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線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成

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線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
線形代数学 II - b
06. 線形写像の例と合成
土屋和由
基礎・教養教育センター
2016 年 10 月 27 日
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
線形写像の例と合成
部分空間の性質を調べるために,部分空間を動かしたり,複数の部
分空間を比較することが出来る道具を導入した.
⇒ 線形写像を導入
線形写像 f : Rn → Rm は和とスカラー倍を保存する写像である.
1
2
任意の x, y ∈ Rn に対して,f (x + y) = f (x) + f (y).
任意の実数 c, x ∈ Rn に対して,f (cx) = cf (x).
A = (f (e1 ) . . . f (en )) とおくと,f (x) = Ax が成立する.
⇒ 線形写像に対する幾何学的性質を,行列に対する代数的性質に
よって研究可能
本日の目標
1
線形写像の具体例を用いて,線形写像の扱い方を理解する.
2
線形写像の合成について理解する.
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
ベクトルのスカラー倍
例(ベクトルのスカラー倍)c を実数とする.
写像 f : Rn → Rn を f (x) = cx によって定義すると,f は線形変換.
y
4
n = 2, c = −3
f (a2 )
2
a1
−4
−2
O
x
a22
4
−2
f (a1 )
−4
n = 2 のとき,f
f (e1 ) =
(( )) ( )
x
cx
=
.
y
cy
← x, y に関する一次式
( )
( )
c
0
, f (e2 ) =
より
0
c
(( ))
( ) (
x
x
c
f
= (f (e1 ) f (e2 ))
=
y
y
0
土屋和由
0
c
)( )
x
= cE2 x.
y
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
原点を中心とする回転
例(原点を中心とする回転)θ を実数とする.
y
x
f (x)
θ
x
O
写像 f : R2 → R2 を原点を中心とする θ ラジアン回転とする.
⇒ 座標を用いた具体的な対応は?
問題
( ′)
(( ))
x
x
=f
とおくとき,x ′ , y ′ を θ, x, y を用いて表せ.
y′
y
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
回転写像の座標表現
y
)
( ) (
x
r cos α
=
y
r sin α
y′
y
r
α
θ
r
α
O
加法定理より,
x ′ = r cos (θ + α)
′
y = r sin (θ + α)
x
O
=
r (cos θ cos α − sin θ sin α)
x′
=
(r cos α) cos θ − (r sin α) sin θ
=
x cos θ − y sin θ,
=
r (sin θ cos α − cos θ sin α)
=
(r cos α)sin θ − (r sin α) cos θ
= x sin θ + y cos θ.
(( )) ( ′ ) (
)
x
x
x cos θ − y sin θ
したがって,f
=
=
となる.
′
y
y
x sin θ + y cos θ
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
x
線形写像の例
線形写像の合成
回転写像の行列表現
f
(( )) (
)
x
x cos θ − y sin θ
=
.
y
x sin θ + y cos θ
(( )) (
)
(( )) (
)
1
cos θ
0
− sin θ
f (e1 ) = f
=
, f (e2 ) = f
=
より
0
sin θ
1
cos θ
(( ))
( ) (
)( )
x
x
cos θ − sin θ
x
f
= (f (e1 ) f (e2 ))
=
.
y
y
sin θ
cos θ
y
(
R(θ) =
cos θ
sin θ
− sin θ
cos θ
)
と記す.R(θ) を回転行列と呼ぶ.
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
xyz 空間から xy 平面への射影
例(xyz 空間から xy 平面への射影)
 
( )
x
x
写像 f : R → R を f y  =
y
z
によって定義すると,
f は線形写像(線形変換ではない).
3
f (e1 ) =
2
( )
( )
( )
1
0
0
, f (e2 ) =
, f (e3 ) =
より
0
1
0
 
 
(
x
x
1






y
f
= (f (e1 ) f (e2 ) f (e3 )) y =
0
z
z
土屋和由
0
1
 
) x
0  
y .
0
z
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
線形写像の合成
線形写像の合成
線形写像 f : Rn → Rm , g : Rm → Rt に対して,
Rn
x
f
→
7
→
g
Rm →
Rt
f (x) 7→ g (f (x))
を f と g の合成と呼び,g ◦ f と記す.
すなわち g ◦ f (x) = g (f (x)) である.
線形写像の合成と行列
f (x) = Ax, g (y) = By とすると,
g ◦ f (x) = g (f (x)) = B(Ax) = (BA)x
が成立する.したがって,線形写像の合成は行列の積と対応する.
注
一般に g ◦ f と f ◦ g は一致するとは限らない.
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
線形写像の例
線形写像の合成
線形写像の合成の例
例

0
A = 1
0


−1 0
1
0 0  , B = 0
0 1
0

0 0
0 1 とする.
−1 0
f : R3 → R3 , g : R3 → R3 をそれぞれ f (x) = Ax, g (y) = By とする.
このとき,g ◦ f と f ◦ g は相異なる.
g ◦f
f ◦g
土屋和由
線形代数学 II - b 06. 線形写像の例と合成
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