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インフラ投資におけるポートフォリオの構築
インフラ投資 インフラ投資におけるポートフォリオの構築 ―インフラ資産の特性に応じたポートフォリオ構築手法とは― 河 邑 純一郎 目 1.はじめに 2.インフラの資産特性について 3.ポートフォリオ構築の実践 次 4.インフレ対抗性について 5.終わりに インフラ投資は、景気変動との相関も低く、インフレ連動性もあることから、投資魅力度の高い資産として注 目を集めているが、投資家からは、期待していたような成果が得られていないとの声も多い。弊社では、その主 因を、投資家のインフラの資産特性とポートフォリオ構築手法のミスマッチにあると考えており、本稿では、イ ンフラ資産の特性を分析した上で、その特性に見合ったポートフォリオ構築の実践について解説を試みる。 の、ダウンサイド・リスクが限定的で、インフラ 1.はじめに 資産の運営から得られるキャッシュフローから、 先進国経済は引き続き低成長を余儀なくされる リスクフリー・レートに対する数百ベーシスのプ と予測される一方で、安全資産の実質利回りは、 レミアムを安定的に得ること、および、この資産 金融緩和政策による過剰な資金流入によって、歴 のポートフォリオが、有意なインフレ連動性を示 史的にみても低い水準にある。このような状況下 し、投資シナリオに織り込まれていないような予 で、望ましいレベルのキャッシュイールドを生み 期しないインフレが起こった場合でも、(債券と ながら、安定したパフォーマンスを上げる資産ク は異なり)ポートフォリオを守ってくれること、 ラスであるインフラが注目を集めるのは自然な流 の2点に集約できるであろう。 れと言えよう。 しかしながら、この資産クラスに今まで資金を 投資家が、この資産クラスに対して期待してい 投じてきた投資家の多くが、この目的を達成でき るのは、キャピタルの高成長は期待できないもの ているとは言い難い。その要因はさまざまだが、 河邑 純一郎(かわむら じゅんいちろう) パートナーズ・グループ 日本代表/シニア・バイス・プレジデント。1985年東京大学 経済学部卒業。同年4月、安田信託銀行入社。1991年カリフォルニア大学バークレー校 HAASビジネススクール修了。第一勧業富士信託(現みずほ信託銀行)運用企画部、運用 ソリューション室を経て、2007年8月より現職。 16 証券アナリストジャーナル 2014. 6