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工場ルポ No.328 (2012年10月) 『送風機の粉体塗装』 T-3a

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工場ルポ No.328 (2012年10月) 『送風機の粉体塗装』 T-3a
工場ルポ No.328
送風機の粉体塗装
株式会社 大岩マシナリー 国見事業所
〒969-1771
福島県伊達郡国見町大字山崎字小林後 1-1
TEL(024)585-5220 / FAX(024)585-5230
1.会社の沿革
今月号の工場ルポは、空調や冷熱機器などさまざまな分野で活用されている送風機の一貫生産体制
システムを敷いて製造・販売している㈱大岩マシナリー・国見事業所を取材して紹介する。
同社の創業は、昭和 21 年 9 月。東京都大田区で大岩機器工業所の商号で、操業を開始した。
昭和 40 年 11 月にエバラ標準送風機の増産に伴い、神奈川県藤沢市に藤沢工場を建設し操業を開始。
平成 3 年 4 月には、福島県国見町に国見工場を竣工(しゅんこう)、送風機の一貫生産を開始した。
同 18 年 8 月、社名を株式会社大岩機器工業所から「株式会社大岩マシナリー」に変更、現在に至る。
2.工場の概要
同社は次の四つの機能特性を掲げており
①
商社機能
②
メンテナンス機能
③
エンジニアリング機能
④
生産機能
多角的かつフレキシブルに富んだ会社・工場運営を展開している。
今回取材した国見事業所は、かつて神奈川県藤沢市で稼動していた工場を移転し、福島県北部の伊達
郡国見町に平成 3 年に竣工した。
敷地面積は 34000 ㎡を誇り、ラインファン,遠心ファン,軸流ファン,ターボファン,排煙ファン
などの生産設計から材料加工・製品組み立てまでの一貫生産体制を取っている。
生産台数は 3000~4000 台/月。
工場は第一,第二工場から構成されており、第二工場で機械加工された部品が第一工場に搬送されて
小・中・大型機種がそれぞれの工程を経て、出荷へと流れていく。
第二工場の工程は、①鉄素材のカット(切断)→②曲げ(プレス)→③穴開け→④加工(溶接ロボット)と
なっている。
機械加工を終えた部品は、曲げ加工,ケーシング・シーム工程を経て塗装工程に移行する。
(1)
塗装工程
塗装ラインは、本年 6 月に新規の設備に更新。これまで、エアスプレーガンによる溶剤型の塗装
ラインで行っていたが、設備の老朽化と共に作業者の環境改善,塗装品質の向上,脱 VOC を図るべく
粉体塗装の導入を検討してきた。
その結果、今年の 4 月に着工。6 月から摩擦帯電方式の自動静電粉体塗装システム(旭サナック㈱)を
導入して本格稼動をしている。
被塗物の送風機は、形状が多様で特に付き回り性の高い塗装方式が望まれていた。
こうした状況から、摩擦帯電方式の粉体塗装システムを選択。
ガンは付き回り性が良く、入り込み性に優れている T-3a を装着して、効率的な粉体塗装を実現して
いる。
ラインは、前処理と粉体塗装が同一ラインで結ばれており、その工程は
着荷→前処理(予備脱脂→脱脂→第 1 水洗→第 2 水洗→化成皮膜→第 3 水洗→第 4 水洗→水切り乾燥
炉:120℃)→専用色ブース(1 レシプロ×4 ガン 2 基・対面式)→指定色ブース(1 レシプロ×4 ガン 2 基・
対面式)→焼き付け乾燥炉(170℃)→脱荷となっている。
また、アウターブースを導入したことで空調管理を充実させ、作業環境が向上した。
(2)
設備の概要
コンベヤー全長:250m
運行速度:1.8m/min(MAX)
被塗物最大許容サイズ:860×1500×1200mm
前処理装置(シャワー方式),粉体塗装ブース:2 基,自動静電粉体塗装システム:1 レシプロ 4 ガン
対面式 2 基,粉体塗料回収装置,粉体塗料供給装置,水切り乾燥炉,焼き付け乾燥炉。
塗料は、ポリエステル樹脂系(プリミド硬化型)。膜厚は、70µ。
(3)
塗装の特徴
新規ラインが本格稼動を始めてから 3 ヶ月。250m の塗装ラインは、実に効率良く設計されており、
限られたスペースを最大限に生かしたレイアウトが施されている。
塗装ブースは、専用ブースでは取引先の最も納入実績が多い送風機を、指定色ブースでは白色,その
他の塗装を行っており、ラインの運行においても効率の良さを如実に感じさせられる。
塗装システムは、摩擦帯電方式を採用したことで、送風機の形状で塗料が入り込みにくい箇所を
フォローしており、品質の安定化が図られた。
現在の景況が厳しい最中、同社が着実に業績を伸長させているのは、短納期,安定した品質で顧客の
厚い信頼を確保しているからだ。
地元地域とのコミュニケーションを図ることや環境問題にも迅速に対応するなど、地域との共生を
積極的に展開している。
脱 VOC,作業環境の改善,塗装の効率アップによるコスト低減,エネルギーの有効活用など、ライン
更新で粉体塗装に見事に転身した好例といえる。
取材に当たっては、同社八島亨部長をはじめ、スタッフの方々にお世話になりました。
厚く御礼を申し上げます。
(野)
自動静電粉体塗装ラインの概要
▲自動静電粉体塗装ブース(専用色ブース)全景
▲自動粉体塗装システム(SUNAC7000M)
▲1 レシプロ 4 ガン×2 基(対面式),
ガンは摩擦帯電式粉体自動ガン T-3a を
装着
▲粉体供給装置
▲塗料回収装置(サイクロン)
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