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会議報告 凝固因子欠乏症:今後の展望

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会議報告 凝固因子欠乏症:今後の展望
Meeting Report − Full Translation
会議報告
凝固因子欠乏症:今後の展望
Coagulation deficiencies: a look to the future
C. A. Lee and L. M. Aledort
Oxford Haemophilia Centre and Thrombosis Unit, Oxford, UK; and Mount Sinai School of Medicine,
New York, NY, USA
本会議は,ロンドンの Goring ホテルで開催された
のところ,輸血を介した感染者 3 例が報告されてお
第 10 回の年次会議で,少数の専門家が集い,血友
り,うち 2 例は罹患ドナー由来血液の輸血の後に
病と止血に関する最前線のトピックスを論題に議論
vCJD の発症が確認され,残りの 1 例は他の死因で
が交わされた。無制限の教育助成金を提供している
の死亡時にリンパ組織に異常プリオン蛋白質が検出
製薬業界の代表者らも招待された。
された(2)。輸血感染症例のうちの 1 例は,コドン 129
遺伝子型がメチオニン / バリンであった。
vCJD に関する最新情報 : James Ironside 博士
の講演
出を行った匿名の疫学研究では,12,674 検体中 3 検
ト・ヤコブ病(vCJD)患者は 165 例であり,うち英
コドン 129 遺伝子型については,3 検体中 2 検体で解
国で 6 例,フランスで 21 例,アイルランドで 4 例が
析が可能で,いずれもバリンホモ接合体であった(4)。
生存している(1)。これらの患者のプリオン蛋白質コ
vCJD の流行はピークを脱したと考えられるが,リ
ドン 129 遺伝子多型の遺伝子型は,すべてメチオニ
ンパ組織に感染性をもつ感染者がいまだ英国に存在
ンホモ接合体である。一般集団におけるこの遺伝子
する可能性が懸念されている。したがって,輸血や
多型の分布は,メチオニンホモ接合体 37%,メチオ
汚染手術用器具を介して二次的感染が起こる可能
ニン/バリン 51%,バリンホモ接合体 12 %と報告さ
性は否定できない。また,コドン 129 遺伝子型がメ
れている。
チオニン/バリンまたはバリンホモ接合体である個体
現在までに見いだされている変異型クロイツフェル
また,虫垂検体における異常プリオン蛋白質の検
体が陽性で,頻度は 237/1,000,000 検体であった(3)。
Transfusion Medicine Epidemiological Review
(TIMER)研究では,後に vCJD を発症したドナーの
において,今後感染が流行する可能性が一部の研究
血液を輸血された患者が追跡されている。これまで
たドナーに由来する凝固因子製剤を 1981 ∼ 1998 年
で指摘されている。このため,後に vCJD を発症し
にかけて投与された患者は,すべて公衆衛生的にリ
Contributors at the workshop: J. Ironside, P.M. Mannucci,
A. Falanga, S. Lacroix-Desmazes, J. Astermark, B. Conti-Fine,
A. D�Angelo, J. Goudemand, W. Schramm, C. Negrier, D. Lillicrap, C. Manno, R. Neuman and N. Hanspeter.
Correspondence: Prof. Christine A. Lee, Oxford Haemophilia
Centre and Thrombosis Unit, The Churchill Hospital, Old Road,
Headington, Oxford OX3 7LJ, UK.
Tel.: +44 1285 644949; fax: +44 1285 644126;
e-mail: [email protected]
Accepted after revision 19 September 2007
Haemophilia( 2007),13,750–757
©Blackwell Publishing Ltd.
30
スク症例と考慮される。事実,1986 ∼ 1998 年にかけ
て,後に vCJD を発症したドナー 11 例が 25 回にわ
たって献血し,これらの血漿が血漿分画に使用され
たことが明らかになっている。
プリオンフィルター(5)や,手術用器具の病原体不
活化処理および診断法の開発に関する研究が継続さ
れている。
会議報告:凝固因子欠乏症 ― 今後の展望
稀な血液凝固異常症 : Pier Mannuccio
Mannucci 博士によるレビュー
全体として情報が極めて不足しており,特に凝固因
子製剤の薬物動態に関する情報が不足している。治
療は一生に一度であるかもしれないため,輸血を介
これらの疾患は,典型的な稀少難病である。有病
した感染への懸念は特に重要である。新鮮凍結血漿
率は低く,第 VII 因子(FVII)欠乏症は 1 例 /500,000
(FFP)は,すべての凝固因子を含有するため,これらの
人,プロトロンビン(FII)欠乏症は 1 例 /2,000,000 人
疾患における治療のかなめとなる。FFP は安価で広
である。しかし,これらの疾患は常染色体劣性遺伝
く市販されているが,安全とは言いがたい。有機溶媒
性疾患であるため,血族結婚の多い地域では頻度が
界面活性剤処理またはメチレンブルー処理でウイル
(6)
極めて高い
。したがって,このような稀な血液凝
ス不活化のなされた FFP を使用するほうが望まし
固異常症(RBD)の頻度は,英国やイタリアよりもイ
い。欧州では FVII 欠乏症,FXI 欠乏症および FXIII
ランなどの国で非常に高い。また,稀であるがゆえ
欠乏症に対する凝固因子製剤の使用が可能である。
に,血友病 A や血友病 B に比べて,疾患に関連す
プロトロンビン欠乏症および FX 欠乏症に対しては,
る分子異常や治療に必要とされる投与量などに関し
プロトロンビン複合体製剤(PCC)が使用可能であり,
て現在までに得られている情報が非常に限られてい
る。しかし,
次の RBD をもつイラン人患者 100 例
FVII 欠乏症に対しては遺伝子組換え活性型 FVII
(rFVIIa)製剤が使用可能である。重大な問題は,FV
以上の臨床的特徴が既に報告されている ― フィブ
欠乏症を治療するための凝固因子製剤がないことで
リノゲン欠乏症,プロトロンビン欠乏症,FV 欠乏症,
ある。
FV・FVIII 重複欠乏症,FVII 欠乏症,FX 欠乏症,
FXIII 欠乏症(7)。これらの患者の約 75%は,凝固因
子活性レベルが 2%未満の重症症例である。最も重
篤な出血は FXIII 欠乏症で認められており,中枢神
経系の出血も一般的であった。FX 欠乏症も重症出
血と関連しており,全例の 69%,66%,50%がそれ
本態性血小板血症における血小板増加症に
ついて ― 特に白血球増加症との関連で :
Anna Falanga 博士による議論
本態性血小板血症は,造血幹細胞が無秩序に増
ぞれ関節内出血,筋肉内出血,月経過多を経験して
殖するクローン性疾患である。本疾患には血栓症お
いた。フィブリノゲン欠乏症,プロトロンビン欠乏症,
よび出血が合併する。1999 ∼ 2004 年における 35 万
FX 欠乏症,FV・FVIII 重複欠乏症で臍帯出血が認
例を含む 26 編のレビューでは,血管疾患においては
められており,各疾患においてこれを経験していた患
白血球数と罹病率,死亡率とが関連することが示さ
者の割合は,それぞれ 75%,15%,28%,22%であっ
れている(8)。本態性血小板血症をもつハイリスク患者
た。FV 欠乏症は,重症出血と関連していなかった。
114 例を対象とした研究では,ヒドロキシ尿素によ
プロトロンビン欠乏症における出血はそれほど重症
る血小板数の減少が血栓症発症頻度の減少と関連
ではなかったが,月経過多が 75%で認められたこと
することが示されている(9)。多血症患者と本態性血
に加え,60%で鼻出血がみられた。粘膜出血が高頻
度に発症する原因については不明である。全体とし
小板血症患者においては,白血球数高値と血栓症と
の間に関連性が認められている。血小板 P -セレクチ
て,いずれの RBD においても月経過多が一般的に認
ンの顆粒球への接着は血小板の活性化を誘発し,
められる症状であった。FV・FVIII 重複欠乏症では,
CD116 受容体および CD18 受容体を介してさらに血
細胞内輸送に関与する蛋白質に遺伝子変異が存在す
小板を凝集させる(10 ,11)。
る。他の RBD においては,それぞれの欠乏凝固因子
は有症状である傾向が強く,ヘテロ接合体は無症状
JAK2 蛋白質 617 位のフェニルアラニンがバリンに
置 換 される JAK2 V617F 変 異 は, 多 血 症 患 者 の
90 %以上,本態性血小板血症患者の 50 %にみられ
である。
る。本態性血小板血症におけるこの遺伝子変異は,
をコードする遺伝子に異常がみられる。ホモ接合体
治療法として欠乏凝固因子の補充が挙げられるが,
血小板と好中球の表面における止血・炎症誘発性分
31
Full Translation: C. A. Lee and L. M. Aledort
子のパターンに影響を及ぼすことが証明されている。
免疫応答のダウンレギュレーションにおける von
Willebrand 因子の役割:Sebastien LacroixDesmazes 博士によるレビュー
インヒビターと遺伝子多型:Jan Astermark
博士の講演
インヒビターは, 治 療 後 の 血 友 病 患 者 の 20 ∼
30%に出現する。家族性の一致率が 70 ∼ 80%と高
く,家族内でも兄弟間では非兄弟間に比べて一致率
von Willebrand 因子(VWF)は,FVIII の輸送蛋
白質として働く。また,VWF は,FVIII を蛋白質分
が高い(兄弟間 50%,非兄弟間 9%)。また,アフ
リカ系人種は,高リスク因子の 1 つである(19)。補充
解作用による破壊および活性化から防御するととも
療法のアウトカムおよびインヒビター出現に影響を
に,低比重リポ蛋白質受容体とリポ蛋白質受容体蛋
与える遺伝的因子としては,原因遺伝子変異,主要
白質との結合を阻害することにより FVIII の半減期
組織適合遺伝子複合体(MHC)クラス I・II 表現型,
を制御する。FVIII の抗原性部位は,主に A2 ,A3 ,
サイトカインと免疫制御分子をコードする遺伝子の
C1 および C2 ドメインであり,VWF との結合部位は
A3 ,C1 ,C2 ドメイン上である(13)。
FVIII に対する同種抗体は FVIII の分解を導き,そ
の凝固機能を妨害する。VWF は,IgG により仲介さ
れるこのような FVIII の加水分解を阻害する(14)。VWF
の防御作用を示す経験的データとして次の 2 つの観
察所見が挙げられる ― ① rFVIII 製剤を使用した
免疫寛容導入療法(ITI)では奏効率が 54%であった
一方で,FVIII/VWF 複合体製剤を使用した ITI で
は 82 %であった(15),② rFVIII 製剤で治療された過
去に治療歴のない患者(PUP)集団におけるインヒビ
ター出現頻度は 30%であったが,血漿由来 FVIII 製
剤で治療された PUP 集団では 11%であった(16)。
また,rFVIII 製剤または VWF 含有量の少ない血
漿由来 FVIII 製剤をノックアウトマウスに注射した研
多型が挙げられる(20)。
究では,注射後に高力価インヒビターの出現が認め
FVIII インヒビターの産生は,抗原特異的 CD4 陽
性細胞に依存性であり,インターロイキン(IL)-10
や腫瘍壊死因子(TNF)a の放出に帰結する。これら
のサイトカインをコードする遺伝子の多型は,抗体
仲介型疾患と関連することが示されている。Malmö
International Brother Study(MIBS)では,IL-10 遺
伝子プロモーター領域のマイクロサテライト DNA
134 bp アレル(IL-10G)は,オッズ比 4.4 でインヒビ
ター出現と関連することが示されている(21)。また,
TNFa 遺伝子−308 A/A 遺伝子型は,オッズ比 19.2
でインヒビター出現と関連していた(22)。これらの多
型領域は,インヒビター出現リスクの有用なマーカー
と考えられるとともに,インヒビターがなぜ出現する
のかを示唆するものであるかもしれない。細胞傷害
性 T 細胞関連蛋白質 4(CTLA-4)は,主に活性化 T
られた一方で,FVIII を VWF と前培養して投与し
細胞上に発現する受容体であり,T 細胞活性をダウ
た場合にはインヒビター力価の低下が認められてい
ンレギュレートする。CTLA-4 遺伝子の多型は,抗
る(17)。
体仲介型自己免疫疾患における免疫応答を修飾す
VWF は,分子レベルで抗原提示細胞(APC)に作
る。加えて,MIBS では,CTLA-4 遺伝子プロモー
用すると考えられる。樹状細胞を使用したモデルで
ター領域における−318 位の C/T 単一ヌクレオチド対
は,VWF レベルを増加させると,APC に取り込ま
が防御作用と有意に関連することが見いだされてい
れる FVIII が減少することが示されている。VWF の
る(23)。
T 細胞との培養では,FVIII による T 細胞の活性化が
低下する(18)。このようなことから,PUP では APC が
インヒビターの誘導 : Bianca Conti-Fine 博士
優勢であるが,これは加齢とともに後退するため, による考察
早期の段階では VWF 含有製剤を使用し,加齢とと
もに遺伝子組換え型製剤へ移行していくことにより,
インヒビター出現率は低下すると予想される。
32
FVIII インヒビターは,B 細胞によって産生される
高親和性抗体である。FVIII ノックアウトマウスに
会議報告:凝固因子欠乏症 ― 今後の展望
FVIII 製剤を注射し,時間経過に伴う免疫応答を検
討した研究では(24),注射 4 ∼ 5 回後にインヒビター
の出現が認められた。これらのインヒビターは IgG1
または IgG2(頻度は IgG1 に比べて低い)であり,こ
れらの抗体が Th2 細胞および Th1 細胞の両者によっ
の化学走性を阻害するが,この阻害活性は未分画
も,アンチトロンビン療法の有効性について検討され
て誘導されることが示唆された。インヒビターの合成
ている。ヘパリンを併用しなかった患者群ではこの治
は,Th1 サイトカインと Th2 サイトカインの両者(特
療は死亡率を低下させたが,ヘパリン併用はこの効
に IL-10)によって促進されると考えられる。
果を打ち消したのみならず,出血リスクを増大させ
および低分子量ヘパリンによって逆行されることが
見いだされた(27)。重症敗血症患者 2,314 例を対象
とした前方視的ランダム化比較試験(KyberSept)で
重症血友病 A 患者と後天性血友病患者を対象と
た(28)。さらに,この研究の結果の単変量および多変
した 研 究 で,Th1 誘 導 性 FVIII IgG と Th2 誘 導 性
量再解析では,重症敗血症患者において高用量 AT
製剤は生存期間を延長するが,この効果はヘパリ
FVIII IgG のレベルが既に測定されている。Th1 誘導
性インヒビターと Th2 誘導性インヒビターの分布は, ンを併用しなかった場合により高いことが示されて
いずれの患者集団においてもほぼ同等で,FVIII に
いる(29)。
対する免疫応答において Th1 細胞が従来考えられて
重症子癇前症患者におけるアンチトロンビン製剤
いたよりも重要な役割を果たすことが示されている。
を使用した治療の臨床・周産期アウトカムが,ラン
抗体応答が強い場合には Th2 細胞により促進される
ダム化二重盲検プラセボ対照比較試験で評価されて
インヒビター合成が起こり,Th1 細胞はインヒビター
いる。妊娠中毒指数および推定胎児体重増加の改善
(25)
合成の長期維持に関与していた
。
という点で,アンチトロンビン製剤投与群ではプラ
セボ投与群に比べて結果が有意に良好であった(30)。
現在のアンチトロンビン製剤の使用状況 :
Armando D’Angelo 博士による評価
血漿中アンチトロンビン(AT)レベルは,敗血症
やショック下で低下し,最低値は死亡率と相関する。
FXI 欠乏症の治療と FXI 製剤の役割:Jenny
Goudemand 博士による考察
性期反応の一部である。炎症は血液凝固を誘発し,
FXI は肝細胞と巨核球によって産生される糖蛋白
質である。FXI 遺伝子は第 4 染色体に存在し,全長
26 kb で 15 個のエクソンと 14 個のイントロンで構成
究極的には臓器不全と虚血につながる。AT のモル
される。その生理的役割は,フィブリン形成の促進と,
濃度は 2.6 m mol/L で,液相では極めて弱いインヒ
線溶活性からの血餅の防御である。FXI が凝固系を
炎症は血液凝固促進因子を刺激し,凝固因子は急
ビターであるが,アミノグリカンと結合すると極めて
作動させるわけではないが,凝固系開始期に形成さ
活性の高いインヒビターとなる。
れるフィブリンが FXI を活性化させるとともに,トロ
死亡回避における AT 製剤の有効性が,集中治療
ンビンの爆発的産生が起こり,トロンビン活性化線
室に入院した患者を対象に評価されている。120 例が
溶阻害因子(TAFI)が活性化される。したがって,
AT 製剤投与群とプラセボ投与群にランダム化された
FXI が存在しなければトロンビンの爆発的産生は起
が,両群の全生存率に差はなかった。しかし,敗血
こらず,線溶系が亢進する(31)。
症性ショックを呈していた 56 例では,AT 製剤投与
併用された場合には,AT 製剤は臨床的に有益な効
FXI 欠乏は RBD と考えられており,FXI 活性レベ
ルが 10 U/dL 未満である場合には,重症出血が発症
する。有病率は,1 例 /100 万人である。しかし,一
果をもたらさないと報告されていることに対応し,
部の集団ではこの疾患の原因となる遺伝子変異の頻
(26)
後の死亡率の減少が認められている
。ヘパリンが
ゴールデンハムスターを使用してこの逆効果に関与
度が高く,アシュケナジ(東欧・ロシア系ユダヤ人)
する微小循環血流動態関連および細胞関連のメカ
では 8 %に部分的欠乏が認められる。これらの遺伝
ニズムが研究された。その結果,AT 製剤は好中球
子変異は,この集団で最初に同定されたものである。
33
Full Translation: C. A. Lee and L. M. Aledort
英国で実施された最近の研究では,分子レベルにお
では,出血や血栓症の合併とは関連しないことが示
いてこの疾患が極めて異質性の高い疾患であること
されている。15 年にわたる本剤の使用経験のレビュー
が示されており,全原因遺伝子変異の 61 %は 57 種
が報告されている(37)。
の異なる遺伝子変異であった(32)。臨床症状は,同
みられる。15 ∼ 70 U/dL の範囲で出血は予測不可
FXI 製剤投与に引き続き,FXI インヒビターが出
現しうる。原因遺伝子変異が II 型ホモ接合体の患者
におけるインヒビター出現頻度は,重症血友病 A 患
能である(33)。
者と同等であることが示されている(38)。
一患者においても同一家族内においてもバラツキが
FXI 欠乏症に対する治療選択肢には「無治療」,
抗線溶薬,FFP ,rFVIIa 製剤およびデスモプレシン
(DDAVP)が含まれる。単一施設における 1970 ∼
1994 年にかけての経験のレビューにおいて,FXI 製
剤を予防的に投与した 25 例の出血 45 件と FFP を予
防的に投与した外科的処置 38 件,そして予防的治
療を行わなかった外科的処置 156 件のアウトカムが
ティクルの放出を引き起こし,高いずり速度でマイ
比較された。予防的治療を行わなかった処置では出
クロパーティクル数と血栓形成性が増加する。活性
血頻度が特に高く,扁桃腺摘出手術の 71 %,抜歯
化部分トロンボプラスチン時間は,凝固活性のみを
の 51%で出血がみられた。FFP 投与群では 1 例で出
測定するものであり,血餅の粘性を決定できるもの
血がみられたのみで,FXI 製剤投与群では出血は全
ではない。 トロンボエラストグラフィ(TEG)は,
くみられなかったが,心血管疾患既往歴のある 1 例
1 ∼ 15 U/dL)における出血の合併頻度を後方視的
1951 年 に Hartert に よ り 報 告 さ れ た(39 ,40)。 後 の
1973 年に TEG は,血友病患者 1 例における FVIII
インヒビターバイパス止血製剤(FEIBA)による治療
のモニタリングに使用された(Schramm の私信)
。
1960 ∼ 1993 年の間に TEG に関する文献 100 編が
報告された。TEG を使用することにより,血液凝固
に分析した研究では,線溶活性を示す組織を含む外
のモニタリングにおいて血液を使用する必要性を著
科的処置では全件の 49 ∼ 67%で出血が合併した一
明に抑制できることが証明されている。診療監査に
方で,線溶活性のない組織の外科的処置では全件の
引き続き,ガイドラインが作成され,トレーニング
1.5 ∼ 40 %で出血が合併したのみであった。このよ
が実施された。TEG を使用した綿密なモニタリング
うに,補充療法を倹約できるか否かは予測可能であ
は,赤血球製剤,FFP および血小板製剤使用量の減
り,これを行うことによって過剰輸液や感染症,血
少につながっている(41)。
栓症,そして FXI インヒビター出現といった治療関
唆されている。1996 年の Bioproducts Laboratory 社
ROTEG は,全血における血餅形成をリアルタイ
ムで 解 析 することのできる TEG の 変 法 である。
ROTEG が rFVIII 製剤による補充療法のモニタリン
グに使用可能であることは,FVIII 欠乏マウスで最
のレポートでは,同社の血漿由来 FXI 製剤を使用し
初に証明された(42)。
が心筋梗塞をきたした(34)。
補充療法における FXI 製剤投与の倹約が一部で
推奨されている。補充療法を行わずに外科的処置が
施行された重症 FXI 欠乏症患者 120 例(FXI レベル
(35)
連の合併症を回避することができる
。
血漿由来 FXI 製剤は,血栓誘発性であることが示
血液凝固モニタリングにおけるトロンボエラ
ストグラフィの有用性:Wolfgang Schramm
博士による考察
トロンビンの爆発的産生は,血小板マイクロパー
た治療 179 件における血栓性事象 13 件が報告されて
インヒビター陽性血友病患者の治療に使用される
いる。しかし,より詳細な分析が行われた結果,こ
rFVIIa 製剤の検査室でのモニタリングは,複雑であ
る こ と が 証 明 さ れ て い る。 一 方 ROTEG で は,
rFVIIa 製剤投与により FX:C 活性が用量依存性に増
のリスクが心血管疾患あるいは血栓症の既往歴をも
つ患者に限定的であることが明らかになった(36)。
Hemoleven は,フランスで製造されている血漿由
来 FXI 製剤である。投与量 35 U/kg で検討した研究
34
加すること,そして全血凝固時間が短縮することが
証明されている(43)。
会議報告:凝固因子欠乏症 ― 今後の展望
トロンビン生成:Claude Negrier 博士による
考察
止血機構に関する現在の我々の理解では,単球上
生の結果である。免疫寛容誘導のメカニズムには,
副刺激の欠如や抗原と出会う機会の欠如(例えば,
,アポトーシスによる T 細胞の消失,
VWF の存在下)
T 細胞抑制が関与しうる。T 細胞に提示される FVIII
の組織因子が血小板表面におけるテナーゼ複合体の
がサプレッサー効果を促進するという仮説が,マウス
集合を開始させ,微量トロンビンが生成される。細
骨髄細胞で検証されている。免疫寛容原性の FVIII
胞を使用したトロンビン生成(TGT)モデルが既に開
提示を可能とするために,未熟樹状細胞群(CD-11c
(44)
発されている
。血友病 A および B では,活性化
陽性細胞)が FVIII と培養された(FVIII パルス処
血小板は存在するが,テナーゼ複合体の集合は減弱
理)。血友病マウスが使用され,対照マウスには
している。ビデオ顕微鏡を使用して血餅形成を視覚
FVIII パルス処理のなされていない細胞が静脈注射
され,続いて FVIII 製剤が輸注された。すべてのマ
ウスに高力価 FVIII インヒビターが出現した。しかし,
FVIII パルス処理を行った細胞を注射し FVIII 製剤
化した研究が報告されており,血友病では血餅形成
は正常であるが,血餅成長が抑制されることが示さ
れている(45)。
TGT は TGT 量 - 時間曲線として測定され,次の
を輸注したマウスでは,長期に及ぶ有意なインヒビ
ような多数のパラメーターを評価することが可能であ
ター力価の抑制が認められた。このアプローチは,
る ― 血餅形成が開始されるまでの時間,トロンビ
ヒトにおける FVIII 免疫寛容においても有益であるか
ン生成速度,曲線下面積およびトロンビン生成量ピー
もしれない(Lillicrap の未発表データ)。
ク値。血友病患者では一部において,凝固因子活性
レベルが同等であるにもかかわらず,表現型が異な
る集団が存在する。TGT を使用することにより,こ
れらの 表 現 型 を 区 別 することが 可 能 である(46)。
FVIII インヒビター陽性の 1 例では,両側膝関節置
換術中における FEIBA の有効性が TGT により良好
に評価されている(47)。TGT は,rFVIIa 製剤の作用
定期補充療法に関する未解決の問題:
Catherine Manno 博士による問題提起
定期補充療法が有益であることは,30 年以上も
前に示されているが(51 ,52),米国疾病予防センター
(CDC)が最近収集した 2005 年のデータでは,米国
機序に関する我々の理解をさらに深めたことに加え,
人血友病患児のうち定期補充療法を受けているのは
rFVIIa 製剤により誘導される TGT が組織因子,リ
ン脂質,rFVIIa 濃度および FVIII と FIX の存在によ
50 ∼ 60 %にすぎないことが示された。また,52 施
設 4,129 例を対象とした 2003 年の調査では,49 %
が出血時投与療法を,44 %が何らかの形の定期補
り影響されることを証明した(48)。
充療法を受けていることが示された(53)。米国で実施
FVIII は敵か味方か?:David Lillicrap 博士
による問題提起
遺伝子導入はインヒビター形成につながるのであ
された対照試験が最近発表されており,前述のよう
な状況に今後変化がみられるかもしれない(54)。
定期補充療法については,未解決の問題が多数残
されている ― いつ開始すべきか,いつ中止すべき
ろうか,あるいは免疫寛容につながるのであろうか。
か,投与間隔,投与経路,治療コンプライアンス。
PUP におけるインヒビター出現頻度は 25%で,保有
率は 6%であることが一般的に知られている。一方,
過去に治療歴のある患者(PTP)におけるインヒビ
ター出現頻度は,米国で 2.14 例 /1,000 人年(49),英
国で 3.2 例 /1,000 人年(50)と報告されている。FVIII
に対する免疫獲得は,APC による抗原のエフェクター
T 細胞への提示と,それに続く B 細胞による抗体産
スウェーデンで実施されたいくつかの研究では,早期
に開始すればするほど,より良好な結果が得られる
ことが示されている(55)。オランダ人重症血友病患者
49 例のうち 11 例が永続的に治療を中止したが,こ
れらの患者でも治療中止後における年間関節内出血
件数の減少が認められた(年間出血件数中央値 = 5
(56)
回)
。一方,カナダで行われた研究では,極めて
35
Full Translation: C. A. Lee and L. M. Aledort
若年の患児を対象に,投与量と投与頻度を段階的
与が 15 U/kg 週 1 回投与よりも優れていることが示
に増加させていくテーラーメード定期補充療法の有用
された。26 関節中 23 関節で可動域が改善し,この
(57)
性が検討され,良好な結果が得られている
。
定期補充療法に関連する問題の 1 つとして静脈アク
改善は血漿中 FIX 活性レベルが検出可能であった日
数と相関していた(62)。
セスが挙げられ,凝固因子製剤の投与を容易にする
このほか,青年期血友病患児および成人血友病患
目的で多数の医師が中心静脈カテーテル(CVAD)を
者(合計 20 例)を対象に定期補充療法を評価した研
使用している。2,704 例(CVAD 総留置件数 = 2,973
究があるが,この研究でも対象となった血友病 B 患
件)を含む 48 編のシステマティックレビューでは,感
者はわずか 3 例であった(63)。
染症発症頻度は 0.66 件 /1,000 CVAD 日であった。
現在では,次のような多数の関係機関が定期補
留置された全 CVAD の 31.3 %が有害事象のために
充療法を推奨している ― 世界保健機関(WHO)
,
抜去され,このうちの 69.9%は感染症が主な原因で
世界血友病連合(WFH)
,米国血友病財団(NHF)
,
あった。CVAD 1 件当たりの留置期間は 578 日(信
United Kingdom Haemophilia Centre Doctors ’
頼区間:456 ∼ 733 日)であった 。CVAD に関連
Organisation(UKHCDO)。しかし,2006 年に発表
する感染症や血栓症といった問題を回避する目的で, された Cochrane Database のシステマティックレビュー
イタリア 人 血 友 病 患 児 を 対 象 に 動 静 脈 シャント
では,血友病 A および B において定期補充療法が出
(AVF)の長期的安全性および有用性が評価されてい
血と出血関連合併症の頻度を低下させるか否かを決
(59)
る 。全例の 96%が AVF を介して在宅で凝固因子
定づけるためには,ランダム化比較試験からのエビ
製剤を投与したが,インヒビター陽性の 1 例で静脈
デンスが未だ不十分であると結論されている(64)。し
(58)
枝血栓症が発症した。
定期補充療法に対する治療コンプライアンスには,
かし,この結果は,定期補充療法の有益性を決定的
に示すコホート研究のデータの価値を無視するもので
次のような様々な障害が存在する ― レジメンの複
ある。しかし,ここのところ,定期補充療法の使用
雑さ,治療継続期間が不明である,患児(特に 10 代)
を正当化するためのアウトカムに関するデータがます
が治療を「拒否」する可能性がある,継続するために
ます必要とされている。The Orthopaedic Outcome
は患児自身またはその家族に強い意志が要求され
る。したがって,この治療を受ける患児の家族には
Study では授業欠席日数と関節スコア,入院日数を
アウトカム指標としている(65)。生活の質(QOL)に
支援と教育を継続して提供していく必要がある(60)。
関する最近の研究では,全対象症例に占める血友病
B 患者の割合は 16%であった(47)。他の使用可能な臨
血友病 B における定期補充療法に関する
Richey Neuman 博士の講演:
“出血”を超え
た視点から
1992 年にスウェーデンから定期補充療法に関する
床測定ツールとしては,次のものが挙げられる ―
Haemophilia Activities List ,Functional Independ,
ence Score ,Pettersson スコア( 関 節 評 価 ツール )
(66)
Haemo-QoL ,MRI スコア。最近これらの評価ツー
ルがレビューされている(67)。
画期的な研究が報告されたが,この研究で対象と
新たな試験を計画する場合には,臨床評価指標を
なった血友病 B 患者はわずか 8 例であったことが提起
含めることを考慮する必要がある。しかし,これら
(61)
された
。この研究の追跡期間は 2 ∼ 5 年で,早
は患者と医師にとってわかりやすいものでなければな
期に開始すればするほど良好な結果が得られると結
らない。また,当局によって定められたルールに従う
論された。
ことはいうまでもない。
血友病 B に特に焦点を当てて定期補充療法の有
現在,血友病 B に焦点を当てた定期補充療法の
用 性 を 評 価 した 唯 一 の 研 究 は,Morfini らにより
試験は 1 件も進行していないが,米国で 1 件がデザ
1976 年に報告された研究である。この研究では重
イン段階にある。
症血友病 B 患者 10 例において,7.5 U/kg 週 2 回投
36
肝疾患および関節疾患における deferasirox
の薬理学的特性とその有用性について : Nick
Hanspeter 博士による概説
Deferasirox は輸血に関連する鉄過剰症に対する
治療薬として開発され,既に 70 ヵ国以上で承認さ
れている。繰り返し輸血を行った場合,トランスフェ
リン飽和度は 30%から 100%へ増大し,鉄が特に心
臓と肝臓に蓄積する。Deferasirox による治療効果
の測定には血清フェリチン値が使用される。マウス
を使用した研究では,本剤は in vitro において心筋細
胞から鉄を除去し,鉄過剰症による心臓の損傷を解
消する効果をもつことが示されている(68)。
本剤は経口投与で活性を発揮し,半減期も 11 時
間と長く,肝臓から鉄を除去する効果をもつ。した
がって,鉄過剰症がインターフェロン療法の不良アウ
トカムと関連する C 型肝炎ウイルス(HCV)感染の治
療で本剤は有用であるかもしれない。また,滑膜増
殖を促進する関節内鉄過剰を伴う血友病性関節症の
治療においても,本剤は有用であるかもしれない。
謝 辞
本研究は,次の製薬会社からの教育助成金により
支 援 さ れ た ― Baxter 社,Bayer 社,Grifols 社,
Kedrion 社,Novo Nordisk 社,Wyeth 社および ZLB
Behring Pharmaceuticals 社。
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