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人と動物の絆 - パル動物病院
PAL NEWS 2014/12 肛門嚢炎 パル動物病院 ~人と動物の絆~ よりよい関係を目指して 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に 密着した動物病院を目標にしております。 パルニュース 2014 年 12 月 ●肛門嚢炎 ●大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)について 診療時間 ●裾野センター病院 月~土 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 日・祝 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 12:00 (11:30) 21:00 (20:30) 12:00 (11:30) 19:00 (18:30) 年末年始:12/31 ∼ 1/3 午後休診 ●沼津病院 平日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 午後 14:00 ~ 19:00 (18:30) 日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 木・祝日休診 年末年始:12/31 ∼ 1/3 全日休診 お問合せ ●裾野センター病院 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL: 055-993-3135 ●沼津病院 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL: 055-922-6255 ●ウェブサイト http://pal-ah.jp ● 今月の専門科診療 ● 犬や猫には、肛門を中心として時計の 的です。その他に、肛門周囲を頻繁に 文字盤で4時と8時の位置に、肛門嚢と呼 舐めたり、排便時の痛みなどがみられる ばれる袋状の構造物が左右1対皮膚下にあ ことがあります。症状が悪化すると、分 ります。肛門嚢には、においの強い分泌物 泌物の貯留が増大して、肛門嚢が破裂 を出す臭腺が存在し、灰色~茶色、液状 したり、皮膚に穴があいたりする事もあ ~泥状の臭いの強い分泌物が貯留してい ります。 ます。内容物の色や形状には、個体差があ ります。肛門嚢は肛門から入ってすぐの内 側に開口しており、正常な状態では、排便 の際に便が腺の開口部を通過するとき、圧 迫されることで分泌物が搾り出さます。肛 門嚢炎は、肛門嚢は便などに汚染されやす い位置にあるために、細菌感染によって生 じる肛門嚢の炎症のことをいいます。犬で の発生頻度が多く、猫ではまれにみられる ことがあります。 【原因】 肛門嚢内の分泌物は細菌増殖に適し ているため、感染や肛門嚢の開口部が 閉塞によって細菌が増殖して炎症が生じ ます。 また、 食 事、 腸 の病気、 肥 満、 解剖学的な問題などが原因になることが あります。 【症状】 分泌物の貯留や炎症によりお尻に違 和感が生じるため、座って自分のお尻を 地面にこすりつける独特のしぐさが特徴 今月は下記の日程で専門科の診察を行います。 ご希望の方は事前にご予約ください。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 博士(歯学):奥田 綾子 先生 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 博士(獣医学):霍野 晋吉 先生 【治療】 軽度の場合は、肛門嚢の内容物を搾 り出し、抗生物質を投与して細菌感染を 抑えます。皮膚が破裂して排膿している ような重度の場合は、肛門嚢内洗浄を行 い抗生物質の投与をします。また、再発 ◆画像診断科(画) 博士(獣医学):小野 晋 先生 ◆眼科 博士(獣医学):当院 小野 啓 を繰り返す場合や重度の場合は、手術 毎週火曜~土曜日 により肛門嚢を摘出する場合もあります。 (カレンダーには表記していません) 【予防】 学会等で不在のこともありますので、 事前のご予約をお願いいたします。 定期的に肛門嚢を搾り内容物を排出 させることで、分泌物の貯留を防ぎ、肛 門嚢炎を予防することができます。また、 繊維質の多い食事に変更することで便 の容量が増加し、肛門嚢の圧迫と内容 物の排出が促進されることがあります。 【参考文献】 獣医内科学 小動物編 .................文栄堂 ホームドクターのための初期治療ガイド <犬編> ....................................inter zoo イラストでみる犬の病気 .............講談社 1 月 2 火 3 水 8 9 15 16 10 画 17 22 23 24 29 30 31 木 金 4 5 エキゾ 11 12 19 18 エキゾ 25 26 歯 6 土 7 日 13 14 20 21 27 28 大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)について 犬も人と同じように、関節の炎症・変形により痛みを感じ、運動障害を起こすことがあります。今回は、 関節疾患の中でも、若齢の小型犬での発生が多くみられるレッグ・ペルテス病についてお話しします。 概要 レッグ・ペルテス病は、股関節における大腿骨の先端(大腿骨頭) への血液の供給が障害され、大腿骨頭の成長障害が生じ、骨の変形や 崩壊を生じてしまう病気です。 原因 プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、ミニチュア・ピンシャー などの小型犬で多く見られます。現在、明らかな原因ははっきりとはわ かっていませんが、ホルモンや遺伝的な要因が発症に関与していると考 えられています。 4 ~ 11 ヵ月齢(特に 6 ~ 7 ヵ月齢)の成長期に多く発症し、発生に 雌雄差は認められません。また、発症した動物の 12 ~ 16% で両足で の発生が認められるとのデータもあります。 症状 後肢をひきずって歩く、力が入らない、痛みのため肢を地面に着け ない、などの症状が見られます。多くの症例では、6 ~ 8 週間かけて徐々 に歩様の悪化が認められます。経過が長い動物では、反対側の足に比 べて大腿部の筋肉の萎縮が見られます。 診断 犬種、年齢、症状より本疾患を疑い、X 線画像にて、大腿骨頭部の 異常を検出することにより、診断します。発生の初期では X 線画像での 異常が確認できない場合もあるため、症状が続く場合には、間隔をあ けて繰り返し X 線検査を実施することが重要となります。 治療 レッグ・ペルテス病の症状は個体により様々であり、症状に応じて治 療を選択します。 ① 内科療法 症状が軽度な段階では、抗炎症剤の投与と運動制限によって、 改善が認められる場合があります。しかし、一時的に改善が見られ ても、多くの症例では症状が進行していきます。内科療法で歩様 異状が改善し、機能回復が見られる症例は、全体の 25%ほどだと も言われています。 ② 外科療法 外科手術では、痛みの原因となっている大腿骨頭を切除する手 術を実施します。術後にリハビリテーションが必要になりますが、 適切な時期に手術を行えば、残った大腿骨と臀部の筋肉で関節様 の構造を形成し、正常な歩行が可能となります。 予後 手術前の状態、リハビリテーション等の術後管理により、予後は大き く左右されます。手術の実施によって痛みが消えるため、手術前に比べ て症状は改善されますが、経過が長く、筋肉の萎縮が重度に認められ る症例では、術後の歩様異状が残る可能性が高くなります。 レッグ・ペルテス病は予防が困難な病気であり、予後を考えても可 能な限りの早期発見、早期治療が重要になります。成長期の子犬で、 後肢の歩様異状が持続的に認められる場合には、早めの診察をお勧め します。 参考文献 伴侶動物治療指針 Vol.3(緑書房) イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科(PIE BOOKS) パルニュース 2014 年 12 月号