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1.穀物の個別品目の需給見通し (1)小麦 2014/15 年度の小麦需給

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1.穀物の個別品目の需給見通し (1)小麦 2014/15 年度の小麦需給
1.穀物の個別品目の需給見通し
(1)小麦
○2014/15 年度の小麦需給(予測)のポイント
生産量は、カナダ、豪州、米国で減少するものの、EU、ロシア、中国等で増加することから、世界
全体では史上最高となった前年度を更に上回ると見込まれる。
消費量は、米国等で減少するものの、人口の増加、都市化の進展及び所得の上昇等による食料用需要
の増加や、EU諸国を中心に飼料用需要の増加が見込まれることから、世界全体では史上最高となった
前年度を更に上回ると見込まれる。
期末在庫量は、生産量が消費量を上回ることから在庫が積み増しされ、期末在庫率も前年度より上昇
すると見込まれる。(表 Ⅳ-1)
表
Ⅳ-1
世界の小麦需給
(単位:百万トン)
2010/11
2011/12
2012/13
2013/14
2014/15
(予測)
生 産 量
649.6
695.8
658.0
715.4
723.4
1.1
消 費 量
653.4
697.0
679.8
704.0
713.2
1.3
114.9
146.6
137.1
130.3
139.4
7.0
貿 易 量
132.8
158.3
137.4
165.8
159.2
▲ 4.0
期末在庫量
197.4
196.1
174.4
185.8
196.0
5.5
区 分
うち飼料用
期末在庫率
30.2%
28.1%
25.7%
26.4%
27.5%
対前年度
増減率(%)
1.1
資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、
「Grain:World Markets and Trade」、
「World Agricultural Production」、「PS&D」 (January 2015)
注:1)年度区分は、2014/15 年度についてみると、生産量は北半球の 2014 年産冬小麦(収穫は 6 月~8 月)、
同春小麦(同 8 月~10 月)及び南半球の冬小麦(同 11 月~2015 年 2 月)の計(見込み)であり、消
費量、貿易量、期末在庫量は各国市場年度(末)の計(見込み)である。
2)貿易量とは輸出量を意味する。
3)期末在庫率の対前年度増減率は前年度とのポイント差である。
ア
生産量
2014/15 年度は、カナダでの洪水や低温、豪州東南部での乾燥、米国での乾燥や寒波、春の異常低温等
の影響により減少するものの、EU、ロシア、中国等では比較的温暖となり適期の降雨に恵まれたこと
から、世界全体の生産量は、史上最高であった前年度を更に 8.0 百万トン(1.1%)上回り、723.4 百万
トンとなる見込みである。
なお、2014/15 年度の世界全体の生産量に占める国・地域別の割合を見てみると、世界第1位の EU が
21%、第2位の中国が 17%、第3位のインドが 13%と、上位3カ国・地域で全体の約半分を占める見込
みである。(表 Ⅳ―1、表 Ⅳ-2、表 Ⅳ-3、図 Ⅳ-1)
-42-
表
Ⅳ-2
世界の小麦生産の状況
(単位:百万トン)
区 分
2010/11 2011/12 2012/13 2013/14 2014/15
世界合計
E U
中 国
インド
ロシア
米国
(参考)
カナダ
ウクライナ
豪 州
カザフスタン
(予測)
649.6
695.8
658.0
715.4
対前年度
増減率(%)
723.4
1.1
世界に占め
る割合(%)
100
136.7
115.2
80.8
41.5
58.9
138.2
117.4
86.9
56.2
54.2
134.0
121.0
94.9
37.7
61.3
143.5
121.9
93.5
52.1
58.1
155.5
126.0
95.9
59.0
55.1
8.4
3.3
2.6
13.3
▲ 5.1
21
17
13
8
8
23.3
16.8
27.4
9.6
25.3
22.3
29.9
22.7
27.2
15.8
22.9
9.8
37.5
22.3
27.0
13.9
29.3
24.5
24.0
12.5
▲ 21.9
10.0
▲ 11.1
▲ 10.3
4
3
3
2
資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、
「Grain:World Markets and Trade」、
「World Agricultural Production」、「PS&D」(January 2015)
EUでは、2013 年秋の冬小麦の作付けは、東欧や地中海沿岸地域では好天に恵まれて進展し、フラン
ス、英国西部、ドイツの一部及びイタリア北部等では雨で作付けが遅れたものの、その後は気温が平年
を上回って土壌水分量も十分となったことから作物の生育が進展し、遅れを取り戻した。冬季は、バル
ト海沿岸の一部産地で凍害が発生したものの、全体的には温暖な気候となった。春以降は、総じて温暖
乾燥型の天候となり、一部の産地、特にスペインでは、単収を左右する乳熟期に降雨不足による悪影響
を受けたものの、大半の地域では適期の降雨に恵まれ、春小麦の作付けや冬小麦の生育が前倒しで進展
し、収穫作業は例年より2~3週間早く開始された。しかしながら、収穫時期である夏の降雨により収
穫作業が遅延し、単収にはほとんど影響がなかったものの、作物の品質、特にフランスの小麦の品質に
悪影響を与えた。
生産量は、収穫面積が増加(3.8%)するとともに単収が上昇(4.3%)することから、前年度より増加
(8.4%)し、史上最高の 155.5 百万トンとなる見込みである。
写真:フランス西部
シャラント=マリティーム地方東部(2014 年7月)(2枚とも)
雨で中断した収穫作業を再開した小麦畑
収穫された小麦の穀粒
写真提供:Serge Brossard 氏(2枚とも)
-43-
国別には、フランス、ドイツ、ポーランド及び英国では、単収が減少するものの作付面積が前年度を
上回り、生産量は、フランスで 7.3 百万トン(対前年度比 20.2%増)、ドイツで 6.3 百万トン(同 8.2%
増)、ポーランドで 3.1 百万トン(同 10.7%増)、英国で 2.5 百万トン(同 17.3%増)となる見込みで
ある。また、ルーマニア及びハンガリーでは、作付面積、単収ともに前年度を上回り、生産量は、ルー
マニアで 3.5 百万トン(同 15.4%増)、ハンガリーで 2.4 百万トン(同 16.1%増)となる見込みである。
写真:ルーマニア南東部 カララシ県(2014 年7月)(2枚とも)
収穫作業中の冬小麦畑
収穫期を迎えた小麦の穂先
中国では、乾燥型の天候となった休眠期以外は適期の降雨により土壌水分量が十分で、効果的な病害
虫対策が講じられるとともに総じて温暖な気候に恵まれたことから、例年より早く完熟期を迎えた。収
穫期も好天に恵まれたことから、品質は平年を上回ると見られる。
生産量は、収穫面積が減少(▲0.1%)するものの単収が上昇(3.4%)することから、前年度より増加
(3.3%)し、史上最高の 126.0 百万トンとなる見込みである。なお、中国の単収は、2000 年からの灌漑
の改良でかなり安定しており、2009/10 年度を除き上昇している。地域別には、安徽省、江蘇省、河南省
及び湖北省での単収が過去最高となっている。
写真:中国華西 河南省(2013 年 11 月)
土壌水分量が十分で順調に生育する冬小麦
写真提供:cngrain
写真:中国華北 河北省唐山市(2014 年6月)
完熟期を迎え、収穫間近の冬小麦
写真提供:アイ・シー・ネット(株)
-44-
中国では、2004 年以降、食糧価格が低下しすぎた場合には、国有食糧企業(通常は、中国備蓄食糧管
理総会社及びその支社)が市場価格より高い最低買付価格で無制限に農民から食糧を買い付ける「最低
買付価格政策」を導入している。当初の対象品目は米のみであったが、2006 年以降は小麦もその対象に
加えられた。2014/15 年度については、2013 年 10 月、国家発展改革委員会(NDRC)は、2014 年に収
穫される3等小麦の 50 キログラム当たりの最低買付価格を、前年を 6 元(5.4%)上回る 118 元(2,360
元/トン)に決定した。
インドでは、作付時期の土壌水分量は十分で、その後の生育条件も良好となり、登熟期も冷涼な気候
に恵まれた。収穫作業は北部の一部の産地で豪雨や雹により遅延したものの、2014 年6月にはほぼ終了
した。
生産量は、収穫面積が増加(2.0%)するとともに単収も上昇(0.3%)することにより、前年度より増
加(2.6%)し、95.9 百万トンとなる見込みである。
インド政府は、公的分配制度に基づき、生産者から最低支持価格(※)での小麦の買い上げを実施してい
る。2014/15 年度の最低支持価格については、2013 年 10 月、100 キログラム当たり前年度を 50 ルピー
上回る 1,400 ルピー(14,500 ルピー/トン)に決定された。
最低支持価格(Minimum Support Price, MSP)
(※)
インドでは、1960 年代半ば以降、低所得者層や社会的弱者への食料安全保障の提供等を目的とした
公的分配制度(Public Distribution System, PDS)を構築。インド食料公社(Food Cooperation of India,
FCI)は、生産費、買上必要量、需給状況等を考慮して農業費用価格委員会が設定した買取価格の勧告
を受けて、最低支持価格(MSP)を決定し、生産者から同価格で買い上げる(買上数量は上限なし)。
写真:インド北部 ウッタル・プラデーシュ州
写真:インド中部 マディア・プラデーシュ州
倒伏の被害を受けた小麦畑(2014 年4月)
乳熟期を迎える小麦(2014 年2月)
写真提供:Agriwatch Research Team(2枚とも)
ロシアでは、冬小麦は、2013 年9月の大雨で作付けが遅れたものの、南部の穀倉地帯では冬季に十分
な降雪と穏やかな天候に恵まれて、枯死率が過去 10 ヵ年平均を下回るとともに、その後の生育期間中も
総じて好天に恵まれた。春小麦は、作付時期の気象条件が良好で、初夏に高温乾燥型の天候の影響で土
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