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小学校音楽科における弦楽器教育に関する一考察 一手作り楽器を用いた

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小学校音楽科における弦楽器教育に関する一考察 一手作り楽器を用いた
 小学校音楽科における弦楽器教育に関する一考察
一手作り楽器を用いた授業プランの構築・実践を中軸として一
教科内容・方法開発専攻
文化表現系教育(音楽)コース
M11186A脇田千晶
1、研究の動機・目的
を味わったり、音高を比較したりすることの
本小論の目的は、音楽の授業を通して弦楽
できる楽器である。
器を身近に感じる場を児童に提供すると共
以上のように、弦楽器は児童の音楽の幅を
に、弦楽器の特徴について感得させることで
拡げる可能性をもつ楽器であると筆者は考
ある。小学校音楽科における弦楽器教育は、
える。弦楽器教育の困難点によって児童が弦
軽視されている現状があると筆者は考える。
楽器に親しみをもたないまま音楽科の学習
なぜならば弦楽器教育を行うにあたって、
を終えることは、非常にもったいないことな
様々な困難点があるからである。例えば金銭
のである。
面の問題、学習時間や教育課程の問題、指導
筆者は実現可能な弦楽器教育を提案した
者の問題などである。筆者はそのような問題
いと考え、手作り楽器に着目した。備晶化し
を何とか乗り越えて、児童が弦楽器に親しみ
た楽器がなくても、弦楽器に親しみを持つこ
を持つ機会を保証したいと考えた。
とができるような授業プランを目指したか
筆者の考える弦楽器の魅力は、次の3つで
らである。
ある。1つは奏法の違いによって様々な音色
本小論は、授業プランの構築だけではなく、
を表現できることである。児童は、弦を弓で
実践も行っている。授業実践では授業プラン
擦ったり指ではじいたりする様子を鑑賞し
の実現性を確かめたり、より児童の興味や学
ながら音の違いを聴くことができる。
びを引き出すための工夫を試行錯誤したり
2つは音長や音高を視覚的に捉えやすいこ
した。本小論の最後には、授業実践を通した
とである。実際に手作り楽器などを用いて演
r授業プラン改訂版」を記載している。今後
奏すると、児童の音高感覚を身に付けること
は、この改訂版による弦楽器教育の実践を重
ができるであろう。
ね、児童にとって弦楽器が身近に感じること
3つは楽器の大きさとそれに伴う音域の違
のできるような授業を目指したいと考えて
いを味わうことができることである。本小論
いる。
における弦楽器とは、バイオリン・ビオラ・
チェロ・コントラバスのことを指している。
2、論文構成
これらの楽器は形が同じでも大きさによっ
はじめに
て音域や音色が異なるため、それぞれの音色
第I章 教育課程における弦楽器の位置づけ
第1節小学校学習指導要領における
教育の現状を知ることができた。また授業プ
弦楽器教育の変遷
ラン構築の手がかりをつかむことができた。
第2節 教師用指導書における弦楽器教
第皿章は、手作り楽器を用いた授業プラン
材の分析・考察
の構築・実践についてである。筆者は身近な
第3節 教科書及び指導書における弦楽
物から製作した手作り楽器を用いることに
器の学習内容
よって、児童の楽器への興味・関心を抱くこ
第1I章 小学校音楽科における弦楽器教育
とができると考えた。授業内容には、手作り
の実態調査
楽器の製作とその音を(弦を実際にはじいた
第1節アンケートの作成・実施
り擦ったりして)出す活動を取り入れた。仲
第2節アンケート調査の結果
間と行う活動を通して、児童の弦楽器への興
第3節アンケート結果の分析・考察
味・関心を高めることを期待したためである。
第1II章 小学校音楽科における弦楽器教育の
授業実践は、鳥取市J小学校において行った。
可能性
筆者は授業ごとの児童の反応を受け止め、試
第1節 手作り楽器の有効性とその製作
行錯誤を繰り返した。授業実践の考察は、授
第2節 授業プランの構築と授業実践に
業記録を用いて行った。さらには授業実践の
向けた取り組み
考察をもとに「授業プラン改訂版」を構築し、
第3節 授業プランの実践
本小論における授業プランを提案している。
第4節 授業実践の考察
おわりに
4、今後の課題
参考文献及び資料
今後の課題は、授業実践を通してさらなる授
業プランを開発することである。児童の弦楽
3、研究の概要
器への興味を高めるとともに、より音楽的な
第I章は、教育課程における弦楽器の位置
学びのある授業プランを開発したいと考え
づけについてである。まず小学校学習指導要
ている。本小論における「手作り弦楽器の製
領における弦楽器教育の変遷を調べた。次に
作」の場面は、図画工作の学習のようにも見
教科書・教師用指導書から弦楽器に関する記
える。仲間と共に試行錯誤を行い楽器への愛
述・収載内容を抽出し、分析を行った。この
着を持つ意味において、手作り弦楽器製作の
分析結果をもとに、各学年の弦楽器に関する
場面は非常に重要だと考える。けれども楽器
学習を体系的にまとめた。それによって、授
製作だけではなく、もっと音高や響きに着目
業プランの対象学年をしぼることができた。
した授業を行う必要がある。今後、さらに授
第1I章は、小学校(音楽担当)教員を対象
業実践を積み重ね、より児童が弦楽器を身近
としたアンケート調査についてである。調査
に感じ、楽器の特徴を感得できるような授業
内容は、学校所有の弦楽器の有無や教師の考
を研究していきたいと考える。
える弦楽器教育の意義・困難点についてであ
る。アンケート結果の分析を通して、弦楽器
主任指導教員 竹内 俊一
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