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工場ルポ No.262 樹脂製品の塗装 株式会社 イイダ 第二工場 370

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工場ルポ No.262 樹脂製品の塗装 株式会社 イイダ 第二工場 370
工場ルポ No.262 樹脂製品の塗装
株式会社 イイダ 第二工場
〒370-2333 群馬県富岡市中高瀬 468-1 TEL(0274)62-5757
1.会社の沿革
株式会社イイダの創業は昭和 47 年 5 月。当時現社長の飯田邦雄氏が富岡市下高瀬に板金ラックおよ
びステンレス籠の製造を目的に、飯田コーティング工業の商号で、個人営業を開始。現在は、本社工場
および第二工場が稼動している。
これまでの経緯を以下に紹介する。
昭和 48 年 9 月
ディップコーティングを開始
同 49 年 10 月
ディップコーティング自動機完成。流動浸漬による機械設備完成
同 57 年 3 月
板金加工業務を開始。プレス機器設備を導入
同 60 年 8 月
飯田コーティング工業㈱として法人化
同 61 年 4 月
全自動スピンドル塗装機を導入
同 62 年 7 月
小物専用自動スピンドルライン完成
平成 4 年 5 月
3 基目のスピンドル自動塗装ラインを導入
同 6 年 8月
社名を㈱イイダに改称
同 16 年 4 月
第二工場に 4 ライン目の樹脂塗装ラインを導入
本社工場では、主に板金加工,マフラーなどの自動車部品の製造、塗装治具や真空蒸着治具の設計か
ら製作まで、幅広い業務を展開している。このほか、粉体コーティングやディッピングなどハイレベル
の表面処理技術を推進している。
今回取材させていただいたのは、第二工場。ここでは、スピンドル塗装ラインが 3 ラインと本年 4 月
に新規導入した大物用のスピンドル樹脂塗装ラインの 4 ラインが稼動している。
第 1 ラインは、金属の小物用ラインで、3 ブース仕様になっている。第 2 ラインは、小物の専用機。
第 3 ラインは、金属およびプラスチックの小物専用ラインで、2 ブース仕様。乾燥温度が変更できる(上
げられる)ため、汎用(はんよう)性のあるライン設計になっている。
新規導入された第 4 ラインは、パソコン筐体(きょうたい)や自動車部品など比較的大物を対象に設
計されている。ライン構成を第 1 図に紹介した。素材はプラスチックおよび金属製品を中心にグレード
の高い塗装仕様に対応できる。
2.第 4 塗装ラインの概要
今回の取材時は、パソコンの筐体を 3 ブースで塗装しており、その工程を以下に紹介する。
被塗物は、プラスチック素材で、すでに前処理が施された状態で、搬入されてくる。
着荷→除塵・除電処理→第 1 ブース(下塗り)固定 6 ガン→第 2 ブース(下塗り)天吊り式 1 レシプロ 2
ガン→セッティング→セッティング→第 3 ブース(上塗り)固定 6 ガン→セッティング→セラミック遠赤
外線乾燥炉(90℃×40min)→脱荷
ガンはすべて、パールガンAGB40 を装着(旭サナック㈱)。
《設備の概要》
コンベヤー全長:205m(同スピード:2.5∼4.5m/min)、除塵・除電ブース,水洗ブース 3 基,塗装機(固
定 6 ガン×2),天吊り式自動塗装機(1 レシプロ 2 ガン),塗料供給装置・PD30×8 基,セラミック式遠
赤外線乾燥装置(全長:100m),塗料:下塗り・上塗り共に樹脂用塗料,膜厚:30∼40 μ、塗色は数 10
色(塗装機器・設備の設計・施工はすべて旭サナック㈱による)
許容被塗物サイズは、 φ650 と他の 3 ラインと比べて、あらゆるワークに対応できるように設計さ
れている。
3.ライン構成の特長
IT関連製品や自動車部品の塗装では、特にゴミやホコリによる塗装不良が最大のネック。このライ
ンでは、徹底して塗装不良を解消する工夫が随所に伺える。
① 全自動の除塵・除電装置の設備で塗装前の被塗物を清浄にしている。
② 塗料供給ポンプを分離独立した別室に設置し、ブース内に作業者がなるべく立ち入らないことで、
ゴミやホコリの侵入を防ぐ。
③ パールガンの採用で均一でムラのない塗膜が得られることと、ムダ吹きを解消し、塗装不良を低
減している。
④ 乾燥設備はセラミック遠赤外線方式で、炉内温度のバラツキがなく被塗物の変形を防ぎ、不良が
出ない。
⑤ 屋外に設置された給排気設置によって、常に清浄な給気ができる空調管理を維持しているため、
ホコリやゴミ対策が万全である。
このほか、屋上に作業環境や近隣の環境に配慮した「ミストキャッチャー」を設置して、ミストを
回収している。
このラインでは現在、プラスチックおよび金属製品の塗装を行っているが、将来的にはUV塗装に
も対応できる設計になっている。
今回の取材に当たっては、同社代表取締役飯田邦雄氏をはじめ、金井 智部長ならびに現場スタッ
フの方々にお世話になりました。
厚く御礼申し上げます。
▲第一塗装ブース 下塗り用 固定6ガン
▲塗料供給ポンプ 塗装室と分離している
▼第3塗装ブース 上塗り用 固定6ガン
▲第2塗装ブース 天吊り式1レシプロ2ガン
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