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2012年 9月18日 市場型間接金融と金融規制の論点 みずほ総合研究所 常務執行役員 チーフエコノミスト 高田 創 1970年代以降の潮流は金融の拡張に 1970年代以降の潮流は、ドルの拡張、金融の自由化、金融制度の自由化でのレバレッジ拡大 1970年代以降のプロセスとその転換 大恐慌 第二次世界大戦 1970年代 2000年代 近隣窮乏化 【為替】 為替切り下げ 固定相場制(SDR) 変動相場制 物の拡大 【貿易】 保護主義 自由貿易(GATT) 【金融】 物の自由化拡大(多国籍企業) 金融の自由化 ヘッジファンドの拡大 グローバル化 シャドウバンキング 金融の拡大 【政治】 国際紛争 米ソ体制 1989年ベルリンの壁が崩壊 1 保護主義化の懸念 金融規制の強化見直し 金融バブル発生 多様化の時代 (資料)『世界国債暴落』高田・柴崎・石原著から サ ブ プ ラ イ ム 危 機 一段の多様化へ 金融資産の過大な拡大が招いたバランスシート調整 グローバル金融資産の残高 200 (%) (兆ドル) 180 400 350 160 300 140 エクイ ティ 民間 デット 120 250 100 200 公的 デット 80 150 預金 60 100 40 50 20 0 0 1980 1990 1995 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 (暦年) (資料)McKinsey Global Institute 2 対GDP 比率 (右目盛) 「日本化現象」の症状はなにか • バランスシート調整、米国は家計/住宅を中心に残存、欧州はソブリン・住宅 • 起点は日本が1990年。欧米は2007年 ⇒17年前の日本を平行移動した状況か? 民間債務対名目GDP比率 200 (%) 米国 日本 ユーロ圏 180 160 140 120 100 80 1980 1985 1990 1995 2000 (注)米国・ユーロ圏は暦年、日本は年度。民間は民間非金融法人企業+家計として算出。 (資料)Haver,内閣府,Eurostat,欧州委員会よりみずほ総合研究所作成 3 2005 2010 (年) 日本化現象の実際 日米住宅市場の類似性 • 日米のバランスシート調整のベースとなる不動産問題 • 問題は回復に要する時間軸 日米の住宅価格の推移 (%,前年比) 03 05 07 09 11 13 15 17 19 21 23 【米国】(暦年) 25 27 30 25 公示地価(住宅地・全国平均) 20 ケース・シラー住宅価格指数(10都市) 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 【日本】(暦年) (注)日本の1990年と米国の2007年を対応させて表示 (資料)Bloomberg 4 政策金利の日本化: 長期安定への意識強まる • 政策金利の類似性、米国は2014年後半までの時間軸 • 欧州は2011年に利上げを行い、現在、再び利下げに (%) 03 日米欧の政策金利の推移 05 07 09 11 13 15 17 19 21 23 【米国・ユーロ圏】(暦年) 25 27 7 6 日銀O/N無担コール FF金利 5 ECBレポレート 4 3 2 1 0 86 88 90 92 94 96 98 00 (注)日本の1990年10月と米国・ユーロ圏の2007年7月を対応させて表示 (資料)Bloomberg 5 02 04 06 08 10 【日本】(暦年) 日米の長期金利の日本化: 低金利継続 • 日米独の長期金利の動きは極めて類似性が強い • 長期金利は低金利継続か 日米独の10年金利の推移 (%) 03 05 07 09 11 13 15 17 19 21 23 25 (%) 【米・独】(暦年) 27 29 8.0 6.0 5.5 7.0 日本国債利回り(10年) 米国債利回り(10年)(右目盛) ドイツ国債利回り(10年)(右目盛) 6.0 5.0 4.5 5.0 4.0 4.0 3.5 3.0 3.0 2.5 2.0 2.0 1.0 1.5 0.0 1.0 86 88 90 92 94 96 98 00 (注)日本の1990年10月と米国・ユーロ圏の2007年7月を対応させて表示 (資料)Bloomberg 6 02 04 06 08 10 12 【日本】(暦年) スペインと日本は似ているか ・ 不動産問題では類似 ・ 日本より厳しいのは、①為替調整なし、②自国で資金支援できず、③預金の流出、④海外の減速 2007年以降のスペインと1990年以降の日本の不動産市場の同じ時間軸での比較 (価格ピーク時=100) 120 スペインの地価(2007=100) 100 80 60 40 日本の土地資産総額(1990=100) 20 (資料)スペイン開発省、内閣府よりみずほ総合研究所作成 7 20 08 20 06 20 04 20 02 20 00 19 98 19 96 19 97 /1 98 0 19 99 /1 98 2 20 01 /1 98 4 20 03 /1 98 6 20 05 /1 98 8 20 07 /1 99 0 20 09 /1 99 2 20 11 /1 99 4 0 欧州は金融の不均衡に波及 ・ 欧州では預金の不均衡拡大。南欧諸国からの預金流出が続く一方、ドイツの預金は増加傾向 ・ ドイツと日本のCDSは一時的な逆転も 【 日米独のソブリンCDS推移 】 【 ドイツと南欧諸国の預金動向 】 (bp) 160 2010年末以降累積(総資産比率、%) 4.0 日本 140 2.0 米国 ドイツ 120 0.0 100 ▲ 2.0 80 ▲ 4.0 60 ▲ 6.0 イタリア ポルトガル ▲ 8.0 スペイン ドイツ 40 20 ▲ 10.0 11/1 11/4 11/7 11/10 12/1 (注)預金は中銀オペを除く国内外(金融機関預金も含む) (資料)各国中銀、ECB 12/4 12/7 0 10/1 (年/月) 10/4 10/7 10/10 11/1 (※)5年物CDS (資料)Datastream 8 11/4 11/7 11/10 12/1 12/4 (年/月) 「full sovereign(完全なソブリン)」と「subsidiary sovereign(副次的ソブリン)」とは ・ 経常収支(CA)=(国内貯蓄 - 国内消費) + (税収 - 政府支出) 国内貯蓄余剰(不足) + 財政黒字(赤字) ・米国は赤字でも基軸通貨の特権で金繰りが可能、日本は経常収支黒字で金繰り可能 ・欧州債務危機国は経常収支赤字で金繰り困難、通貨調整困難(更に独自の金融政策欠如)で、 「subsidiary sovereign (副次的ソブリン)」⇒ソブリン性のレベルが劣る ISバランスの4類型と金融危機 国内純貯蓄 財政収支 経常収支 備考 米国 赤字 赤字 大幅赤字 「双子の赤字」だが、基軸通貨で、 「full sovereign(完全なソブリン)」 日本 大幅黒字 赤字 黒字 「full sovereign(完全なソブリン)」 2001年アルゼンチン等、 途上国危機 赤字 赤字 赤字 通貨調整あり、 ただし、「sovereign」自体に議論 ユーロのPIIGS 赤字 赤字 赤字 通貨調整困難で、 「subsidiary sovereign(副次的ソブリン)」 (資料) みずほ総合研究所 9 「5つの日本化現象」とは ・ バランスシート調整下での金融政策⇒民間(家計・企業)に資金需要がなく、 預貸モデルを前提にした伝統的金融政策の機能不全(利下げ等) ・ 政府は資金不足 ⇒ 金融政策が国債管理政策に影響 ・ 海外は資金不足 ⇒ 金融政策が為替政策に影響 ・ さらに、金融機関行動の日本化、社債市場の日本化、金融規制の日本化 金融環境の5つの「日本化現象」 「日本化現象」の分野 状況 資金フローの日本化現象 バランスシート調整に伴い、ISバランスで家計・企業の資金余剰化 で資金需要の後退 金融政策の日本化現象 ①ゼロ金利、②国債購入、③量的緩和、④時間軸政策 金融機関運用の日本化現象 期待水準を引き下げ、債券への長短金利差(キャリー)確保重視の 運用に クレジット市場の日本化現象 社債中心にクレジットスプレッド縮小 金融規制の日本化現象 預金重視の金融規制と流動性重視の対応での国債ニーズ高まり (資料)みずほ総合研究所 10 日米欧の同時資金需要マイナス • 米欧も日本と同様、事業法人と家計が余剰化 • 「伝統的金融政策」の背景にある、事業法人の不足と家計の余剰(預貸モデル)の存在 主体別資金過不足状況推移(対名目GDP比) (日本) (米国) (名目GDP比、%) ← 余 剰 (名目GDP比、%) 15 経常収支 中央政府 10 事業法人 家計 15 経常収支 中央政府 10 事業法人 家計 ← 余 剰 5 5 資 金 0 → 資 金 → ▲5 不 足 ▲ 10 0 ▲5 不 ▲ 10 足 ▲ 15 ▲ 15 85 89 (資料)日本銀行、内閣府、財務省 93 97 01 05 09 (年度) 85 (資料)FRB、米国商務省 11 89 93 97 01 05 09 (暦年) 欧州のISバランスも日本化に • ユーロ圏でも日米と同様、家計と事業法人が資金余剰 • 日米欧で家計と企業が同時に余剰になる戦後初の事態 主体別資金過不足状況推移(対名目GDP比) (ユーロ圏) (ドイツ) 名目GDP比、% 8 (フランス) 名目GDP比、% 経常収支 家計 ユーロ圏 企業 政府 10 経常収支 家計 ドイツ 名目GDP比、% 企業 政府 6 8 6 経常収支 家計 フランス 企業 政府 4 6 ← ← 2 0 不 足 0 資 金▲ 2 ▲4 不 足▲ 6 2 0 → ▲2 ▲2 不 ▲4 足 ▲4 2 → 資 金 → 資 金 余 剰 4 ← 余 剰 4 余 剰 ▲6 ▲8 ▲6 ▲8 ▲ 10 ▲ 10 ▲8 80 85 90 95 00 05 (注)ユーロ圏12カ国ベース。2000年以前でデータの無い国は 除外して算出 (資料)欧州委員会 10 80 85 90 95 (注)90年以前は西ドイツ (資料)欧州委員会 00 05 10 80 85 (資料)欧州委員会 12 90 95 00 05 10 日本の銀行は債券投資に ・ 日本の銀行は預貸率の低下にそって国債保有増加 ・ 期待収益率の低下に沿って債券への運用依存増加 邦銀の預貸率と国債保有推移 (兆円) 180 (%) 65 160 70 国債残高 預貸率(右目盛、逆軸) 140 75 120 80 100 85 80 90 60 95 40 100 20 105 0 110 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (資料)日本銀行よりみずほ総合研究所作成 13 04 05 06 07 08 09 10 11 12 (暦年) 米銀の預貸率低下と債券依存 ・ 米銀は2008年以降、急速に預貸率低下に ・ 預貸率低下に沿って債券への依存が拡大 ・ 今後、金融政策の時間軸と期待収益率低下で債券依存が続くことも 米銀の預貸率と国債及びエージェンシー債保有 2,000 (%) (十億ドル) 国債+エージェンシー債の保有残高 預貸率(右目盛、逆軸) 1,800 80 85 1,600 90 1,400 95 1,200 100 1,000 105 800 110 600 115 400 120 00 02 04 06 08 10 (注)2010年4月の会計規則変更を反映。2010年4月より過去の分についても遡って修正 (資料)Haverよりみずほ総合研究所作成 14 12 (暦年) グローバル金融規制とは「日本の銀行になれ」か ・ 金融規制、バーゼル規制、ボルカールールは預金中心のナローバンク化 ・ 英国での「リテール・リングフェンス」の議論も同様の金融規制 金融規制が実体経済に与える影響 代表的な金融規制 金融機関への影響 バランスシート(貸借対照表) 資産 負債・自己資本 実体経済への影響 収益 全体規制 バーゼル3 自己資本規制 増資 レバレッジ規制 資産抑制 流動性規制 国債保有増加 貸出抑制 社債保有抑制 株価下落 貸出減少 市中金利上昇 信用スプレッド拡大 預金増加 個別業務規制 相互作用 ボルカー・ルール(米国) 金融機関の 収益減少 消費者保護 その他 金融仲介能力 低下 雇用減少 (資料) みずほ総合研究所 15 「Financial repression(金融抑圧) 」か? ・ 民間金融取引・投資の安全志向、プルーデンス規制の強化、中銀の流動性供給が高格付け債券に 対する需要を増大 安全資産に対する需要要因 安全資産の機能 安定した資産価値 安全な担保 プルーデンス政策の要 金融危機に伴う流動性供給 投資家タイプ 注目される動き 安全資産需要 への影響 外貨準備 戦略的アセットアロケーションにおける「安全性」の重要度 が増大。準備の規模も拡大 ↑ 保険・年金 投資政策の姿勢(ALM)。ただし低金利による利回り追求 圧力も → ノンバンク 欧州危機による「質への逃避」 ↑ 店頭取引から中央決済機構への緩やかなシフト ↑ 担保の再利用に対する制限と担保の流通度の低下 ↑ 金融機関にとっての安定した資金調達の確保の重要性増大と レポ取引におけるヘアカット率の多様化 → バーゼルⅢによるLCRの導入 ↑ 銀行等金融機関 銀行 中央銀行 高リスクもしくは格下げされた国債に対するリスクウェイト の高まり 金融危機に伴う金融緩和 相対的に安全と認識されている資産(米、英、独の国債等) への需要シフト (注)安全資産需要の影響=↑(増大)、→(不変)。 (資料)IMF(2012) Global Financial Stability Report , April Table3.3より作成 他の資産のベンチマーク 銀行等金融機関 16 国債市場の 二分化 ↑ 国債市場の 二分化 ボルカー・ルールは • ボルカー・ルールでの課題は業態規制に ボルカー・ルールに関する論点 ボルカー・ルールに対する主な異論 ボルカー・ルールに対する主な異論 「マーケット・メイク」の適用除外の範囲が狭く、 有用な取引までも規制される恐れ 有用な取引までも規制される恐れ 市場の流動性低下、価格形成 機能のへの悪影響 域外適用の範囲が不明確で、米国外での取 引が過度に制限される恐れ 金融機関のコスト上昇、サービ 金融機関のコスト上昇、サービ スの低下 米国債以外のソブリン債が適用除外の対象に なっていない 米国銀行の競争力低下 企業の資金調達コストの上昇、 与信への制約 ルール遵守に伴う金融機関のコンプライアン ルール遵守に伴う金融機関のコンプライアン ス上のコストが過大 (資料) みずほ総合研究所 17 英国での論点はリテール・リングフェンス • 世界の2大金融拠点、米英で生じる金融規制の強化 ヴィッカーズ委員会最終報告書で示されたリングフェンス導入後の業務区分 リングフェンス銀行にのみ認め られる業務 (マンデート・サー ビス) リングフェンス銀行で行うことが禁 止される業務 (禁止サービス) 個人および中小企業からの預金の受 入、当座貸越の提供 EEA域外での全てのサービス、または預金 の受入および支払サービスを除く、全ての 金融機関向けサービス 顧客の属性を問わず、以下に掲げる業務 を含むサービス ・デリバティブ取引の組成、アレンジ、また は執行(代理人として行うか本人として行 うかを問わない) ・株式、社債、転換証券、転換社債、パート ナーシップ持分、ミューチュアルファンド、 EFT等への投資※1 ・証券の組成、トレーディング、貸出、また はマーケットメイク(負債証券、エクイティ 証券、デリバティブ、ABSを含む)。ただ し、リングフェンス銀行は自行ブランドの 証券化の組成および保持を行うことがで きる※2 ・債券およびエクイティ証券の販売の引受 (私募を含む) リングフェンス銀行で行うことがで きる業務 EEA域内の全ての顧客からの預金の受入、 支払サービスの提供(当座預金、貯蓄預 金、市場リスクに係る規制上の資本を要求 されない投資商品の提供を含む) EEA域内の個人および全ての規模の非金 融会社に対する以下のサービスの提供 ・有担保・無担保での消費者および事業者 への貸出(不動産貸出、クレジットカード を含む) ・トレードファイナンス、プロジェクトファイナ ンス ・非リングフェンス銀行商品に関するアドバ イスおよびそれらの販売(リングフェンス 銀行にエクスポージャーを発生させないも の) ※1 リングフェンス銀行は、当初自らが行った企業貸出で、債務リストラの一部として交換の結果取得した エクイティの保持は認められる ※2 リングフェンス銀行には、当然ながらこのような場合の証券化の保持に対し所定の資本が要求される (資料) 英国ICBからみずほ総合研究所作成 18 欧米型金融市場と日本型金融市場 ・日本は、欧米型の直接金融主導でなく間接金融主導の市場 欧米型(直接金融主導) 日本型(間接金融主導) 資金供給者(投資家) 預金者等 キャピタルマーケット (株式・債券等) 資金供給者(商業銀行) 銀行貸出 企業 企業 19 市場型間接金融 欧米型金融市場と日本型金融市場 入り口として間接金融機関に資金が集まるなかでは間接金融機関の信用仲介が基本に 今日の金融規制の潮流は間接金融機関中心だけに、日本を規制が「直撃」 企業の資金調達構造 個人金融資産の内訳 0 10 20 30 40 50 60 2.4 2.6 70 80 90 0 100 (%) 10 20 30 40 50 60 70 80 90 7.3 56.5 日本 5.8 0.6 71.5 中国 28.3 4.3 日本 33.2 33.0 26.5 3.4 0.0 13.7 中国 10.7 67.0 7.1 6.3 19.7 3.5 米国 14.4 9.8 11.5 現預金 債券 投資信託 31.5 株式・出資金 米国 29.2 保険・年金準備金 8.1 19.9 借入 その他計 (注)中国は暫定値 (資料)日本銀行(2011/12)、FRB(2011/12) 経済科学出版社『中国居民収入分配年度報告(2011)』 51.2 債券 株式・出資金 (注)中国は2000~2010年の負債増分(フロー)の合計に占める割合 (資料)日本銀行(2011/12)、中国人民銀行、FRB(2011/12)、ECB(2011/12) 20 20.8 その他計 100 ( %) バランスシート調整がもたらす期待と現実のギャップ ・バランスシート調整による期待と現実のギャップ ・日本は期待を引下げた「草食系対応」、欧米は高い期待にすがる「懲りない迎え酒対応」 ・社会と政治の不安定化は「第6の日本化現象」 ・不満のなかで生じうる、ポピュリズムに起因する金融規制強化論 バランスシート調整でのギャップ状況概念図 ポピュリズム バブル期のトレンド(期待) 期待と現実の乖離 社会の不満、政治不安 バブル崩壊後の屈折(現実) (資料)みずほ総合研究所 21 日本の市場化と欧米の市場化 ・ 日本の1990年代以降の市場化は「流動化」 日本の貸出しの「擬似エクイティ性」からの正常化 証券化は「クレジットの聖域」としての評価も ・ 欧米での2000年代の市場化はレバレッジを高める手段に モニタリング機能の低下 証券化は「聖域」ではなく「闇なべ」に ・ 今日の金融は新たな金融の市場化モデルを探る局面 市場は万能ではないが、市場機能の否定がもたらす副作用も ・ 一方、「政治的アリバイつくり」のバイアスをもった金融規制がもたらすもの 22 市場化と金融規制の論点 ・ 「人間の性(さが)」としての信用拡張とその行き過ぎの繰り返し ・ 金融規制は「行き過ぎ」への反省と政治的儀式から ・ 「懲りない迎え酒」を抑制できるか、「草食系」から脱皮できるか ・ 金融規制はタイムラグを伴い、信用収縮をより強めるプロシクリカル性 ・ 世界的な金融規制がもたらす「合成の誤謬」 ・ 時価会計、自己資本規制、VaR等がもたらすプロシクリカル性 ・ 日本の資金構造に即した金融のあり方は 市場の不完全性と銀行によるモニタリングの重要性 23 日本の戦後のリスクマネー供給 • 戦後、国としてエクイティ性資金、長期性資金を創出するSWFのような構造だった 日本の戦後のリスクマネー供給とその転換の概念図 自己資本制約 時価会計 規制強化 金融債 家 計 部 門 株 式 投 資 (持 ち 合 い ) 融 資 (擬 似 エ ク イ テ ィ ) リスクマネー転 換機 能 日本株式会社 擬 似 SWF状 況 緊 密 な 情 報 、見 通 し 郵便貯金 公的年金 財 政 投 融 資 財投資金 企 業 セ ク タ ー 民 間 金 融 機 関 ) 銀 行 ・ 保 険 等 資 本 充 実 国 富 拡 大 財 投 改 革 預託義務廃止 国債投資依存 資本喪失 海外資金依存 (資料): みずほ総合研究所 24 フ 新 た ン な ド 資 の本 必創 要出 性 ァ 預 金 ・保 険 ( 金 融 市 場 本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではあり ません。本資料は、弊社が信頼に足り且つ正確であると判断した情報に基づき作成されております が、弊社はその正確性・確実性を保証するものではありません。本資料のご利用に際しては、ご自 身の判断にてなされますようお願い申し上げます。