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頸管縫縮術のコツ
Journal Article / 学術雑誌論文 頸管縫縮術のコツ Suture reinforcement of the incompetent cervix 山本, 稔彦; 谷口, 晴記; 豊田, 長康; 一尾, 卓生; 野村, 浩史; 山脇, 隆晴; 李, 哲児; 中山, 尚夫; 杉山, 陽一 Yamamoto, Toshihiko; Taniguchi, Haruki; Toyoda, Nagayasu; Ichio, Takuo; Nomura, Hiroshi; Yamawaki, Takaharu; Ri, Tetsuji; Nakayama, Hisao; Sugiyama, Yoichi 産婦人科治療. 1987, 55(6), p. 637-641. http://hdl.handle.net/10076/2775 産婦人科治療 Vol.55 N6.6(1987:12) 637 特 集 ・小手術 とそ のコツ ` 頸 管縫縮 術 の コ ツ * 李 中山 哲 児 は じめ に 破)の 概念は,1948年 頸管無力症 (incompetent ce■ に Palmer and LacOmmel)に よ り提唱 されたが, 頸 管 縫縮術 (Cervical cerclage)は ,そ の外科的療法 として Lash(1950)2), shirOdkar(1955)3), McDonald(1957)4), 野村 豊田 山脇 杉山 康 晴 一 長 孝 陽 谷口 記 史 夫 晴 浩 尚 山本 稔 彦 ■尾 卓 生 裂傷が未治療のまま放置されている場合や,人 工妊娠中 絶に際し急速頸管拡張術が施行され潜在性陳旧頸管裂傷 ができた場合などが考えられるが,さ らに,体 質的な頸 管支持組織の脆33性とか,神 経 ・筋機能の不調なども誘 ものと思われる。 因として加わっている、 これ らの頸管縫縮術は,① 子宮頸部 の脆弱組織部分 を 切除 し,頸 部の整形 。強化 を計 る方法 と,② 子宮頸部 に 非妊娠時 における本症 の診断は, 子 宮造影 (hysterO_ 証 明 した り, graphy)に よ りいわゆる funnel cervixを Hegar頸 管拡張器 (No.6∼ 9)の通追性7)ゃ b4100,te試8) によ りな されて きているが」非妊娠時の頸管 の状 況がか 輪状縫合 を施 し,頸 管 の開大阻止 を計 る方法 に大別 され る。Lash法 と Baden法 は前者 に属 し,頸 管前壁 の一部 な らず しも妊娠時の変化 を反映 しているとは考 えられな い上 に,担 当医の主観が大 いに影響す るとい う難点 を有 を切除 し縫合 した り,外 子宮田部 で debridmentを 行 い, している。 子宮頸管 を左右 あるいは前後 に縫合 して外子宮口を閉鎖 したが って,妊 娠時の頸管縫縮術の適応は既往流早産 歴 などを参考 に,あ る程度 の拡大解釈がなされてい るの Baden(1960)"ら によって考案 された術式 で ある。 した りす る方法 で あるが,術 後 の縫合不全や頸管性不妊 の頻度 が高 いた めに現在 ではほとん ど行 われていな い。 Shir9dkar法 と MCDonald法 が現状 である (表 1)"1め.全 妊娠数 に対 す る本法 の施 は後者 に属 し,そ れぞ れ内子宮国の レベルや子宮頸管 の中間部で輪状縫合 ・結 行率 は 54∼1,930分娩 に 1例 と幅があるが,わ れわれ の 施設では主 として既往流早産歴 に臨床所見 を加味 した適 紫 を行 う方法 であるが,効 果の面 か らは両者間 に統計学 的有意差 はない とされ6), ぃずれを採択す るかは,専 ら 応 によって約1.4%(蠣 帆/3,347分娩)に 本法 が施行 され, 9%(縫 縮術前 は22.9%) 正期産率78.7%,生 児獲得率97。 と良好 な成績 を得 てい る10。 しか し,こ の うち 4例 は, 術者 の好 みに委ね られている。 1 本稿でぃ,子 宮頸管響 力電 の夕1刑的療法 として定着 し てい る ShirOdkor法 と MCDonald法 をと りあげ,そ の 次回妊娠時 に縫縮術 を受 けずに正期産 に至 ってい ること を考 えると,中 には必ず しも縫縮術が必要でなか った症 実施 にあたってのポイ ン トについて述べ る。 例 も含 まれてい るもの と思われ る,た だ,縫 縮術 を予防 1:頸 管無力症の診断と子宮頸管縫縮術 の適応 頸管無力症 の原因 としては,前 回分娩時 に生 じた頸管 表 1 子宮頸管縫縮術の適応 ( 拡大適応を含む) 1 ) 子 宮頸 管 無 力 症 *Suture reinfOrcemen,Of the inc6mpetent cervix, T O s h i h i k o Y l m a m o t 6 (師) 講, Haruki Taniguchi, NagayaSt TOyoda, TakuO IchiO, HirOshi Nomura, T a k o h a r u Y a m a w a k i , T O t s u j i R i :重大学医 二 学部 長) : 桑 名市 産科婦人科学教 室 : H i s a o N a k a y a m a ( 医 授) : 二 重大 学医学部 民病院 : Y 6 i c h i S i g i y a m a ( 教 産婦人科学教室 2 ) 反 復 また は習 慣 流 早 産 3 ) 妊 娠 中期 以 降 の 切 迫 流 早 産 4 ) 多 胎 妊娠 5 ) 子 宮 奇形 合 併 妊 娠 6 ) 子 宮 筋腫 合併 妊 娠 7 ) 前 置胎盤 638 産 婦人科治療 Vol.55 No. 6 (1987:12) 的 に施行す るので あれば,子 宮目が開大 し,胎 胞が形成 される前 に行 うのが適切 であることか ら,こ れ らの若干 過 ぎてい るとはい え,極 力少 ない に こした ことは ないの 例の早在 にっいては妥協せ ぎるを得 ない と考 えてぃる。 妊娠時 にゃ ける典型的 な頸管無力症 の所見 としては, で ,原 貝」として硫 酸 ア トロ ピン (atropine sulfate)o.4 ∼0.5mgを 麻酔 40∼6o分前 に筋注す るだ け に とどめ る。 しばしば頻尿 ,水 様性帯下,下 腹部不快感 な どを訴 え, 麻酔は子宮頸管 の神経支配が S2■ 4で ある ことか ら, 塩酸 ジブカイン 03%Percamin― sO)1∼ 1.5 mlを用 いたサ ドルブロックか,塩 酸 メ ピバ カ ィ ン (lt2% CarbOcainO)を 用 いた硬膜外麻酔 (L3-4あ るいは L4-5 か ら下向 きにカテーテル を挿入)が 適当である。 出血や疼痛 は軽度 であるが,子 宮口開大や胎胞の膨隆 を 認めるとされている。 しか し,こ れ らの所見 は客観性 に 手術 の前投薬 は,器 官形成 の 臨界期 (妊娠 12週末)を 乏レく,今 後超音波断層法などを駆使して頸管│の 状況や 内子宮口における胎胞の突出度合等を正確に客観的評価 することが重要となるであろう11). Ⅲ ・術式の選択および手技 一方,頸 管 縮術の禁忌としては,① tocOlytiC index 縫 の高い もの (子宮収縮抑制剤でコン トロール不苛能な陣 ShirOdkar法 の方が子宮頸管 を内子宮日の レベルで縫 痛発来, 全開大に近い子宮日,破 水), ②発熱,自 血球 ‐ 縮 で きることか ら,理 論的 に McDoⅢ ld法 よ り有効性 増多, CRP陽 性 を伴い子宮内感染 が疑われ るもの:③ のよ 胎盤早期剥離 うに母児 にとって リス ク‐ が高 く,む し ろ早急に分娩 を終了すべ き疾患の合併,④ 無脳児 のよ う が高 ぃ と考 えられて きてい るが,前 述 のごと く現時点 で は統計学的 に両者 間 に有意差を認めていないのでい, 特 な重篤胎児奇形や羊水過多の合併 などが挙げ られ る。 を示し,‐ 胎胞形成が著明である場合は,比 較的手術侵襲 の大きい Shilodkar法を避け,McDonald法 を採択 し Ⅱ。前処置および麻酔 予防的頸管縫縮術の場合は,原 則 として胎盤 の完成す る妊娠16週前後 に入院 させ る力ち 頸管無力症 に基づ くと に術式 にこだわる必要はない.た だ し,頸 管が 開大傾向 た方が賢明で あろ う。 1. Shirodkar i去 ` 本法 は子宮頸管前壁よ り膀肌 を上方へ剥離 し,内 子宮 回のレベルで子宮頸管 を輪状 に縫縮 す る術式で ある。 考 えられ る既往流産歴が妊娠初期 にある場合は,さ らに 早期 (妊娠12∼14週)に 入院 させ加療す ることが望 まし い。一般的 な術前検査を行 うことは言 うまで もないが, 子宮収縮 や腟炎 の有無 を検討す るとともに,超 音波断層 1)膀 脱の剥離 ま ず,子 富腟部前唇を塚原鉗子 で挟 鉗 し,後 下方 に牽引 しで前腟円蓋を露 出す るとともに, 膀洸内 に挿入 した S字 状 金属 カテーテルによ り膀洸の下 法 によ り子宮頸管 の状況を把握 し,胎 盤 の位置 ・胎児奇 形 の有無 について検索す ることが重要である。 この際, 縁 を確認 してお く。膀肌下縁直下 に10万倍 ボス ミン液を 局注 した後,約 2cmの 横切 開 を加 える:次 いで,ペ ア 骨盤高位 の状態で腟 内 に生理食塩水 を充 満 させ,経 腟 プ ロープを用 いると,子 宮頸管をよ り鮮明 に画像化す るこ ン鉗子 またはア リス鉗子 で切開創の膀脱側 を保持 し,前 上方へ牽引 しつつ,ク ーパ ー剪刀 の曲面 (凸面)を 子宮 とがで きる. 壁 に向け,子 富壁をこす り上げるつ もりで膀洸壁をll」 離 す る。内子宮自のレベルでの結紫を可能とす るためには, 手術当 日の処置 としては,剃 毛,腟 洗浄を行 い,テ フ ロン針 にて静脈確保 の上,午 後 の手術予定 で あれば 500 ∼1,000mlの 補液 を行 なってお く。浣腸 は子宮収縮 を誘 発す るおそれがあるので,原 則 │し て施行 しない.手 術 操作 による子宮収縮 の誘発 を危惧す るので あれば, iso… xsuprine(DuvadilanO), ritOdrine(UtemerinO)な 就imulantゃ 黄体 ホルモン剤 の投与 を行 う (な どの β― お, ritodrineの 切迫流産 に対す る保健適応はないので 膀眺の剥離を十分 に行なっておかねばな らない。 2)直 腸の剥離 塚 原鉗子を子宮腟部前唇か ら後唇に 1移 し,前 上方 に牽引して後腟円蓋を露出す る。次いで, 子宮腟部粘膜 と後腟墜粘膜 との移行部に約 lCmの 粘膜 下 に達す る横切開を加え,前 壁 と同様に内子宮口の高 さ まで腟粘膜を鉢的にまlJRする。なお,こ の操作は省略 し 子宮頸管が 2cm以 上開大 し,子 宮収縮 を認め るため に,手 術が緊急を要す る場合で も,患 者 を絶対安静かつ 就imulantの 投与 にょ り予 め 骨盤高位 にて管理 し, β― て次の縫縮糸の貫通に移 ることもで きる。 3)縫 縮糸の装着操作ならびに頸管の縫縮 縫 縮糸 に は種々のタイプの ものがあるが,滑 脱や緩みが少なく, かつ適度の弾力性のあるものを選ぶ・感染予防の見地か らは,メ ッシュテープの ものよ リモノフィラメン ト糸あ るいはポ リエテ レンチューブ+ナ イロン糸の方が良い. 子宮収縮 をコン トロァル してお くことが予後向上 の観点 か ら重要である。 : 縫縮糸の装着操作 には, DeschaЁps動 脈瘤針あるいは Cleveland結染誘導器を用いるのが便利であるが,針 付 事務手続 き上注意を要す る)│ こ れ らの薬剤の具体的 な 投与方法 については,別 著 を参考 に されたい12). 産婦人科治療 Vol.55 N6.6(1987:12) 639 図 l Shirodkar 法 : D e s c h a m p S 動 A図 脈瘤針 を膀D L 量 離部 よ り頸 管右側粘膜下 に刺入 してい るところ 」 B 図 : D e s c h a m p s 動脈 瘤 針 によ り子官 頸管 の全 周 に渡 って縫縮系を装着 した と こ ろ C 図 : 縫 縮系を結索 した後 , 腟 円蓋部 の切開創 を吸 収系 によ り結節縫合 した と ころ 縫縮糸 を深部持針器 で把持 してそのまま貫通操作 を行 な って もよい。Deschamps動 脈瘤針(あ るいは CleVeland 本法 は頸管 の中間部で子宮頸管を縫縮す る術式 で,① 結染誘導器)を 用 い るめであれば,頸 部前壁の膀勝剥離 面よ り頸部右側 において,術 者 の左手指 で動脈瘤針 を腟 手術侵襲が少 ないため,手 術操作 によ り子宮収縮が増強 され ることが少 ない。②胎胞形成 のあ る例 で も頸管縫縮 粘膜下 に触知 しつつ反時計回 りに誘導 して,そ の先端 を 後腟円蓋切開部 に貫通 させ る。縫縮糸 の一端 を針窓 に通 が可能である。③分娩時 に輪状疲痕 のために開大不全や 頸管裂傷をきたす ことが少 ない。④満足すべ き手術成功 し,動 脈瘤針 を引 き抜 くことによ り縫縮糸 を頸部右側半 周 に装着す る。同様の操作 を頸部左側 において行 うこと によ り頸部全周 に渡 って縫縮糸を通す。 この際,縫 縮糸 率が望 める等 の特徴 を有 している。 したがって,わ れわ れは本法 を first chOiceと してお り,ShirodkaF法 に比 して何 ら遜色 のない もの と考 えてい る。 は粘膜下 のみを貫通す るのではな く,子 宮頸部 に沿 って やや深 めに誘導 し,膀 脱子宮靭帯 0仙 骨子宮靭帯 と子宮 手 術 手 技 子宮腟部 の前唇 と後唇 をそれぞれ塚原鉗 子 で把持す る。頸管 の開大度 に応 じて,さ らに 1∼ 2本 頸部 との間 を貫通 させ るのがよい (図 lA,B). 外科結紫で,ゆ っく りと確実 に緊 縫縮糸 の第 1結 紫│ま 。 の 縛す る 結紫 目安 は Hegar 5号 がかろ うじて挿入 で きる程度 とす る。 第 2結 紫 ・第 3結 紫を施 した後 ,さ らに 鉗子 を追加す る。鉗子 を後下方 に牽引 し,膀 洸下縁 を膀 洸 に挿入 した S字 状金属 カテーテルで確認 してお く。頸 hOring suture 縫縮糸 の保持 を確実 にす るため筋層 に anこ を 1∼ 2針 かけた方がよい・ また,抜 糸 を容易 にす るた めには,糸 の断端をル ァプ状 に してお くとよい. 4)腟 壁切開倉1の縫合 前 腟円蓋部 および後腟円蓋部 2.McDonald法 管 を 4時 の方向 に牽引 しつつ膀眺下縁直下 で11時半 の部 位 よ り束J入し:子 宮動脈の損傷 を避 け,10時 の部位 に貫 通す る。同様 に頸管 の牽引方向 に工夫 しつつ 8時 ∼ 6時 半, 5時 半∼ 4時 , 2時 ∼12時半 にそれぞれ縫縮糸 を貫 通 させ頸管 を一巡 させ る (図 2). 結紫 は ShirOdkar法 の場合 と同様 に第 1結 紫 は外科 の切開創 は, 吸 収性 の糸 (BiCryl① , Dexon①, Catgut など)を 用 いて結節縫合す る (図 lC), 縫 合部 を圧迫 結紫で,ゆ っく りと確実 に緊縛す る。結紫の 目安 は HC‐ gar 5号 がかろ うじて挿入 で きる程度 とす る.第 2結 紫 0 す るため腟 内 にガ Tゼ を挿入して手術 を終了す る: 第 3結 紫 を施 した後,抜 糸 を容易 にす るためには,糸 の 産婦人科治療 Vol.55 No. 6 (1987:12) 断端 をル ー プ状 に してお くとよい。 縫縮糸 の滑脱■弛緩 を予防す る意味では,子 宮腟部上 下 2カ 所 で縫縮 を行 う Double McDOnald法 (三針法) を行 なって もよい (図 3).胎 胞膨隆例 では頸管縫縮術 の球功率は必ずしも高 くないが,施 行す るのであれば小 型のメ トロを予め頸管内に挿入 し,胎 胞を押上げた状態 で縫縮糸の刺入 ・貫通を行い,そ の緊縛 とともにゆっく りとメ トロを抜去す るとよい13)。 ・ Ⅳ。抜糸の時期と注意点 臨 抜糸は原則 として妊娠37∼38週に行 う。 もちらん陣痛 が発来し,抑 制不能の場合や破水 した場合は必ず抜糸 し なければな らない。 McDOnald法 の抜糸は容易 で あ り, 縫 縮糸 の断端を コ,ヘ ル鉗子で挟鉗 ・牽引す ると結節部がはっきりす る ので」この近 くで縫縮糸を切断す る。ShirOdkal法 では 結節部の露出が困難なことがぁ り:こ の場合は結節部付 近の腟粘膜を一部llJ離 してか ら確認切断する: 陣痛発来後の抜糸では,切 断 と同時に縫縮糸が粘膜下 に引 き込 ま4埋 没 してしまうことがぁるので,特 に縫縮 糸の断端を確実 にコッヘル鉗子で把持 しておかなければ な らなぃ。 結繋 したところ) 図 2 McDOnald法 V.術 後管理 と合併症 子 官動静脈 を損傷 しないよ うに 9時 と 3時 の 部位を避 けて刺入 ・貫通す る こ とが重 要 で あ る 術後 にお ける子宮収 縮 の 抑 制 が,頸 管縫縮術の成功 のカギ を鐸 っているので,患 者 を 骨盤高位 とし,十 分 に子宮収縮 の 監視 を行 う。必要 とあ らば,isox" suprine(DuvadilanO)・ RD rit6d: rite(UtemerinO)な どの β― sti‐ 17)。 ulantを る 点滴静注 ■ す 手術 瀞 F脚 ` 当日は Foley.カテーテル を留置 し て絶対安静 とし,翌 日か らは子宮 収縮 な どの臨床所見 を参考 に,次 '第に 安静度 を軽減 してい く。 頸管縫縮 術の合併症 としては, ①感染症,② 出血 ・血腫形成し③ 図 3 Double McDonald法 左は第 1針 と第 2針 が相互 にずれる4カ 所刺入法.右 は 第 1針 と第 2針 が平列 となる ヽ 4カ 所刺入法。し ずれ も9時 , ‐ 3時 を刺入せず子宮動静脈 の 損傷を避けている点に注意. 産婦人科治療 Vol.55 No。 膀眺損傷 ・直腸損傷,① 子宮腟部循環障害(浮瞳 ・壊死), ⑤縫縮糸の滑脱 0弛緩などがあるが詳しくは別著1の を参 考 にされたい: 6(1987:12) │ お わ りに 子宮頸管縫縮術 を成功 させ るコシは,① 適応 と禁忌を 明確 に して症例 を選択す ること,② 時期 を失せず適時施 行 であること,0子 宮収縮 を防止 で きる術前術後管理 を Ⅵ。分娩後の注意点 分娩後は縫縮糸周辺の組織 に生 じた疲痕化のために頸 管裂傷が起 こることがあるので,入念 に子宮頸管を視診・ 触診してお く必要がある. 文 1)黎 lmer,R.and Lacomme,M.:Gynec.Obttё t, 471905, 1948. 2)Lash,A.F,and Lash,S.R.:Habitual abOrtiOn: The incOmpetent interna1 0s Of the cervixo Am. 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Fertil。 ,28:164, 1983. . 1 0 ) 豊 日長康 , 杉 山 陽一 : 子 宮 頸 管縫 縮 術 の 術前 術 後管 理量。層旨舞尋Й 彗療 , 53:547, 1986. 11)MiChaelis,Wo Ho et al.:UhrasOund differendation Of the cOmpetent=Om the inc6mp6tent Cervix: Prevention Of preterm delivery.Amo J.Obsteti Gynec01.154:537,1986. 1 2 ) 山 本 稔彦 ( 杉山陽一 監修) : 産 科 ・婦人科臨床 マ三 ュアル. p p . 2 2 3 ∼2 2 8 , 金 原 出版, 東 京, 1 9 8 6 . 1 3 ) 赤 嶺 和紀 : 産 婦 の実際, 3 1 : 1 6 3 1 , 1 9 8 2 . 1 4 ) 杉 山陽一 , 中 山尚夫 : 子 宮頸管縫 縮術 . 術 前術後 の 合併症 マニ ュアル第Ⅲ巻, 産 科 ・婦人科, 2 . 産 科 tiOn,morbidiτ tt and succesS rates.Chn.Perinat01. 手術, p p . 2 3 ∼ 3 4 , 日本 メデ ィ カルセ ンター, 東 京, 10:321, 1983. . 1984. 8)Mann,E.C.et al.:The physi010gy and chnical