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日消外会誌 17(9):1684∼
1688,1984年
特集 1
肝門部脈管構築 の解剖学的特性 と肝門部胆管癌 の外科的治療
二重大学医学部第 1外 科
川原田嘉文
鈴 木 英 明
水 本 龍二
SURGICAL TREATMDNT OF HILAR CARCINOMA OF THE BILE DUCT,
WITH SPECIAL RDFERttNCE TO ANATOMY OF THロ
HEPATIC HILUM AND CAUDATtt LOBE
Yoshifuni KAWARADA,Hideaki SUZUKI and Rtti MIZUMOT0
lst Department of Surge呼 ,Mie University
索引用語 :肝門部胆管癌,肝 広範切除,尾 状葉脈管分枝
PTCD手 技 が進歩 し,Echo下 に選択的肝内胆管 ド
レナ ージ も容易 となって,肝 門部胆管癌 に対す る診断
や減黄術 が適確 に行われ るよ うにな り,積 極的に根治
的治療 が行われ るよ うになっている。し かるに肝門部
transversaからPars m曲1licalisに
つづ き,外 側区域
枝 と内側区域枝 とに規則正 しく分岐 している。
尾状策の問脈分枝をみ ると,門 脈左主枝および右主
枝 よ りそ れ ぞ れ 1本 ず つ 分岐 して い る もの が49例
胆管癌は容易に肝 門部 の肝実質や尾状葉 な らびに肝門
部脈管系に浸潤 しやす く,尾 状葉を合めた肝 門部 の解
割 を熟知 してお くことが必要で あるが, これまでかか
る研究 は少ない。そ こで本研究では系統解割用屍体を
(46.2%)と最 も多 く,つ いで後区域枝 と左右門脈分岐
部 に近 い左右主枝か らそれぞれ 1本 計 3本 の分技を有
用 い肝門部 ならびに尾状葉 の Glisson系脈管分枝 を検
索す るとともに, さらに肝門部胆管を占拠 または浸潤
した肝内外胆管原発癌を肝 門部胆管癌 として,そ の臨
床病理学的特徴や外科的治療法 について検討 した。
I.対 象症例
最近 7年 5カ 月間に教室で経験 した肝内外 の胆管原
発癌 は計55例で, うち肝門部胆管を占拠 または浸潤 し
たいわ ゆる肝門部胆管癌32例 (肝内胆管細胞癌 6例 ,
す るものが25例 (23.6%)に 認 め られた。 また尾状葉
突起 へ の校 はいずれ も右側 の門脈枝 か ら分峡 してお
り, と くに後区域枝 か ら分岐 す るものが106例中54例
(51.0%)と 多 かった (図 1).
2)胆 管分枝 :肝 門部で門脈 とともに比 較的規則正
しく左右に分峡す るが,肝 内分枝 が直接総肝管 に流入
す る副肝管 が106例中 9例 (8.5%)あ り,こ れ らはい
ずれ も裕肝管 の右側 に流入 していた.尾 状葉 の胆管分
枝 は左主肝管 と右後区域枝 よ りそれぞれ 1本 分岐す る
肝管癌16例,上 部胆管癌 5例 ,中 部胆管癌 1例 ,原 発
部位不明の広汎癌 4例 )を 対象 とした。 これ ら肝門部
胆管癌32例の年齢は26歳∼75歳,平 均58.4歳,男 性 17
ものが106例中58例 (54,7%)と 多 か った。 また右側で
は後区域枝 よ り分岐す るものが計85例 (80.2%)と 多
く,右 主肝管 よ り分岐 している ものは39例 (36.8%)
で後区域枝 か ら分岐 している ものよ り少なかった。一
例,女 性15例であった (表 1)。また解割実習用屍体106
例 の肝門部 ならびに尾状葉 の Clisson系脈管分岐を検
方 左 側 で は 左 主 肝 管 よ り分 岐 す る も の が103例
(97.2%)と圧倒的 に多 く,外 側区城枝 か ら分岐 してい
索 してその外科的意義 について検討 した。
るものは 9例 (8.5%)に す ぎなか った (図2).
3)動 脈 分枝 i肝外肝動脈 の走行 には異常 が少 な く
H . 成
績
A.肝 P尋
部 ならびに尾状葉 の脈管構築
1)門 脈分枝 :門脈 は肝門部で左右主枝 に分峡 した
のち右主枝 は前区域枝 と後区域 枝 に,左 主枝 は Pars
浜第23回日消外会総会 シンポ I:肝 門部胆管癌の治療
別刷請求先 :川原田嘉文 宇 514 三 重県津市江戸橋
二丁 目174 二重大学医学部第 1外 科
ないが,今 回の検索で も固有肝動脈 よ り左右肝動脈 が
分岐す る定型的 な走行を示 した ものは106例中67例に
す ぎず,他 の39例 (36.8%)は 何 らかの分岐異常を示
した。
尾状葉 への動脈分枝 は右肝動脈後区域枝お よび左肝
動 脈 よ り 1 本 ず つ 分 岐 す る も の が1 0 6 7 1314中
例
●
31(1685)
1984年 9月
表 1 肝 門部胆管癌一症例 と切除率
昭和51年 9月 ∼59年 1月
全症例数
胆 管 癌
肝門部胆管閉基
症例数
肝内胆管癌
平均年齢
男:女
手術例
2i4
6
肝 管 癌
切除例
切除率
(%)
4
11: 5
上部胆管癌
5
3:2
5
100.0
中部胆管癌
1
1:0
l
l
100.0
下部胆管痢
0
広 汎 癌
4
0:4
1
1
100.0
66.5
17: 15
計
・術後 lヵ 月内死亡 :1例
図 1 尾 状葉の脈管分布 (106屍体解剖)一 門脈分枝一
い
雫
大肝右葉切除 3例 ,左葉切除 3例 ,hilar hepatic resec‐
tiOn 2例の計13例 (肝内胆管癌 4例 ,肝 管癌 9例 )に
韓
一
号才
4 0 ( 4 8 2) ■
ヤ
2 5 ( 2 3 6 X ,
死亡 した 1例 のみである (表 1).
切除例中右三区域切除 3例 ,左 三 区域切除 2例 ,拡
肝切除を施行 してお り, うち 8例 に尾状葉を合併切除
している。 また他の11例 (肝管癌 4例 ,上 部胆管癌 5
イ
ヤ
11 65 て
1) ■ 1 3 て , 2 3) ■ 3 1 2 3 1 )
図 2 尾 状葉 の脈管分布 (106屍
体解割)一 胆管分枝一
例,中 部胆管癌 1例 ,広 汎癌 1例 )に 対 しては,胆 襲
とともに左右肝管を含めて肝外胆管を切除 し,肝 門部
で肝内胆管 と空腸 とを吻合 して胆道を再建 した.尚 切
除例中治癒切除例 は,肝 切除13例中 9例 (69.2%),胆
管 切 除11例中 1例 (9.1%)の 計10例で 切 除24例中
41.7%にす ぎなかった。切除不能例 は 2例 のみで,減
黄術 としてそれぞれ腫瘍 を貫通 して総胆管Tチ ューブ
挿入 または左右肝内胆管外療術を行 った。肝切除13例
中最長生存例 は術後 5年 生存中の肝門部浸潤 をきた し
2l
ltg.tr)
l6(lt.ot)
6(5.7r)
3(2.8r)
,
(32.1%),右 肝動脈後区域校 と中肝動脈 よ り1本 づつ
出るものが28例(26.4%), これ ら三動脈 よ りそれぞれ
1本 ずつの計 3本 の分枝を有す るものが22例(20。
8%)
で, これ らの三型で79.3%を 占めていた。
B.肝 門部胆管癌 の治療成績
た cholangiomaに対す る右三区域切除 の 1例 であ り,
この他術後 2年 8カ 月,1年 1カ 月,6カ 月,4カ 月,
2カ 月, 1カ 月の計 7例 が現在生存中で,術 後死亡 し
た 6例 の最長生存期間 は 1年 6カ 月,平 均生存期間 は
1カ 月内死亡の 1例 を含めて10.6カ月であった。一方
肝切除を併施 しなかった胆管切除 の11例では術後死亡
肝門部胆管癌32例中26例に手術を施行 しているが,
例 はなかったが,現 在生存中の症例 は 1例 もな く最長
2年 ,平 均9.3カ月生存 したにす ぎなかった。さらに切
0%),肝 管癌では14
切除例 は肝内胆管痛 5例 中 4(80。
例中13例 (92.9%)で ,上 部胆管癌 は 5例 全例を切除
除不能 で減黄術 のみに終 った 2例 はそれぞれ術後 4カ
月お よび11カ月で死亡 した。
してお り, さらに中部胆管癌および広汎癌 の各 1例 を
C.肝 門部胆管癌 に対す る尾状葉合併切除の検討
1)肝 門部胆管癌 における尾状葉浸潤 と尾状 葉合併
切除 し,結局手術例26例中24例を切除 し,切除率92.3%
と高率 であ る。一方 1カ 月以内のいわ ゆる手術死亡 は
切除の意義 i
術前重症胆管炎を併発 していた58歳,男 性 の右肝管癌
に対す る肝右策切除兼尾状葉切除後21日目に肝不全で
的検索 によりそれぞれ肝門部肝実質浸潤12例,尾 状葉
手術例26例中手術所見 または術後摘出標本 の組織学
32(1686)
肝門部脈管構築の解剖学的特性 と肝門部胆管痛の外科的治療
日 消外会議 17巻
9号
表 2 肝 門部胆管癌一手術術式 と成績
昭和51年 9月 ∼59年 1月
術
切
肝
式
切 除例
治 癒
切除例
生存中症例
3
1
左三区域切除t十胆道再建
2
2
拡大右葉切除Ⅲ十胆道再建
3
2
肝左葉切除Ⅲ十胆道再建
3
3
2
1
な し
1
な し
5年
計
2
26例
な し
(1年 8,掲
2 ヵ月∼ 2 年
( 平均9 . 3 ヵ月)
ti安
月
な し
109刑
二重大学第 1外 科
胆管 分岐部浸潤 8例 ,尾 状葉肝浸潤 3例 が認 め られ ,
尾状葉 の胆管 分岐部 や尾状 葉 自体 に癌 浸潤 をみ とめた
表 3 肝 門部胆管癌における尾状葉浸潤
術中並びに術後組織所見
胆管癌
手術 例
葉 を残 して切 除 し術後死亡 した 7例 の計 8例 に割 検 が
で き,hilar hepatic resection後
18カ月で 再発死亡 し
た 1例 に尾状葉 へ の癌 浸潤 がみ とめ られた (表 3)。 す
肝 内胆
なわ ち肝 門部胆管 は尾状葉 に近接 してお り, この部 の
癌 は早期 か ら尾状葉 の胆管や肝実質 に浸潤す るため尾
上部胆管癌
状葉 の合併切除 が必要 とな る。
2)尾 状葉 の解割学的特徴 と尾状葉切除手校 !
解剖学的 に尾状葉突起は Healeyと SchrOy'の肝区
域 で は後下 区域 に連 な り,Couinaudのの肝 区域 で は
Healeyの 前区域 に相当す るVに 連結 して描かれてい
て両者で異 っているが,先 に述べた如 くわれわれの屍
体解割106例の検索で は尾状葉突起 は後下区域 に運結
している ものが多 い.い ずれに して も尾状葉突起は肝
右葉 と連結 しているが,そ の境界 は鮮明ではない。 し
たがって右三区域切除を行えば,尾 状葉突起を含めて
尾状葉を完全に切除す る ことがで きるが,左 葉切除 ま
たは拡大左葉切除では尾状葉突起を十分に切除で きる
●
19例
7例
(・
尾状葉合併切除)
ものが少 な くな く, さ らに尾状葉合 併切除 1例 と尾状
月
均力
黄 術 (外療術)
月月 月
働
減
年年
例
Hnar皆
n
C“
°
置曽義妻
肝甲
評鵠
覇
岸衡匿
害基
鎗揚唇
濡除
平は
除
術
(13)
例
{ 1 3年1 月
1月 な し
{を
月
lヵ月
宙
{泉
右三区域切除十胆道再建
切
除
死 亡
肝 門 部 宅 状 葉 毛状 謀
尾状葉
肝実質浸潤 巴管浸溝 肝浸 溝 症例数 肝浸潤
5
肝 管 癌
中部胆管癌
割検所見
3
1
4
1
1
1
1
1
0
0
1
0
1
1
下部胆管癌
広 汎
計
癌
0
8
3
1
三重大第1外科
いるが,これ に も種 々の variationが
ある。われわれは
尾状葉静脈の数によ り,type l:1本 のみ,type 2:
2∼ 3本 ,type 3:3本 以上 の三型に分けているが,
尾状葉を下大静脈 よ り剣離す る際 に この静脈 に十 分気
をつ ける ことが必要である(図4)。 また右三区域切除
や拡大右葉切除兼尾状葉合併切除に際 しては,肝 右葉
のみな らず内側区域お よび尾状葉を合併切除す ること
とはいえない。 さらに先 に述べた ごと く尾状葉の脈管
分岐 には種 々の variationが
あ るため,尾 状葉切除 に
こ
しては
の
際
れ ら 解剖学的特徴を十分に把握 してお く
にな り, とくに尾状葉上縁は左肝静脈本幹,な らびに
中肝静脈根部を損傷 しないよ う十分に注意す ることが
必要である (図5).
こ とが必要である(図3)。 また尾状葉 は下大静脈前面
に密着 してお り, これ に尾状葉 の静脈 が直接流入 して
考 察
は
肝門部胆管癌 通常高度の閉塞性黄疸を合併 してい
可
33(1687)
1984年9月
図 3 拡 大右葉切除兼尾状棄合併切除 の操作一肝門部
脈管処理 一
聯
図 5 尾 状葉切除 (剖検肝後面)
摯
沿って肝実質を切
左)右側縁は ductus venosusに
に
離 (白点線).右 )尾 状葉切除 際 して,そ の上縁で
左肝静脈,中 肝静脈 が近接 しているので, これ らを
損傷 しないように注意す る.
(白矢印 i dangerous point).
り切除率 の拡大 が得 られ てい る。 しか るにた とえ局所
い
1.左 肝動脈 よりの尾状葉枝 の処理,2.門 脈右主
枝切離後, これ より分岐す る尾状棄枝を切離 (尾状
葉枝が右主枝直下 に分岐 しているため),3.門 脈左
主枝 より尾状葉校 の処理,4.拡 大右棄切除兼尾状葉
切除後 の残存肝,門 脈下大静脈 を示す。
A:動 脈, Bt胆 管,CI尾 状葉,Hi残 存肝,
P:門 脈,IVC i下 大静脈
的 に切 除 が 可能 で あ って も組 織 学 的 に は 胆 管 に 沿 っ
て,ま た胆 管周 囲 の lymph spaceに沿 って肝 内胆管細
枝 に癌浸潤 がお こ り,ま た しば しば神経周囲浸潤 がみ
られ る。 さらに術 中凍結組織診 断で胆管 断端 が陰性 で
あ って も永久標本 で陽性 の ことが あ り根治的切除 の判
定 は必 しも容 易 で は な い。.岩 崎 らりは胆管癌 15例中 4
例 に癌遺残 を認 めてお り,ま たわ れわれの症例 で も肝
図 4 尾 状葉静脈
左上 :剖検所見,Type l∼3i者J検例(下大静脈内
腔 よりみた図)
鵡状繋韻黙
外胆管 のみを切除 した11例中組織学 的 に も根治手術 が
で きた のは 1例 のみで あ り,肝 門部胆管癌 に対 して根
治性 を高 め るため には肝切 除 が必要 で あ る。し か るに
都築 ら511ま
肝切除 15例中 5例 (33.3%)に 肝側 断端 に癌
遺残 を認 めてお り,ま たわれわれ の肝切除 13例中 4例
(30,8%)も 組織学的 に非 治癒切除 で あ った。し た が っ
て肝 門部胆管癌 の切除 に際 しては左右 いずれ かの胆管
切除 また は肝切除 を優先 して行 な うか,肝 切除範 囲を
いか にす るか な どが大 きな問題 とな る。 一 方 中山 ら。
け
は肝 門部 を ボ ー リン グ して肝切 除 を行わず に胆管 のみ
を切 除 し十 分 に治癒切 除 で きた と思われた症例 が再発
死亡 し,剖 検 にて尾 状葉 を中心 とした癌再発 を認 めて
お り,ま たわれわれ の症例 で も術 中す で に尾状 業 の胆
管 分岐部や尾状美 の肝実質 まで癌 が浸潤 してお り,ま
た尾状 葉非合併切除症例 の剖 検 で 明 らかに残存 した尾
状葉 へ の癌浸潤 をみ とめた 事 な どよ り,本 症 に対 し最
Type l:尾状葉静脈 1本 ,Type 2:尾状葉静脈 2
∼ 3本,Type 3:尾 状美静脈 3本 以上.
るが,PTCDな
どに よ り減黄 ののち二 期的 に手術 が 行
近 で は肝 切 除兼 尾 状 案 合 併切 除 を第 1選 択 と して お
り,現 在 まで に 8例 の尾状葉合併切除 を行 ってい る。
一 方 Launoisの
の Couinaud's segment IVの合併切除
や ,Hart&Whiteの
た
central hepatic resection,ま
われ るよ うにな って,最 近 では積極的 に胆管切除 また
は尾
わ れわ れ が 行 って きた hilar hepatic resectionり
は肝切除,時 には血 管合併切除 が施 行 され るよ うにな
状葉 を合併切除 してお らず, これ らは肝 門部胆管癌 よ
肝門部脈管構築の解割学的特性 と肝門部胆管癌 の外科的治療
34(1688)
日 消外会誌 17巻
9号
りもむ しろ上部胆管癌 に適応 になるもの と思われる。
葉合併切 除 の必要 性 を指 摘す る とともにあわ せ て肝 門
しかるに尾状葉 の Glisson系脈管分布 に関す る詳細 な
研究 は少な く,本研究 では106例の学生用系統的屍体解
剖を用 いて これを詳細 に検索 した1い
。尾状葉 の脈管群
は とくに右側では門脈 の分枝 は後区域枝 と右主枝 か ら
部 にお け る G l i s s O n 系脈管群 と くに尾状葉 の解音J につ
分岐 していることが多 く,ま た胆管枝 は後区域枝 か ら
分岐す るものが多 く,動 脈分校 も右肝動脈後区域枝か
ら分岐す るものが多 く,結 局尾状美 は尾状葉突起を介
して主 として右葉後 区域 に連結 してい るものが多 い
が,そ の他尾状葉へ の Glisson系脈管分布 は variation
が少な くない。 また尾状葉 は下大静脈 の前面 に密着 し
てお りこれに数本の静脈が流入 してい る。中村 は11)こ
れを 4型 に分類 しているが,わ れわれは 3型 に分け尾
状葉切除に際 して参考 としている。次 に尾状葉 は肝右
いて詳述 した 。
文 献
1)Healey JE,Schroy PC: Anatomy Of the biliar‐
y ducts within the human liver.Arch Surg 66:
599--616, 1953
2)Couinaud C: Lobes et
seどhepatiques.
ments
Presse Med 62 ! 709--712, 1954
3)川 原 田嘉文,水 本龍二 :肝 門部胆管癌 に対す る外
科的治療法の検討。日消外会議 14:1361-1367,
1981
4)岩 崎洋治,岡 村隆夫 :肝 門部胆管癌 に対す る治療
方針.外 科診療 11:1484-1487,1979
5)都 築俊治,尾 形佳郎 t肝 門部胆管癌 の治療上 の間
葉 と連結 しているが,そ の境界 は明 らかではな く右葉
切除を行 えば,尾 状葉を十分合併切除す る ことがで き
題点.日 消外会議 14i55,1981
6)中 山和道 ,西 村祥三,福 田義人 ,友 田信之 :肝 門部
胆管癌 切 除例 の 治療成 績 と問 題 点。 日消 外 会誌
るが,左 葉切除で は不十分 とな りやすい。 また尾状葉
の上 縁 は左肝静脈本幹や中肝静脈根部 に近接 してお
7)Launois B, CampiOn TP, Brissot P et ali
り, とくに尾状葉 の最上端 と下大静脈 との切離 に際 し
て これ らの肝静脈を損傷 しないよ うに注意を払 う必要
が ある。
17: 223, 1984
CarcinOma of the hepatic hilus, surgical man‐
agement and the case for resection.Ann Surg
190: 151--156, 1976
8)Hart MJ,White TTr O〕
以上 の成績か らわれわれは肝門部胆管癌 の切除 に際
しては,癌が左右肝管合流部に限局 している場合 には,
hilar hepatic resectionま
たは左葉切除 に尾状葉を合
併切除,左 肝管浸潤 が優位 の場合 には左葉切除兼尾状
葉合併切除,左 右主肝管 へ の浸潤 が 同程度か,右 肝管
浸潤 が優位 の場合 には拡大右葉切除兼尾状葉合併切除
を行 っている。
結
語
最近 7年 5カ 月間に教室で手術を行 った肝 門部胆管
癌26例の分析 と106例の学生用屍体解剖の所見 より,肝
門部胆管癌に対す る外科的治療法 として肝切除兼尾状
ntral hepatic resec‐
tion and anastOmosis fOr stricture or carcinoma
at the hepatic bifurcation. Ann Surg 192:
299--305, 1980
9)川 原 田嘉文 ,鈴木英明,水本龍 二 !上 部胆管癌 の外
科 切 除 療 法一私 は こ うして い る一.臨 外 36:
1383--1390, 1981
10)鈴 木英明 :肝 門部近傍 におけ るグ リンン系脈管群
の 相 関 と異 常 ―肝 胆 道 外 科 の 立 場 ―.日 外 宝
51 : 713--731, 1982
11)中 村 達 :肝 静脈 お よび下 大静脈 の外科的解割 に
基 づいた肝切除の検討.日 外会誌 83:384-395,
1982
Fly UP