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工場ルポ No.336 (2013年10月) 『金属製品の静電塗装』
工場ルポ No.336 金属製品の静電塗装 大泉塗工株式会社 〒370-0726 群馬県邑楽郡千代田町上五箇 410-1 第 336 回を迎えた工場ルポでは、16 年振りに大泉塗工株式会社への再訪である。工場周辺の環境は 当時とは全く様変わりし、往時の面影を偲ぶものはないものの、工場内は相変わらず活気に満ち 溢(あふ)れていた。 1.事業概要 特殊車両や船舶用コンプレッサー,蓄電式街路灯,ステンレス製ソーラー制御盤,外装パネル, 医療用バイオ冷蔵庫(受注生産)部材など,同社で取り扱っている製品アイテムは 1000 点以上に及んで おり、そのほとんどの被塗物が溶剤系自動静電塗装ラインで塗られている(生産比率:溶剤系塗装 70%・ 粉体塗装 20%・その他 10%)。 たとえば、蓄電式街路灯の電柱部材は高さ 4800m,重量 100kg ある重量物であるが,それもライン 塗装によって防錆塗装されている。その素材には亜鉛メッキによる下地処理が施され、それにパテ 研磨を行いエポキシプライマーを塗布後、ペーパー掛けしてから下塗り、そして上塗り(アクリル 樹脂系塗料)を経て焼き付け乾燥という工程を経ている。 今回は、更新された塗装装置の紹介である。 2.塗装設備の概要 自動前処理ラインと塗装ラインはそれぞれ独立した設計である。 塗装ライン構成としては、塗装箇所ゾーンにアウターブースを設けてあったり、自動前処理ラインに 純水工程を増築し、より一層前処理の品質を高めてあるなど、部分的な設備改造を実施してあるが 基本的なレイアウトは前回と大差なく順調に稼動している。ほかにも、自動前処理ラインにおける 無排水処理設備,ハンガー剥離(はくり)用のブラスト装置等、周辺設備の拡充が見て取れる。 案内いただいた小幡 充工場長は「膜厚計による計測管理はもちろん、前処理ラインにおける一日 2 回(午前の稼動時と午後)の薬液管理は欠かせません。塗膜品質を左右するのは前処理工程の仕上げが 基本であると考えています」と強調された。 (1) 前処理ラインの工程 コンベヤー全長:230m(シャワー方式) 工程:第一脱脂→第二脱脂→第一水洗→第二水洗→表面調整→化成皮膜→第三水洗→第四水洗→ 第五水洗→第六水洗→フレッシュ純水→水切り乾燥 前処理ラインの最大処理寸法:W1300×H2500×L4800mm。 (2) 塗装設備と工程 コンベヤーは 20t コンベヤー,1 ハンガー当たり 150~200kg のワークが掛けられる。コンベヤー 全長:232m(コンベヤー速度:2~5m/min) 塗装装置は No.1~4 まで 4 基の塗装装置で構成され、今回、No.1 と No.2 の塗装装置を更新。 No.1 塗装装置:SUNAC4000Ⅳ自動静電塗装システム 1 レシプロ 4 ガン(ガンは EAB200 エア静電ガンを装 着) No.2 塗装装置:SUNAC4000Ⅳ自動静電塗装システム 1 レシプロ 4 ガン(EAB200 エア静電ガン) No.3 塗装装置:SUNAC6000 自動静電塗装システム 1 レシプロ 2 ガン(ガンはツインガン EAB70T を装着) No.4 塗装装置:SUNAC6000 自動静電塗装システム 1 レシプロ 2 ガン(ツインガン EAB70T) 更新した No.1,No.2 のガンが新設されたため、塗着効率が格段に向上し塗料使用量も削減できて、 メンテナンスもやりやすくなる。また、塗料供給装置(PD40)も増設。 《塗装工程例》 ハンガー掛け→プライマー塗装→中塗り→上塗り→焼き付け乾燥(160~230℃×15~25min) 塗装仕様により、4 基ある塗装装置を組み合わせて作動させ、ほとんどの製品部材が自動塗装 ラインで仕上げられている。ラインに掛らない特殊な物は別棟にある手吹きブースでこなされ、 このほか耐熱塗装で仕上げられる品物やステンレスの塗装・洗浄等も取り扱っており、ユーザーの あらゆる要求に応(こた)えている。塗装ラインの被塗物最大寸法:W1500×H2800×L4800mm。 3.塗装ラインの特徴 今回の更新に当っては設備の老朽化と大型被塗物の自動化への適応が大きな目的である。 旭サナック㈱の塗装機器・装置の導入により、次のようなメリットが得られている。 ① 複雑な形状物や長大物,重量のあるものであっても、自動ラインで仕上げられるようにすること。 特に、第 1,2 の塗装装置に EAB200 エア静電ガンを装着し、このガンの特性である高塗着効率と 高速対応性,塗料微粒化による塗膜の安定化を生かし自動化を実現する。 ② ゴミブツの付着防止のために、ドライミストを発生させてブース内の浮遊塵埃(じんあい)を 防止し、かつブース内部のプッシュプル方式の空調と併用し、ダブル効果によるゴミ防止対策で 塗膜の安定化を図る。 ③ 塗料販売店もグループ企業に加え塗料をはじめとする材料の仕入れ状況の迅速性と安定化を 図っている。 同社の取材に当たり、田口 仁代表取締役はじめ小幡 充工場長,現場のスタッフの皆さんにお世話に なり、最後に改めて御礼を申し上げます。 (若) 自動前処理・自動静電塗装ラインの概要 ▲エア静電自動ガン EAB200 ▲ 1 レシプロ 4 ガン×2 基(対面式), ガンはエア静電自動ガン EAB200 を装着 ▲塗料供給装置(PD40) ▲塗装制御盤(SUNAC4000Ⅳ)