...

生ごみマイスター事業の検証結果について(ご報告)

by user

on
Category: Documents
27

views

Report

Comments

Transcript

生ごみマイスター事業の検証結果について(ご報告)
平成22年11月
横浜市資源循環局
生ごみマイスター事業の検証結果について(ご報告)
生ごみの堆肥化事業の終了から、およそ半年が経過し、事業の検証結果が出ました。
この検証結果と、2~3月にかけて皆様にご回答いただきましたアンケート結果のご報告を
させていただきます。
1.概要について
都筑区の佐江戸町 153 世帯(平成 20 年 10 月~)、加賀原二丁目 42 世帯(平成 21 年 8 月~)
神奈川区三ツ沢下町 61 世帯および港北区新吉田一丁目周辺 133 世帯(平成 21 年 11 月~)の計
4地域 389 世帯で事業が行われ、事業の開始から 198 回の収集が行われた結果、総計 41.4 トン
の生ごみが堆肥化用の資源として収集されました。
組成調査における異物の混入率が 0.9%という、非常に精度の高い分別協力の結果、生成さ
れた堆肥も良好で、その堆肥が施肥された畑の農作物も良好に生育しました。
2.コストについて
今回の事業でかかったコストを、現行の焼却処理と比べた結果、約4倍のコストがかかって
いました。全市に拡大した場合、スケールメリットによるコスト軽減効果を考慮しても、現行
制度よりもコストが増加することが予想されます。
収集についても、今回の事業方式ではなく現行のステーション方式を行う等の工夫で、コス
トを下げることも可能ですが、別途収集車両を出すなどの対策が必要となります。
3.温室効果ガスについて
今回の事業で収集した生ごみ(約41トン)を堆肥化する過程の環境負荷を、現行制度と同
様に焼却した場合の環境負荷と比較してみたところ、堆肥化した方が二酸化炭素に換算して約
2割多く温室効果ガスが発生するということが分かりました。
これは、堆肥化する際に発生するメタンガス(二酸化炭素の約 21 倍の環境負荷)による環境
負荷の増加分が影響したものです。
ただし、各家庭において土壌混合法等による堆肥化を行った場合は、運搬等による環境負荷
を大幅に軽減できるなど、条件によって温室効果ガス発生量は異なります。
4.その他の課題
農家の皆さんにとって、商品である農作物に直結する肥料は大切なものです。今回の事業で
は、マイスターの皆さんの分別意識が非常に高く、通常の肥料と質が変わらない堆肥が出来ま
したが、それでも、肥料にこだわりを持つ農家の方もおり、生ごみから出来る堆肥を農業経営
に導入することは簡単ではありませんでした。
また、仮に全市展開した場合に、今回の事業において得られた高い分別精度が維持できるの
かといった難しい課題も見つかりました。
5.G30生ごみマイスターアンケート結果
平成22年の2月から3月にかけて、モデル対象地区内の参加世帯 389 世帯の皆さんにご協
力いただいたアンケートの結果について、ご報告いたします。
Q.本事業にご参加いただいている主な理由は何ですか。(複数回答可)
41.2%
環境に良いと思ったから
79.0%
41.6%
生ご み が 資源に な ることが 良いことだと思った から
横浜市から、協力のお願いがあったから
14.1%
近所の方々も参加しているから
2.1%
その他
事業趣旨にご賛同いただいた方が多く参加されていることが分かる一方で、市から働きかけ
があったことも一つの契機となっていることが分かりました。
Q.生ごみの資源化事業の収集回数(1週間に2回)について、どのように思いますか。
2.1%
1 週間に 2回でちょ
う どよい
1週間に1回で十分
26.9%
56.9%
5.9%
1週間に3回以上にし
てほしい(通年)
1週間に3回以上にし
てほしい(夏季のみ)
その他
8.3%
「2回でちょうど良い」という回答者の中に、
欄外への記入や、自由意見欄などにおいて平成
21年の秋から参加した方々の「夏期を経験し
ていないので、夏期が心配」「夏期のことが、
まだ分からない」などの意見がみられました。
また、自由意見欄などで「週3回収集は7月、
8月の2ヶ月だけではなく、6月から9月の4
ヶ月にしてほしい」という意見がありました。
夏期の臭いに対する懸念の他に、堆肥化に使用
される生ごみは腐敗したものが利用できない
ため「せっかくの資源が無駄になる」という意
見もみられました。
Q.燃やすごみの中から生ごみを分別することは、難しいと思いますか。
5.2%
1.0%
16.3%
難しい
26.6%
少し難しい
あ ま り難しくな い
易しい
50.9%
その他
8割近くの世帯が「難しくない」と思ってい
るという結果になりました。
生ごみマイスターの皆さんは、非常に意識が
高いということが分かる一方で、通常の分別よ
り高い精度が求められる堆肥化用の生ごみの
分別に、「難しい」と感じている世帯が2割以
上おり、自由意見欄などでは「難しすぎる」
「家
族の理解度が低く、主婦に負担がかかる」とい
った声も聞かれました。
Q.生ごみを家庭で保管している時に、臭いが気になりますか。
12.7%
はい
時々気に な る
49.8%
いいえ
37.5%
「臭いは気にならない」と回答されている
方が約半数いますが、夏期を経験していない
地域の方から欄外等で「今は気にならないが、
夏期は不安」などのご意見をいただきました。
臭いが気になる方については、欄外や自由
意見欄などで夏期の臭いや、容器の蓋を開け
た時の臭いなどが気になるという意見がみら
れました。
Q.生ごみの臭い対策をしていますか。(複数回答可)
7.5%
6.8%
13.0%
75.7%
特に 対策はして
いな い
消臭剤をかける・
つける
冷蔵・冷凍する
臭いが気になる方も含め、多くの方が「対策
をしていない」ことが分かりました。
その他の記入欄では「戸外に置く」「容器を
除菌・洗浄する」「生ごみを乾燥させる」など
の意見が多くみられました。
その他
Q.生ごみを減らすためにどのようなことを行っていますか。(複数回答可)
食べきれる量だけを買うようにしている
食べ残しが出ないように、料理を作るときに分量に気をつけている
食材を無駄にしないように、皮や葉・芯もできるだけ調理している
余り物は冷凍保存して、食べきるようにしている
5.20%
事業後
27.60%
1.00%
2.10%
事業前
6.20%
5.50%
66.20%
28.60%
56.20%
保存食品は無駄にならないよう賞味期限に気をつけている
43.80%
53.10%
ゴミは水切りを徹底して、ゴミとして出す量をできるだけ少なくしている
生ごみ処理機やコンポスト容器を使って、生ごみを少なくしている
39.70%
42.10%
25.20%
64.50%
その他
特にしていない
43.80%
49.00%
34.50%
いずれの項目(その他は除く)も、事業開始前と比べ、開始後に増加しており、高い意識で
参加された世帯でも、事業を通して、さらに意識が高く変化していたことが分かりました。
中でも、事業に直接関わりの強い「生ごみの水切りの徹底」への意識が高まっています。
また「特にしていない」という世帯が大きく減少しており、今回の事業への参加が生ごみの
減量について意識を高める契機になっていることも分かりました。
Q.生ごみの資源化(堆肥化に限りません)を全市的に行うことに対して、どのように
考えますか。あなたの考えに最も近いものを、次の中から1つ選んでください。
分からない
0.7%
1.0%
0.7%
0.3%
7.2%
1.4%
2.4%
その他
生ごみ処理機やコンポストを使用しており、分別収集が行われてもあまり関係ない
環境に良いことだとは思えないので、進めるべきではない
資源化するために新たな経費がかかるのであれば、進めるべきではない
55.0%
生ごみの資源化が環境に良いことでも、手間がかかるので分別に協力したくない
技術的にまだ難しいと思うので、慎重に検討すべき
31.3%
環境への影響や市の財政対効果を総合的に検討しメリットがあるなら進めるべき
環境にも良いことなので、できる限り進めるべき
生ごみの資源化に関する事業の全市展開について「進めるべき」という回答が全体の85%
以上を占めていました。ただし、半数以上の方が「総合的にメリットがあるならば」という条
件つきの回答となっています。
(自由意見欄)
自由意見欄では、様々なご意見がありましたが、最も多かった意見は、市で配布した回収用
容器に対する意見・要望で、回収容器が複数欲しいという要望や、容器の洗浄が困難で汚れが
落ちないなどの意見が多くみられました。
事業に関する賛否については、賛成の方の多くが「環境に良いことなので絶対に続けるべき
だ」という強い思いを持っている方が多いのに対し、反対の方は「環境に良いことなのは認め
るが、コストや負担がかかりすぎる」という総合的な観点からの意見が目立ちました。
6.今後の堆肥化事業について
今回の事業では、生ごみ堆肥化の全市展開を実現するためには、多くの課題があることが分
かりましたが、意識の高い方々が集まり、特定の農家などと提携すれば、生ごみの堆肥化は、
可能であるという結果を残したとも言えます。
今回、ご参加いただいた皆さんの努力とご協力の結果、燃やすごみの35%を減少させるこ
とが出来ました。また、堆肥が畑に施肥され、また野菜になるという分かりやすい循環の形は、
高い啓発効果も期待できます。
横浜市としては、今後はごみ減量の一つの方策として、堆肥化をどのように活用していくか
を検討していきたいと考えています。
7.最後に
皆さんのご協力によって、今後の市政に非常に有益となるデータを得ることが出来ました。
皆さんのご協力にあらためて感謝するとともに、このデータを基により良い資源循環行政を
推進していきたいと考えております。
横浜市資源循環局3R推進課
電話:671-2530
Fly UP