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人と動物の絆 - パル動物病院
PAL NEWS 2014/01 パル動物病院 ~人と動物の絆~ よりよい関係を目指して 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に 密着した動物病院を目標にしております。 パルニュース 2014 年 1 月 ●気管虚脱 ●白内障 診療時間 ●裾野センター病院 月~土 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 日・祝 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 12:00 (11:30) 21:00 (20:30) 12:00 (11:30) 19:00 (18:30) 年末年始:12/31 ∼ 1/3 午後休診 ●沼津病院 平日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 午後 14:00 ~ 19:00 (18:30) 日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 木・祝日休診 年末年始:12/30 ∼ 1/3 全日休診 お問合せ ●裾野センター病院 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL: 055-993-3135 ●沼津病院 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL: 055-922-6255 ●ウェブサイト http://pal-ah.jp 気管虚脱 気管は、鼻や口から肺に空気を送り込むための管です。その構造は、 アルファベットの C の形をした気管軟骨が積み重なって筒状になり、そ の周囲を筋肉や靭帯で連結しており、例えるなら掃除機のホースのよう な形をしております。気管虚脱とは、気管が押しつぶされたような形に 変形して咳や呼吸困難をおこす病気です。 <原因> 気管軟骨を支える筋肉や靭帯が弾力 性を失ったり、伸びてしまったとき、気 管が筒状の構造を保てず、つぶれてしま います。正確な原因はまだよく分かって いません。一般的に超小型犬(ポメラニ アン、チワワ、ヨークシャー・テリア、トイ ・ プードルなど)で多くみられますが、柴、 ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・ レトリーバーなどの中~大型犬でも見ら れることがあり、遺伝的要因も考えられ ます。その他の考えられる要因としては、 肥満、よく吠える、リード牽引などがあ げられます。 <診断> 気管虚脱の診断には、胸部 X 線検査 が有効です。息を吸った時と吐いた時に それぞれ側面像を撮影し、気管の幅が 細くなっている場合、気管虚脱を疑いま す。確定診断には、気管支内視鏡を使っ て気管の内側を観察するのが理想的で すが、全身麻酔が必要であるため、危 険を伴います。 ● 今月の専門科診療 ● 今月は下記の日程で専門科の診察を行います。 ご希望の方は事前にご予約ください。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 博士(歯学):奥田 綾子 先生 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 博士(獣医学):霍野 晋吉 先生 ◆画像診断科(画) 博士(獣医学):小野 晋 先生 ◆眼科 博士(獣医学):当院 小野 啓 毎週火曜~土曜日 (カレンダーには表記していません) <治療> 咳や喘鳴音がみられる場合、気管支 拡張剤や消炎剤、鎮咳剤などを使用し て症状の緩和を行いますが、内科的治 療で根治することはできません。根本 的な治療のためには、外科手術が必要 です。外科的治療法としては、気管を 広げるための補強材を使用する方法が ありますが、専門病院の受診が必要と なります。 <症状> ガーガーというアヒルの鳴き声のよう な呼吸音が典型的な症状です。その他、 咳や喘鳴音がみられます。これらの症 状は、高温多湿や興奮、ストレスなどに よって悪化しやすく、多くは次第に悪化 (参考文献) していきます。進行すると、呼吸困難と イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科 PIE BOOKS なり、チアノーゼをおこすことがあります。 犬と猫の治療ガイド 2012 interzoo 学会等で不在のこともありますので、 事前のご予約をお願いいたします。 月 火 1 水 2 木 3 金 4 土 5 日 6 7 8 9 10 11 12 13 14 19 21 17 16 エキゾ 24 23 18 20 15 歯 22 25 26 27 28 29 30 31 エキゾ 白内障 ●白内障とは 動物の目にも人間と同様に「水晶体」と呼ばれる透明なレンズがあります。 水晶体は角膜とともにレンズとして、外界の映像を網膜上に結像し、物を明瞭 に見えるようにします。この水晶体が白く濁る病気を白内障といいます。初期 は物が見えにくくなり、完全に白く濁ると映像が遮られてしまい、物が見えなく なります。 また、病気の進行によりぶどう膜炎(眼内炎)、緑内障、網膜剥離などの合 併症を引き起こし、視覚を完全に喪失するだけでなく、動物に苦痛を与える 可能性もあります。 ●原因 若齢で発生し急激に進行する遺伝性白内障や、高齢で徐々に進行する加齢性 の白内障に加え、ぶどう膜炎、網膜の疾患(進行性網膜萎縮)、目の外傷、緑内障、 糖尿病など様々な原因により白内障を発症します。 ●治療 現在のところ人間の医療でも動物の医療でも、一度濁ってしまった水晶体を 内科治療(点眼薬や内服薬)で透明に戻すことはできません。そのため、現 在の白内障治療の第一選択は、人と同様に濁った水晶体を摘出する外科手術 となります。 ●手術の目的 白内障手術には大きく分けて 2 つの目的があります。 1. 視覚の回復 2. 白内障により生じる合併症の低減 ●手術の適応 すべての白内障の動物が手術の適応となるわけではありません。白内障の原 因や、合併症として網膜の病気や緑内障など水晶体の濁り以外で失明している 病気がある場合は、白内障手術のみでは視覚の回復ができないため、手術の 適応外となります。 また、慢性の角膜炎などにより黒目の濁りが強い場合は、眼内を目視できな いため、手術ができません。その他にも重度な眼内炎や水晶体の脱臼を起こし ている場合など、白内障手術の適応外となる場合がありますので、手術前には 必ず眼科診療を受診していただきます。 ●白内障手術 手術の方法は、濁った水晶体を取り除き、人工の レンズを入れるという 2 つのステップがあります。 1. 水晶体超音波乳化吸引術 角膜(黒目の部分)を一部切開し、超音波で濁っ た水晶体を削りながら吸い出します。水晶体は水 晶体嚢(すいしょうたいのう)と呼ばれる薄い膜で覆 われており、この膜を残したまま中身だけを吸い 出していきます。 2. 眼内レンズ挿入 残した水晶体嚢内に、専用の器具を用いて人工の 犬用眼内レンズを設置します。 ●手術に際して ◆全身麻酔 人間の場合とは違い、手術は全身麻酔下で実施します。 ◆入院 人間の白内障手術では、入院が必要でない日帰り手術が行なわれておりますが、動 物の白内障手術では手術後の炎症が出るため、通常は数日間の入院が必要となります。 ●合併症 手術後に緑内障、網膜剥離、ぶどう膜炎などの合併症を起こす可能性があります。 これらは術後数年経過してから発症することもあります。特に犬の白内障は急速に進 行し、真っ白な状態かつ白内障の合併症が発症してから手術を行うことも多いので、 手術後の合併症が人に比べ高いものと考えられます。 現在の動物の医療では、術後に生涯視覚を維持できる可能性は 90% 前後と言われ ています。決して高い数字ではありませんが、手術を行わない場合の視覚喪失のリス クと比べると、高い視覚維持率であると考えられます。 白内障手術は、目の手術で最も多く行なわれる手術であり、以前に比べて視覚の 回復率が向上しております。しかし、白内障は単に白いだけでなく、経過とともに様々 な目の病気を併せ持つことがあります。白内障手術に際しては、手術の適応や手術時 期の決定のため、早期の詳細な眼科診療が必要となります。 (白内障については、パルニュース 2011 年 9 月号にも特集がありますので、 併せてご一読ください。) パルニュース 2014 年 1 月号