Comments
Description
Transcript
日本の自動車業界の CO2削減取り組み 日本の自動車業界の CO2削減
中期目標検討委員会資料 資料3−2 日本の自動車業界の 日本の自動車業界の CO CO22削減取り組み 削減取り組み 2009年2月19日 日本自動車工業会 1 1.日本における現状の取り組み 2 (1)自動車の燃費向上 様々な従来技術によって、チャレンジングな目標に向かい、 直線的に燃費を向上させている。 次世代車の台数はまだ少ない。 乗用車燃費推移 燃費(km/ℓ) 販売平均モード燃費(10・15モード) 20 2015年度 基準相当 ★ 次世代車 487,499台 0.63% 18 16 ★ 従来車 75,341,973台 99.37% 2010年度 基準相当 14 2007年度自動車保有台数と 次世代自動車内訳 天然ガス自動車:34,203台 ディーゼル代替LPG:22,917台 電気自動車:2,447台 メタノール自動車:20台 12 ハイブリッド自動車 427,912台 10 1998 2000 2005 2010 2015 年度 3 Actual and Projected GHG Emissions for New Passenger Vehicles by Country, 2002-2008 (注)各国の燃費は試験法などが 異なります。換算の細部に ついては、自工会と数値が 異なる部分もあります。 (出典: THE INTERNATIONAL COUNCIL ON CLEAN TRANSPORTATION ) 4 自動車の実走行燃費向上 道路交通セクターにおけるCO2削減には、下記の4つの取組みが必要。 自動車メーカー、燃料等の関係業界、行政、自動車使用者等の 各関係者が、総合的取組みを推進していくことが重要。 (km/ℓ) 実走行値 燃費 カタログ値 ・エアコン ・運転方法 ・道路混雑 ・整備状況 自動車メーカー 自動車単体 燃費改善 政府 国民 交通流改善 効率的利用 燃料メーカー 燃料の多様化 5 (2)交通流対策 「道路インフラの整備」 平均車速と実走行時のCO2エミッション(指数) 交通渋滞が減少し走行速度が増すと、 250 *時速40km/hを100とした場合のCO2エミッション指数 実走行時のCO2エミッションが低減できる。 道路や信号機などのインフラを整備する 200 ことによって、CO2を低減している。 150 「ITS技術の活用」 100 自動車業界も、ナビゲーションによる渋滞 東京23区の一般道路平均速度 :17.9km/h (2005年) 50 情報の提供、経路誘導、また燃費計等の ITS技術を活用した実走行燃費の向上に 努めている。 *Intelligent Transport System 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 平均車速 (km/h) 出典:(財)日本自動車研究所資料より作成 6 (3)エコドライブ 貨物車では、エコドライブ が進んでいる。 乗用車でも、エコドライブを 支援する技術が普及している。 デジタルタコグラフ活用例 エコドライブの指針となる燃費計 IC カード データ エコロジカル・ドライブ・アシスト・システム (今後の普及が期待される) ※.エコドライブとは急発進や急加減速などを しない運転 7 (4)運輸部門のCO2 運輸部門のCO2排出量の削減寄与 百万トン 290 15 百万トン ①燃費向上 280 運輸部門 未対応ケース 270 12 百万トン ②交通対策・ エコドライブ等 260 9 排出量 CO2 250 百万トン ③走行量の低下 (モーダルシフト含む) 240 230 220 210 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 年度 (速報) 日本の運輸部門CO2は順調に減少している。 これは燃費向上・交通流対策・エコドライブ・物流効率化などの総合的対策の結果である。 8 2.日本における2020年までの取り組み 9 (1)燃費向上 ① ・今後も直線的に乗用車の新車燃費が向上すると予測。 ただし、従来車だけでは困難であり、次世代車を含めた対応が必要。 ⇒ 国環研の予測は次世代車抜きの予測であり、実現出来ない。 (独)国立環境研究所AIMチーム 第3回中期目標検討委員会資料 「AIMモデルによる分析 日本:Enduseモデルの試算結果とCGEモデルにおける対応」 3ページ 10 (1)燃費向上 ② ◇ これまでの乗用車燃費向上 ・乗用車燃費は、これまで大変なハイペースで向上した。 「1995→2005年度の10年間で約25%アップ」 ◇ 2020年における次世代車を含めた燃費向上 ・現状ペースで直線で伸ばした場合 :20km/l(2005年比35%アップ) ・国環研「対策Ⅱ」 :25km/l(2005年比69%アップ) *自工会試算 ◇ 実際の燃費向上ポテンシャル ・次世代車は、様々な燃費向上技術の中の一つの選択肢。 ・自工会各社は、次世代車開発を含めた燃費向上に精一杯リソーセスを 投入し頑張っている。⇒ それでも国環研の予測は全く手が届かない。 11 (1)燃費向上 ③ ・CO2排出量は保有燃費で決まるため、 2020年度の運輸部門CO2は、 2015年度までの 新車燃費向上でほぼ決まる。 (2015年度以降の燃費向上努力は、2020年度の運輸部門CO2排出量を 200万㌧削減するに過ぎない。) ⇒ 2020年度の運輸部門CO2は、短期的施策の議論であり、 現実的なシナリオを考えるべき。 12 乗用車燃費向上による運輸部門CO2のケーススタディー 22 直線的燃費向上ケース 20 新車燃費 18 (km/L) 2015年度以降燃費固定ケース 16 260 現状燃費固定ケース 250 現状燃費固定ケース 運輸部門 240 CO2 (百万トン) 230 220 210 2005 2015年度以降の燃費向上は 2020年度のCO2を2百万㌧ 削減するに過ぎない。 2015年度以降燃費固定ケース 直線的燃費向上ケース 2010 2015 2020 2025 年 度 13 (2)次世代車の展望 ・将来は強力なCO2削減手段として期待。 ・ただし、2020年には様々な課題があり、普及は伸びない。 ・2020年には、直線的燃費向上の内数。 電気自動車 バイオ燃料車 ハイブリッド車 燃料電池自動車 天然ガス車 現在 クリーンディーゼル車 プラグイン・ハイブリッド車 水素自動車 将来 14 次世代車の課題 ◎ : ガソリン車より有利 ○ : ガソリン車並 ×∼×××× : 課題有 課題 車種\項目 CO2 削減 効果 コスト バッテリー 性能 航続 距離 インフラ 整備 備考 天然ガス自動車 小 ×× − ××× ××× 航続距離が短いこと が最大の課題 クリーンディーゼル車 小 ×× − ◎ − 旧イメージの払拭 40∼50万円コスト増 バイオ燃料対応車 小 × − ○ ×× ハイブリッド車 中 ×× × ◎ − 40∼50万円コスト増 プラグイン・ハイブリッド車 中∼大 ×× ××× ◎ × ハイブリッド車以上の コスト増 電気自動車 大 ××× ×××× ×××× ×× 燃料電池自動車 大 ×××× × ×× 水素自動車 大 ×× − ××× 燃料供給次第 バッテリーのコスト・ 性能次第 燃料電池実用化への ×××× ハードル極めて高い ×××× 燃料供給インフラ 15 2020年、次世代自動車の大量普及に関する課題 自動車工業会は次世代自動車の研究開発、市場導入に積極的に取組むが、現実的なハイブリッド車だとしても 2020年までに大量普及することは下記のような課題がある。 次世代自動車(HEV)の普及 大量普及への課題 1.「市場ストックに反映する時間」が必要 ・自動車のCO2排出量は市場ストックから発生する。 ・新車販売が増えても市場ストックが入替わるのに時間必要。 ・2020年(残12年)までにストックへの大量反映は望めない。 2.「消費者に選択されるか」が課題 ・車両価格に対して消費者の購買意欲が出るか? ・市場が不確実な中では経営問題として大きな投資できない。 3.「技術研究・製品開発のリードタイム」が必要 ・次世代車技術の研究に時間が必要 ・多くの車種に商品展開するのに時間が必要 ・新しい技術に対する研究開発人材が大量に必要。 ・ハイブリッド車をこれから開発するメーカは困難 4.「大量生産体制を確立するためのリードタイム」が必要 ・次世代車の製造ライン・設備の準備と投資 ・部品産業の製造ライン・設備の準備と投資 ・素材メーカにおける供給体制の準備と投資 ・新技術を短期間に大量普及させると品質確保が難しい。 <ご参考> 2007年度国内出荷台数 5,031,708台のうち、 ・ハイブリッド車:90,523台(1.8%) ・電気自動車:0台 ・天然ガス自動車:2,175台(0.04%) ・燃料電池自動車:0台 ハイブリッド車の適用車種数 自動車保有台数と 次世代自動車内訳(2007年) 16 次世代自動車用電池の現状と課題 ◇次世代自動車用電池の現状(EV用途リチウムイオン電池) ・実用航続距離 100∼150km (従来車:500km∼) ・EV販売価格 400万∼600万円 (従来車:150万円∼) ・電池寿命 数(∼10)年 普及に向けては、更なるブレークスルー必要 経済産業省 次世代自動車・燃料イニシアティブ開発目標(2030年) (2006年比) 電池性能(エネルギー密度) ⇒ 7倍 (航続距離:1充電で約500km) 電池コスト 1/40 (販売価格:250万円) ⇒ ※リチウムイオン電池では達成が難しく、革新的電池の開発が必要とされる。 上記目標が達成できれば、2030年以降大量普及の道も開ける。 17 (3)日本の運輸部門のCO2削減ポテンシャル 百万㌧CO2 280 270 運輸部門 23 260 250 257 240 210 17 4 1.5 16 200 205 230 CO2 11 220 190 2005年度 自動車走行量の低下 (23百万t) 2005年以前乗用車燃費向上 (11百万t)(ガソリン乗用車の保有燃費で 13.4 ㎞/lまで向上) 2006年以降乗用車燃費向上 (17百万t) (ガソリン乗用車の保有燃費 で13.4㎞/lから14.9 ㎞/lに向上) 貨物車燃費向上(4百万t) バイオ燃料導入(1.5百万t) 交通流対策(16百万t) 2020年度 今後も総合的取り組みによって、需給部会シナリオのCO2削減は可能。 18 3.グローバルな取り組みの必要性 19 (1)基本的考え方 ・日本の運輸部門は ベストプラクティス。 ・世界でも、国・地域の 差異を考慮しつつ、 同様に実施すべき。 世界の総走行量予測値 ・運輸部門は、日本より 発展途上国が課題。 (1兆台km) 30 20 非OECD加盟国 10 OECD加盟国 0 2005 2010 2015 2020 2025 2030 西暦 グローバル規模で、自動車メーカー・政府・国民が協力し、総合的 にCO2を削減すれば、道路交通セクターもCO2をピークアウトさせる事が 可能。 20 (2)自工会の提案 <燃費基準の無い地域での燃費基準導入> <貨物車への燃費基準導入> <車両の軽量化> <次世代自動車> 自動車メーカー 自動車単体 燃費改善 <国情に合った 交通対策> <CO2排出量の 少ない都市計画> <乗用車の エコドライブ普及> 政府 国民 交通流改善 効率的利用 <低CO2車両の 普及政策> 燃料メーカー 燃料の多様化 <バイオ燃料の研究> グローバル規模での議論の場が必要。 ※自工会は日本政府に協力しAPPにおける道路交通セクターTF設置に向けて W/Sを開催するなどの 活動を積極的に行っている 21