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工場ルポ No.299 草刈り機の塗装 株式会社オーレック 〒834-0195 福岡県八女郡広川町日吉 548-22 TEL(0943)32-5004 / FAX(0943)32-5009 1.会社の 会社の沿革 福岡空港から、車で 40 分ほど南下した所に位置する福岡県八女郡広川町。玉露の生産が日本一の 八女茶で知られる八女市のすぐ北に隣接している。株式会社オーレックは、この広川町に本社および 広川工場を構えて、自走式草刈機,小型管理機などを、設計から製造・販売までを一貫して行っている。 乗用草刈機を含み草刈機全体のシェアは、全国一を誇っている。創業は昭和 23 年 10 月。当時は、 福岡県三潴郡城島町に大橋農機製作所の商号で操業を開始している。以下に、これまでの経緯を紹介 する。 昭和 23 年 10 月 大橋農機製作所の商号で操業 同 32 年 7 月 大橋農機㈱を設立新発足 同 63 年 7 月 ㈱オーレックに社名変更 平成元年 11 月 広川工場,第一期工事、延べ 6000 ㎡を新築 同 5 年 11 月 広川工場,第二期工事、延べ 2800 ㎡を増築 同6年1月 現在地に本社ビル 3 階立て 1200 ㎡を完成,本社移転 同 11 年 1 月 LRQA より ISO9001 を認証取得 同 12 年 9 月 テクノセンター(開発棟)、延べ 818 ㎡を完成 同 14 年 1 月 LRQA より ISO14001 を認証取得 同 18 年 4 月 広川工場,第三期工事、延べ 4100 ㎡を増築 現在に至る。 芝刈機や乗用草刈機,走行草刈機の分野では、国内のみならず、ヨーロッパにも多くのシェアを獲得 しており、さらに市場を拡大している。 現在の最新モデルは、乗用草刈機「ラビットモアー」。続いて、自走/二面あぜ芝刈機「スーパー ウイングモアー」。自走/多用途芝刈機「スパイダーモアー」など、機動力,耐久性,安全性に優れた 製品を設計・製造し市場投入していきている。 草刈機や管理機で塗装されるパーツは、約 30~60 点。主な製造工程は、プレス→溶接→塗装→ 組立ての順で進行している。 2.塗装の 塗装の概要 塗装ラインは、前処理から塗装,焼き付け乾燥までの一貫システム。以下に、ラインの工程を紹介 する(第 1 図参照)。 ハンガー掛け→前処理(湯洗→脱脂→水洗→水洗→表面調整→化成処理→水洗→水洗→水洗)→ 水切り乾燥→セッティング→下塗り→上塗り→セッティング→焼き付け乾燥→取り外し ≪前処理設備≫ 前処理は、シャワー式。水切り乾燥は 130℃。 草刈機の素材は、ほとんどがスチール。このほか、アルミダイカスト,樹脂。エンジン部分は一部 外注もある。 ≪塗装設備≫ 塗装ラインは、オーバーヘッドコンベヤーで全長:270m。スピードは、1.8~2.1m で運行している。 塗装は下塗りに 1 レシプロ×2 ガン自動静電塗装システム、「SUNAC4200Ⅳ(旭サナック㈱)」が 2 基 対面方式で稼動。ここでプライマーが塗られている。 ワークはセッティングを経た後に、上塗りに移行する。上塗りは、下塗りと同様に 1 レシプロ× 2 ガンが 2 基で対面式。自動静電塗装システム「SUNAC4200α(旭サナック㈱)」が導入されている。ガン は下塗りと同じく、サンガンⅡEAB200 が装着されている。また、レシプロや自動ガンなどの塗装機器 を集中制御するための塗装ライン専用コントローラ「PALCOM-NT(旭サナック㈱)」も導入されている。 上塗り後のワークは、セッティングゾーンを通って、焼き付け乾燥炉へと流れていく。乾燥温度は、 150℃×16min。熱源は、LPG を使用。付帯の塗装ブースは、水洗方式。 上塗り塗料は、アミノアルキド樹脂塗料「アミラック 3000」を採用。色数は約 15~20 色。グレーを 筆頭に、白,赤の順に膜厚は 50~60μを確保している。 3.ラインの ラインの特長 ① 水切り乾燥後と上塗り塗装後には、品質の保持のために、ゆったりとしたセッティングゾーンを 設けているが、ここでさらにゾーンに囲いを設けて、ゴミやホコリなどの対策に取り組んでいる。 併せてスペースの有効利用も兼ねた効率的な設計になっている。 ② 自動静電塗装システムの導入には、メーカー数社の機器が検討された。今回の導入には、ガンの 操作性と振幅の制御の優位性が挙げられた。また、塗料供給にはダイアフラムポンプ PD40 が 8 基導入 されており、7 色に対応している。ポンプの導入でタレの問題を解消している。 同社は、昨年創業 60 周年を迎えた。10 月には記念式典を今年 2 月にはオーストラリアへの社員旅行 を敢行しており、今まさに活気のある優良企業だ。 工場内を見渡すと「OREC」とロゴマークの入った黄色いユニフォームが目に止まる。躍動感に満ちた 明るい雰囲気を醸し出しているのが印象的。環境問題や作業環境への配慮もきめ細かく、今後さらに 新工場の計画もあることから、同社の将来性に大いに期待したいところだ。 今回の取材に当たっては、同社製造部宮川亮部長をはじめ現場スタッフの方々に大変お世話に なりました。厚く御礼申し上げます。 (野) ▲下塗りブース内部 ▲1 レシプロ 2 ガン ▲今回新設した塗装制御盤 ▲塗料タンク,ポンプ一式