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(ミエリ ン低形成黒色振戦ハムスターにおける

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(ミエリ ン低形成黒色振戦ハムスターにおける
博士(獣医学)Ki
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学位論文題 名
Early maturation of oligodendrocytes and
h.yperthyroidism in hypomyelinated black tremor hamster
(ミエリン低形成黒色振戦ハムスターにおける
希突起膠細胞の早期成熟と甲状腺機能亢進)
学位論文内容の要旨
中枢 神経系におけるミエリン形成は希突起膠細胞と神経軸索(軸索)間の複雑な相互作用に
よって調整されている.。希突起膠細胞の増殖および分化に関与する細胞性および液性因子(例
えば 甲状腺 ホルモン)の関与も不可欠である。希突起膠細胞は超微形態的特徴に基づいて、明
調細 胞、中 間細胞お よび暗 調細胞の 3
つのサブタイプに分類することが出来る。明調細胞は活
発に 分裂す る未熟な細胞、中間細胞はミエリン形成を司る細胞、暗調細胞はミエリン形成を終
えた 老細胞 である。 黒色振 戦ハムス ターはAP
G
系ゴールデンハムスターから確立されたミュー
タン トであ り、原因遺伝子b
tの常染色体性劣性遺伝によって発生する。このミュータントの特
質は中枢神経系に・おけるび漫性ミェリン形成不全である。脊髄の白質のすべての軸索周囲のミ
エリ ン層は 菲薄で、 直径1ロm以下の軸 索はミ エリンを 持ってい ない。しかし、グリア細胞の
数は 正常で 、末梢神 経系の ミエリン 形成は正 常であ る。この ミュータントはアトラクチン遺
伝子 の挿入 変異を持っている。同様な遺伝子変異を持つz
i
t
te
r
ラットとma
h
og
a
n
yマウスも黒色
被毛 と中枢 神経系における、生化学的異常を伴わない、び漫性ミエリン形成不全および空胞形
成を示す。
第1部 で は、 若 齢 (3 14
週 齢)ミュ 一夕ン トと正常 ハムス ターの脳 梁を超微 形態的 に検索
し、ミエリンの厚さを軸索の直径で割ったmy
e
l
in
a
ti
o
ni
n
de
x
、ミエリンを持たない軸策(
n
a
k
e
d
ax
on
)の比率 、および 希突起 膠細胞の 3
つの サブタ イプの比 率をそれぞれ測定した。分裂能を
持つ 明調お よび中間細胞と有糸分裂後の暗調細胞の数的比率は希突起膠細胞のミエリン形成能
を反 映する と考えら れてい る。ミュ ータントのミエリンは著しく低形成であり、M
y
el
i
na
t
i
on
i
nd
e
xは0.
0
2
ー0.
0
5
(同一週齢の正常対照は0
.1
1
−0
.
2
0
)であった。また、軸索の5
48
2
%(正常
対照 は19 3
7%)はミ エリン を持って いなか った。希 突起膠細 胞のサブタイプの比率は3
週齢
では 正常対 照とミュ ータン トの間に 差がなかったが、7週齢以降は暗調細胞の比率が正常対照
の43
% に対し 、ミュー タント では59
%に増加した。これらの結果は、3週齢以前のミュータン
トの 希突起 膠細胞は ミエリ ン形成能 が低く、7
週齢以降は正常対照に較べて早期に成熟して暗
調細胞の比率が増加することを示唆していた。
第2部で は、若齢 動物で 見られた ミエリンと希突起膠細胞の異常が老齢動物ではどう変化す
るの かを調 ぺるため に、1.
5歳以上 のミュー タント および正 常動物について第1
部と同様の超
微形態的検索を行った。その結果、m
ye
l
i
na
t
i
onin
d
e
xは正常対照が0
.
2
2であったのに対し、老
一 56 -
齢ミュータントは0.
09
、na
ke
d ax
on
の比 率は正常対照が1
0
%であったのに対し、ミュータント
では 48
% であ った。また、暗調細胞の比率は正 常対照が3
0%であったのに対し、ミュータン
トでは6
5%であった。従って、老齢ミュ ータン卜ではミエリン低形成と暗調細胞比率の高値は
維持されており、ミュータントのミエリ ン低形成は終生継続すること、それはミエリン形成能
を有する希突起膠細胞の数的不足に起因 する可能性が示された。
さらに、若齢(6週齢)と老齢動物(1
.5歳以上)のミュータントと正常対照の血中甲状腺ホル
モ ン ( T3 ,T4) を 測 定 し た 。 若 齢 ミ ュ ー タ ン ト で は 、 T3が 正 常 対 照 の 2倍 以 上 、 T4は 3
倍以 上高 かっ た。 老齢 ミ ュー タン トで は、 T
3は 正常 対照 と差 がな かったが、T4
は正常対照
より有意に高かった。従って、ミュータ ントでは持続的な甲状腺ホルモン過剰が希突起膠細胞
の早期成熟とミエリン低形成の原因のー っと考えられた。
本研究によって明らかにされた黒色振 戦ハムスターの中枢神経における希突起膠細胞の早期
成熟と甲状腺ホルモン過剰は同様な遺伝 子変異を持つz
it
t
e
rラットとm
a
ho
g
an
y
マウスにおいて
もこれまでに報告がない。アトラクチン 遺伝子の異常が甲状腺ホルモン過剰ならびに希突起膠
細胞の早期成熟とどの様に関連しているのかについては、今後の研究が必要である。
―
57―
学 位 論 文 審 査 の要 旨
主 査
副 査
副 査
教
教
教
グ ル ー
授
授
授
プ
梅村
孝司
昆
泰寛
安居院
高志
デイレクター
板倉
智敏(理化学研究所)
副査
学位論文題名
Early maturation of oligodendrocytes and
hype
rth
yro
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mi
nh
ypo
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lin
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lacktr
emo
rh
ams
ter
( ミ エリ ン低 形成 黒色 振戦 ハム スタ ーに おける
希 突 起 膠 細 胞 の 早 期 成 熟 と 甲状 腺 機 能 亢 進 )
黒 色 振 戦 ハ ム ス タ ー は APG系 ゴ ー ル デ ン ハ ム ス タ ー か ら 確 立 さ れ た ミ ュ ー タ ン ト
で あ り 、 Attractin遺 伝 子 の 異 常 に よ っ て 発 生 す る 。 こ のミ ュー タン トは 中枢 神経 系に
お ける ミエ リン 低形 成に 起因す る振 戦症 状を 示す 。本研究では、ミエリン低形成の
発生機序を検討した。
若齢 ミュ ータ ント と正 常対照 ハム スタ ーの 脳梁 におけるミエリン低形成の程度と
希 突 起 膠 細 胞 の 3つ の サ ブ タ イ プ ( 明 調 、 中 間 お よ び 暗 調 細 胞 ) の 数 的 比 率 を 測 定 し
た 。ミ ュー タン トの ミエ リンは 著し く低 形成 であ り、希突起膠細胞サブタイプの比
率 は 3週 齢 で は 両 群 聞 に 差 が な か っ た が 、 7週 齢 以 降 は 暗 調 細 胞 の 比 率 が ミ ュ 一 夕 ン
ト で高 かっ た。 これ らの 結果は 、ミ ュー タン 卜の 希突起膠細胞はミエリン形成能が
低 く 、 か つ 正 常 対 照 に 較 べ て 早 期 に 成 熟 す る こ とを 示 唆 し て い た 。
っ ぎ に 、 1.5歳 以 上 の ミ ュ ー タ ン ト お よ び 正 常 ハ ム ス タ ー の 中 枢 神 経 系 に お け る ミ
エ リン と希 突起 膠細 胞の 異常を 調べ たと ころ 、老 齢ミュータントにおいてもミエリ
ン 低 形 成 と 暗 調 細 胞 比 率 の 高 値 は 維 持 さ れ て い た 。 さ ら に 、 6週 齢 と 1.5歳 以 上 の
ミ ュ ー タ ン ト な ら び に 正 常 対 照 ハ ム ス タ ー の 血 中 甲 状 腺 ホ ル モ ン (T3’ T。 ) 濃 度 を測
定 し た と こ ろ 、 若 齢 ミ ュ ー タ ン ト の T3値 は 正 常 対 照 の 2倍 以 上 、 T。 値 は 3倍 以 上 で
あ っ た 。 老 齢 ミ ュ ー タ ン ト で は 、 T。 値 の み が 正 常 対 照 より 有意 に高 かっ た。 従っ て、
ミ ュー タン トで は持 続的 な甲状 腺ホ ルモ ン過 剰が 希突起膠細胞の早期成熟とミエリ
ン低形成の一因と考えられた。
黒色 振戦 ハム ス夕 一の 中枢神 経系 にお ける 希突 起膠細胞の早期成熟と甲状腺ホル
モ ン過 剰は これ まで に報 告がな く、 本研 究は 中枢 神経系におけるミエリン形成機序
の 解明 に向 けて 新た な知 見を提 供す るも ので ある と判断された。よって審査員一同
は、金炯旭氏が博士(獣医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認
める。
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