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グローバルETF市場について
グローバルETF市場について ―海外においてETFの利用が活発化する理論的な背景について― 藤 川 克 己 CMA 國 澤 太 作 CMA・CIIA 目 1.はじめに 2.ETFの特徴 3.海外ETFの現状 次 4.ETFが活用される理論的な背景 5.各資産のリスク・エクスポージャーとETF 6.終わりに 海外においてETF市場は急速に拡大し、2010年7月末時点において2,282銘柄が世界中の証券取引所に上場さ れ、純資産残高は1兆ドルを超える規模になっている。 本稿では、急速に拡大する海外のETF市場について、商品としての特徴をまとめるとともに、ETFが海外で 活用される理論的な背景を整理した。その中で、海外ではアルファとベータを分離する考え方が浸透し、ベータ のリスク・エクスポージャーを効率的に取得する手段としてETFの利用が活発化していることを説明した。 発展してきた時期は、金融商品の数と種類が爆発 1.はじめに 的に増加した時期と重なっている。そうした金融 ETF市場は1993年に3銘柄、純資産残高も約 商品の中には、プット・オプション付きゼロクー 10億ドルで始まり、わずか17年で1兆ドル超え ポン転換社債、インバース・フローター債、CDO という急拡大を遂げた市場である。ETFが登場、 といった複雑な仕組みを持った有価証券やデリバ 藤川 克己(ふじかわ かつみ) ブラックロック証券株式会社iシェアーズ事業部長 ディレクター。1989年神戸大学経営 学部卒業。同年4月、バークレイズ証券入社、93年UBS証券会社入社、98年外国株式部長、 2006年株式資本市場部長、08年6月にバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現・ ブラックロック・ジャパン)入社、10年3月より現職。 國澤 太作(くにさわ たいさく) ブラックロック証券株式会社iシェアーズ事業部 ヴァイス・プレジデント。1994年神戸 大学経済学部卒業。同年4月、日本生命保険相互会社入社、2008年3月にバークレイズ・ グローバル・インベスターズ(現・ブラックロック・ジャパン)入社、09年12月より現職。 6 証券アナリストジャーナル 2010.11