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最近のイタリアの原発状況(イタリア)【PDF:72KB】

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最近のイタリアの原発状況(イタリア)【PDF:72KB】
NEDO海外レポート
NO.951, 2005. 3. 9
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海外レポート951号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/951/
【エネルギー一般】
最近のイタリアの原発状況
2004 年 12 月と 2005 年 1 月は、イタリアにおいて原発の話題が頻繁にマスコミで
取り上げられた。まず 2004 年 12 月 18 日、イタリア北部ミラノ近郊ピアチェンツァ
市にあるカオルソ旧原発において北部同盟の下院議員マッシモ・ポッレドーリは、
「イ
タリア各地に一時的に保管されている原発廃棄物 235 トンがフランスあるいはイギリ
スで処理される」ことを明らかにした。カオルソやイタリア南部スカンツァーノ・イ
オニコ市の住民は、このニュースにまさに狂喜した。
イタリアは 1987 年 11 月の国民投票で原発を放棄しているが、それ以前に操業して
いたイタリア各地 4 ヶ所にあった原発の放射性廃棄物、あるいは病院等から排出され
る放射性廃棄物は、永久保管場所が決定されるまで一時的に各地で保管されていた。
2003 年 11 月閣議は、イタリア南部バジリカータ州、風光明媚で観光産業が活発に
なってきたばかりの町スカンツァーノ・イオニコ市(住民 6,700 人)にある岩塩鉱床、
地下 700 メートルの場所を《イタリアで唯一の国の放射性廃棄物貯蔵庫》と決めた。
閣議決定の翌日、スカンツァーノ・イオニコ市の住人だけでなく同州の全市町村の
子供を含む住人や地方政治家による昼夜に渡る反対運動のために、政府は 2 週間で閣
議の決定を保留せざるを得なかったといういきさつがある。プール内に保管されてい
るカオルソ原発の放射性廃棄物も、これ以上の保管継続は不可能と言う状態であった。
5,000 人の住人が住むカオルソ市の市長ファビオ・カッローリは、「1987 年から待ち
に待っていたニュースであり、遂にカオルソ住民の悪夢を終わらせることが出来る。
我々は当地の産物によるおいしいワインと川魚でお祝いのお祭りを実施する」とその
喜びを述べた。
放 射 性 廃 棄 物 撤 去 を 課 題 と す る 国 家 機 関 SOGIN ( Societa’ Gestione Impianti
Nucleari Spa)は、235 トンの放射性燃料棒(長さ 4m、直径 1cm)処理のために 3
億ユーロの支払いを予定しており、2005 年下半期には廃棄物の移動が開始されると言
うことを明らかにした。
これらの処理コストは、イタリア人が支払う電力料金から出される。放射性燃料棒
処理入 札は 英国の Sellafield にある BNFL 社と、 フラン ス の La Hauge にある
COGEMA 社に向けられる。
処理された放射性廃棄物マテリアル 235 トンの 97%は国外で再利用され、残り 3%、
真の意味による放射性廃棄物はイタリアに戻ってくる。いずれにしてもイタリアは《イ
タリアで唯一の国の放射性廃棄物貯蔵庫》を確保せねばならない。
スイスとイタリアを結ぶ電力網サン・フィオラーノとロッビア間の高圧電力網落成
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NEDO海外レポート
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式が、2005 年 1 月 20 日ローマにある伊電力網管理会社 GRTN 内において実施された。
この電力網完成によって、イタリアは電力輸入量 15%増大を可能にする。
落成式において電力網連結スイッチを押した伊首相シルヴィオ・ベルルスコーニは、
1987 年の国民投票後タブーとされていた“原発”について、「原発による電力生産を
踏まえた、イタリアの電力需要に答えるエネルギー計画を立てるには 1 回だけの政権
任期では不充分である」と述べ、また「イタリアは原発を持っていないと言うことで
欧州の中で 1 番高い電力料金を払っていること、また隣国の原発がネガティブな事故
を起こした場合、イタリアはもろにその害を被ることになるという 2 重のペナルティ
ーが課されている」と述べた。
これらの言葉は、同相が原発擁護者でもあり、環境保護者でもあるように聞こえる
が、同相は自己の立場を明確に表明していない。しかしながら、その翌日同相は“新
社会党”の総会議において「ENEL は原発による電力を生産するスロバキアの電力公
社 HSE の 66%を購入し、原発のノウハウをイタリアに取り戻すことができる」とし
て ENEL の HSE 購入を非常に高く評価した。(注)
1 月 20 日のベルルスコーニ首相の原発へのコメントは、与党や野党内においても非
常な賛否両論の論争を引き起こした。マッティオーリ環境相は、「ベルルスコーニ首相
は原発を研究する必要があると言ったが、それは時宜にあっているし、正当な意見で
ある。しかしながら、原発を建設するには 10 年から 15 年の歳月を必要とする。我々
は水素研究に照準を合わしたばかりである。確かに技術も科学も進歩している原発の
再考は考えられるが、短期における原発による電力生産は不可能である」と述べてい
る。
中道左派のみどりの党は、「ソーラーや水素エネルギーへの研究や投資を妨害して
いる原発擁護ロビーイストの、新たなる襲撃に対抗する必要がある」と述べており、
伊共産党の党首ディリベルトは、「自分の家の傍に誰もチェルノブイリがある事を欲
しない。原発ではなく新エネルギーに投資するべき」と述べている。
伊原発協会(AIN / Associazione Italiana Nucleare)は、「行き当たりばったりで、
長期展望に欠けた 1987 年の国民投票によって、また原子力産業の管轄と知的財産を消
滅させたというその後の誤りによって、イタリアは既に原発の列車に乗り遅れている。
すぐ原発に戻ることは社会的にも問題があり、特に経済的観点から気違い沙汰である。
今日新しい原発を建設するには、住民の反対・阻止を考慮に入れなくても、投資額も
建設期間も従来の原発建設より倍の費用と時間を要する。誰もこのような投資を欲し
ない」と述べた。
以上のような現況を鑑みた場合、イタリアは国外における原発活動に照準を合わす
とともに、第 3、第 4 世代の原発研究に照準を合わして行くように思われる。
以上
(注)関連記事:本誌 947 号 p.16
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