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<脊柱と骨盤の構造> <腰痛の動きによる分類> <良い姿勢が腰痛

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<脊柱と骨盤の構造> <腰痛の動きによる分類> <良い姿勢が腰痛
<腰痛の動きによる分類>
腰痛を治すには医師からの診断を受けて明確な病名を知ることが必要
ですが、どのように動くと腰が痛むのかを自分自身で把握し、腰痛の
原因となる動作を修正していくことが大切です。
屈曲型
股関節を屈曲するときに痛みが強くなるタイプです。
でんきん
この場合、背筋・臀筋(お尻の筋肉)やハムストリン
グスが硬くなることで、骨盤が後傾するために、痛
みが発生します。ハムストリングスや臀筋群のスト
レッチが有効です。
伸展型
にくづき
かなめ
「腰」という漢字は、身体の一部分であることを表す部首「肉月」に「要」
と書きます。漢字の通り、腰は身体の中でも重要な部位であり、大き
な負担がかかる部位でもあります。この「身体の要」に傷害を起こし
てしまうと、運動中だけでなく、日常生活にも支障をきたしてしまう
ことは、言うまでもありません。今回は、腰部に焦点をあて、痛みを発
生させる基本的なしくみとその予防法をご紹介します。
腰部に起こる傷害を総称して「腰痛」と呼びますが、腰痛は二足歩行を
している人間特有のケガなのです。もともと、四本の足で歩いていた
ときには、背骨が水平だったため、それほどストレスもかからず、体重
も四本の足で分散することができました。それが二足歩行になったこ
とで、背骨を中心に垂直方向にストレスがかかることになり、特に腰
部は上半身の重みを支えなければならなくなったのです。
<脊柱と骨盤の構造>
腰痛について説明する前に、まずは背骨の構造を見てみましょう。背
せきちゅう
骨は脊柱といい、右真横から見ると、緩やかな S 字型のカーブを描い
ています。このカーブによって身体のバランスをとり、重力を分散し
けいつい
きょうつい
ようつい
尾骨 3∼6 個が連なって脊柱を形成しています。
回旋型
体幹を回旋することによって痛みが強くなるタイプ
です。このタイプの多くが、回旋するときの腹筋の
緊張が不十分なために骨盤の前傾が起こりやすくな
ります。野球やテニス、ゴルフなど同一方向へ回旋
する競技に多く見られます。
安静型
長時間座っていたり立ちっぱなしの姿勢をしていることによって
痛みが強くなるタイプです。すでに腰椎分離症などで骨や椎間板
に異常をきたしている人に多くみられます。
いずれにもしても、多くの場合が S 字型のカーブが崩れることによっ
て起こります。腰痛予防のためには、まずは姿勢を正すことがとても
重要なのです。
せんこつ
ているのです。頭蓋骨から、頸椎 7 個−胸椎 12 個−腰椎 5 個−仙骨−
びこつ
股関節を伸展するときに痛みが強くなるタイプです。
ちょうようきん
この場合、大腿四頭筋や腸腰筋など大腿前面の筋肉
が縮んでしまうことで、骨盤が前傾するために、痛
みが発生します。股関節前面の筋肉のストレッチが
有効です。
<良い姿勢が腰痛予防の第一歩>
また、仙骨の両側には耳のような形をし
それでは正しい姿勢というのはどのようなものでしょうか。横と後ろ
た寛骨がついています。第 5 腰椎、仙骨、
から姿勢をチェックしてみましょう。
かんこつ
尾骨、それに左右の寛骨によって骨盤が
形成されているのです。
頸椎から腰椎にかけては、合計 24 個の
ついこつ
椎骨という骨が積み重なっています。椎
ついかんばん
骨と椎骨の間には椎間板があり、重力や
衝撃を吸収するクッションの役目をして
います。また脊柱の中には、脳からの命
令を伝えたり、知覚をつかさどる重要な
神経が走っています。脊柱には、この神
経組織を保護する役割もあるのです。
脊柱と骨盤の周りには、たくさんの筋肉
と靭帯があります。筋肉は脊柱を支える
重要な役割を果たしており、腹筋と背筋
のバランスが保たれていることで、脊柱
を安定させています。骨盤内は多くの靭
帯で結合されて安定していますが、脊柱
へ衝撃がかかったり、バランスが崩れる
ことによって、骨盤にも負担がかかり、腰
痛の原因となります。
横からのチェック
耳(耳穴)→肩(肩峰)→大転子(大腿骨のでっぱり)→膝(外側靭帯部分)
→外踝(外くるぶし)の各ポイントを直線で結んでみましょう。
各ポイントが地面に対して垂直な直線上にあるような姿勢が正常です。
後ろからのチェック
次の 3 つのポイントについて、地面に対して平行になっているかを見
てみましょう。平行になっていない場合、どのようにズレが生じてい
るかを確認します。
1
耳の位置が地面に対して平行か?
2
肩の高さが地面に対して平行か?
3
骨盤の位置が地面に対して平行か?
身体を横と後ろから観察し、傾き、ねじれ、曲がり具合をチェックする
ことで、正しい姿勢への意識づけとなります。
<骨盤体操>
骨盤体操とは、骨盤の傾きやねじれによるアンバランスな状態を骨盤
の 6 つの動きで改善するエクササイズです。関節や筋肉の硬さを取り
除きながらバランスを整え、さらに股関節の柔軟性も合わせて向上さ
せます。また、この方法はリハビリテーションの一つとしても行うこ
とができます。
1
骨盤の前弯
(前傾)と後弯(後傾)
仰向けで膝を立てて、骨盤の仙骨あたりに両手の甲を入れます。背中
を浮かせないように骨盤を上下に動かしながら前弯と後弯と繰り返し
て骨盤だけを動かします。
今回は身体のバランスを整え、腰痛を予防し、痛みを軽減する方法と
して、ストレッチと骨盤体操をご紹介します。
<ストレッチ>
腰まわりの柔軟性を向上させ、前後左右のバランスを整えます。左右
同じように行い、ストレッチ感(伸びの感覚)を確認します。左右に違
いがある場合は、伸びにくい側のセット数を増やして行いましょう。
1
腰部捻転
臀部、大腿後面、腰部、後背部
2
体側
腹部、後背部、腰部
2
骨盤の上方回旋と下方回旋
仰向けになります。骨盤から下半身を右→左と上下に動かして、骨盤
の上方回旋と下方回旋を行います。腰に痛みが出ないように行います。
曲げる脚と同じ側の肩が浮かないように
します
体側が真横にカーブを描くようにします
3
(腸腰筋、大腿前部)
股関節前側
股関節前面、腹部、腸腰筋
4
股関節内旋
股関節外旋筋群
3
骨盤の前方回旋と後方回旋
座位で足が浮いた状態で行います。骨盤を右→左と前後に動かして、
骨盤の前方回旋と後方回旋を行います。
上体を起こして後ろの膝が曲がらないよ
うにします
膝の内側を床につけるようにします
5
臀部外側
(外転と外旋)
股関節内旋筋群、臀部外側、腸腰筋
これらの動きができるようになったら、次のステップとして、体重を
かけて行う方法やトレーニング(ダイナミックフレキシビリティ)に
移行していきます。腰痛を予防するためには、骨盤と股関節の「バラ
ンス」と「動きの柔らかさ」が必要です。日頃から姿勢のチェックも行
背中が丸まらないように脚に身体(あご
か胸)を近づけます
後ろに伸ばした脚の股関節も同時に伸ば
します
いながら、ストレッチや骨盤体操で改善しましょう。次号では、腰痛
予防に有効なトレーニングをご紹介します。
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