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プロスタグランジンD合成酵素の構造と機能

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プロスタグランジンD合成酵素の構造と機能
Review
プロスタグランジンD合 成酵素の
構造 と機能
Structure
and function
of prostaglandin
D synthase
裏 出良博
プ ロスタグラ ンジンD2は,中 枢 神経系の主 要な プロスタ グランジ ンとして産 生され,DP1受
容体 を介 して睡眠 や痛
覚の調 節 を行 な う一方,肥 満細胞 やTh2細 胞 でも産 生され,DP1受 容 体 とDP2受 容 体を介 して アレル ギーや炎症 の
メデ ィエーター と してはた らく,プ ロス タグラン ジンD合 成酵 素 には,中 枢神 経系 や雄 性生殖器,心 臓 に局在 する
リポ カ リン型 と,肥 満細 胞やTh2細 胞 に分 布 する造血 器型 の2種 類 がある.リ ポ カ リン型 プロスタグ ランジンD合
成酵 素 は,リ ポカ リン遺 伝子 ファミリー に属す る唯一 の酵素 であ り,ヒ ト脳脊髄 液の主要 な蛋 白質 である β トレー
ス と同 じ蛋 白質であ る.一 方,造 血器 型 プロスタ グランジンD合 成 酵素 は,脊 椎 動物 において は じめて同定 された
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σ型 の グル タチオン転移 酵素である.両 者 は異 なる起源 か ら進化 して同 じ酵 素活性 を獲得 した機 能的相 似の例 であ
る.そ れぞれの遺伝 子欠損マ ウスおよび ヒ ト型 酵素 を大量発 現す る トランスジ ェニックマ ウスは,痛 覚,睡 眠調 節,
ア レル ギーや炎症 反応 の異常を示す.そ して,両 酵 素の3次 元構造 が決定 され,経 口投与で有効 な阻害剤 も開発 さ
れた,と くに,造 血器 型プ ロスタグラ ンジンD合 成 酵素 の阻害剤 は,デ ュシ ェン ヌ型筋 ジス トロフィー や多 発性 硬
化症 な ど難病 の治療 薬 と して開発 が進 んでい る.
Key words・
プロスタグランジンD2 ・ β トレー ス ・ 睡 眠 ・ 筋 ジス トロフィー ・X線 結 晶構造 解 析
す る ための リポ カ リ ン型 プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 の免
は じめ に
疫 組 織 化 学 やin situハ イ ブ リ ダイゼ ー シ ョ ンは,こ の酵 素
筆 者 は,京 都 大 学 医学 部 医 化 学 第 一 講座 に お いて,早 石
が,脳
を包 む くも膜 や脳 脊 髄 液 をつ くる脈 絡 叢,ミ
エ リン
修 教 授(現 大阪 バイオサ イエ ンス研究所)の も とで プ ロス タグ
をつ くる オ リゴ デ ン ドロ グ リア細 胞 に局 在 す る こ とを示 し
ラ ンジ ンD2の 生 合 成 に 関す る研 究1)に 参 加 して 以 来,25年
た10).ま た,ヒ
以 上 もプ ロス タグ ラ ンジンD合 成酵 素 に関す る研 究 を継 続 し
ス と同 じ蛋 白 質 で あ る こ とは,海 外 の研 究 者 か ら教 え られ
て い る.研 究 の カテ ゴ リー は,酵 素学1,2)から組 織 化 学,遺
た11).さ らに,副 睾丸 な どの雄 性 生 殖 器 や ヒ トの心 臓12)に
伝 子 工 学3,4),遺 伝 子 操 作 動 物 の解 析5,6),構 造 生 物 学4,7-9),
分 布 す る ことに気づ い たの も偶 然 で あ る.そ して,世 界 に さ
阻 害 剤 開発8)へ と,時 代 と ともに変 化 してい るが,ひ とつの
きが けた わが 国 で のDVD開
酵 素 に関す る研 究 に これ ほ どの期 間 を費 やせ た こ とにた いへ
ンジ ンD合 成 酵 素遺 伝 子 操作 マ ウスの 睡 眠解 析 を容 易 に し,
ん 感謝 して い る.そ して,現 在 もなお,こ の酵 素 につ い て新
結 果 的 に,筆 者 らが共 同開発 した 睡 眠解 析 ソ フ ト"ス リー プ
た な発 見 が つ づ くこ とに驚 か され る.自 然 は 実 に巧 妙 で あ
サ イ ン"を 世 界 の トップに押 し上 げた.ま た,造 血 器 型 プロ
り,わ れ われ の絶 え 間 ない好 奇心 を満 た して くれ る.
ス タグラ ンジ ンD合 成 酵 素 がデ ュ シェ ンヌ型 筋 ジス トロ フ ィ
発 が リポ カ リ ン型 プロ ス タ グラ
まざ ま な偶 然
ー や 多発 性 筋 炎 な どの患 者 の壊 死 筋 周 辺 で 誘 導 され る こ と
とえ ば,睡 眠 中 枢 を同 定
は,小 児科 の 臨床 医 が偶 然 に発 見 した13).そ して,経 口投
この 間,実 験 前 の予 想 は何 度 も覆 さ れ,さ
が研 究 の 進 歩 を助 けて くれた.た
ト脳 脊 髄 液 の 主 要 な蛋 白 質 で あ る β トレー
与 で 有効 な造 血 器 型 プ ロス タ グ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 阻害 剤
HQL-79は,約10年
Yoshihiro
Urade
大 阪 バ イ オ サ イ エ ン ス研 究 所 分 子 行 動 生 物 学 部 門
E-mail:
[email protected]
前 に 閉鎖 され た住 友 金 属 工 業 医薬 品部
門 の研 究 者 た ちが 開発 した抗 ア レル ギ ー薬 か ら見 い だ され
た14).ヒ
ト造 血 器 型 プ ロス タ グ ラ ンジ ンD合 成 酵 素-HQL-
79複 合 体 のX線 結 晶構 造 解 析8)と,筋
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
ジス トロ フ ィー モ デ
No. 3
(2008)
217
ル動 物 の壊 死筋 の造影 に有効 な動 物 用CTの
開発,デ ュ シェ
プ ロス タグ ラ ンジ ンI2,お よび,ト
ロ ンボ キサ ンA2の5種
ンヌ型 筋 ジス トロフ ィー犬 の繁 殖 が重 なった こ とが,新 た な
類 の プ ロス タノ イ ドが 各 合 成 酵 素 に よ り合 成 さ れ る.こ れ
筋 ジス トロ フ ィー治療 薬 の 開発 を加 速 した.
らは 固 有 の細 胞 で産 生 され,局 所 ホ ルモ ンと して そ の近 傍
プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成酵 素 に 関 す る基 礎 研 究 を継 続
した 結 果,さ
ま ざま な幸 運 に恵 まれ,き わ め て応 用 性 の 高
の 受 容 体 に作 用 し,平 滑 筋 の 収縮 や弛 緩,血 小 板 凝 集 の促
進 や 阻 害 な どの生 理 作 用 を示 す.
い研 究 成 果 が得 られ た.基 礎 研 究 を きわめ る こ とが実 用 的
消 炎 鎮 痛 剤 と して使 用 され る イ ン ドメ タ シ ン,ア ス ピ リ
な成 果 に結 び つ くこ と を体 験 で きた こ と に感 謝 して い る.
ン,イ ブ プ ロ フ ェ ン,ジ ク ロ フ ェナ ック,コ キ シブ な どの
以 下,そ
非 ス テ ロ イ ド性 抗 炎 症 薬 は,シ
の成 果 を紹 介 す る.
剤 で あ る.し たが って,プ
I プロスタグランジンD2の
代謝経路 と受容体
クロ オ キ シゲ ナ ー ゼ の 阻害
ロス タノ イ ド合 成 系 全 体 を 阻害
し,プ ロス タグ ラ ンジ ンE2や プ ロス タ グラ ンジ ンI2に よる
胃粘 膜 の保 護作 用 や 血小 板 凝 集 の抑 制作 用 も阻 害 す るの で,
胃潰 瘍 の増 悪 や血 栓 形 成 な どの副 作 用 を と もな う.各 プ ロ
図1に,プ
ロ ス タ グ ラ ン ジ ンD2の
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ロ ス タ グ ラ ン ジ ンD2は,細
生 合 成 経 路 を 示 す.プ
胞 膜 の リ ン脂 質 の 主 成 分 で あ る
ア ラ キ ド ン酸 か ら産 生 さ れ る.ア
ラ キ ドン酸 は われ わ れ の
ス タ グ ラ ンジ ン合 成 酵 素 に 選 択 的 な 薬剤 は,こ れ らの副 作
用 を示 さ ない薬 剤 と して期 待 されて い る.
プ ロス タグ ラ ン ジ ンD2の 受 容体 に は,DP1受
体 内 に も っ と も 普 遍 的 に存 在 す る 不 飽 和 脂 肪 酸 で あ る.細
受 容 体 の2種 類 が存 在 す る.と
胞 に 刺 激 が 加 わ る と,細
シ ン型 受 容 体 で あ り,さ
り,細
胞 内Ca2+の
胞 質 の ホ ス ホ リ パ ー ゼA2が
し て,細
一 過 性 の 上 昇 が起 こ
細 胞 膜 へ と移 動 す る.そ
胞 膜 の リ ン脂 質 か ら ア ラ キ ド ン 酸 が 切 り出 さ れ,
容 体 とDP2
もに7回 膜 貫 通 型 の ロ ドプ
ま ざ ま な 生 理 機 能 に 関 与 す る.
DP1受 容 体 は3量 体G蛋
白質Gsと
共 役 して 細 胞 内cAMP
の上 昇 を起 こす.DP1受
容 体 ノ ック ア ウ トマ ウ ス は痛 覚 の
そ の 一 部 が シ クロ オキ シゲ ナーゼ の作 用 に よ りプロス タグ ラ
異 常 を示 し,プ ロス タ グ ラ ンジ ンD2の 脳 内投 与 に よる 睡 眠
ン ジ ンH2に
変 化 す る.こ
誘 発 を起 こ さず15),卵 白 ア ル ブ ミ ン誘 発 喘 息 モ デ ル実 験 に
ジ ンD2,プ
ロ ス タ グ ラ ン ジ ンE2,プ
れ を 基 質 と し て,プ
ロス タグ ラ ン
ロ ス タ グ ラ ン ジ ンF2α,
お け る ア レル ギー 反 応 が 軽微 で あ る16).一 方,DP2受
図1
PG:
TXA2:
218
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
容体
プロ ス タグ ラ ン
ジンD2の 生合成
経路
プ ロス タ グ ラ ン ジ ン,
トロ ンボ キ サ ンA2.
,Review
はTh2細
胞 に存 在 す る ケモ ア トラ ク タ ン ト様 受 容 体 と して
同 定 され た オー フ ァ ン受 容 体 であ り,ヒ
トTh2細 胞 や さ ま
ざま な炎 症 細 胞 の プ ロス タ グ ラ ンジ ンD2に 対 す る ケモ タキ
シス(走 化 性)を 仲 介 す る.さ らに,花 粉症 な どの ア レル ギ
ー疾 患 に対 して処 方 され て きた ラマ トロバ ンがDP2受 容 体
に対 す る ア ン タゴ ニ ス ト活 性 を もつ こ とや,DP2受
容体 ノ
ック ア ウ トマ ウス の遅 発 性 皮 膚 炎(耳 朶 浮 腫)が 軽 減 な こ と
か ら17),プ ロス タグラ ンジ ンD2-DP2受 容体 系 が新 た な創 薬
標 的 と して認 識 され て い る.
II2
種類のプロスタグランジンD
合成酵素
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プロ ス タ グ ラ ンジ ンD2は,中
枢 神 経系 の主 要 なプ ロス タ
グ ラ ン ジ ン と して リポ カ リ ン型 プロ ス タグ ラ ン ジ ンD合 成
酵 素1,18,19)によ り産 生 さ れ,睡
体 温 低 下,黄
眠誘 発,痛
み 応 答 の 調 節,
図2
体 ホ ルモ ン分 泌 抑 制 な どの 中枢 作 用 を示 す.
同時 に,肥 満 細 胞 や抗 原提 示 細 胞,Th2細
胞 に分 布 す る造
血 器 型 プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成酵 素2,20)によ り合 成 され,
マ ウスの リポカ リン型 プロスタ グラ ンジンD合 成酵 素の
3次 元構造
(a) Cys65Ala変
異 体 の 開 い た 構 造 のX線
結 晶 構 造.[PDBID:
2CZT]
(b) Cys65Ala変
異 体 の 閉 じ た 構 造 のX線
結 晶 構 造.[PDBID:
2CZU]
(c) Cys89Ala
Cys186Ala二
重 変 異 体 のNMR構
造9),[PDBlD:
2E4J]
血 管 拡 張,気 管 支 収 縮,血 小 板 凝 集 阻害 な どの生 理作 用 を
示 し,ア レル ギー や 炎症 に 関与 す る.
リポ カ リ ン型 プ ロス タ グ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 は,脂 溶性
剤 を要 求 し,塩 基 性 領 域 に至 適pHを
もち,プ ロ ス タ グ ラ
低 分 子 化 合 物 を輸 送 す る分 泌 蛋 白 質 で構 成 され て い る リポ
ンジ ンH2に 対 す るKm値
カ リ ン遺 伝 子 フ ァ ミリー に属 す る唯 一 の酵 素 で あ り,ヒ ト
グ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 よ り低 い.ヒ
脳 脊 髄 液 の 主 要 蛋 白質 で あ る β トレー ス と同 じ蛋 白質 で あ
物 の 酵 素 は,い ず れ も約190ア
る11).現 在 まで に100種 類 以 上 の リポ カ リ ン蛋 白質 が 同 定
末端 側 の約20残 基 の疎 水性 ア ミノ酸残 基 は シ グナ ルペ プチ
され て い る が,酵 素 と して の機 能 が 明確 に証 明 されて い る
ドと して 切 断 され る.さ らに,Asn51とAsn78の2カ
の は この酵 素 だ け で あ る.一 方,造
そ れ ぞれ 分 子 量3000相
血 器 型 プ ロス タグ ラ ン
と代 謝 回 転 数 は造 血 器 型 プ ロ ス タ
トや マ ウス な ど哺 乳 動
ミノ酸 残 基 で構 成 され,N
所に
当 の糖 鎖 修 飾 を うけ る.ま た,3つ
ジ ンD合 成 酵 素 は,脊 椎 動 物 で はは じめて 同 定 された σ型
の 保 存 され た シス テ イ ン残 基 を もち,そ
のグ ル タチ オ ン転 移 酵 素 で あ る.こ れ ら2つ の酵 素 は同 じ反
Cys186は
応 を触 媒 す るが,ア
須 で あ る.こ の酵 素 に関 す る新 しい知 見 を以 下 に ま とめ る.
ミノ酸 配 列 や 立 体 構 造 は まっ た く異 な
る.そ れ ぞ れ 異 な る起 源 か ら進 化 して 同 じ酵 素 活 性 を獲 得
した,機
能 的 相 似 の新 しい 例 で あ る.こ れ ら2つ の 酵 素 の
生 化 学 的特 性 と生 理 機 能 へ の 関 与 に つ い て はす で に多 くの
1.3
の うちCys89と
分 子 内S-S結 合 を形 成 し,Cys65が
酵 素 反応 に必
次 元構 造
マ ウ ス に お け る リ ポ カ リ ン型 酵 素 のCys65Ala変
総 説 で紹 介 したの で,こ こで は2004年 以 降 の研 究成 果 を中
晶 化 さ れ,そ
心 に,代 表 的 な成 果 を紹 介 す る.
酵 素 は,ほ
のX線
結 晶 構 造 が 決 定 さ れ た.リ
か の リポ カ リ ン蛋 白 質 と同 じ く,8本
異 体 が結
ポ カ リ ン型
の βシー ト
と1本 の αヘ リ ッ ク ス を含 む βバ レ ル 構 造 を も ち,そ
III リポカリン型 プロスタグランジンD
合成酵素に関する新知見
性 ポ ケ ッ トの 内 部 に 活 性 中 心 のCys65が
位 置 す る.そ
バ レ ル 構 造 の 蓋 の 開 い た 構 造(図2a)と
閉 じ た 構 造(図2b)
の2種
リポ カ リ ン型 プ ロ ス タ グ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 は,酵 素 反
応 に還 元 型 グ ル タチ オ ンや メ ル カプ トエ タノー ル な どのSH
の疎 水
類 が 決 定 さ れ た.こ
Cys89Ala
Cysl86Ala二
し て,
の バ レ ル 構 造 の 蓋 の 動 き は,
重 変 異 体 のNMR構
造(図2c)で
も
確 認 さ れ た9).
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
219
図3
ラッ ト脳 における リポカ リン型
プロス タグラ ンジ ンD合 成酵
素の分 布
(a) in situハ イプ リダ イゼ ー シ ョン10),白
色 が リポ カ リン型 プロス タ グラン ジンD合
成
酵 素 のmRNA
(b) 免 疫 組 織 化 学 染 色 後 の 共 焦 点 蛍 光 顕 微
鏡像.赤
色:リ ポ カ リン型 プロ スタ グラ ンジ
ンD合
成 酵 素 ロ ー ダミ ン 蛍光 抗体 染 色,緑
色:マ
ク ロフ ァー ジ.
(c) 脳 脊髄 液 のSDS-ポ
リア ク リル ア ミ ドゲ
ル 電 気 泳 動 像(銀 染 色).L-PGDS:リ
リン型 プ ロ スタ グ ラン ジンD合
ポカ
成 酵 素(β ト
レー ス).
2.分
に よ り調 べ る と,GM1,GM2,ア
泌 蛋 白 質 と して の 機 能
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デ ン ドロ グ リ ア細 胞 で 産 生 され10),β
リゴ
トレー ス と して脳 脊
方,副
睾 丸 の管 腔 上 皮 細
胞,精 巣 の ライ デ ィ ッヒ細 胞 や セ ル トリ細 胞 で も産 生 され,
精 液 に分 泌 され る.さ ら に,ヒ
高親和性
に結 合 す る こ と も明 らか にな っ た21).さ らに,リ ポ カ リ ン
リポ カ リ ン型 酵 素 は,脳 脊 髄 の く も膜 や 脈 絡 叢,オ
髄 液 に 分 泌 さ れ る11)(図3).一
シア ロGM1を
トや サ ルで は心 臓 の 心 筋 細
胞 や 心 内 膜 細 胞 で も発 現 が活 発 で あ り,血 管 内 皮 細 胞 や 冠
動 脈 硬 化 巣 の 増 殖 型 平 滑 筋 細 胞 に も発 現 して血 液 に分 泌 さ
れ る12).各 種 の体 液 中 の β トレー ス濃 度 が測 定 され,疾 患
マ ー カー と して の 可 能 性 が 検 討 され て い る.そ
して,く
も
型 酵 素 の 反応 産物 で あ るプ ロス タグ ラ ンジ ンD2を 高 親 和 性
に結 合 す る こ と も見 い だ した.リ
ポ カ リ ン型酵 素 の細 胞 外
で の 機 能 は い まだ 不 明 だ が,脂 溶性 低 分 子 化 合 物 の 輸 送 蛋
白質 と して機 能 して い る可 能 性 もあ る.
4.ア
ミ ロ イ ドβ 蛋 白 質 の
分 子 シ ャペ ロ ン と して の機 能
アル ツハ イ マ ー病 患 者 の剖 検 脳 切 片 を用 い た リポ カ リ ン
型 酵 素 の 免 疫 染 色 に よ り,ア ミロ イ ドβ蛋 白質 が 沈 着 した
膜 下 出血 の 発 症 数 日後 にお け る脳 脊 髄 液 β トレース 濃 度 の
老 人 斑 で の リポ カ リ ン型 酵 素 の集 積 が見 い だ され た.そ
上 昇 や,正 常 圧 水 頭 症 患 者 で の低 下 を発 見 した.心 疾 患 と
で,ア
腎 疾 患 領 域 にお け る疾 患 マ ー カー と しての 可 能 性 につ い て
を測 定 す る と,天 然 型 ア ミロ イ ドβ蛋 白質(1-40),病
は,全 国 十 数 カ所 の病 院 が 参加 す る多 施 設 研 究 に よ り,安
ア ミロ イ ドβ蛋 白 質(1-42)と
定 狭 心 症患 者 の冠 循 環 中 で の分泌 充 進12)や,腎 疾 患 患 者 で
さ らに,チ オ フ ラ ビ ンT蛍 光 色 素 を用 いた ア ミロ イ ドβ蛋
の血 中 や尿 中 での 濃 度 上 昇 が確 認 された.
白質 の凝 集 試 験 の 結 果,リ ポ カ リ ン型 酵 素 は脳 脊 髄 液 に含
3.疎 水性低分子量物質 との結合
リポ カ リン型 酵 素 の基 質 で あ るプ ロス タ グラ ンジ ンH2は,
こ
ミロ イ ドβ蛋 白 質 に 対 す る リポ カ リ ン型 酵 素 の 結 合
原型
もに,高 親 和 性 に結 合 した.
まれ る生 理 的濃 度 の範 囲 で,高 濃 度 の ア ミロ イ ドβ蛋 白質
の凝 集 を強 力 に 阻 害 した.そ
して,ヒ
ト脳 脊 髄 液 を抗 リポ
カ リン型 酵 素 抗 体 カ ラム に とお して βトレー ス を除 くと,そ
小 胞 体 の膜 蛋 白 質 で あ る シク ロ オキ シゲ ナ ーゼ に よ り合 成
の凝 集 阻害 活 性 は50%以
され水 溶液 中 で 容 易 に 分解 され るの で,細 胞 外 へ 分 泌 され
高 い病 原 型 ア ミロ イ ドβ蛋 白質(1-42)を マ ウス の脳 室 内へ
た リポ カ リ ン型 酵 素 が プ ロス タグ ラ ンジ ンD2の 生 合 成 に関
注 入 す る急性 凝 集 試 験 で は,そ の 組 織 沈 着 は リポ カ リ ン型
与 す る可 能性 は低 い.一 方 で,リ ポ カ リ ン型 酵 素 は,ほ か
酵 素 ノ ック アウ トマ ウ スで は野 生 型 マ ウス に比 べ て3.5倍 に
の リポ カ リ ン蛋 白 質 と同 様 に,レ チ ノイ ン酸 や レチ ナー ル
増 加 し,ヒ
な どの活 性 型 ビ タ ミンA,ビ
ェニ ック マ ウス で は23%に
リベ ル ジ ンや ビ リル ビ ンな ど
の ヘ ム分 解 物 と強 固 に結 合 す る.リ ポ カ リ ン型酵 素 の 発 現
充 進 は テ イサ ックス病 やサ ン ドホ ッフ病 な どの リ ソソー ム病
下 に低 下 した.さ らに,凝 集 能 の
トリポ カ リ ン型 酵 素 を大 量 発 現 す る トラ ンス ジ
減 少 した.こ れ らの結 果 は,ヒ
ト脳 脊 髄 液 の主 要 な蛋 白 質 であ る リポ カ リン型 酵 素(β トレ
ー ス)が ア ミロ イ ドβ蛋 白 質 の 凝 集 を恒 常 的 に抑 制 して お
で も認 め られ る の で,こ れ らの疾 患 で蓄 積 す る ガ ング リ オ
り,そ の 機 能 低 下 が 孤 発 性 ア ル ツハ イマ ー病 の発 症 リス ク
シ ドの リポ カ リ ン型 酵 素 へ の結 合 を表 面 プ ラ ズモ ン共 鳴 法
とな る可 能 性 を示 して い る22).
220
蛋 白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
㈹ ⑭Review⑭⑳
5.リ
ポ カ リ ン型 酵 素 の 遺 伝 子 操 作 マ ウ スの
機 能異 常
た が っ て,
こ れ らの 変 化 には飼 育 環 境 の差 な どほか の 環 境 要 因が 関係
してい る可 能 性 も考 え られ る.
リポ カ リ ン型 酵 素 の ノ ッ クア ウ トマ ウ ス は痛 覚 の異 常 を
示 し5),断 眠解 除 後 の 睡 眠増 加 が起 こ らない23).ま た,こ
B.神 経 保 護作 用 の異常
遺 伝 性 脱 髄 疾 患 で あ るク ラ ッベ 病 の モ デル動 物Twitcher
れ を過 剰 発 現 す る トラ ンス ジェ ニ ックマ ウ ス は尾 先 端 の切
マ ウスで は,脱 髄 に抵抗 性 を示 す領域 にお い てオ リゴデ ン ド
断 に よる痛 覚 刺 激 に よ り一 過 性 の 睡 眠発 作 を起 こ し6),卵
ロ グ リア細 胞 で の リポ カ リ ン型酵 素 の遺 伝 子 発 現 が上 昇 して
白 アル ブ ミ ン誘 発 喘 息 モ デ ル実 験 にお いて,抗 原 刺 激 に と
い た25).そ こで,リ ポ カ リ ン型 酵 素 ノ ック ア ウ トマ ウ ス に
も な う肺 で の プ ロス タ グ ラ ン ジ ンD2産 生,好
Twitcher変
Th2細
酸 球 浸 潤,
胞 か らの サ イ トカ イ ン産 生 の亢 進 を示 す.リ ポ カ リ
異 を導 入 した ところ,オ リ ゴデ ン ドロ グ リア細
胞 の アポ トー シスが亢 進 し,Twitcherマ
ウス で は起 こ らな
ン型 酵 素 遺 伝 子 操 作 マ ウ スの新 たな機 能異 常 を以 下 に示 す.
い神 経 細 胞 の アポ トー シスが誘 発 され た25).し たが って,リ
A.2型
ポ カ リ ン型 酵 素 は脱 髄 に と もな うグ リア細 胞 や神 経 細 胞 の ア
糖尿 病 モデ ル における インスリ ン感 受性 の低 下
ポ トー シス を抑 制 す る ことが証 明 され た.さ らに,新 生 仔 の
と動脈 硬 化 の進 展
米 国New
Database Center for Life Science Online Service
観 察 さ れ な い との 問合 せ が 寄 せ られ て い る.し
York州
立 大 学Stony
Brook校
のRagolia博 士
脳 虚血 モ デ ル を用 い た実 験 で は,低 酸 素 に よ る壊 死 領 域 の
らは,リ ポ カ リ ン型 酵 素 ノ ッ クア ウ トマ ウ ス に糖 尿 病 発 症
周 辺 部 の神 経 細 胞 に リポ カ リ ン型 酵 素 が 誘 導 され26),リ ポ
用 の 高脂 肪 食 を与 え る と,野 生 型 マ ウス よ りも早 く耐 糖 能
カ リ ン型 酵 素 ノ ックア ウ トマ ウス やDP1受 容体 ノ ックアウ ト
や イ ンス リ ン抵 抗 性 が 低 下 す る こ とを示 した.さ
マ ウス で は脳 虚 血 に よる壊 死 領 域 が 拡 大 す る27).し たが っ
らに,リ
ポ カ リ ン型 酵 素 ノ ッ クア ウ トマ ウス は大 動 脈 へ の脂 肪 の 蓄
て,リ ポ カ リ ン型酵 素 に よ り産生 され たプ ロス タグラ ンジ ン
積 が亢 進 して動 脈 壁 が 厚 くな り,血 中 ク レアチ ニ ン濃 度 が
D2は,DP1受
上 昇 して腎 機 能 が低 下 し脂 肪 細 胞 が肥 大 す る こ とを示 した.
られ る.ま た,多 発 性 硬 化 症 の病 巣 部 で は,αBク
これ らの結 果 か ら,2型 糖 尿 病 におけ る イ ンス リ ン感受 性 の
リンな どの ス トレス蛋 白 質 と リポ カ リ ン型 酵素 の分 布 が一 致
低 下 と動 脈 硬 化 の進 展 に リ ポ カ リ ン型 酵 素 が 関 係 す る と報
す る28).こ れ らの 結 果 を総 合 す る と,リ ポ カ リ ン型 酵 素 は
告 した24).し か し,同
神 経 炎 症 に対 して 抑 制 的 に作 用 す る もの と考 え られ る.
じノ ッ クア ウ トマ ウス を用 い て 同 様
の 高 脂肪 食 の 負 荷 実 験 を した複 数 の グ ルー プ か ら,こ の よ
うな顕 著 な グ ル コース 反 応 性 や イ ンス リン抵 抗 性 の変 化 が
図4
C.睡
容体 を介 して神 経 保 護 に作 用 す る もの と考 え
ラスタ
眠 調 節 の異 常
筆 者 ら は,早
石 博 士 と と も に,プ
ロ ス タ グ ラ ン ジ ンD2に
プロスタグラ ンジ ンD2に よる睡 眠誘発の シグナル伝達 系
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
221
よ る睡 眠誘 発 の シグ ナル伝 達 系 を解 明 して きた.そ の 結 果,
合 成 酵 素 阻 害 剤SeCl4を 投 与 す る と,脳 内 の プ ロス タグ ラ
現 在,プ
ン ジ ンD2量 が低 下 して一 過 性 の 完 全 な不 眠 状 態 に な るが,
ロス タ グ ラ ンジ ンD2は 睡 眠 誘発 の分 子 機構 が もっ
と も解 明 され た睡 眠物 質 と して世 界 の 睡 眠学 会 で認 め られ て
リポ カ リ ン型 酵 素 ノ ック ア ウ トマ ウ ス やDP1受
いる.そ の シグナ ル伝 達 系 につい てはす でに多 くの総説23,29,30)
ア ウ トマ ウス の睡 眠 には これが まった く影 響 しな い こ とを証
で紹介 して い るが,以 下 の よ うに要約 で きる(図4).
明 した31)(図5).こ
プ ロス タグ ラ ンジ ンD2は,脳
を包 む くも膜 や脳 の実 質 で
れ らの結 果 は,リ ポ カ リ ン型 プ ロス タ
グ ラ ンジ ンD合 成酵 素,プ
ロ ス タグ ラ ンジ ンD2,DP1受
容
あ るオ リゴデ ン ドロ グ リア細 胞 に局 在 す る リポ カ リ ン型 プ ロ
体 系 が 生 理 的 睡 眠 の維 持 に必 須 であ る こ とを示 して い る.
ス タ グラ ンジ ンD合 成 酵 素 に よ り産生 され10),脳 脊 髄 液 に
D.プ
ロ モ ー タ ー解 析 と脂 肪 細 胞 分 化 へ の 関 与
ヒ トお よび ラ ッ トの リポカ リン型 酵 素 遺 伝 子 のプ ロモ ー タ
分 泌 されて睡 眠 ホ ルモ ン と して脳 内 を循 環 す る.そ の後,視
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容 体 ノ ック
交 叉 か ら視 床 下 部 後 部 に至 る く も膜 に局 在 す るDP1受 容 体
ー 領 域 に は 甲状 腺 ホ ル モ ン応 答 配列 が存 在 し,リ ポ カ リ ン
を刺 激 して,局 所 の細 胞 外 アデ ノ シ ン濃 度 を上 昇 させ る15).
型 酵 素 の遺 伝 子 発 現 は,マ ウ スGT1-7神
アデ ノ シ ンは第2の 睡 眠物 質 として脳 の 実質 に拡 散 し,ア デ
メ タゾ ンで増 加 し,ラ ッ ト脳 やマ ウス心 臓 で はエ ス トロゲ ン
ノ シ ンA2A受 容 体 を もつ神 経 細 胞 を刺 激 して視 索 前 野 の睡
β受 容 体 刺 激 に よ り調 節 され る.さ
眠 中枢 を活性 化 す る.同 時 に,そ こか らGABAお
培 養 細 胞 で はAP-2応
よ びガ ラ
らに,ラ
ッ トの くも膜
答 配列 を介 して活 性 化,Eボ
ニ ン系 の抑 制 性 投 射 を受 け る ヒス タ ミ ン系 覚 醒 中枢 を抑 制
介 してNotch-Hesシ
して睡 眠 を誘 発 す る.こ の 睡 眠 覚 醒 調 節 系 は,カ フ ェイ ン
所 のNF-κB結
の ア デ ノ シ ンA2A受 容 体 拮 抗 作 用 に よる睡 眠 阻害 や,ヒ
脳 由 来 髄 芽細 胞(TE671細
ス
経 細 胞 で はデ キサ
ックス を
グナル系 に よ り抑 制 され,そ
して,2カ
合 配 列 に よ り緩 やか に活 性 化 され る.ヒ ト小
胞)で は,Notch-Hesシ
グナル系
タ ミンH1受 容 体 拮 抗 薬 に よ る睡 眠 誘 発 を合 理 的 に説 明 し,
に よ る抑 制 が プ ロテ イ ンキ ナー ゼCに
プ ロス タグ ラ ン ジ ンD2や ア デ ノ シ ンな どの睡 眠 物 質 に よる
に よ り解 除 され,リ ポ カ リ ン型 酵 素 遺 伝 子 の 発 現 レベ ルが
液性 調 節系 と,モ ノア ミ ン神 経 系 を含 む シナ プ ス伝 達 系 と
上 昇 す る32).ま た,メ ラノ サ イ トの 分化 に重 要 な転 写 因子
を統 合 す るす ぐれた モ デル で あ る.
MITFがB16メ
さ ら に2006年,小
ONO4127Naが
野 薬 品 で 開 発 さ れ たDP1拮
ラ ノー マ細 胞 に お け る リポ カ リ ン型 酵 素 遺
伝 子 の 発現 に 関与 し,そ の プ ロモ ー ター領 域 内 に6個 あ るE
ラ ッ トの睡 眠 時 間 を用 量 依 存 的 に低 下 させ
ボ ックス の うち少 な くともひ とつ を介 して リポ カ リ ン型酵 素
の 発 現 が 上 昇 す る こ とが 明 らか に なっ た33).
マ ウスの睡眠 覚醒 にお けるSeCL4投 与 の効 果
SeCl4を 投 与 す る(↓)と,野
生 型 マ ウ ス(a)は 一 過 性 の完 全 な 不 眠状 態 にな るが,リ ポ カ リン型 プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 ノ ックア ウ トマ ウス(b)や,DP1受
容体 ノ ックア ウ トマ ウス(c)は,ま
った く影 響 さ れ ない.non-REM:ノ
て,記 憶 の 定 量 に関 係 す る といわ れ る睡 眠).●:対
222
リ ン酸 化
抗薬
る こ とを証 明 し31),野 生 型 マ ウス にプ ロス タ グ ラ ンジ ンD
図5
よ るHesの
蛋 白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
ン レム 睡 眠(意 識 が な くな り,脳 の 疲 れを と ると いわ れ る睡 眠),REM:レ
照,●:SeCl4を5mg/kg投
(2008)
与.
ム睡 眠(夢 を み
Review
図6
マ ウス3T3-L1細 胞 の リポカ リン型プ ロス タグ
ラ ンジンD合 成酵 素siRNA処 理 によ る脂 肪 細
胞へ の分 化抑制
Oil-RedOに
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一 方 ,マ
ウス の 前 駆 脂 肪 細 胞 で あ る3T3-L1細
胞 で は,
遺 伝 子 プ ロモ ー ター領 域 にOct-1結 合 配 列 お よびAP-2応
脂 肪細 胞 へ の 分 化 が 進 む と リポ カ リ ン型 酵 素 の 遺伝 子発 現
配 列 が 同 定 され,ヒ
は上 昇 す る.こ の と き,リ ポ カ リ ン型 酵 素 の 遺伝 子発 現 を
定 さ れ たGEF(グ
siRNAで
RasGPR4の
抑 制 す る と脂 肪 細 胞へ の分 化 が抑 え られ る(図6).
未 分 化 の3T3-L1細
胞 で は,リ ポ カ リ ン型 酵 素 遺 伝 子 の発
現 は核 内 受 容 体 の ひ とつ であ るLRH-1に
よ り活 性 化 され る.
そ して,分 化 した脂 肪 細 胞 で は,核 内 受 容体LXRα
活性 化 され たSREBP-1cに
によ り
よ る脂 肪 染 色
ト肥 満 細 胞株HMC-1を
答
用 い て新 し く同
ア ニ ン ヌ ク レオ チ ド交 換 因 子)で あ る
過剰 発 現 が造 血 器 型 プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成
酵 素 の 誘 導 をひ き起 こす こ とが 証 明 され た.こ の酵 素 に 関
す る新 しい 知 見 を以 下 に ま とめ る.
1.X線
結 晶構 造 解析
よっ て リポ カ リン型 酵 素 遺伝 子
の発 現 が 活 性 化 され る34).
1997年,ラ
ッ ト造 血 器 型 酵 素 の2.3Å 分 解 能 でのX線
結
晶構 造 が決 定 され た4).結 晶 は非 対 称 単位 あた り1分 子 の2
IV 造血器型 プロスタグランジンD
合成酵素 に関する新知見
量 体 を含 ん で い た.造 血 器 型 酵 素 の単 量 体 は,4本
トラ ン ドと3本 の αヘ リ ッ クス で構 成 され るN末 端 側 ドメ
イ ン と,5本
造 血 器 型 プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 は,酵 素 反 応 に
必 ず グル タチ オ ンを要 求 し,中 性 領 域 に至 適pHを
質 に対 す るKm値
もち,基
と代 謝 回転 数 は リポカ リ ン型 プロ ス タグ ラ
ン ジ ンD合 成 酵 素 と比 べ て高 い値 を示 す.ラ
の βス
ッ ト,ヒ ト,
の αヘ リ ックスで構 成 され るC末 端 側 ドメイ ン
か らな り,全 体 の構 造 はほ か の グ ル タチ オ ン転 移 酵 素 と類
似 してい る.2つ
の ドメ イ ンに挟 まれ たク レフ ト構造 のN末
端 側 ドメ イ ンに面 した部 位 に グ ル タチ オ ンが結 合 す る.こ
の ク レフ ト構 造 は造 血 器 型 酵 素 に特徴 的 な構 造 で あ り,ほ
マ ウス に お け る造 血 器 型 プロス タグ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 は,
か の グ ル タチ オ ン転 移 酵 素 に はみ られ ない.さ
いず れ も199ア ミノ酸 残 基 で構 成 され る単純 蛋 白 質 であ り,
フ ト構 造 の グ ル タ チ オ ン結 合 部 位 と反 対 側 に存 在 す る
グル タチ オ ン転 移 酵 素 遺 伝 子 フ ァ ミ リー に属 す る4).し か
Trp104の
し,哺 乳 類 に お け る既 知 の グ ル タチ オ ン転 移 酵 素 ク ラ ス,
る こ とが,造 血 器 型 酵 素 の 触 媒 部 位 へ の プ ロス タグ ラ ンジ
α,μ,π,θ
ンH2の 結 合 を可 能 に して い る.こ の結 晶構 造 に も とづ く部
の いず れ ともア ミノ酸 配 列 の 相 同 性 は低 く,
らに,ク
レ
イ ン ドール環 側 鎖 が グル タチオ ンと平行 に配 位 す
これ まで 昆 虫 や頭 足 類 な ど無 脊椎 動 物 にの み 同定 され て い
位 特 異 的 変 異 法 に よ り,Tyr8とArg14が
た σ型 グル タチ オ ン転 移 酵 素 と高 い 相 同性 を示 す.つ ま り,
チ オー ル 基 の活 性 化 に,Lys112,Cys156,Lys198が
造 血 器 型 プ ロス タグ ラ ンジ ンD合 成 酵 素 は,脊 椎 動 物 にお
ス タグ ラ ンジ ンH2の 結 合 に,Trp104が
い て は じめ て 同定 され た σ型 グ ル タチ オ ン転 移 酵 素 であ る.
ンD合 成 酵 素 お よび グ ル タチ オ ン転 移 酵 素 と して の 活 性 中
造 血 器 型 プ ロス タ グ ラ ンジ ンD合 成酵 素 に よ り合 成 され
る プ ロス タグ ラ ン ジ ンD2が ア レル ギー 反応 の進 展 に密接 に
かか わ る こ とは,多
くの薬 理 学 的 な実 験 や 臨 床研 究 の 結 果
か ら示 唆 され て きた.そ
して,喘 息 との 関係 が疑 われ る遺
伝 子 多 型 が 日本 人 で 発 見 され た.ヒ
ト巨核 芽 細 胞 を用 い て
グル タチ オ ンの
プロ
プ ロス タグ ラ ンジ
心 構 造 の維 持 に,関 与 す る こ とが 判 明 した.
2003年
に は,ヒ
ト造 血 器 型 酵 素 の1.7Å 分 解 能 で のX線
結 晶 構 造 が 決 定 さ れ た7).得
ら れ た 結 晶 は ラ ッ ト造 血 器 型
酵 素 と は 異 な る 空 間 群 を も ち,2量
体 の 中 心 にCa2+やMg2+
が1分 子 結 合 して い た.そ
れ ら の2価
し て,こ
蛋白質 核酸 酵素
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カチ オ ンは造
(2008)
223
血 器 型 酵 素 を活 性 化 し,と くに,Mg2+は
数 十 μMの50%
造 血 器型 酵 素 の 複 合体 が形 成 され,ア
ラキ ドン酸 か らプ ロ
有 効 濃 度 で グル タチ オ ン親和 性 を数 倍 にす る こ とが 明 らか
ス タ グラ ンジ ンD2へ の 変換 を高 効 率 に行 な う もの と考 え ら
に な っ た.し たが つ て,造 血 器 型 酵 素 は細 胞 内 でMg2+を
れ る.培 養 細 胞 を用 い た 実験 で シク ロ オ キ シゲ ナ ー ゼ 阻害
結 合 した2量 体 として存 在 す る もの と考 え られ る.
活 性 を もたな いHQL-79が
2006年,今
HQL-79複
度 は ヒ ト造 血 器 型 酵 素-グ ル タチ オ ン-Mg2+-
合 体 の1.45Å 分解 能 で のX線 結 晶構 造 を決 定 し
た8)(図7).そ
の結 果,造 血 器 型 酵 素 阻害 薬HQL-79は
プロ
ス タ グ ラ ンジ ンH2に は拮 抗 し,グ ル タチ オ ンの結 合 には干
プ ロス タグ ラ ンジ ンの総 量 を抑 制
す る事 実 は,シ ク ロ オキ シゲ ナ ーゼ と造 血 器 型 酵 素 との複
合 体 の 形 成 を 強 く示 唆 す る.現
Cayman社
3.各
在,HQL-79は
米国
よ り研 究 用 に販 売 され て い る.
種 の 炎 症 にお け る発 現
渉 せ ず に活性 部 位 に結 合 す る こ とが確 認 で きた.さ らに,こ
の複 合 体 の結 晶構 造 解 析 を用 い て よ り強 力 な阻 害剤 が 開発
され た.
2.阻
膚 ラ ンゲ ル ハ ンス細 胞,
肝 臓 ク ッパ ー細 胞,胸 腺 樹 状細 胞 な どの抗 原提 示 細 胞,血
害 薬HQL-79の
HQL-79は,住
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造 血 器 型 酵 素 は,肥 満 細 胞,皮
小 板 前 駆 細 胞 由来 の巨 核 芽 細 胞,Th2細
発見
胞,ミ
クロ グ リア
細 胞 な どの 造 血 系 の 細 胞 に 局在 す る.造 血 器型 酵 素 は さま
友 金属 の旧 ハ イ クオ リテ ィー ラ イフ研 究 所
ざま な哺 乳 動 物 の 卵 管 で もっ と も遺 伝 子 発 現 が 高 いが,そ
に よ り,経 口投 与 で の有 効性 を もつ抗 ア レル ギ ー薬 と して
の機 能 に関 して は不 明 で あ る.現 在 の とこ ろ,造 血 器 型 酵
開 発 され た14).し か し,HQL-79の
薬 効 の一 部 が プ ロス タ
素 の ノ ック ア ウ トマ ウ ス の生 殖 や繁 殖 に異 常 は認 め られ て
グ ラ ンジ ンD2産 生 を抑 制 す る可 能 性 が指 摘 され,精 製標 品
い ない.一 方,造 血 器 型 酵 素 とア レル ギー 反応 との 関係 は,
を用 い た解 析 の 結 果,HQL-79は
DP1受 容 体,DP2受
プ ロス タ グ ラ ンジ ンH2に
対 して競 合 的 に,グ ル タチ オ ン に対 して は非 拮 抗 的 に,ヒ
ト造 血 器 型 酵 素 を 阻害 す る こ とが 確 認 され た8).ヒ
ト造 血
容 体 との 関 連 か ら精 力 的 に研 究 が進 ん
で い る.ア レル ギ ー性 鼻 炎 の患 者 の鼻 粘 膜 で は造 血 器 型 酵
素 の発 現 が 充 進 し,炎 症 局 所 で の好 酸 球 の浸 潤 とDP2受 容
器 型 酵 素 を発 現 す る培 養 細 胞 や トラ ンス ジ ェ ニ ックマ ウ ス
体 の発 現 が 正 の 相 関 を示 す.一 方,好
を用 い た実 験 で は,HQL-79は
再 発 率 の高 い鼻 茸 の 患 者 で は,造 血 器 型 酵 素 が 陽性 の好 酸
造 血 器 型 酵 素 を特 異 的 か つ
酸 球 浸潤 が亢 進 して
用 量 依 存 的 に阻 害 し,ほ か の プ ロス タノ イ ド合 成 に はほ と
球 の比 率 が 増 加 す る.最 近 で は,ア
ん ど影 響 しない.さ
患 にお い て も造 血 器 型 酵 素 の発 現亢 進 が 報 告 され て い る.
らに,HEK293細
胞へ造血器型酵素 と
シク ロ オ キ シゲ ナ ー ゼ を安 定 発 現 させ た細 胞 株 を用 い た研
そ の例 を以 下 に紹 介 す る.
究 で は,造 血 器型 酵 素 は細 胞 質 型 ホ スホ リパ ーゼA2と 同様
A.神
に,細 胞 内Ca2+の 上 昇 に と もな い細 胞 質 か ら細 胞 膜 へ移 動
す る こ と も示 され た.お そ ら く,プ ロス タグ ラ ンジ ンD2産
レル ギ ー炎 症 以 外 の疾
経 炎症 の拡 大 への関 与
上 述 の遺 伝 性 脱 髄 疾 患 モ デ ル動 物 で あ るTwitcherマ
ウ
ス で は,脱 髄 部 位 近 傍 の活 性 化 ミク ロ グ リア細 胞 で造 血 器
生 時 に は細 胞 質 型 ホス ホ リパ ーゼA2-シ ク ロオ キ シゲナ ーゼ-
図7
ヒ ト造 血 器 型 プ ロス タ グ ラ ン ジ ンD合
ン-Mg2+-HQL-79複
合 体 のX線
成 酵 素-グ ル タ チ オ
結 晶 構 造8)
[PDBID: 2CVD]
224
蛋 白質 核酸 酵素
図8
HQL-79投
脱髄 抑制
髄鞘染色.
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No. 3
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与 に よ る 遺 伝 的 脱 髄 モ デ ルTwitcherマ
ウスの
ョReview
型 酵 素 が 誘 導 さ れ,同
時 に,活
性 化 ア ス トロ グ リ ア 細 胞 で
DP1受
容 体 が 発 現 す る35).さ
ら に,培
養 細 胞 を用 い る こ と
で,ミ
ク ロ グ リ ア 細 胞 が プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ンD2を
ロ ス タ グ ラ ン ジ ン と し て 産 生 しそ れ がHQL-79に
れ る こ と や,活
DP2受
よ り阻 害 さ
性 化 ア ス ト ロ グ リ ア 細 胞 にDP1受
容 体 が 発 現 し て 自 己 刺 激 的 にDP1受
態 変 化 を 起 こす こ と,DP1受
亢 進 す る こ と,な
主要なプ
容体や
容 体 の 誘 導 や形
容 体 の 刺 激 に よ りIL-6産 生 が
どが 明 らか に な っ た.そ
して,Twitcher
変 異 を 導 入 した 造 血 器 型 酵 素 ノ ッ ク ア ウ トマ ウ ス やDP1受
容 体 ノ ッ ク ア ウ トマ ウ ス で は,脱
の 活 性 化 が 抑 制 さ れ,Twitcherマ
た 場 合 に も,脱
髄 や ア ス トロ グ リ ア細 胞
ウ ス にHQL-79を
投与 し
髄 や ア ス ト ロ グ リ ア 細 胞 の 増 殖 が 顕 著 に抑
制 さ れ る こ と が 明 ら か に な っ た35)(図8).し
た が っ て,髄
図9
HQL-79投
与 に よ るmdxマ
ウ ス の 筋 壊 死 抑 制 を 示 すCT
画像
HQL-79の 連続投与の前後でX線 造影剤を用いて撮影 したもの.筋 壊死領域
を赤色で表示 した.
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鞘(ミ エ リ ン)形 成 に 必 要 な ガ ラ ク トシ ル セ ラ ミ ダ ー ゼ の 遺
伝 的 欠 損 で あ るTwitcherマ
ウ ス の 脱 髄 は,そ
の 遺伝 子 欠
損 に よ る オ リ ゴ デ ン ド ロ グ リ ア細 胞 の ア ポ トー シ ス に よ る1
年 よ り5年 計 画 で 進 め てい る.
次 性 脱 髄 だ け で な く,活
C.遺 伝 子 操作 マウス で認 め られ る機 能 異常
性 化 ミ ク ロ グ リ ア 細 胞 と ア ス トロ
グ リ ア 細 胞 と の あ い だ の プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ンD2と
イ ン 産 生 を介 し た 神 経 炎 症 に よ る2次
的 脱 髄 を含 む こ とが
神 経 炎 症 や筋 壊 死 のモ デ ル と して 行 な っ た外 傷 性 脳 損 傷
や ブ ピバ カ イ ン誘 発 性 筋 壊 死 の モ デ ル 実 験 で は,と
もに,
与 に よる脱 髄 の顕
造 血 器 型 酵 素 の ノ ック ア ウ トマ ウス で は損 傷 拡 大 の程 度 が
的 脱 髄 の 貢 献 が き わ め て 大 き い こ と を示 し
軽 く,過 剰 発 現 型 トラ ンス ジ ェニ ッ クマ ウ スで は損 傷 が拡
明 ら か に な っ た35).と
著 な 改 善 は,2次
サ イ トカ
く に,HQL-79投
て い る.
大 した.さ
B.デ
ウ スで は,造 血 器 型 酵 素 の欠 損 は癌 の 大 き さを変 えず に個
ュ シェ ン ヌ 型 筋 ジ ス トロフ ィー に お け る 関 与
病 理 組 織 の研 究 か ら,デ ュ シ ェ ン ヌ型 筋 ジス トロ フ ィー
らに,大 腸 癌 モ デ ル と して使 わ れ るApcMin/+マ
数 を50%増
加 させ,ヒ
ト型 造 血器 型 酵 素 の大 量発 現 は個 数
や 多 発性 筋 炎 な どの筋 繊 維 の集 団 的 な壊 死 を特 徴 とす る疾
を80%に
患 で は,壊 死 筋 の 周 辺 で 造 血 器 型 酵 素 が 誘 導 され る こ とが
分 布 す る造 血 器 型 酵 素 は大 腸 癌 の転 移 を抑 制 して い る と考
発 見 され た13).そ して,そ の モ デ ルマ ウ スの 筋壊 死 部位 で
え られ る36).
も造 血 器 型 酵 素 の 発 現 が 確 認 さ れ,HQL-79を5日
間 連続
投 与 した と ころ筋 壊 死 領 域 が 大 幅 に縮小 した(図9).こ
低 下 させ るの で,腸 のマ クロ フ ァー ジや 単 核 球 に
お わ りに
の
結 果 は,造 血 器 型 酵 素 に よ り産 生 され る プ ロス タグ ラ ンジ
この総 説 は,2007年5月
に仙 台 で開 催 され た 日本 蛋 白質
ンD2を 介 して筋壊 死 が2次 的 に拡 大 す る こ とを示 して い る.
科 学 会 で の 講 演 内 容 を中 心 に ま とめ た もの であ る.内 容 的
デ ュ シ ェ ンヌ型 筋 ジス トロ フ ィー は筋 肉 細 胞 の 細 胞 膜 の 裏
に は,こ れ まで に発 表 した総 説 との重 複 もあ るが,ご 容 赦
打 ち蛋 白 質 で あ る ス トロ フ ィ ンの遺 伝 的 変 異 に よ り発 症 す
い た だ きたい.最 後 に,本 稿 で紹 介 した研 究 に協 力 して い
る疾 患 で あ り,各 種 の 筋 ジス トロ フ ィーの なか で もっ と も
た だ い た多 くの共 同研 究 者 に感 謝 します.
発 症 頻 度 が 高 く(男 性4000人
に1人),筋
壊 死の進行が速
い ため多 くの 患 者 が30歳 まで に寿 命 を終 え る.し か し,ス
テ ロ イ ド投 与 な どの対 症 療 法 以 外 に この疾 患 に有 効 な治 療
文
法 が な い.筆 者 らの研 究 は,こ の難 病 に対 して プ ロス タグ
ラ ンジ ンD2産 生 を抑 制 して筋 壊 死 の拡 大 を軽 減 す る新 た な
治療 法 を 開発 で きる可 能性 を示 して い る.現 在,筋 壊 死 や
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裏 出良 博
略 歴:1982年
京都 大学 大 学院 医 学研 究科 博 士課 程 修 了,新 技
術 開発 事 業 団 早 石 生 物 情 報伝 達 プ ロ ジ ェ ク ト 研 究 員 を経 て,
1988年 米 国Roche分 子生 物 学研 究所 客 員研 究員,1990年
日
Research Network, Kerala (2006)
21) Mohri, I. et al.: J. Neurochem., 97, 641-651 (2006)
本 チバ ガイ ギー国 際科 学研 究所 主 任 研 究 員,1993年
22) Kanekiyo, T. et al: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 6412-6417
オサ イエ ンス研 究所 分子 行 動 生物 学 部 門 副 部長,1998年
同 研 究部 長.
(2007)
23) Hayaishi, O., Urade, Y., Eguchi, N., Huang, Z. -L.:Arch. Ital. Bib].,
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24) Ragolia, L. et al.: J. Biol. Chem., 280, 29946-29955 (2005)
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226
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
大 阪バ イ
より
研 究 テ ーマ:プ ロス タ グラ ンジ ン,睡 眠物 質,睡 眠 の遺 伝 子 工
学,脳 膜 神経 相 関.
関 心 事 ・抱負:基 礎 研 究 をきわめる ことが,さ まざま な分 野 と結
び つ き,応 用 性 の高 い,実 用 的 な成 果 につ なが るこ とを実 証 して
い きた い.明 る く楽 しくな けれ ば研 究 では ない,が モ ッ トー.
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