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工場ルポ No.307 (2010年3月) 『換気口の塗装』
工場ルポ No.307 換気口の塗装 株式会社 ユニックス 新谷電着塗装工場 〒953-0116 新潟県新潟市西蒲区新谷 1825-1 TEL(0256)82-1115 / FAX(0256)82-1117 1.会社の沿革 今回の工場ルポは、換気口や吸音材の製造・販売を手掛けている㈱ユニックスを訪問した。 同社の設立は昭和 48 年 5 月。東京都大田区で㈱ユニオン工業の商号で操業を開始した。 以下に、これまでの経緯を紹介する。 昭和 48 年 5 月 東京都大田区萩中に株式会社ユニオン工業を設立 同 59 年 11 月 事務所・工場を現在地に移転 同 60 年 7 月 ㈱ユニックスに商号変更 同 63 年 10 月 新潟工場を新設 平成 9 年 4 月 研究開発センターを開設 同 19 年 6 月 新潟に電着塗装工場を設立 同 20 年 12 月 全事業所に ISO14001:2004 を認証取得 現在に至る。 本号では、平成 19 年 6 月に竣工(しゅんこう)した新谷電着塗装工場を取材して紹介する。 同社の主力製品は、ステンレス素材(SUS304)の換気口製品と吸音材である。屋外外壁用の換気口は、 新潟工場でプレス・加工され、その部材が新谷電着塗装工場で、塗装されている。 換気口製品は屋外仕様のため、防錆機能が強く要求される。このため、塗装は電着(下塗り)と粉体 塗装(上塗り)が施されている。 2.塗装ラインの概要 新谷電着塗装工場には 2 ラインが稼動している。それぞれのラインを以下に紹介する。 (1) 電着塗装ライン 電着塗装ラインの導入は、平成 19 年の 6 月。換気口製品の下塗りとしてエポキシ樹脂塗料の カチオン電着塗装が行われている。 コンベヤーの全長は、80m。ラインは、90 秒間隔での稼動・停止を繰り返して進行している。 ハンガー掛け後に前処理工程へとワークが流れていくが、ここで移載装置によって前処理・電着塗装 工程に移行する。 ≪電着塗装工程≫ 移載されたワークは、湯洗→超音波脱脂→本脱脂→弱脱脂→第 1 水洗→第 2 水洗→第 3 水洗→第 4 水洗→純水洗→タレ切り→電着→UF 第 1 水洗→UF 第 2 水洗→UF 第 3 水洗→純水洗→本ラインに移載→ 焼き付け乾燥(160℃×40min,熱風循環方式)の工程で、2 時間 30 分で 1 工程を終える。 電着塗装の塗色はグレー。設備の特徴としては、電着塗装工程の後に、UF モジュールで顔料,樹脂, 純水に分離してクローズドシステムによる水の有効利用をしている。 特に電着塗装ラインの水洗工程が充実しており、上塗り後の塗装品質の安定化に寄与している。 (2) 粉体塗装ライン 電着塗装を終えたワークは、粉体塗装ラインへと移行してくる。 粉体塗装ラインの導入は、昨年の 6 月。それまでは、電着塗装を終えたワークは外注で溶剤塗装が 行われていたが、内製化による効率のアップ、さらに環境に配慮し、特に同社の環境方針である な自然を次の世代に残すこと。環境負荷の低減,環境汚染の予防 を達成するために 脱 VOC 豊か を 目指した粉体塗装の導入に踏み切った。 電着+粉体塗装により、防錆効果の向上とより強い塗膜の確保を達成している。防錆性能は業界でも 最上位を誇る。 塗装ラインの全長は 106m。コンベヤースピードは、1.5m/min。色は、メタリックシルバー。粉体 塗料はポリエステル樹脂系を採用。 ≪粉体塗装ラインの工程≫ ハンガー掛け→粉体塗装(1 レシプロ 3 ガン・2 基・対面式、ガンはコロナ帯電式自動ガン X-2a を 装着(旭サナック㈱))→焼き付け乾燥(195℃×30min)→取り外し 塗装ブースは、透明な MR 型ブースで、塗装状況がどの位置からも一目でわかる設計になっている。 素材は塗料が付着しにくい塩ビ製。 このほかに、「新型コロナハンドガン,トリボハンドガンユニット」を導入している。 3.塗装の特徴 ここで、同工場の塗装の特徴をまとめてみる。 (1) 塗装の内製化の目的 電着塗装と粉体塗装を導入して、塗装の内製化を図ったのは、以下の目的が挙げられる。 ①短納期と他品種小ロットへの対応。 ②内製化による自社内での品質管理の推進。 ③運搬・移送などによるロスの解消。 新潟サイトで生産している SUS 製品は、従来外注委託していたが、現在は 100%内製化を実現している。 また、性能のポイントである表面コートを内製化したことで、品質の自社コントロールができる メリットが得られた。さらに、他社との品質の差別化を図ると共に次世代を担う社員の育成を目指した 試みがある。 塗装ラインは、電着・粉体共に実に効率的に設計されている。ムダのないラインは、品質の向上と コスト低減にも優位性を発揮できる模範的な塗装工場といえよう。 今回の取材に当たっては、同社工場長前山広光氏をはじめ、現場スタッフの方々および三恵㈱の 松岡修常務取締役に大変お世話になりました。 厚く御礼申し上げます。 (野) ▲自動粉体塗装ブースの内部 (1 レシプロ 3 ガン 対面:6 ガン) ▲ブース内の静電ハンドガンユニット ▲定量供給装置 ▲塗装装置制御盤