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犬と車で旅行する際に気を付けたいこと
PAL NEWS 2015/05 パル動物病院 ~人と動物の絆~ よりよい関係を目指して 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に 密着した動物病院を目標にしております。 猫のフィラリア症について フィラリア症は、犬糸状虫に感染することで、血液の循環障害などを引き 起こす病気です。犬の病気と思われている方も多いかもしれませんが、猫 や人にも感染する、人獣共通感染症です。犬のフィラリア症予防は、かな り普及していますが、猫ではあまり予防が行われていないのが現状です。 そこで今回は、猫のフィラリア症についてお話しいたします。 ● 今月の専門科診療 ● 今月は下記の日程で専門科の診察を行います。 ご希望の方は事前にご予約ください。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 博士(歯学):奥田綾子先生 パルニュース 2015 年 5 月 ●猫のフィラリア症について ●犬と車で旅行する際に気を付けたいこと 診療時間 ●裾野センター病院 月~土 日・祝 午前 9:00~12:00(11:30) 午後14:00~21:00(20:30) 午前 9:00~12:00(11:30) 午後14:00~19:00(18:30) ●沼津病院 平日 午前 9:00~12:00(11:30) 午後14:00~19:00(18:30) 日 午前 9:00~12:00(11:30) 木・祝日休診 お問合せ ●裾野センター病院 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL:055-993-3135 ●沼津病院 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL:055-922-6255 ●ウェブサイト http://pal-ah.jp ◯猫のフィラリア症の特徴 猫は犬よりも犬糸状虫に対する抵抗性 が強く、虫体が体内に侵入しても、多くが 途中で死滅します。感染猫では、通常 1 ~ 2 匹の虫体が存在しますが、心臓が小 さい猫にとっては、少数寄生でも命取りに なります。犬では右心室などに寄生します が、猫では主に肺動脈に寄生します。ま た、寄生数が少ないため、ほとんどの場合、 犬のようにミクロフィラリア(犬糸状虫の小 虫)を血液中に確認することはできません。 ◯原因 蚊によって媒介される犬糸状虫の感染が 原因となります。フィラリア症の犬や猫の 血を吸った蚊に吸血されると、虫体が体内 に入り込みます。体内に侵入した虫体は、 筋肉内で成長しながら血管に達し、最終 的に肺動脈に寄生します。 ◯症状 成虫が肺の血管に寄生するため、主に 咳や呼吸困難などの呼吸器症状が見られ ます。また、嘔吐や食欲不振、体重減少、 発作や失神などの神経症状がみられること もあります。 ◯診断 犬では採血を行い、検査キットを用いて、 院内で寄生の有無を確認することができま すが、猫は血液を検査センターに送り、感 染の有無を確認します。その他、胸部エッ クス線検査、心臓超音波検査などを行い、 総合的に診断します。 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 博士(獣医学):霍野晋吉先生 ◆画像診断科(画) 博士(獣医学):小野晋先生 ◆眼科 博士(獣医学):当院小野啓 ◯治療 駆虫薬やステロイド剤などを用いて内科 的に治療する方法と、外科手術で虫体を 摘出する方法がありますが、いずれも危険 性が高いため、予防が重要です。 ◯予防 蚊が飛び始める時期から、蚊が見られ なくなって 1 ヵ月後まで、月 1 回の予防薬 投与を行います。猫のフィラリア症予防薬 としては、スポットタイプのものがあり、 同時にノミ、ミミヒゼンダニ、猫回虫を予 防することができます。詳しくは、病院ス タッフにおたずねください。 参考文献 CAP2008 年 3 月号 ( チクサン出版社 ) 小動物臨床 Vol.30No.2( 山水書房 ) 毎週火曜~土曜日 (カレンダーには表記していません) 学会等で不在のこともありますので、 事前のご予約をお願いいたします。 2015 年 5 月 月 火 水 木 金 土 日 1 2 3 9 10 4 5 6 7 8 11 13 20 14 歯 21 16 15 エキゾ 23 22 17 18 12 画 19 25 26 27 28 29 30 エキゾ 31 24 犬と車で旅行する際に気を付けたいこと だんだんと暖かくなってきました。これからの季節、愛犬を連れて車で旅行しようと計画している方も多いと 思います。しかし、長時間車に乗って普段と違うところに行き、初めての場所で寝るということは、犬にとって 負担になることもあります。今回は、車での旅行に際して注意しておきたいことについてお話しします。 ●車酔い 車酔いするまでの時間や、車酔いの程度には、個体差があります。車酔 いの症状は、あくび、よだれ、嘔吐などです。よだれや嘔吐が激しいと、脱 水が生じることもあります。車酔いをできるだけ防ぐために、以下の対策を 行いましょう。 ・いきなり長時間、車に乗せることは避け、まず、短時間乗せてみて、様子 を観察する。 ・普段から停車した車に乗せ、体をなでたりして、車内はリラックスできると ころだというイメージを持たせる。 ・満腹や過度の空腹は車酔いを誘発するので、いつもの食事を、車に乗せる 数時間前までに、適量与えておく。 ・運動させて、少し疲れさせてから乗車させ、車内で寝かせる。 上記の対策をしても車酔いする場合は、犬用の酔い止めもあるのでご相談 ください。 ●乗せ方 車の中で自由に歩かせるのは危険です。急ブレーキで飛ばされたり、踏ん 張る時間が長くて腰や膝を痛めてしまったりします。車の中では、ケージや 適当な箱の中に犬を入れて容器を固定し、犬の動きを制限する方がよいでしょ う。体の揺れも最小限になり、車酔いしにくくなります。 ●熱中症 春先でも、数分なら大丈夫だろうと犬を車内に残したままにすると、熱中 症は起こります。犬は毛をまとっている上に、呼吸と肉球の裏に汗をかくこと でしか熱の発散ができず、限られた空間の車内では、特に熱がこもりやすい から熱中症になりやすいです。また、エアコンをつけていても人がいない不 安などで吠え続けると、体温が上昇します。一緒に連れていくか、人は交代 で出るなど、犬だけ車内に残さないようにしましょう。また、同乗していても、 ケージ内まで冷風が届いているか確認しましょう。 ●食事 旅行先では、ついつい人の食べるものを与えたくなりますが、犬は普段と 違う食事をすると、吐いたり下痢をしたりすることがあります。また、高脂肪 の食べ物は致死的な膵炎を引き起こすこともありますし、キャンプでバーベ キューをして肉を串ごと食べてしまったり、落ちたタマネギを食べて中毒を起 こしてしまったりすることもあります。いつものフードを持って行き、できるだ けいつもの時間に与えるようにしましょう。 ●予防 定期的に年1回の混合ワクチンや狂犬病の予防接種もしておくようにしま しょう。犬と泊まれるキャンプ場やドッグランなど、限られた空間に不特定多 数の犬がいる場合、直接の接触や排泄物から,ウイルス,細菌に感染する 機会が多くなります。またノミやダニの発生も多い時期ですので,これらの 予防も毎月しておきましょう。 ●動物病院の所在の確認 今まで罹った疾患や投薬歴などが明らかなことから、緊急性がない場合 はかかりつけの病院を受診することをおすすめしますが、遠方で緊急の場合 は、すぐ受診できる動物病院の場所や診察時間を確認しておきましょう。 高齢の犬や重篤な疾患がある犬の場合、旅行は避けた方がよいでしょう。 しっかり準備し、人も犬も無事に楽しんでこられるとよいですね。 参考文献 TOYOTA HP http://dog.toyota.jp/tips/risk/part1.html 犬と猫の治療ガイド 2012 interzoo パルニュース 2015 年 5 月号