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学習メモ
日本史 テレビ学習メモ 第 12 回 学習のねらい 第 2 章 武家社会の形成と生活文化のめばえ モンゴル襲来 ゴルが世界史上空前の大帝国を築きます。 その支配拡大の波は周辺諸国に押し寄せ、 日本も初めて本格的な外国勢力の侵攻を 監修・講師 受けることになりました。鎌倉幕府はこ の危機をどのようにして乗り越えたので しょうか? また、戦いの後、御家人た 楠木 武 調べておこう・覚えておこう あくとう い こくけい ご ばんやく げん げんこう こうあん えき こうらい 悪党/異国警固番役/元/元寇/弘安の役/高麗/ とくせいれい とくそう なんそう 徳政令/得宗/南宋/フビライ・ハン(クビライ・カアン)/ ぶんえい えき ぶんかつそうぞく ほ う じょう と き む ね 文永の役/分割相続/北条時宗/モンゴル 要❖其の壱 今回の時代は鎌倉時代の中期から後期 にかけてです。このころ、大陸ではモン ちは困窮し、幕府への不満が高まりまし た。その後の幕府滅亡にもつながる御家 人社会の動揺はなぜ起きたのでしょう か? 外国勢力侵攻の危機に対する日本 の対応と、その影響について学習します。 モンゴル帝国 1206 年、中国大陸北方の遊牧狩猟民族である 部族のテムジンは皇帝となり、 ▼ チンギス・ハンと称した。モンゴルは急速に勢力を拡大し、東アジアからヨーロッパ東部にま きん たがる広大な帝国を築いた。東方では 1234 年に金を滅ぼし、朝鮮半島の に出 兵した。高麗は約 30 年間の断続的な侵攻を受けた後、1259 年に降伏したが、その後も 1270 さんべつしょう 年に高麗の精鋭軍である三別抄の反乱がおきるなど、民衆の抵抗は続いた。モンゴルはベトナム にも 1257 年以降、3 回にわたって侵攻した。 が 5 代目の皇帝となると、都をカラ 1260 年、チンギス・ハンの孫にあたる だい と ぺ きん コルムから大都(現在の北京)に移し、1271 年には国号を中国風の フビライは中国の南半分を支配する に改めた。 の征服をおしすすめ、南宋と通商関係をもつ ちょうこう 地域を支配下においた。そして 1268 年、日本にも朝貢を求める国書が送られてきた。 − 26 − 高校講座・学習メモ 日本史 要❖其の弐 モンゴル襲来 フビライは繰り返し国書と使者を送ってきたが、返書を送らないことを決めた鎌倉幕府の 8 代執権 は、西国の御家人たちにモンゴルの襲来に備えるよう命令した。高麗の三 別抄の反乱を制圧したフビライは、1274 年、元・高麗の連合軍 3 万を日本に送り、対馬・壱 岐を占領して博多湾に上陸した。短弓を乱射し、火薬を使った「てつはう」をさく裂させるモン ゴル軍の集団戦法に対して、幕府軍は苦戦を強いられた。博多は占領され、幕府軍は大宰府まで という。 退却したが、モンゴル軍は軍船に引き上げ撤兵した。この戦いを 翌 1275 年もフビライは国書を送ってきたが、時宗は使者を処刑し、再度の襲来に備え た。九州北部沿岸などを警備する を強化し、博多湾沿岸に石塁(石築地)を築 いた。また、荘園領主にしたがう武士(非御家人)たちも幕府の指揮下においた。1279 年に 南宋を滅ぼしたフビライは、1281 年に東路軍 4 万・江南軍 10 万を日本に派兵した。しかし、 上陸が阻止されている間に暴風雨がおそい、海上のモンゴル軍の多くが溺死した。この戦いを という。文永・弘安の 2 度のモンゴル襲来を ともいう。 フビライは 3 度目の日本遠征も計画したが、中国民衆の反乱や、ベトナムの抵抗などによっ てこれを断念した。しかし、日本ではいつ来るかもしれないモンゴルの脅威を感じ続け、以後も 襲来のうわさが絶えることはなかった。 ▼ 要❖其の参 御家人社会の変化 幕府は 2 度にわたるモンゴル襲来を退けたものの、戦功をあげた御家人に与える恩賞の土地 はほとんどなく、異国警固番役なども継続されたため、御家人の負担は重かった。また、御家 人の所領は によって細分化され、貨幣経済にまきこまれて支出もかさんだため、 所領を質入れしたり売却したりするものが増えてきた。 そこで 1297 年、幕府は を発布して、所領を無償で御家人にかえすよう命じ た(永仁の徳政令)。しかし、この施策はかえって経済を混乱させることとなった。 一方、モンゴルの脅威への対処などを通じて、幕府内では北条氏の本家である の 力が格段に強くなった。得宗家の家臣(御内人)が幕府の政治を動かし、評定衆による合議は中身 を失ったため、御家人の不満が高まった。また同じころ、荘園領主に敵対して「 」 とよばれ、訴えられる人々が激増する。軍事警察担当である幕府はこの「悪党」を弾圧する役割を 担うが、それは幕府に対する不満を増幅させることにつながった。 − 27 − 高校講座・学習メモ