第3
1
慣行(一般)農業
有機農業の推進施策
有機農業に関する栽培技術の開発・情報の収集
県の農業技術センターを中心に、有機農業者や有機農業関係団体の協力を得て、
代表的な作物についての栽培技術等の事例調査を参考にする。
個別技術の検証や調査結果等を踏まえ、既に環境保全型農業技術として開発され
9
ている技術や新たに開発した技術等を適切に組み合わせて、本市の気象条件や立地
条件に適した栽培技術体系の確立を目指す。
また、有機農業関係の全国団体、試験研究機関、先進地等の情報収集に努め、技
術開発の効率化を図る。
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○有機農業に関す
る情報の収集
○経営事例調査
○個別技術の検証
2
有機農業に関する普及指導の強化
本市の農業者等が、民間等が開発した有機農業の先導的な栽培技術を理解、習得
するため、県との連携を図りながら、県の普及指導員が広く有機農業技術を習得す
ることにより、現場への技術導入や普及体制を強化する。
県の普及指導員の育成状況を十分踏まえた上で、農業技術センター等において、
有機農業に関する相談・指導体制を整備していくが、当面は、現行の普及指導体制
の中で対応する。
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○研修への派遣
○相談・指導体制の
整備
3
既存体制で対応
体制整備
有機農業者等への取組支援
市内の有機農業者の実態を把握し、技術交換等の有機農業者相互の連携や、有機
農業者や有機農業関係団体、消費者、その他の関係者等の連携促進のための場づく
り等に活用する。
有機農業者や有機農業関係団体に対しては、環境保全型農業推進運動への参加協
力を働きかけ、県とも連携した中で、既存の各種事業や融資制度を活用し、PR活
動や、JAS法等農産物に係る表示制度を理解してもらうための研修会等、適切な
指導・助言ができるよう、有機農業者や有機農業関係団体等と連携・協力して、研
修会や必要な情報の提供を行う。
地域における有機農業の振興を目的とした取組である国直轄事業「有機農業総合
支援対策(地域有機農業推進事業)」において、本市から、平成21年度から参画
している「小田原有機の里づくり協議会」に対しては、市として必要な助言や協力
を行い、地域において取組を行う場合には、有機農業者や有機農業関係団体等とと
10
もに協力して有機農業を推進していく。また、県の有機農業推進計画による「神奈
川県有機農業推進会議」に小田原有機の里づくり協議会として参画し、その内容を
今後の本市における有機農業推進にフィードバックできるようにする。
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○実態把握
○既存事業等の活
用による支援
○有機農業技術展
示・巡回検討会の
開催
○農産物表示等研
修会
○農家への情報提
供
4
新たに有機農業に取り組もうとする者への支援
新規就農をめざす者に対しては、「かながわ農業アカデミー」への研修相談や情
報提供等を行う。特に、有機農業では、何よりも土づくりを行うことが重要であり、
安定的、継続的に農地を利用できることが前提となるため、農地の確保が最大の懸
念事項であり、支援に際しての重点事項とする。
また、有機農業に取り組もうとする農業者に対しては、有機農業に係る栽培技術
等の習得を図るため、有機農業者への相談や栽培技術等の情報提供を行う。内容等
については、今後、神奈川県農業技術センターや有機農業者等との協議により検討
した上で進めるものとする。
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○就農相談・情報提
供
○関係機関との協
議
5
有機農業に対する消費者の理解と関心の増進
有機農業と有機JASの違いをはじめとした、農産物に係る表示制度並びに検査
認証制度や、環境への負荷の低減と生物多様性の保全等の有機農業の有する様々な
機能等について、消費者の認識を高めるため、普及啓発や情報提供を進める。
また、インターネットの活用や交流会、各種イベント等を通じて、有機農業者等
11
と地域の消費者や児童・生徒、都市住民等との相互理解の増進を図る。
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○普及啓発・情報提
供
○イベントの活用
によるPR
○ホームページへ
の掲載
6
有機農業による農産物の販路の確保
有機農業による農産物については、有機JAS認定事業者を除き、現状では地の
利を生かし消費者へ直接販売する形態が主である。今後、有機農業の生産拡大に合
わせて、国や県との連携を図りながら、農業協同組合や卸売市場、流通・販売業者
等との意見交換会や商談会を設定する等、その橋渡しを実施するとともに、
環境保全型農業推進運動の一環として、既存事業を活用しながら、流通・販売段階
におけるPR活動や消費者との交流等を検討・実施する。
また、有機農業で生産された農産物でありながら有機JAS認証を取得しなけれ
ば「有機農産物」等の表示ができないことから、望ましい表示方法等について検討
を行う。
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○スポット販売等
によるPR活動
○意見交換や商談
の場の設定
○望ましい表示方
法等の検討
○既存事業等の活
用による支援
第4
1
有機農業の推進体制の整備
市段階の推進体制
市段階においては、幅広い関係者とも連携・協力した中で背策を計画的かつ一体
的に推進することが必要であることから、次に示す推進体制イメージ図のように、
関係部局や農業協同組合、消費者、その他関係者等必要に応じて参加を要請し、随
時協議を持ち、計画を推進する。
12
具体的な取組
平成22年度
平成23年度
平成24年度
○関係者との協議
<推進体制イメージ図>
農林水産省
JAかながわ西湘
神奈川県
小田原市経済部農政課
学校教育部
推進計画の評価・検討
農業委員会
農業者団体
施策への反映
小田原有機の里づくり協議会
農業者
第5
環境部
流通・販売業者
消費者
その他必要な事項
有機農業の推進に必要な情報を把握するため、農業協同組合、農業委員会、農業
関係団体、農業者等の協力を得て、必要に応じて調査を実施するとともに、推進計
画について評価・検討を行い、施策に反映するものとする。
13
【
用語集
】 (五十音順)
遺伝子組換え技術
ある生物から目的とする有用な遺伝子だけを取り出し、改良する生物に導入すること
により、新しい性質を付与する技術である。この技術を利用してできた生物が遺伝子組
換え生物であり、病害虫に強い農作物や特定の除草剤に耐性を持った農作物等が実用化
されている。
エコファーマー
「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、都道府県知事か
ら、堆肥等による土づくりと化学肥料や化学合成農薬の使用の低減を一体的に行う農業
生産方式を導入する計画について認定を受けた農業者の愛称。
小田原有機の里づくり協議会
国の有機農業総合支援対策のうち地域有機農業推進事業において、平成21年度県内
で唯一事業採択された団体で、市内の有機農業4団体が中心となって運営している。
化学合成肥料
化学合成農薬、化学肥料、及び化学合成された土壌改良資材のこと。
化学合成農薬
農薬のうち有効成分が化学合成されたもの。有効成分とは、殺虫剤なら殺虫成分、殺
菌剤なら殺菌成分のこと。
神奈川県都市農業推進条例
新鮮で安全・安心な食料等の供給と農業の有する多面的機能の発揮により、都市農業
を持続的に発展させ、県民の健康で豊かな生活の確保を図ることを目的として平成 18
年 4 月から施行している条例。
14
神奈川県有機農業推進会議
神奈川県有機農業推進計画の着実な推進を図るため平成21年に設置したもので、県、
農業協同組合、有機農業団体、消費者、流通業者等により構成されている。
かながわ農業アカデミー
農業の担い手育成を目的として、技術や知識を習得させるため、県が設置している機
関であり、都市の中の神奈川らしい農業の発展を支え、また地域のリーダーとして活躍
を期待されている若者等に対して、農業経営実践学習と農業の技術革新・情報化・国際
化に対応した学習を行っている。
かながわ農業活性化指針
神奈川県都市農業推進条例第8条に規定された指針であるとともに、「神奈川力構
想・実施計画」を補完する農業分野の個別指針。「県民の豊かな生活を支える都市農業
をめざして」という基本目標のもと、平成27年度における「かながわ農業のめざす姿」
及び「主要農畜産物の生産努力目標」を示すとともに、その実現に向けて今後 10 年間
に取り組む 10 の「重点的に取り組む施策」及び県内7地区における「地区別の取組方
向」を定めている。
環境保全型農業
国では、農業の持つ物質循環機能を活かし、生産性との調和等に留意しつつ、土づく
り等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業と
定義されている。
県では、環境保全型農業の推進を図るため、化学合成農薬や化学肥料の使用量(成分量)
の 30%削減を目標に環境保全型農業協定締結団体とエコファーマーの増加に努めている。
環境保全型農業栽培の手引き
環境保全型農業を実践するときの参考として県が作成した作物・作型別の栽培マニュ
アルであり、現在 45 作物・作型について作成しており、必要に応じて作物・作型を追
加している。
環境保全型農業推進運動協定締結団体
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「環境にやさしい農業を進める宣言」を行い、化学合成農薬及び化学肥料の使用料を
削減する栽培法を示した「環境保全型農業栽培の手引き」に準拠した栽培を行うことに
ついて、県知事と協定締結した生産者団体のことであり、県独自の制度。
慣行農業
各地域において、農薬、肥料の投入量や散布回数等において相当数の生産者が実施し
ている一般的な農業生産方法による農業。
生態系活用型農業
環境保全型農業と基本的には同じものであり、県では、平成2年度から「生態系活用
型農業」とし他県に先駆けて推進していたが、全国的な広がりに応じて平成9年度から
は国が「環境保全型農業」としたことから県でも「環境保全型農業」に統一した。
特別栽培農産物(特別栽培農産物に係る表示ガイドライン)
農林水産省新ガイドラインによる表示
とくべつさいばいのう さんぶつ
特別 栽 培農 産 物
せつげんたいしょうのう さんぶつ
ち いき ひ
わり げん
節 減 対 象 農 産 物 :○○地 域 比○割 減
か がく ひ りょう ちっ そ せいぶん
さいばい き かんちゅう ふ し よう
化 学 肥 料 (窒素 成 分 ):栽 培 期 間 中 不使 用
さいばいせきにんしゃ
栽 培 責 任者
じゅう
しょ
住
所
れん
らく
○○○○
か な がわけん お だ わら し
神奈 川 県 小田 原 市○○○○
さき
連 絡 先
TEL 0465-○○-○○○○
かくにんせきにんしゃ
確 認 責 任者
じゅう
しょ
住
所
れん
らく
△△△△
か な がわけん お だ わら し
神奈 川 県 小田 原 市△△△△
さき
連 絡 先
TEL 0465-△△-△△△△
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せつげんたいしょうのう やく
し ようじょう きょう
節 減 対 象 農 薬 の使 用 状 況
し よう し ざいめい
よう と
し ようかいすう
使 用資 材 名
用途
使用 回 数
○○○○
さっきん
かい
殺菌
○回
△△△△
□□□□
さっちゅう
かい
殺虫
○回
じょ そう
かい
除草
○回
生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている化学合成農薬及び化学
肥料の使用状況のこと)に比べて、化学合成農薬の使用回数が 50%以下、かつ化学肥
料の窒素成分量が 50%以下で栽培された農産物。特別栽培農産物に係る表示ガイドラ
インに生産の原則等が定められている。
有機JAS認証制度
「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に基づき農林
水産大臣に登録した第三者期間(登録認定機関)が、有機農産物等の生産工程管理者(農
家や農業生産法人等)や製造業者を認定し、認定を受けた者が、有機農産物や有機加工
食品について、有機JAS規格に適合しているかどうかを格付し、その結果、適合して
いると判断されたものに有機JASマークを付し、「有機」の表示ができる制度。
有機JAS認定業者
有機JAS認証制度に基づき、登録認定機関により認定された生産者、生産者グルー
プ。
有機農業(有機農業推進法第2条(定義))
化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用
しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業
生産の方法を用いて行われる農業であり、その取組は、「有機農産物」の表示が可能な
取組に限定することなく、対象を広くとらえている。
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有機農業による農産物
有機農業推進法で規定されている有機農業により生産された農産物。
有機農産物
有機JAS認定事業者が生産した農産物。堆肥等による土づくりを行い、播種または
植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)、原則として化
学的に合成された肥料及び農薬を使用しないで生産された農産物。
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小田原市有機農業推進計画
平成22年3月
小田原市経済部農政課
〒250‐8555 神奈川県小田原市荻窪 300 番地
TEL 0465‐33‐1494
FAX 0465‐33‐1286
e-mail:[email protected]
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