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人と動物の絆 - パル動物病院

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人と動物の絆 - パル動物病院
PAL NEWS 2015/08
パル動物病院
~人と動物の絆~
よりよい関係を目指して
私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に
密着した動物病院を目標にしております。
パルニュース 2015 年 8 月
●犬の副腎皮質機能亢進症
●犬の前立腺疾患について
診療時間
●裾野センター病院
月~土 午前 9:00 ~
午後 14:00 ~
日・祝 午前 9:00 ~
午後 14:00 ~
12:00 (11:30)
21:00 (20:30)
12:00 (11:30)
19:00 (18:30)
●沼津病院
平日
午前 9:00 ~ 12:00 (11:30)
午後 14:00 ~ 19:00 (18:30)
日
午前 9:00 ~ 12:00 (11:30)
木・祝日休診
お問合せ
●裾野センター病院
静岡県裾野市伊豆島田 843-5
TEL: 055-993-3135
●沼津病院
静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27
TEL: 055-922-6255
●ウェブサイト
http://pal-ah.jp
犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気を、
副腎皮質機能亢進症といいます。コルチゾールが過剰になると、
全身に様々な症状がみられます。今回は、中年齢以降の犬で比較
的よくみられる副腎皮質機能亢進症についてお話いたします。
【副腎】副腎は、左右の腎臓のすぐ前方に位
置し、コルチゾールなど生命に重要なホルモ
ンを産生する臓器です。脳の下垂体から産生
される副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) が副腎
を刺激し、コルチゾールが分泌されます。コ
ルチゾールが分泌されることで、食欲や元気
を増し、消化器系その他の状態を整え、体
がストレスに対応できる状態にします。
【診断】血液検査、尿検査、X 線検査、超音
波検査などを行います。これらの検査より副
腎皮質機能亢進症が疑われる場合は、さら
に特殊な血液検査 ( コルチゾールの測定 ) や、
CT・MR I 検査 ( 脳下垂体腫瘍の確認 ) を行
い診断します。
【治療】治療法には、内科療法、放射線療法、
外科手術があります。 原因が下垂体腫瘍で
あれば、下垂体サイズにより治療法は異なり
【発症】どんな犬種にもみられ、6 ~ 10 歳で
ます。下垂体サイズが小さい場合は、内科療
発症する例が多いです。また、雄より雌のほ
法が勧められ、下垂体サイズが大きい場合は、
うが多く発症します。
放射線療法を行ない必要に応じて内科療法
【原因】原因を大きく分けると、下垂体性、
が勧められます。 原因が副腎腫瘍であれば、
副腎性、医原性に分けられます。副腎を刺激
腫瘍化した副腎の摘出が勧められます。手術
する下垂体(下垂体性)、ホルモンを放出す
が難しい場合や、原因の腫瘍が転移している
る副腎(副腎性)のそれぞれが腫瘍化してホ
場合は、内科療法が勧められることもありま
ルモンを多く分泌して発症します。また医原
す。 内科療法では、血液中のコルチゾール
性とは、人工のホルモン製剤であるステロイ
濃度を低下させ、症状を緩和し、生活の質を
ド製剤を、長期かつ多量投与することによっ
向上させることが目標となります。
て、本来の体のホルモンバランスが崩れて、
副腎皮質亢進症は、さまざまな原因があり、
本病気を発症してしまうことがあります。
またその原因によって治療方法が異なるため、
【症状】多飲多尿、多食、皮膚が薄くなる、 診断が重要になる病気です。
体全体の筋肉量の減少、腹部膨満、左右対
【参考文献】伴侶動物の臨床病理学 (緑書
称性の脱毛などが見られます。
房)伴侶動物治療指針 Vol.2 (緑書房)SA
Medicine Vol.14 No.6 2012
● 今月の専門科診療 ●
今月は下記の日程で専門科の診察を行います。
ご希望の方は事前にご予約ください。
(カッコ内はカレンダー内の省略形です)
◆歯科(歯)
博士(歯学):奥田 綾子 先生
◆エキゾチックペット(エキゾ)
エキゾチックペットクリニック
つるの
博士(獣医学):霍野 晋吉 先生
◆画像診断科(画)
博士(獣医学):小野 晋 先生
◆眼科
博士(獣医学):当院 小野 啓
毎週火曜~土曜日
(カレンダーには表記していません)
学会等で不在のこともありますので、
事前のご予約をお願いいたします。
2015 年 8 月
月
火
水
木
土
日
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28
エキゾ
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3
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5
10
17
11
画
18
12
エキゾ
19
20
24
25
26
31
金
6
歯
13
犬の前立腺疾患について
前立腺は雄にある生殖器であり、膀胱の頸部(膀胱から尿道に移行する部分)に位置し、尿道を
取り囲んでおります。尿の排泄は膀胱が収縮することで行われますが、その時尿は、前立腺内を
貫通する尿道を通り、陰茎先端に運ばれて排出されます。前立腺の主な機能は、前立腺液を分
泌し精巣でつくられた精子と混合して精液を作ります。また、射精機能の一部も担っています。
今回は、中~高齢の犬でよく見られる前立腺の疾患についてお話しします。
●前立腺過形成
前立腺過形成は、正常な前立腺の細胞が過剰に分裂増殖し、前立腺が肥
大することです。前立腺の疾患で最も多く、去勢していない中 ? 高齢犬で頻
繁にみられます。未去勢の犬で発症が多いのは、精巣から分泌される雄性
ホルモンが影響しているためです。症状は初期では無症状のこともあります
が、肥大が進行すると直腸を圧迫し排便回数の増加や、いきみやしぶりなど
の排便困難が見られることがあります。肥大した前立腺から出血し、尿に血
液が混じることもあります。未去勢の犬では、6 歳以上で 80%、9 歳以上で
は 95%以上で過形成を起こしていると言われています。
治療
過形成の原因は雄性ホルモン分泌による影響のため、ホルモン分泌を行
なっている精巣の摘出(去勢手術)を行うことにより、前立腺は退縮し症状
は改善します。
●前立腺嚢胞
前立腺嚢胞は、前立腺過形成によって、前立腺液を分泌する腺房が拡張し、
前立腺組織内に液体が貯留した袋状の組織(嚢胞)が形成されることをいい
ます。症状は前立腺過形成と同様ですが、嚢胞内には血液が前立腺液に混
じって貯留している場合が多く、このような症例では頻繁に血尿が見られま
す。
治療
前立腺過形成に伴って発生するため、同様に去勢手術が有効な治療法と
なります。しかし、大型の嚢胞を形成している場合には、嚢胞内に貯留した
液体を吸引する必要があります。
●細菌性前立腺炎
細菌性前立腺炎は、細菌感染を原因とし、前立腺に炎症を起こした状態
のことを細菌性前立腺炎といいます。感染経路は、尿道からの感染がほとん
どであり、多くは膀胱炎を併発します。細菌性前立腺炎を発症すると、炎症
による疼痛のため、運動量の低下、排尿を嫌がるなどの症状が見られます。
また、尿検査を実施すると、尿中には多数の細菌および白血球が認められ
ます。
治療
前立腺には薬剤が移行しにくく、細菌感染が生じると完治するには時間が
かかります。そのため、前立腺に分布しやすい抗菌剤を、最低 6 週間以上
の長期間投与する必要があります。また、前立腺の過形成が起きている時に
は細菌感染を生じやすい状態にあるため、去勢手術の実施も勧められます。
●前立腺膿瘍
前立腺嚢胞が形成されている状態で細菌性前立腺炎を併発すると、嚢胞
内に細菌感染を伴った膿液が貯留することがあります。このような疾患を前
立腺膿瘍といいます。前立腺炎と同様な症状に加え、腹痛や発熱なども見
られます。前立腺だけにとどまらず、血液を介して全身に感染が波及すると、
生命に関わることもあります。
治療
細菌性前立腺炎と同様に、抗菌剤の長期投与および去勢手術を実施しま
す。抗菌剤の投与のみでは完治は難しく、再発を繰り返すことも多いため、
状態によっては外科手術により摘出(縮小)することもあります。
前立腺の疾患は膀胱炎を併発することも多く、症状も他の泌尿器疾患と
共通するため、確定するには尿検査や画像診断を含めた検査が必要になり
ます。前述した症状が見られた場合には、早期の検査をお勧めいたします。
参考文献
スモールアニマルインターナルメディスン(interzoo)
イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科(PIE BOOKS)
パルニュース 2015 年 8 月号
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