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健康を支える睡眠 第 1 章 はじめに 第 2 章 研究の展開

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健康を支える睡眠 第 1 章 はじめに 第 2 章 研究の展開
健康を支える睡眠
所属:医学・歯学・医療系ゼミ
2年6組39番
第1章
吉澤
遼
はじめに
第1節
テーマ設定の理由
医療技術は進歩しているが、最も重要なことは「病気を治すこと」ではなく「病気
にならないこと」である。病気の予防において、睡眠・食事・運動が重要な役割を担
っているとよく耳にする。その中から睡眠について調べることにした。睡眠は最も身
近なようで、実際には知られていないことが多いと感じたためである。また、自分自
身も睡眠のあり方について不安があり、起きるのがつらいと感じ たときや強い眠気を
感じたときの解消法、対処法について正しい知識を身につけたいと思ったためである。
第2節
研究のねらい
睡眠の観点から健康について調べ、今後の生活に活かす。
第3節
1
研究の内容と方法
研究の内容
正しい睡眠、体に良い睡眠のとり方を調査し、体と睡眠の関係について調 べる 。
2
研究の方法
主に、菅原洋平著「あなたの人生を変える睡眠の法則」を参考にし、インターネ
ットも利用して調べる。
第2章
研究の展開
第1節
1
睡眠とからだ
睡眠を司る3つのリズム
睡眠に関する、以下3つの生体リズムがある。
・メラトニンリズム
・睡眠‐覚醒リズム
・深部体温リズム
メラトニンには、日光・照明と関係し、睡眠を誘発させるという働きがある。メ
ラトニンリズムは光の影響を受けるため、「外的リズム」といわれる。
睡眠‐覚醒リズムとは脳幹の「眠らせる働き」によって大脳が眠るというシステ
ムである。このシステムは起床から8時間後と22時間後に強く働く。
深部体温リズムとは体の内部の温度が変化するリズムであり、起床から11時間
後にもっとも高くなり、22時間後に最も低くなる。
睡眠‐覚醒リズムと深部体温リズムは外界の影響を直接受けないために「内的リ
ズム」といわれる。
これらのリズムがずれることを「内的脱同調」と呼ぶ。
1
2
睡眠の意義
脳が目覚めている度合いを覚醒レベルという。睡眠が不足し、この覚醒レベルが
低下すると、体の動きを把握できずに物や人に体がぶつかりやすくなる。また、 睡
眠不足によるその他の影響として、「机の上が片付かない」「落ち着きがなくなる」
「少しのことが気に障る」という事がある。これらはすべて、脳の各部分において
働きが低下したり、過剰に働きすぎたりしているということを示している。
3
睡眠のメカニズム
睡眠には脳が眠っている「ノンレム睡眠」と体が眠っている「レム睡眠」があり、
眠っている間、この
(図 1)
二つが周期的に繰り
返 さ れ て い る (図 1
参照)。約 90 分で睡
眠が切り替わるとい
われる。
「 ノンレム睡
眠」時には夢を見ず、
呼吸数・脈拍が少な
くなり、「レム睡眠」
時には眼球が動き、
夢を見る。
第2節
1
朝の法則
光を浴びる
第1節で示したように、体にはメラトニンリズムがある。人には24時間より長
い体内時計を持っており、メラトニンはその一日の始まりから終わりまでのかたま
りを調整する役割を担っている。体内時計は光を感知した時にはじまり、日没によ
り周囲が暗くなると脳の視床下部内にある視交叉上核が松果体にメラトニンを出す
よう命令する。その後、日が昇ると松果体からのメラトニンの分泌は止められ、新
しい一日が始まる。
体内時計の調整は起床から四時間以内に行われる。その時間内に光を浴びなけれ
ばならない。朝起きて、カーテンを開けて窓際で過ごすだけでもメラトニンを減ら
すことが出来る。
メラトニンが減ると、脳の興奮を抑え、行動をしなやかにするセロトニンが増え
る。朝光を浴びてメラトニンを減らしてセロトニンを増やすことで、昼間には安定
した能力を発揮し、夜にはメラトニンが増え自然と眠くなるという理想的なサイク
ルを作ることが出来る。
2
朝のコーヒーは必要か
人は起きているだけで睡眠物質(プロスタグランディンD 2 )がたまる。プロスタ
グランディンD 2 はアデノシンに変換され、GABAを増やす。抑制性の物質であ
るGABAによって脳を覚醒させるヒスタミンが鎮められて脳が眠くなる。
2
コーヒーに含まれるカフェインは、上記のアデノシンがGABAを増やす過程を
ブロックする。つまり、脳内には睡眠物質がたまっているが、脳が眠らなくなると
いう状態になり、強制的に脳を起こしていることになるのである。
3
憂鬱な月曜日
平日は忙しく就寝が遅くなるために、自由な週末は遅くまで寝て「寝だめ」をし
ようとする人がいるだろう。しかし、実際には眠りをためておくことは できない。
一日寝だめをすると、寝だめした分だけ一日のリズムが後ろにずれる。そしてま
た早起きの生活を始めると、リズムのずれ(内的脱同調)が起こる。さらに、睡眠
時間の減少により睡眠物質がたまる。それら二つのことによって、週の前半では内
的脱同調により体がだるくなり、週の後半では睡眠物質がたまってきて脳の働きが
低下するようになる。これにより、また寝だめをしようとするようになり悪循環に
陥る。
もし休日に遅くまで寝てしまったら、平日に毎日数十分ずつ早寝し睡眠物質を減
らすことが効果的である。
第3節
1
昼の法則
眠くなる前に目を閉じる
午後の眠気は昼食によるものではなく、第1節で挙げた睡眠‐覚醒リズムの働き
によるものである。睡眠‐覚醒リズムでは、起床から8時間後と22時間後に眠気
が起こる。眠気とは覚醒した状態で疲労した神経を修復し、より高い能力を発揮さ
せるために脳が行う脳のためのシステムである。また、起きている時間が長く、睡
眠物質がたまることによっても眠気が起こる。
脳に睡眠物質がたまった状態では、頭頂葉の活動が低下し、前頭葉の活動が高ま
る。頭頂葉は、外界からの刺激を処理する部位である。それに対し、前頭葉は過去
の経験に基づいて考える部位であり、この場合は頭頂葉の分の埋め合わせをしてい
る。その結果、人は経験をもとにした行動をとり、ヒューマンエラーが多くなる。
それらの睡眠物質を減らすためには、起床から6時間後に5分間目を閉じること
が効果的である。睡眠‐覚醒リズムによると、起床から8時間後に眠気が強くなる
ことになる。眠気が強くなった時、脳の活動は最も低下している。その前に目を閉
じることにより睡眠‐覚醒リズムの脳の活動の高まりとともに目覚めることが出来
る。
2
アルファ波と仮眠の時間
脳波の一つであるアルファ波が多い状態では目が覚め、少ない状態では 睡眠に入
る。このアルファ波は目を閉じるだけで増える。
横になって仮眠をとらず、椅子に座って目を閉じるだけでも眠気は減る。目を閉
じる時間は10~15分が最も有効であるとされている。この時間では脳内の睡眠
物質を減らし、課題の成績を向上させることが出来る。それ以上長いと目覚めがす
っきりせず、夜の睡眠にも影響が出る。
3
第4節
1
夕方の法則
筋肉を使って体温上昇
第1節で挙げたように、深部体温は起床から11時間後に最も高く、22時間後
に最も低くなる。深部体温が高くなればなるほど体はよく動くようになり、低くな
ればなるほど眠くなる。起床から22時間後には睡眠‐覚醒リズムにおいても眠気
が現れる時間であるために、強い眠気に襲われる。深部体温リズムはずれにくく2
~3週間の夜更かしでずれが生じてくる。それ故、一度ずれるともとのリズムに戻
しにくくなるのである。
夕方に眠気が現れ、居眠りをしてしまうと夜の眠りが浅くなり、次の日にまた眠
気が現れるという悪循環に陥る。そこで、夕方に体温を上げて目を覚まし、夜の眠
りを深くするという方法がある。
夕方には疲れがたまってきて椅子にもたれかかったり足を組んだりすることが多
くなるが、そこで背筋を伸ばすことで体温を上げられる。まず、肩を耳につけるよ
うに高く上げ、そのまま肩をできるだけ背中側に引き付ける。目一杯引き付けたら
肩の力を抜いて落とす。これが正しい肩甲骨の位置である。次に、肛門をしっかり
と締め、そこに向かって肩甲骨を引き下げる。この動作を、呼吸を止めないように
して五分間で何度か繰り返す。以上が椅子に座ったまま体温を上げる方法である。
2
寝る一時間前の軽い運動
夕方に体温を上げられなかった場合でも、寝る一時間前に軽い運動を することで
眠りが深くなる。体温のリズムは下がる直前にあげると勾配が急になり、より深く
下がる。激しい運動では脳を覚醒させてしまうため、ストレッチが効果的である。
また、入浴によっても同様の効果を得られる。
3
成長ホルモンの分泌
眠り始めの体温が下がることで、眠りが深くなり成長ホルモンが多く分泌される。
一般的に、22時~2時の間に成長ホルモンが分泌されると考えられることが多い
が、実際には時間に関係なく、入眠一時間後に最も分泌されるのである。
第5節
1
睡眠の改善
睡眠用の音楽
リラクゼーション音楽や睡眠用BGMを聴くと、人はリラックスして、脳内にア
ルファ波が現れる。リラックスするための音楽としては、テンポ一定で落ち着いた
曲が適している。また、自然音も効果的である。睡眠のための音楽は大きい音で聴
かず、図書館並みの静けさで聴く。脳を興奮状態からリラックス状態にするため、
就寝前の30分~1時間ほどの時間を利用することが大切である。
2
睡眠の改善例~いつも眠い人~
いつも眠いと感じていた人が、これまで挙げたことをもとに生活を変えた結果、
日中眠気を感じなくなった。次ページ(図2)はその改善例である。図の黒い部分は
睡眠、灰色の部分は眠気を表している。一週目の金曜日まで眠気が多く現れている
が、その後は日中の眠気が減っている。
4
(図2)
第3章
まとめ
第1節
睡眠で人生は変えられる
今回研究を進める中で、自分の生活についても見直した。研究前は、休日に寝だ
めをし、週の後半になると慢性的に眠いという状態が続いていた。授業中に眠いと
いう事も多くあった。今でも、生活リズムが崩れたときには日中眠気を感じるが、
毎日同じ時間に就寝し起床することで前よりも眠気を感じることは少なくなった。
どれほど生活リズムが重要かを感じる。また、昼寝をすることで頭の中が整理され、
数分の昼寝でも大きな効果が出た。
一日の中での少しの行動で、人生を変えることが出来るのである。朝の五分、昼
の五分、夕方の五分で充実した人生にしたいと思う。
<主な参考文献>
菅原洋平
HP
著
『あなたの人生を変える睡眠の法則』より(図2)
http://kotobank.jp/i/igakukatei/image/h1049.jpg 『健常成人の夜間睡眠経過
図』より(図1)
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