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人と動物の絆 - パル動物病院
PAL NEWS 2015/01 パル動物病院 ~人と動物の絆~ よりよい関係を目指して 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に 密着した動物病院を目標にしております。 パルニュース 2015 年 1 月 ●猫の下部尿路疾患 ●犬の消化管内寄生虫について 診療時間 ●裾野センター病院 月~土 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 日・祝 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 12:00 (11:30) 21:00 (20:30) 12:00 (11:30) 19:00 (18:30) 年末年始:12/31 ∼ 1/3 午後休診 ●沼津病院 平日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 午後 14:00 ~ 19:00 (18:30) 日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 木・祝日休診 年末年始:12/31 ∼ 1/3 全日休診 お問合せ ●裾野センター病院 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL: 055-993-3135 ●沼津病院 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL: 055-922-6255 ●ウェブサイト http://pal-ah.jp 猫の下部尿路疾患 下部尿路とは、膀胱および尿道を指します。この部位で障害が起こると、 排尿の異常として症状が現れやすく、ご家庭でも病気を早期に発見する ことができます。今回は猫の下部尿路疾患についてお話しします。 ○原因 主に下記の 3 つが挙げられます。 *膀胱結石(以下、結石) 猫は元々飲水量が少なく、濃い尿をつくる ため、結石ができやすい動物です。肥満によ る運動不足や寒さの影響で飲水量が少なく なると、さらに尿が濃くなり、結石ができや すくなります。結石は膀胱炎や尿道炎を引き 起こします。特に雄猫は尿道が狭いため、結 石が詰まりやすく、1日以上排尿がないと命 に関わる病態になります。 *細菌感染 通常、濃い尿の中では細菌は繁殖しづら いですが、他の下部尿 路疾 患や、腎不全、 糖尿病などの病気がある場合、細菌感染に よる膀胱炎が引き起こされることがあります。 *ストレス 猫はストレスにより膀胱炎を発症すること が多く、特発性膀胱炎と呼ばれています。検 査を行っても明らかな原因が特定されず、下 部尿路疾患の 60%以上を占めると言われて います。猫のストレス要因としては、他の飼 育動物との関係、家族の留守、来客、気候 の変化、運動不足、肥満、トイレの位置や トイレ砂の種類の変更、食事の変更などが 挙げられます。 ○症状 トイレ以外の場所で排尿してしまう、トイレ に何回も行く、血尿が出る、排尿時に痛がる、 排尿姿勢をとるが排尿できない、といった症状 を示します。 ○診断 尿検査、超音波検査、X 線検査などを行い、 結石や結晶および細菌感染の有無を確認します。 ○治療 結石がある場合は、結石を溶かす食事(病 院で処方する食事)を与えます。この食事を 1 ヵ 月以上続けても大きさに変化がない、溶解しな い種類の結石であるといった場合は、外科手術 で摘出することもあります。結石が尿道に詰まっ た緊急の際は、カテーテル(細い管)を用いて 尿道の閉塞を取り除く処置を行ったり,またこ の状態を繰返す場合は緊急手術をすることもあ ります。特発性膀胱炎の場合は、ストレス要因 を取り除くことが治療の一つになります。 ◯予防 ・新鮮な水を何ヵ所かに用意し、充分な運動 をさせ、飲水を促す ・トイレを清潔に保ち、複数用意することで 排尿を我慢させない ・ストレスの要因を減らす など ご家庭では日頃から予防を心がけて、排尿の 異常に気付かれた場合は受診してください。 参考文献 イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科 PIE BOOKS ROYAL CANIN ホ ームペー ジ http://w w w. royalcanin.co.jp ● 今月の専門科診療 ● 今月は下記の日程で専門科の診察を行います。 ご希望の方は事前にご予約ください。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 博士(歯学):奥田 綾子 先生 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 博士(獣医学):霍野 晋吉 先生 ◆画像診断科(画) 博士(獣医学):小野 晋 先生 ◆眼科 博士(獣医学):当院 小野 啓 毎週火曜~土曜日 (カレンダーには表記していません) 学会等で不在のこともありますので、 事前のご予約をお願いいたします。 月 火 水 5 6 12 13 19 20 7 画 14 歯 21 26 27 28 1 木 2 金 3 土 4 日 8 9 エキゾ 16 15 10 11 17 18 22 23 エキゾ 29 30 24 25 31 犬の消化管内寄生虫について 犬の消化管内寄生虫は、主に線虫類、条虫類、原虫類に分けられます。 今回は、犬の代表的な消化管内寄生虫について、お話しいたします。 ○線虫類 白色あるいは黄白色をした、ヒモ状の寄生虫です。糞便中の虫体を 確認することで、もしくは、顕微鏡を用いた糞便検査により、虫卵を確 認することで、診断します。 ・犬回虫 : 犬の小腸に寄生します。体長は 4 ~ 20cm と大型のため、 腸内に虫体がつまり、腸閉塞を起こすこともあります。感染経路は、 虫卵を含む糞便を口にすることによる、経口感染が多く、妊娠時に胎 盤を通して感染する胎盤感染や、乳汁を通して感染する経乳感染も 起こります。虫体が嘔吐物とともに出てくる場合もあります。 ・犬鞭虫 : 犬の盲腸、ときに結腸に寄生します。体長は 4 ~ 7cm で、 虫体の前端は細く、後端は太くなっています。成虫は主に盲腸で腸 壁から吸血することにより栄養分を摂取します。虫卵を含む糞便を口 にすることで感染します。 ・犬鉤虫 : 犬の小腸に寄生します。体長は 0.8 ~ 2cm で、鋭い鉤(こ う)を持つ口で腸粘膜に咬みつき、吸血します。経口感染、胎盤感染、 経乳感染の他に、虫卵内の幼虫が直接皮膚につくと、経皮感染を起 こします。 ◯条虫類 白色あるいは黄白色で、俗にサナダムシと呼ばれる、平たい体を持 つ寄生虫です。片節 ( へんせつ ) という、体がふし状に分かれた構造を 持っています。 ・瓜実条虫(うりざねじょうちゅう): 小腸に寄生し、大きい個体で体長 50cm 以上になります。ノミやハジラミを経口摂取することで感染しま す。糞便検査で虫卵を検出することも可能ですが、通常は、肛門周 囲に付着する白い片節を確認することで診断します。 ・マンソン裂頭条虫 : 小腸に寄生し、長いもので体長 1m 以上になります。 ヘビやカエルを捕食することで感染します。産卵数が多く、糞便検査 で容易に虫卵の検出が可能です。 ◯原虫類 体が 1 つの細胞のみで成り立つ、原生生物に属する寄生虫を原虫と いいます。細胞分裂により増殖します。 ・コクシジウム : 主に小腸に寄生し、水様性の下痢を起こします。虫体 を含む便やネズミを経口摂取することで感染します。糞便中の虫体 ( オーシストと呼ばれる発育段階のもの ) を検出することで、診断し ます。 ・ジアルジア : 小腸に寄生し、下痢を引き起こします。ジアルジアには 栄養型とシストという、二つの発育段階があります。栄養型は、小腸 粘膜に付着し栄養分を吸収したり、腸内を活発に遊泳しながら増殖し ます。シストは殻に覆われていて抵抗性を持ち、糞便に排泄されて感 染源となります。新鮮な糞便を用いて検査を行い、虫体を確認します。 消化管内に寄生虫が感染すると、主な症状として下痢がみられます が、無症状で感染に気付かない場合もあります。また、動物だけでなく、 ヒトに感染する寄生虫もいます。糞便をよく確認したり、定期的な糞便 検査を行うことが重要です。消化管内寄生虫の駆除は、飲み薬などで、 苦痛無く簡単に行うことが出来ます。詳しくは、当院におたずねください。 参考文献 小動物臨床寄生虫カラーアトラス(インターズー社) イラストでみる犬の病気(講談社) パルニュース 2015 年 1 月号