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総 説 インヒビターのない血友病 A における急性出血
Review Article − Full Translation 総 説 インヒビターのない血友病 A における急性出血性関節症の診療:文献 レビューおよび欧州での調査と勧告 Management of acute haemarthrosis in haemophilia A without inhibitors: literature review, European survey and recommendations C. Hermans, P. de Moerloose, K. Fischer, K. Holstein, R. Klamroth, T. Lambert, G. Lavigne-Lissalde, R. Perez, M. Richards and G. Dolan, on behalf of the European Haemophilia Therapy Standardisation Board Haemostasis-Thrombosis Unit, Division of Haematology, Cliniques Universitaires Saint-Luc, Brussels, Belgium; Unité d’Hémostase, Hôpitaux Universitaires de Genève, Geneva, Switzerland; Van Creveld Clinic, Utrecht, Netherlands; Onkologisches Zentrum, II. Medizinische Klinik und Poliklinik, Universitätsklinik, Hamburg, Germany; Vivantes – Klinikum in Friedrichhain Klinik fuer Innere Medizin Haemophiliezentrum, Berlin, Germany; CHU Kremlin – Bicètre, Paris, France; Laboratoire d’Hématologie, Groupe Hospitalo-Universitaire Caremeau, Nîmes, France; Hospital Virgen del Rocio, Seville, Spain; Paediatric Haematology Department, Children’s Day Hospital, St. James University Hospital, Leeds, UK; and Queen’s Medical Centre, University Hospital, Nottingham, UK 要 約:急性出血性関節症は,血友病患者に多く さらに考察する目的で文献をレビューした。同時に, みられる出血である。治療の遅れや不十分な治療は, 欧州 15 ヵ国の血友病包括医療センター 26 施設を対 関節内に持続的な病的変化を引き起こし,疼痛およ 象に,急性出血性関節症に対する現在の診療アプロー び関節機能障害を伴う血友病性関節症を惹起する。 チについて調査した。文献レビューでは,適切な補充 関節内出血に対して補充療法,安静,冷却,リハビ 療法ならびに関節穿刺などの補助的治療の役割を今 リテーション,そして時に関節内血液吸引(関節穿 後さらなる研究で明確にする必要があることが示さ 刺)といった処置の組み合わせが従来から実施さ れた。また,26 施設を対象とした調査では,欧州全 れており,その早期治療は血友病性関節症の予防を 域を通じて急性出血性関節症の診療アプローチに大 可能にする。しかし,現時点では急性出血性関節 きなバラツキがあることが判明した。本文で考察し 症の最適な診療に関するデータはほとんどなく,特 たように,さまざまな制限があったが,我々はその に補充療法および他の補助的治療(関節穿刺,体 枠内でこれまでの研究報告,現在の診療,European 重負荷の回避,関節固定,抗炎症薬投与,塞栓術) Haemophilia Therapy Standardisation Board(EHTSB) に関するデータが不足している。今回我々は,血 の臨床経験に基づく勧告を提示した。 友病患者における急性出血性関節症の診療について Key words:出血性関節症,血友病,勧告,調査 Correspondence: Cedric Hermans, MD, MRCP(UK), PhD, Haemostasis and Thrombosis Unit, Division of Haematology, Cliniques Universitaires Saint-Luc, Avenue Hippocrate, 10, 1200 Brussels, Belgium. Tel.: +32-2-764-1740; fax: +32-2-764-8959; e-mail: [email protected] 緒 言 Haemophilia (2011), 17, 383–392 ©Blackwell Publishing Ltd. 因子製剤による定期補充療法を行っていない患者, 急性出血性関節症は,血友病患者で最も高頻度に みられる出血の 1 つである。極めて若年で未だ凝固 総説:インヒビターのない血友病 A における急性出血性関節症の診療:文献レビューおよび欧州での調査と勧告 および出血時投与療法を行っている患者は,急性出 し,現時点では急性出血性関節症の最適な診療に関 血性関節症の発生リスクが高い。定期補充療法によ するデータはほとんどなく,特に補充療法のレジ り急性出血性関節症の発生頻度は有意に低下するが, メン,関節穿刺の適応,理学療法,抗炎症薬の使 (1) リスクが完全に除外されるわけではない 用に関するデータが不足している(8)。 。 血友病性関節症の発症においてキーとなるイベン (2,3) トは,関節内への血液貯留である こうした理由から,今回我々は血友病 A および B 。正確な機序 患者における急性出血性関節症の病態生理ならびに は未だ完全には解明されていないが,生体外実験な 診療に関する文献のレビュー,ならびに欧州 15 ヵ国 らびに生体内動物実験では,滑膜における鉄沈着が の血友病包括医療センター 26 施設を対象に,急性 著しい炎症反応を惹起し,それが軟骨損傷へつなが 出血性関節症に対する現在の診療アプローチについ ることが示されている。鉄は滑膜細胞の増殖の引き て調査した。調査の参加者は,いずれも European 金となるが,滑膜細胞の増殖を制御する c-myc やア ポトーシスを制御する mdm2 を含む重要な遺伝子の Haemophilia Therapy Standardisation Board (EHTSB)の会員である。EHTSB は,血友病治療 発現誘導を介して作用するという仮説が提唱されて センターをベースに血友病患者の診療に当たってい (4) いる 。関節内出血はこうした滑膜の変化を介して, る経験豊富な血友病専門医のネットワークであり, 間接的に軟骨を損傷,破壊するが,最近のデータで これらの医師が診ている重症血友病患者の合計は は出血性関節症が直接的に軟骨に影響を与えること 3,633 例である(9)。 も示されている。軟骨が比較的短時間血液に曝され 本研究の目的は,急性出血性関節症の診療につい ただけでも,プロテオグリカン生成障害などの軟骨 てこれまでに得られているデータをレビューすると (3,5,6) 細胞損傷を示す生化学マーカーが検出される 。 単球やマクロファージから放出されるインターロ ともに,現在の診療アプローチを評価し,未解決の 問題,今後検討が必要な領域を特定することである。 イキン(IL)–1α や腫瘍壊死因子(TNF)α などの炎 最終的に我々は,文献レビューならびに調査を通じ 症メディエーターも,滑膜炎および軟骨破壊に重要 て得られたデ ー タ, 会員らの臨床経験をもとに な役割を果たすが,IL-10 はサイトカインによって EHTSB 内で広範な議論を行い,急性出血性関節症 仲介される損傷から関節を防御することが最近の実 の診療に関するコンセンサスを勧告としてまとめた。 験で証明されている。また,血管内皮細胞増殖因子 (VEGF)の放出によって起こる血管新生も,滑膜炎 (2,4) を悪化させると考えられる 。さらに,関節への 対象および方法 関節内出血後の長期にわたる関節損傷を生じること 文献レビュー 血友病 A 患者における急性出血性関節症の病態生 も考えられる(7)。生体外実験では,こうした変化が 理および診療について検討した文献をレビューした。 関節内出血量および貯留時間依存性であること,さ 後者については補充療法,画像検査,関節鏡検査, らに,関節が血液にわずか 2 日間曝露されただけで 補助的治療(急性疼痛の治療,関節穿刺,理学療法, 力学的負荷といった物理的因子が相加的に作用し, (5) も長期的変化が生じうることが示されている 。こ 冷却,抗炎症薬,血管造影による塞栓術)について れらの点は,出血性関節症の治療方針を決定するう 検討した文献を選択した。次のキーワードを使用し, えで重要である。 リハビリテーション,そして時に関節穿刺といった PubMed および MEDLINE データベースで 1996 年 ∼ 2009 年 1 月に発表された文献を検索した ― h(a)emarthrosis , h(a)emophilia , treatment , therapeutics,pathophysiology。キーワードと検索 条件,見いだされた文献の数を Table 1 に示した。 PubMed データベースに含まれていない急性出血性 処置の組み合わせが従来から実施されている。しか 関節症の診療に関する既存ガイドラインも収集し, 急性出血性関節症の治療の遅れや不十分な治療 は,関節に持続的な病的変化を誘発し,疼痛およ び関節機能障害を伴う血友病性関節症を招来しう る。関節内出血の治療として補充療法,安静,冷却, Full Translation: C. Hermans, et al. か),凝固因子活性レベルのモニタリング,インヒ Table 1. Literature search strategy. 1 Hemarthrosis or haemarthrosis 2 (Haemophilia or haemophilia).mp [mp = title, original title, abstract, name of substance word, subject heading word] 3 1 AND 2 4 Treatment.mp or therapeutics 5 4 AND 5 6 Limit 5 to humans 7 Pathophysiology.mp. 8 7 AND 3 1931 17 877 ビター検査の実施,抗線溶薬の使用,体重負荷の回 避,関節の固定,アイスパックによる冷却,理学療 法の実施と評価。 971 2 256 487 382 377 57 955 10 The 377 papers in ‘6’ were searched manually to a short list of 159 papers, these and the 10 papers from ‘8’ were reviewed by four members of the group to produce the final selection of 65 papers that formed the basis of this current paper. In addition, PubMed was searched using the same terms. 結 果 文献レビュー 検索で見いだされた文献の数を Table 1 に示した。 169 編をレビューし,65 編を分析へ組み入れた。 分析にはガイドラインも数編含まれた。 EHTSB 会員が精査した。 血友病でない患者の出血性関節症から学べること 調 査 血友病やその他の血液凝固異常症のない患者にお 急性出血性関節症の典型的臨床状況下にある次の いて,外傷や偽動脈瘤,滑膜腫瘍によるわずか 1 回 血友病患者 3 例を想定し,これらの症例に関する質 の急性出血性関節症が慢性関節症へつながることを 問票を使用し各回答者の診療アプローチについて調 示すエビデンスは報告がなかった。 査した。 出血性関節症は,ヘパリンや低分子量へパリン, 血栓溶解薬を投与している患者でしばしば報告され 症例 1:重症血友病 A の 8 歳男児(体重 30 kg)。 ていたが,ビタミン K 拮抗薬投与例における報告 標的関節はなく,2 歳から一次定期補充療法を行っ が最も多かった。こうした患者では単回の出血性関 ている[遺伝子組換え型第 VIII 因子(rFVIII)製 節症が長期の関節損傷へつながることはないが,関 剤 750 単位を週 3 回投与]。日曜日の朝,左膝に大 節内出血が繰り返し生じると関節症が発症する可能 きな腫脹を認めた。その前の金曜日に自身で凝固因 性があり,X 線検査や病理検査では血友病性関節症 子製剤を注射し,土曜日の午後に自転車で転倒し前 と同じ所見が認められる。安静や慎重な関節穿刺, 述の腫脹が発生した。 抗凝固薬の一時中止などが推奨される(10,11)。 症例 2:重症血友病 A の 43 歳男性(体重 80 kg)。 補充療法 慢性関節症をもつが,活動性の標的関節はなく,在 凝固因子製剤投与レジメンの違いが出血性関節症 宅で出血時投与療法を行っている。日曜日朝の起床 のアウトカムに及ぼす影響について検討した研究は 時に左膝が大きく腫れているのに気づいた。 極めて少なかった。 現時点ではアウトカムを評価するための標準的指 症例 3:重症血友病 A の 8 歳男児(体重 30 kg)。 標がないため,過去に報告され本総説へ組み入れた 標的関節はなく,2 歳から一次定期補充療法を行っ 研究結果を比較することが困難であった。1960 年 ている(rFVIII 製剤 750 単位を週 3 回投与)。日曜 代後期∼ 1980 年代前期に報告された関節内出血の 日朝に左膝の疼痛およびわずかな可動制限を認めた。 治療に関する 13 編(13 ∼ 25)のレビュー(12)では,ほ その前の金曜日に凝固因子製剤の定期注射を自身で とんどの専門家が凝固因子製剤またはクリオプレシ 行い,友達と遊んでいた。 ピテートの初期低用量(10 ∼ 20 IU/kg)投与を推 奨していることが示された。治療成功率は 75 ∼ 次の情報を収集した ― 目標凝固因子活性レベ ル,治療期間,治療様式(持続輸注かボーラス投与 100 %と高かったが(Table 2),後に 2 回目の治療 が必要になった症例が多かった。rFVIII 製剤(25 総説:インヒビターのない血友病 A における急性出血性関節症の診療:文献レビューおよび欧州での調査と勧告 Table 2. Summary of reports describing outcome of single lower doses of factor replacement for acute haemarthrosis [Ref. (12)]. Year of publication Study reference Therapeutic material No. haemarthroses 1967 1969 1974 1975 1977 1977 13 14 15 16 17 18 Cryoprecipitate FVIII concentrate FVIII concentrate FVIII concentrate FVIII concentrate FVIII concentrate 1977 19 FVIII concentrate 1978 1979 1979 20 21 22 FVIII/FIX concentrates Cryoprecipitate FVIII concentrate 25 (in 12 patients) 51 (in 14 patients) 51 (in 9 patients) 51 (in 9 patients) 62 (in 21 patients) 106 173 64 549 acute bleeding episodes (in 14 patients) 60 (in 37 patients) 988* 99 (in 6 patients) 1980 23 FVIII concentrate 142 knee, 118 elbow; 79 ankle 1981 1982 24 25 FVIII concentrate FVIII concentrate 144 (elbow in 27 patients) 95 (in 42 patients) 106 (in 42 patients) (ankle) Dose FVIII/FIX (IU kg)1) 23 20–30 10 10 8–12 7–9 11–13 15–17 7.5–12.5 12.5–20 3–7 31 5–8 3 7 14 28 11–16 7 14 Success (%) 56–64 92 97 96 100 90 79 94 89 94 100 99 85 71 67 95 100 78 89 77 FVIII, factor VIII; FIX, factor IX. *Success was calculated by plotting failure vs. dose of factor. A total of 988 episodes were studied but it is not possible to state how many were haemarthroses and what dose of factor was used for each. ∼ 40 IU/kg/ 出血)の有効性と安全性について評価 究が報告されていたが,急性出血性関節症の治療で した最近の研究では,単回投与による治療成功率は 使用される各種鎮痛薬の相対的有効性に関する有用 (26 ∼ 29) 最大で 88%であった な情報はみられなかった(40)。 。 急性出血性関節症の治療に関する現在のコンセン 急性出血性関節症の疼痛治療では原則的に,オピ サスガイドライン(Table 3)では,血漿中 FVIII レ オイド系ならびに非オピオイド系鎮痛薬のいずれも ベル 40 ∼ 60%(凝固因子製剤の供給に制限がある 使用可能であるが,強いオピオイド系鎮痛薬が使用 状況下では 10 ∼ 20%)を目標に,早期に補充療法 されることは稀である。非オピオイド系鎮痛薬のう (12,30 ∼ 39) を開始することが推奨されている 。出血 ち,パラセタモール(アセトアミノフェン)には鎮痛・ 部位が肩関節または股関節である場合に,更に高い 解熱作用がある。パラセタモールは,一般的に軽症 目標凝固因子活性レベルをより長時間にわたり維持 ∼中等症の疼痛の治療に推奨されているが,慢性肝 する必要があるか否かは明らかではなかった。 疾患患者では注意が必要である(41)。一部の国のガ 十分な止血が得られない,または出血性関節症が イドライン(Table 3)は,パラセタモールの鎮痛効 重症である場合の対処として,ガイドラインでは初 果を高める目的でコデインなどの弱いオピオイド系 回投与 12 ∼ 24 時間後に 2 回目の凝固因子製剤を 鎮痛薬の併用を推奨している。 投与することを推奨していた。また,稀ではあるが, こうした状況下で持続輸注も行われていた (30 ∼ 32, 34,37,39) 。 イブプロフェンやジクロフェナクといった従来の 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は,急性出血 性関節症ではこれまで慎重に使用されてきた。これ らの NSAIDs はシクロオキシゲナーゼ(COX)–1 と 急性疼痛の治療 COX-2 の両者を阻害するため,血小板機能障害や出 これまでに報告されているほとんどの研究は,慢 血,消化管有害事象のリスクを伴う。エトリコキシ 性疼痛の治療に焦点を当てており,急性関節内出血 ブやセレコキシブなどの最近開発された COX-2 選 における急性疼痛の治療に関するデータは非常に限 択的阻害薬は,血友病患者で有効かつ安全であるこ られていた。急性疼痛および慢性疼痛をもつ血友病 とが証明されている(42,43)。しかし,急性出血性関 患者を対象に質問票による調査を行った後ろ向き研 節症に対するこれらの薬剤の使用を支持するエビデ Full Translation: C. Hermans, et al. Table 3. Management of acute haemarthrosis in haemophilia: summary of published guidelines. Author and Country Reference WFH (no resource constraint) 30 WFH (significant resource constraint) National Guidelines, New Zealand 30 Gringeri; Santagostino et al., Italy GREHCO (Groupe de Recherche et d’Etudes de l’Hémophilie du Centre et de l’Ouest France) Germany Bunesärztekammer, Germany Berntorp, Sweden 32–33 31 34 Replacement therapy Physical therapy Pain control Peak FVIII 40–60%; duration: 2–3 days, sometimes longer if inadequate response Peak FVIII/FIX 10–20%; duration: repeat infusion 2–3 days Early single dose of FVIII 20 UI kg)1; FIX 30 UI kg)1. Second dose 12–24 h later Early single dose: FVIII 20 UI kg)1; FIX 40 UI kg)1; Second dose if necessary Early single dose FVIII 20–30 UI kg)1 – FIX 30–40 UI kg)1. Constitutive haemarthrosis: FVIII 20–30 UI kg)1 12 h)1; FIX 30–40 UI kg)1 24 h)1 Physiotherapy Immobilization, ice, analgesics Physiotherapy Immobilization, ice, analgesics Maintain muscle function and strength Immobilization, ice, analgesics Physiotherapy Immobilization, ice Physical therapy is helpful to restore full activity Immobilization, ice 35 FVIII 20–40 UI kg)1. FIX 20–40 UI kg)1. Duration unspecified Unspecified NR 36 FVIII 20 UI kg)1; FIX 40 UI kg)1. Duration unspecified Paracetamol forms, if necessary, combined with extropropoxifen or codeine Mahlangu, South Africa 37 Kasper, Georgia 38 Srivastava et al., India 39 FVIII 25 UI kg)1; FIX 30 UI kg)1; FVIII level of 40–60% for minor bleeds, 80–100% for major bleeds once or twice daily until pain disappears FVIII 20 UI kg)1; FIX 40 UI kg)1. Duration unspecified Factor replacement for severe bleeds to achieve a level of about 10%. One or two doses are given Physiotherapy is needed to replace lost functions: programme straining after bleeding, work with methods that ease pains: pool training, massage, heat-cold, relaxation Rest affected joint/limb and immobilize with noncircumferential cast Physiotherapy Apply ice, 5 min on and 10 min off; analgesics; start rehabilitative exercises under factor cover as soon as symptoms disappear Ice, consultation if symptoms persist >3 days Physiotherapy is initiated as soon as pain subsides FVIII, factor VIII; FIX, factor IX; NR, not recommended. ンスはほとんどなく, 小規模後ろ向き研究ではロフェ 血性関節症では報告されていない。急性出血性関 コキシブによる中央値 10 日間(5 ∼ 14 日間)の治 節症後の関節内炎症反応の抑制におけるコルチコス 療は,アウトカムや疼痛の改善に追加的効果をもた テロイド全身投与の有用性がいくつかの研究で評価 (44) らすものではなかったと報告されていた 。 されている(46 ∼ 48)。経口コルチコステロイドによっ ロフェコキシブは心血管イベントが高い発生頻度 て得られる効果は持続性でないことに加え,有害事 で認められたため市場から回収されたが,COX-2 象の頻度が高いため,有用性には限界があり,ガイ 選択的阻害薬はいずれも長期使用した場合に心血管 ドラインでは推奨されていない(48)。 系リスクを伴う(45)。したがって,心血管系に明ら かな危険因子をもつ患者に対してこれらの薬剤を使 他の局所治療:イオン導入法は,皮膚を介して帯電 用する場合には注意を要する。従来の NSAIDs と した薬剤を体内へ輸送する非侵襲的投与法である。 同様に,COX-2 選択的阻害薬にも腎毒性があり, 結合組織の主要構成要素であるヒアルロン酸は,正 特に高齢者や腎・肝機能障害患者,心不全患者では に帯電した酵素ヒアルロニダーゼで加水分解すると 注意すべきである。 経皮的に輸送することができる(49)。血友病患者 500 例を対象としたある試験では,ヒアルロニダーゼによ ステロイド薬 血友病に関連する慢性滑膜炎におけるコルチコス テロイド関節内注射が報告されているが,急性出 るイオン導入法は出血性関節症と血腫の両者に対する 補助的治療として有用であると結論されている(50)。 しかし,ヒアルロニダーゼは細胞外マトリックスを 総説:インヒビターのない血友病 A における急性出血性関節症の診療:文献レビューおよび欧州での調査と勧告 無差別に分解してしまうため,細菌や毒素が侵入し に局所麻酔と鎮痛薬静脈投与下で関節穿刺を施行し 軟骨を損傷する危険性があり,今後の研究で安全性 た(56)。血液の吸引後は,膝に包帯を巻くだけで, が証明されるまで,この手法は注意して使用する必 副子固定も関節内ステロイド注射も行わなかった。 (51) 要がある 。 関節穿刺施行群では対照群と比較して 1 日目の評価 で統計学的に有意な可動域の改善がみられたが,5 安静と副子固定:下肢出血エピソードの治療に関す 日目の評価では両群間に差はなかった。関節穿刺で る世界血友病連合(WFH)のガイドラインでは,床 は,一部の患者が痛みを訴えた。これらの結果から 上安静(1 日)後,3 ∼ 4 日間は体重負荷を回避しな 著者らは,関節内に血液が充満している場合に限定 がら歩行時には松葉杖を使用し,座位の場合には下 して,関節穿刺を推奨している。また,著者らは滲 肢の挙上を推奨している。膝関節は圧迫包帯を使用 出液量が中等度であっても,患者が速やかな症状の するだけで十分であるが,疼痛が極めて重度である 改善を望んでいる場合には施行可能としているが, 場合には長下肢後面ギプス副子を併用するべきであ 穿刺時に痛みを感じるリスクがあることを事前に伝 る。足関節は,短下肢後面ギプス副子が推奨される。 えるべきと強調している。 上肢関節は,三角巾(肩関節)や長上肢後面ギプス 膝出血性関節症のある小児および成人血友病患者 副子(肘関節)を使用することにより,ほとんどの 27 例の後ろ向き研究(1975 年の報告)では,関節 症例で十分な安静,支持,保護が得られる。出血が 穿刺は重症出血性関節症において関節機能を速やか 十分に改善するまでは(4 ∼ 5 日) ,重い物の持ち に回復するうえで, 有効かつ安全と結論している(57)。 (52) 上げや運搬は避けるべきである 。 4 日以内に伸展が可能となり,可動域も増加した。 さらに,関節穿刺を行った患者は,施行後 48 時間 関節鏡検査 以内に学校や職場へ通常どおり復帰したが,対照群 血友病患者の急性出血性関節症で関節鏡検査を支 ではギプスや牽引による固定のために平均 3 ∼ 7 日 持する研究報告はなく,現在のコンセンサスガイド の入院を要している。血友病患者の膝関節内出血に ラインでも推奨されていない。外傷による出血性関 おける関節穿刺は,最近の報告がなかった。 節症を呈している,止血能が正常な患者における関 補充療法で改善しない出血性股関節症をもつ 5 例 節鏡検査の役割についてもコンセンサスが得られて の症例報告では,超音波を使用した関節穿刺により いない。関節鏡検査は正確な診断を下すうえで有 全例で症状が改善した。関節穿刺施行時には FVIII (53,54) 用と考えられるが,成人 または小児 (53) の急 性期治療には有用性は認められない。 製剤による予備的補充療法が行われ,著者らはこう した患者集団における本手技の使用を推奨してい る(58)。 関節穿刺による血液吸引 血友病患者の急性出血性関節症における関節穿刺 理学療法 は,1963 年に初めて報告された(55)。この手法を支 血友病患者の急性出血性関節症については,ほと 持する専門家は,関節穿刺による血液吸引で疼痛が んどのガイドラインが理学療法を推奨している 速やかに改善するとともに,滑膜の血液および鉄へ (Table 3)。しかし,特定の手法を推奨する有意な の曝露時間が短縮し血友病性関節症のリスクが低下 エビデンスは報告されていない。1964 年の Greg の するとしている。この分野について検討した文献は 報告では安静,患部挙上,アイスパックによる冷却, 極めて少なく,コンセンサスガイドラインでも選択 クッションやゴム,軽量焼石膏ギプスによる関節固 された症例を除いてはこの手技の使用は一般的には 定といった血友病患者の関節治療で必要とされる処 推奨していない。 置がまとめられていた(59)。固定は 5 日間を超えな 膝関節に中等度の腫脹を認める成人血友病患者 いようにし,残存血液の吸収を促すために早期に関 22 例を対象としたランダム化比較試験では,11 例 節の運動を開始するほうが好ましいとしている。足 Full Translation: C. Hermans, et al. 関節の病変が重度でない場合の処置として,下肢方 画像検査 向への皮膚牽引を推奨している。この文献では,固 現在のガイドラインは,外傷や感染などの異常所 定後に極めて注意深い理学療法を開始し,これらに 見がない限り,急性出血性関節症における画像検査 早期に始める大腿四頭筋訓練や抵抗運動を組み入れ を推奨していない。ほとんどの研究は,血友病にお ることを勧めている。さらに,十分に関節を安定さ いて関節内出血の繰り返しが長期的結果にもたらす せられる程度に大腿四頭筋の筋力が回復するまで, 影響を評価する目的で画像検査を実施していたが, 数週間は歩行時に松葉杖を使用し膝関節を保護する 1 件は血友病患者 33 例と VWD 患者 1 例における ことを推奨している。 冷 却 コンセンサスガイドラインでは氷による冷却を推 奨しているが(Table 4) ,適切な施行期間や Cryo/ Cuff ™[DJO 社(米国カリフォルニア州)]などの 冷却治療デバイスを重症血液凝固異常症患者が在宅 で使用した場合の安全性についてはほとんど知られ ていない。冷却が出血性関節症に対して症状改善と ともに治療的ベネフィットをもたらすことを示唆す るエビデンスが観察研究 1 編で提示されている。こ の研究では,重症血友病 A または B,タイプ 3 フォ ンヴィレブランド病(VWD)をもつ選択された患者 12 例(5 ∼ 45 歳 ) が,PRICE レ ジ メ ン[ 防 御 (Protection) , 安 静(Rest) , 冷 却(Ice) , 圧 迫 (Compression) ,患部挙上(Elevation) ]の一部と (60) して Cryo/Cuff ™ を使用した 。このデバイスに よる冷却・圧迫を 1 回につき 15 分間,患者が耐用 できる限り昼間 1 ∼ 2 時間ごとに繰り返した。1 年 間この治療を継続した後の評価では,「疼痛の軽減 に対して,このデバイスが有効であったか?」とい う問いに対し,全例が「そう思う」または「強くそ う思う」と回答した。また, 「この治療により出血 性関節症による腫脹が有意に軽減したか?」とい う問いに対しては,78 %が「そう思う」または「強 くそう思う」と回答した。このデバイスが,急性出 血の治療に使用する凝固因子製剤の量を減じるかに 関する決定的エビデンスは見いだされなかったが, 患者の主観的評価に基づく限り,このデバイスを使 用したことによって止血が遅延した,または補充療 法でより多くの凝固因子製剤が必要になったという 報告はなかった。有害事象は報告されなかった。 Table 4. European Survey of the Management of Acute Haemarthrosis. Case 1, 8-year Reason for haemarthrosis Post-trauma Swelling Major Current replacement therapy Prophylaxis Dosage on day 1 (%) 30 U kg)1 25 35 40 U kg)1 )1 40 50 U kg Replacement on day 2 (%) Yes 95 Replacement on day 3 (%) Yes 77 Replacement on day 4 (%) Yes 54 Infusion(s) day)1 (%) )1 1 day 19 2 day)1 81 Continuous infusion (%) Yes 0 No 100 Inhibitor screen on admission (%) Yes 28 No 72 Radiological examination (%) Yes 57 No 43 X-ray (%) Yes 50 Ultra-sound (%) Yes 13 MRI (%) Yes 0 Aspiration (%) Yes 19 No 81 Immobilization (cast) (%) Yes 71 No 29 Non-weight bearing (%) Yes 85 No 15 Physiotherapy (follow-up) (%) Yes 44 No 56 Drugs (%) Oral steroids 0 NSAIDs 27 Analgesics 86 Tranexamic acid 18 Ice (%) Yes 95 No 4 NSAID, non-steroidal anti-inflammatory drug. 10 Case 2, 43-year Case 3, 8-year Spontaneous Major On-demand Spontaneous Moderate Prophylaxis 31 54 14 75 19 6 100 66 90 22 40 27 24 76 88 12 4 96 0 100 15 85 29 71 27 73 22 77 18 5 13 16 4 0 28 72 0 100 63 37 38 62 85 15 44 56 44 56 37 63 0 45 86 13 10 5 47 10 100 0 89 11 総説:インヒビターのない血友病 A における急性出血性関節症の診療:文献レビューおよび欧州での調査と勧告 急性出血 47 件(軟部組織出血と出血性関節症の両 が施行された。平均 16 ヵ月の経過観察中に補充療 者を含む)を対象に,入院時におけるルーチンの超 法が奏効しない重症出血を再発した症例はなかった。 音波検査の施行が診療に与える影響について検討し 塞栓術施行後,凝固因子製剤消費量は,施行前の 1/3 ていた。検討の結果著者らは,超音波検査は軟部組 まで減少した。 織出血の診療には有用であるが,股関節以外の関節 内出血の診療には有用でないと結論していた(61)。 アウトカムの評価:最近の研究で強調されている 磁気共鳴画像法(MRI)が血友病における急性出血 ように,患者自身による治療効果の評価は主観的な 性関節症(自然出血または外傷性出血)の診断に有 ものであるにもかかわらず,治験ではこうした評価 用であることを示すエビデンスは報告されていな がしばしばプライマリーアウトカムとして使用され かった。 る(64)。“奏効”, “部分奏効”, “あまり有効でない” , “無効”といった言葉による表現は,解析では二分 血管造影による塞栓術 変数またはカテゴリー変数として扱われるため,こ 関節機能の完全な喪失および重症疼痛につながる のようなデータの解析は連続変数による解析に比べ 突発的出血は,しばしば関節置換術後に発生するが, ると統計学的検出力が低くなる。100 mm の visual 出血性関節症に自然発生することも多い。このよう analogue scale(VAS)を使用した関節内出血の経 な出血で高用量の凝固因子製剤を投与しても改善が 過観察(疼痛の評価)は,二分変数を使用した評価 みられない場合には,血管異常の有無を精査すべき より検出力が高いことが最近の研究で示されており, であり,異常を認めた場合には血管造影による塞栓 VAS による評価に前述のような言葉による評価を 術を考慮するべきである。非接着性の液状塞栓物質 組み合わせることによって,評価精度はさらに改善 を使用するこの手技には,熟練した放射線科医の技 すると考えられる(64)。 術が必要とされるが,前述のような状況下ではこの 治療が有用な治療オプションになることが最近の 2 (63,64) つの研究で示されている 。 そのうちの 1 つであるアムステルダムで行われた 研究では,血友病患者 18 例の膝関節または肘関節 の重症出血 23 件に選択的動脈カテーテル挿入術が 施行された。血管造影で充血組織や小動脈瘤破裂を 示唆する過度の blush(血管陰影)を認めた場合に マイクロカテーテルを進めて塞栓術が施行された(62)。 塞栓術は 23 件中 20 件で有効であったが,7 件は再 出血を呈した。塞栓術の再施行により,この 7 件中 5 件で出血を完全に抑えることができ,残りの 2 件 では出血が軽減した。31 件中 6 件で合併症 ― 関 節疼痛(3 件),一時的動脈痙攣(1 件) ,動脈小血 栓(1 件) ,腸腰筋出血(1 件)― が生じた。 もう 1 つの研究は,外傷がなく集中的な二次定期 調 査 Table 4 に示したように,中等症の出血性関節症 では回答した医師の 75 %が初回治療として FVIII 製剤 30 U/kg を投与すると回答し,1 日 1 回投与す ると答えた医師は 88%であった。2 日目も投与する と回答した医師は 66%であったが,4 日目まで投与 を継続すると回答した医師は 27%にすぎなかった。 重症の出血性関節症では,医師の 68 ∼ 75%が初回 治療として FVIII 製剤 40 ∼ 50 U/kg を投与すると 回答し,76 ∼ 81%は同日にもう 1 回投与すると回 答した。補充療法を 3 日間継続すると回答した医師 は 77 ∼ 90%で,4 日間継続すると回答した医師は 40 ∼ 54%であった。 実施すべき検査として,次の検査が挙げられた ― インヒビター検査(推奨した回答者の割合:15 補充療法を行っているにもかかわらず,肘関節また ∼ 27 %), 凝 固 因 子 活 性 レ ベ ル の モ ニ タ リ ン グ は膝関節の重症出血を繰り返している重症血友病 A (70 %),画像検査(22 ∼ 57 %) 。関節穿刺を考慮 または B 患者 7 例に関する報告であり,塞栓術の するという回答は,重症出血性関節症症例のみ(症 有用性が示されていた(63)。血管造影により 8 関節(6 例 1 と症例 2)でみられ,その割合は 19%(症例 1) 肘関節,2 膝関節)で動脈出血が同定され,塞栓術 ∼ 28%(症例 2)であった。 11 Full Translation: C. Hermans, et al. 次の治療が推奨された ― 理学療法(推奨した回 答者の割合:37 ∼ 44%),固定(副子またはギプス) 血といった比較的頻度の低い出血の最適な診療につ いては,報告されているデータがほとんどない。 (38 ∼ 71 %) ,体重負荷の回避(44 ∼ 85 %) 。多く 今回の文献レビューで示されたように,急性出血 の医師(47 ∼ 86%)が鎮痛薬を使用すると回答し 性関節症の診療における診断法(画像検査や関節鏡 たが,コルチコステロイド,NSAIDs,抗線溶薬を 検査)および補助的治療(関節穿刺,鎮痛薬,理学 使用すると回答した医師は少なかった(概ね 20 % 療法,冷却,抗炎症薬,塞栓術)の役割を決定する 未満) 。 ために必要なエビデンスに基づく情報はほとんどな く,血友病専門医を対象とした調査では急性出血性 考 察 一次定期補充療法は患者へ大きな利益をもたらす 関節症に対する診療アプローチに明らかな不均一性 を認めた。エビデンスの不足は,現在のガイドライ ンにも反映されており,補助的治療に関して,標準 が,血友病 A および B のいずれの患者においても 化された詳細なプロトコールを提示できていない。 出血性関節症は依然として臨床的に重大な問題であ 血友病性関節症の病態生理に関する最近の知見およ り,慢性滑膜炎および血友病性関節症のリスクと び関節に対する血液の有害性を考慮すると,こうし なっている。血友病患者における急性出血性関節症 た情報は不可欠である。体重負荷の回避は,いずれ の診療に関して包括的レビューを行った研究は,最 の症例においても重要な補助的治療になると考えら 近発表されていない。本稿では,これまでに報告さ れるが,重症出血性関節症を起こした患者の関節機 れているデータを包括的にレビューするとともに, 能維持における関節穿刺の役割も今後明確にすべき 欧州の血友病専門医大規模集団を対象に,急性出血 である。 性関節症における現在の診療アプローチに関する調 査を行った。 数千例の血友病患者の診療に日々当たっている大 規模血友病専門医集団を対象とした今回の調査では, 文献レビューの結果から,興味深い結論を見いだ 目標凝固因子活性レベル,治療期間,特定の治療法 すことができる。補充療法は急性出血性関節症に対 の併用といった治療方式について興味深い情報を得 する第一ステップの治療であるが, 適切な FVIII(ま ることができた。調査の結果,欧州全域を通じて急 たは FIX)活性レベルおよび最適な治療期間につい 性出血性関節症の診療アプローチに明らかな不均一 て検討したランダム化比較試験はほとんどない。 性があることがハイライトされた。想定した症例に 1967 ∼ 1982 年にかけて報告された研究では,比較 的低用量(3 ∼ 30 IU/kg)の凝固因子製剤投与に 対して選択された治療レジメンは,ほとんどが文献 よる治療成功が報告されている。しかし,これらの 固因子活性レベルを目標とした強いものであった。 研究では「治療成功」の基準が明確に定義されてい また,関節穿刺を有用な補助的治療と考えていた医 ないため,より厳格に実施された後の研究との比較 師は,ごく一部にすぎなかった。 や現在のガイドラインで報告されているより高い凝 が困難である。治療アウトカムの基準をきちんと定 義した上で,高用量(25 ∼ 40 IU/kg/ 出血)の遺 伝子組換え型凝固因子製剤の投与成績を検討した最 治療に関する勧告 報告されている文献が非常に限られていたため, 近のいくつかの研究では,単回輸注で最大 88 %の 血友病患者における急性出血性関節症の最適な診療 治療成功率を報告している。これまで,原著論文の について,エビデンスに基づくガイドラインを提示 不均一性がガイドラインに反映され,ガイドライン することは不可能である。しかし,文献レビュー, が一貫性を欠く原因になっていたが,今回の調査の 調査,EHTSB での議論に基づき,次の勧告につい 結果,急性出血性関節症に対する血友病専門医の現 てコンセンサスを得ることができた[カッコ内にエ 在の診療は,最近の研究報告に準じたものであるこ ビデンスレベル(Table 5)を示した]。 とが判明した。ただし,股関節内出血や肩関節内出 12 総説:インヒビターのない血友病 A における急性出血性関節症の診療:文献レビューおよび欧州での調査と勧告 Table 5. Grading of recommendations and levels of evidence. を示すエビデンスが報告されている。画像検査は, Grade 非定型的所見や重度の腫脹,関節の外傷をもつ患者 Level A Ia A Ib B IIa B IIb B III C IV Type of evidence Evidence obtained from meta-analysis of randomized studies. Evidence obtained from at least one randomized controlled trial. Evidence obtained from at least one well-designed controlled study without randomization. Evidence obtained from at least one other type of well-designed quasi-experimental study. Evidence obtained from well-designed non-experimental descriptive studies, such as comparative studies, correlation studies and case-control studies. Evidence obtained from expert committee reports or opinions and/or clinical experience of respected authorities. で外傷性病変の併存を除外する場合に行われるべき である(エビデンスレベル IV,推奨グレード C)。 関節穿刺:本治療は,著しく腫脹している出血性関 節症において速やかに症状を改善するうえで有用と 考えられる。この手技は,補充療法を十分に行った うえで,熟練した専門医が無菌操作として施行する べきである。関節穿刺が長期的にも有益であるかを, 今後明確にする必要がある(エビデンスレベル IV, 推奨グレード C)。 補充療法:初期治療として FVIII 製剤 25 ∼ 40 IU/kg 関節鏡検査:この検査は,正常な止血能をもつ患者 の投与は,最近の研究ならびに臨床経験によって支 における役割が不確かであること,さらに,血液凝 持されている。この治療によってほとんどの症例は, 固異常症における役割が未だ検討されていないこと 。重症出血(外傷関連出 を考慮し,我々は血友病患者の急性出血性関節症の 血など)では 50 IU/kg などの高用量投与が必要に 診療におけるこの検査のルーチンの使用を推奨しな なることがある。補充療法はできるだけ早期に開始 い(エビデンスレベル IV,推奨グレード C)。 (26 ∼ 29) 単回投与で改善する し,疼痛の解消および関節機能の回復によって定義 される十分な改善が得られるまで繰り返し行うべき 血管造影による塞栓術:血管異常に起因する再発性 である(エビデンスレベル III,推奨グレード B)。 の関節内出血では,この手技を考慮してもよい。未 だ臨床経験が少ないため,我々は経験豊富な施設の 速やかな鎮痛と抗炎症薬投与:固定と冷却も疼痛お みでの施行を推奨する(エビデンスレベル IV,推 よび出血の改善に有用と考えられる。鎮痛薬選択の 奨グレード C) 。 指針となる研究は報告されていないが,有効性と有 害事象のプロフィールに基づき,軽症∼中等症の疼 理学療法:特定の手法を推奨するに足る有意なエビ 痛に対して我々はパラセタモールを推奨する(肝疾 デンスは報告されていない。冷却は,疼痛と腫脹を 患をもつ患者では注意を要する) 。重症疼痛ではオ 軽減する。我々はほとんどの患者について,まず固 ピエイトが必要になることもある。また,我々は入 定と体重負荷の回避を行い,その後に補充療法下で 手可能である場合には,非選択的 NSAIDs よりも リハビリテーションを行うアプローチを推奨する COX-2 選択的阻害薬による短期治療を推奨する(エ ビデンスレベル IV,推奨グレード C) 。 (エビデンスレベル IV,推奨グレード C) 。 血友病患者の急性出血性関節症の治療におけるコ 今回我々は,血友病患者における急性出血性関節 ルチコステロイド関節内注射あるいは全身投与を支 症の診療に関する包括的文献レビューと大規模調査 持する文献はなく,コルチコステロイドの使用は推 を行った。その結果,適切な補充療法および補助的 奨されない (エビデンスレベル IV,推奨グレード C) 。 治療(関節穿刺など)の役割を今後さらなる研究で 明確にする必要があることが示された。血友病性関 画像検査:我々は,急性出血性関節症の診療にお 節症の病因に関する新たな知見が最近蓄積されてお いてはルーチンの画像検査を推奨しない。股関節内 り,各地域の診療および国レベルのガイドラインを 出血が疑われる場合に超音波検査が有用であること 見直す必要があると考えられる。以上の節で考察し 13 References 1 Manco-Johnson MJ, Abshire TC, Shapiro AD et al. Prophylaxis versus episodic treatment to prevent joint disease in boys with severe hemophilia. N Engl J Med 2007; 6: 535–44. 2 Lafeber FP, Miossec P, Valentino LA. Physiopathology of haemophilic arthropathy. たように,さまざまな制限があるが,今回我々はそ Michael Richards, Leeds, UK; Philippe de Moerloose, Haemophilia 2008; 14(Suppl. 4): 3–9. の 枠 内 で こ れ ま で の 研 究 報 告, 現 在 の 診 療, Switzerland; Rosario Pérez Garrido, Seville, 3 Roosendaal G, JansenGeneva, NW, Schutgens R, Lafeber FP. Haemophilic arthropathy: the EHTSB の臨床経験に基づく勧告を提示した。 Spain; Riitta importance of the earliest haemarthroses and Lassila, Helsinki, Finland; Robert consequences for treatment. Haemophilia Thumboo J, O’Duffy JD. A prospective Klamroth, Berlin, 11 Germany; Thierry Lambert, Paris, 2008; 14(Suppl. 6): 4–10. study of the safety of joint and soft tissue 4 Valentino LA, Hakobyan N, Enockson C. Joao Diniz, aspirations and injections in patientsKarin taking France; Maria Lisbon, Portugal; 謝 辞 Blood-induced joint disease: the confluence warfarin sodium. Arthritis Rheum 1998; 41: EHTSB は,次の会員および欧州の血友病治療セン Fijnvandraat, of dysregulated oncogenes, inflammatory Amsterdam, 736–9. Netherlands; Kathelijn signals, and angiogenic cues. Semin Hematol 12 Srivastava A. Dose and response in haemoタ ー で 構 成 さ れ て い る ― Alessandro Gringeri, Fischer, Utrecht, Netherlands; Pal ofAndre Holme, 2008; 45(2 Suppl. 1): S50–7. philia – optimization factor replacement 5 Jansen NW, Roosendaal G, Bijlsma JW, therapy. Br J Haematol 2004; 127: 12–25. Milan, Italy; Angelika Batorova, Bratislava, Slovakia; Oslo, Norway; Katahrina Holstein, Hamburg, GerDeGroot J, Lafeber FP. Exposure of human 13 Brown DL, Hardisty RM, Kosoy MH, cartilage tissue to low concentrations of Bracken C. Antihaemophilic Angiola Rocino, Napoli, Italy; Anastasia Karafoulidou, many; Fernanda Lopez, La Coruna, Spain. globulin: prepblood for a short period of time leads to aration by an improved cryoprecipitation prolonged cartilage damage: an in vitro Athens, Greece; Carmen Altisent, Barcelona, Spain; method and clinical use. Br Med J 1967; 2: study. Arthritis Rheum 2007; 56: 199–207. 79–85. Cedric Hermans, Brussels, Belgium; Géraldine 開 示 6 Jansen NW, Roosendaal G, Bijlsma JW, 14 Honig GR, Forman EN, Johnston CA, Seeler DeGroot J, Theobald M, Lafeber FP. RA, Abildgaard CF, Schulman I. Adminis著者らは,利害の衝突やバイアスの原因となりう Lavigne Lissalde, Montpellier, France; Gerry Dolan, Degenerated and healthy cartilage are tration of single doses of AHF (factor VIII) equally vulnerable to る利害関係を何らもち合わせていないことを宣言し blood-induced damconcentrates in the treatment of hemophilic Nottingham, UK; Jan Astermark, Malmö, Sweden; age. Ann Rheum Dis 2008; 67: 1468–73. hemarthroses. Pediatrics 1969; 43: 26–33. 7 Hooiveld MJ, Roosendaal Jacobs KM た。G,EHTSB は,Baxter の Jerzy Windyga, Warsaw, Poland; Lorenzo Giovanni Bioscience 15 Britton M, Harrison J,Europe Abildgaardか CF.ら Early et al. Initiation of degenerative joint damage treatment of hemophilic hemarthroses with 無制限の助成金により支援されている臨床医の独立 Mantovani, Napoli, Italy; Mario Schiavoni, Bari, bleeding by experimental combined with minimal dose of new factor 8 concentrate. J loading of the joint: a possible mechanism of Pediatr 1974; 85: 245–7. したグループである。 Italy; Mario von Depka, Hannover, hemophilic Germany; arthropathy. Arthritis Rheum 16 Abildgaard CF. Current concepts in the 2004; 50: 2024–31. management of hemophilia. Semin Hematol 8 Ribbans WJ, Giangrande P, Beeton K. Con1975; 12: 223–32. servative treatment of hemarthrosis for pre17 Ashenhurst JB, Langehannig PL, Seeler RA. vention of hemophilic synovitis. Clin Orthop Early treatment of bleeding episodes with References Relat Res 1997; 343: 12–8. 10 U/kg of factor VIII. Blood 1977; 50: 181– 9 Astermark J, Morado M, Rocino A et al. 1 Manco-Johnson MJ, Abshire TC, Shapiro 2. Current European practice in immune tolAD et al. Prophylaxis versus episodic treat18 Penner JA, Kelly PE. Lower doses of factor erance induction therapy in patients with ment to prevent joint disease in boys with VIII for hemophilia. N Engl J Med 1977; haemophilia and inhibitors. Haemophilia severe hemophilia. N Engl J Med 2007; 6: 297: 401. 2006; 12: 363–71. 535–44. 19 Weiss AE. Doses of factor VIII for hemophilic 10 Palareti G, Leali N, Coccheri S et al. Bleed2 Lafeber FP, Miossec P, Valentino LA. Physbleeding. N Engl J Med 1977; 297: 1237–8. ing complications of oral anticoagulant iopathology of haemophilic arthropathy. 20 Ripa T, Scaraggi FA, Ciavarella N. 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