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Title 妊娠個体のエネルギー代謝に関する実験的研究( Abstract_要旨

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Title 妊娠個体のエネルギー代謝に関する実験的研究( Abstract_要旨
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妊娠個体のエネルギー代謝に関する実験的研究(
Abstract_要旨 )
浮田, 昌彦
Kyoto University (京都大学)
1964-12-22
http://hdl.handle.net/2433/211386
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
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学 位 の種 類
医
学 位 記 番 号
諭
学位授与の 日付
昭 和 39 年 12 月 22 日
学位授与の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学 位論文題 目
妊娠個体 の エネルギ - 代 謝 に関す る実験的研究
論 文 調 査 委員
教 授 西 村 敏 雄
(主
医
博
16 6 号
第
査)
論
文
内
教 授 早 石
容
の
要
修
教 授 井 上
章
旨
妊娠個体における三栄養素代謝の特異像をエネルギー代謝面よ り追究 し, 妊娠時 における三栄養素 のエ
ネルギー源 と しての意義を知 るため, 次の実験を行な った。
(1) 妊娠白鼠の基礎代謝量および三栄養素燃焼量
妊娠白鼠を標準食, 高糖質食, 高脂質食, 高蛋白質食で飼育, 妊娠第 6 - 8 日の ものを妊娠前半期, 妊
娠第17-
20 日のものを妊娠後半期 と し, ▲
対照非妊白鼠にも同一期間同 じ飼料を与え, それぞれ基礎代謝量
を測定, 三栄養素燃焼量を算 出 し, 相比較 した。
単位体表面積 当 りの基礎代謝量 は妊娠前半期では非妊時 と変 りがないが, 妊娠後半期では飼料 の如何を
問わず, 非妊時に比 し約20% 増量 している。
三栄養素燃焼量は, 妊娠前半期では非妊時 と変 る所 はないが妊娠後半期においてほ, 標 準\
食, 高 糖 質
負 ; 高蛋白質食飼育 の場合 はいずれ も非妊対照 に比 し,/ 糖質 の燃焼 は増量 し, 脂質 ・ 蛋白質 の燃焼 は減少
してお り, しか もこの傾 向は飼料中に糖質含量の多いもの程著明である。 しか るに高脂質食飼育の場合 は
妊, 非妊共 に脂質 の燃焼量は同程度 に増加 してお り, 糖質 の燃焼量 は他 の飼料群 に比 して低下 して い る
が, それで もなお妊娠時の糖質燃焼量 は非妊時 よ り多い。
以上よ り妊娠後半期において ほ充分な糖質 の供給があれば, 基礎代謝量の増加 に応 じて先づ燃焼 され る
のは糖質であ り, 脂質 ・ 蛋白質の燃焼 は抑制されているが, 糖質が不足 した場合, あるいは脂質を大量に
投与 した場合 には, 脂質 もまた有効なエネルギー源 と して燃焼 され るとい うことがで きる0
(2) 妊娠白鼠のエネルギ- の出納
個体に供給 された三栄養素 はェネル ギー源 と して消費 され る一方, その過剰分 は体 内に蓄積 され る筈で
あり, 妊娠時における三栄養素 の蓄積状況をエネルギー出納の面か ら追究 した.
白鼠を標準食で飼育す ると三栄養素の消化吸収率 は妊 ・ 非妊問に差 はないが, 1 日の摂坂 エネルギー量
は妊娠前半期 ・ 後半期共 に非妊時に比 して約23% 増量 している。
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1 日の産生 エネル ギー壷は経時的に代謝量を測定 して求 めたが, 妊娠時では前半期 ・ 後半期共 に非妊時
に比 し約10% の増加を認 めた。
摂取 エネル ギー量 と産生エネルギー量の差が蓄積エネル ギー量 とみなされ るが, 妊娠時 には前半期 ・ 後
半期共 に摂取 エネル ギ- 量の約16% が蓄積 されてお り, これ は非妊時の 6 % に比 して著 しく大 きい値であ
る。
また窒素平衡 も同時 に測定 したが, 妊娠時の窒素蓄鏡 は非妊時 よ りも増加 してお り, 特 に妊娠後半期 に
おいて著 しい。
蓄積エネルギーの中, 蛋白質 によるものは蓄積窒素量よ り算 出す ることがで き, それ以外 の蓄積エネル
ギー は糖質 ・ 脂質 によるものであるが, その大部分 は脂質 によるものと考え られ る。
また この実験 よ り算 出 した特異動的作用, および減食実験 よ りみ ると, 妊娠時 にはエネルギー代謝機構
が非妊時 よ り経済的に行なわれていると考え られ る。
以上要す るに, 妊娠個体において は, 特 に後半期 においてエネル嘉一産生が増加 してお り, これに応 じ
て先づ糖質が燃焼せ られ, 脂質 および蛋 白質 の燃焼 は抑制 されて蓄積 され る傾 向にあるが, 脂質を多 く与
えた場合 には, 脂質 は蓄積 され るだ けでな く, 有効なエ ネル ギ⊥源 と して利用され るものであ り, また こ
れ らの代 謝機構 は非妊時 よ りも経済的に行なわれているものと考え られ る。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
妊娠時におけるエネルギー代謝の本態を究 明すべ く一連 の研究を行 な ったのである。 すなわ ち一定の標
準食, 高糖質食, 高脂質食, 高蛋白質食等 をそれぞれ一定 の条件下妊, 非妊 白鼠 にあたえ, 基礎代謝量,
三栄養素燃焼 量, エネルギー出糸
札 また特異動的作用さ らには一定の減食下 における関連事項 について も
検討 した。 まず単位体表面積 あた りの基礎代謝量 は妊娠後半期 では非妊時にひ し約20% 増量, この増量は
糖質燃焼 室 自体の増加 によるものであ り, このさい脂質蛋 白質 の燃焼 はかえ って減少 してお り, しか も糖
質 含量の多 い ものをあたえ るほどこの傾 向が著 明であることをみ た。 しか し脂質含量のと くに多い高脂質
食 を投与す ると脂質 の燃焼量は非妊時にひ してけ っしてお とることはな く, 同程度 に増加 した。 ついでエ
ネルギーの出納については摂食条件のいかんを とわず産生 エネルギーが前半, 後半期 ともに非妊時にひ し
かな り増加 しているにかかわ らず蓄積エネルギー量その もの もまた ともに非妊時 にひ し明 らか に 大 で l.あ
り, しか もこれは脂質, 蛋白質 なかんず く前者 の蓄積によることを認め, 妊娠時の特異動的作用低下 とも
相関連せ しめた。 以上 よ うす るに妊娠時のエネルギー化機構 はきわめて経済的な るものと結論 している.
本論文 は学術上有 益 に して医学博士の学位論文 と して価値 あるものと認定す る。
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