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GKH017301

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GKH017301
60 歳以上の高齢者を対象とした
体力測定法の検討
伊藤稔,中谷敏昭
A Study
on the
Physical
Elderly
Fitnes
Persons
ITOH
Test
(over
60
Minoru,
for
Japanese
years).
NAKA
TANI
Toshiaki
Abstrac
,yltnecR
eht
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and
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56
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天理大学学報
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lacisyhp
fo each
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drants
ylredle
lufesu
rof
.esnapJ
はじめに
近年,日本では平均寿命が著しく延長して高齢化社会を迎え,さらに
世界ーの高齢国家にむかつて突き進んでいる。このままの勢いが続けば,
02
年代には全人口の 4 分の l 以上を56 歳以上の高齢者が占めるようにな
るとし、う推計もなされており,老人福祉や社会保険上も重大な問題をはら
んでいる。
元気に活躍できる老人の数が増加することは好ましいが,その反面『寝
たきり老人』を含めて,要介護の高齢者が増え,若い生産世代の手をわず
らわせ,逆に必要なところに介護の手が行き届かなくなるという事態も考
えられる。高齢者が健康で生きてゆくためには,彼等自身が自己の健康管
理を行い体力の向上を計って,還しく生き抜いてゆくことが望まれる。
一昔前ならば,還暦を過ぎた老人に体力測定を行わせて,体力の向上を
目的とした身体運動を薦めるなどは考えられないことであり,従って,高
齢者用の体力測定法やその基準値などは存在しなかった。
現在,各地で高齢者を対象とした体力測定が実施され,
トレーニング教
室なども開催されるようになってきたが,体力測定の項目はまちまちで,
また,信頼できる評価基準がないため, 06 歳以下の値を準用している場合
が多いのが現状である。
60
歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
3
今回の研究は,高齢者が安全に実施することができる体力測定の種目を
考えるとともに, 06 歳以下の体力統計値と何等かの型で連絡する方法を考
慮したものであり,且つまた,高齢者の体力の現状を正確に把握し,でき
ればその評価基準値を作成することを目的としている。
方 法
高齢者とは,法的には満56 歳以上の男女を指すようだが,一般社会では,
還暦を迎え停年退職をする 06 歳以上を意味する場合が多い。
06 歳までは,文部省の壮年体力テストが広く行われているので,本研究
では, 06 歳以上の年齢層を対象とすることとして,特に上限は設けなかっ
た。また,結果を集計する場合には,加齢による体力の低下が大きいので,
06 ∼46 歳
, 56 ∼96 歳
, 07 ∼47 歳
, 57 ∼97 歳の 5 歳きざみで階級を設け, 08
歳以上は一組として男・女別に集計することとした。
また,今回の体力測定の目的は,健康で一応自立している人の体力の判
定にあるため,本人が健康を自認し,検査場まで自分で、歩いて来れる人を
対象とした。さらに,検査前に医師によるメディカルチェッグを実施し,
測定に堪えられない疾患のある人は除外した。但し,必ずしも全測定種目
を受ける必要はなく,障害等のために一部の種目しか受検できない人は可
能な種目の受検に留めることを許した。
今回の研究には次の 3 つの測定・調査が含まれている。
.1
京都市老人クラブの協力による高齢者の体力測定
京都市老人クラブ連合会の協力を得て,市内 Y 地区,同 K 地区の 2 ヶ所
で高齢者の集団的な体力測定を実施した。測定項目は表− 1 の体力測定票
に示すように,身長,体重,収縮期及び拡張期血圧値,努力性肺活量,同
1 秒値,同 1 秒率,握力(左・右〉,閉眼片足立ち,垂直とび,立位体前
屈及びサイドステップの各種目であり,更に自転車エルゴメータを用い,
負荷漸増法による 6 分間の最大下運動負荷テストを行わせて,各人の最大
酸素摂取量を間接法により測定した。なおこの運動負荷テストの際に,運
動中の心電図を記録して被検者の安全を期した。図
のスナップ写真である。
1 はこの体力測定中
4
天理大学学報
表
1
高齢者体力測定票
大学壮年体力研究班
氏名
歳(
年齢
年 月
日生〕
現住所
T巴 I
.
運動歴
既往症
.1
身長
cm
2
体重
kg
.3
血圧値
mmHg
.4-
安静時心拍数
b/min
.5
.6
努力性肺活量
グ
C 1 秒値〉
.7
か
C 1 秒率〉
握力(右〉
.9
グ(左〉
wJい時い時
.s
ml
ml
.01
体前屈
cm
.11
開眼片足立ち
ces
.21
垂直跳び
cm
.31
サイドステップ
回
.41
安静時 E C G
.71
運動中血圧値
.81
グ筋電図
.91
最大酸素摂取量
.02
脈波伝達速度
.12
血流波動指数
.22
総合判定
﹂山岨
グ心拍数
m/sec
1g
.61
bm
51 目運動後 E C G
06 歳以上の高齢者を対象 とじた体力測定法の検討
図
1
高齢者体力測定の風景
(上〉立位体前屈,(下〉運動負荷テスト
5
天理大学学報
6
被検者は 63
名(男性241 名,女性491 名〉であり,測定期日は昭和36 年
から平成 2 年にわたってしる。
.2
日本体力医学会高齢者問題プロジェクトのメンバーによる体力測定値
の集計
日本体力医学会でも,高齢者の体力問題に関心のある会員を集めて『高
齢者の体力問題研究プロジェクト』を結成し,高齢者の体力測定法に関す
る研究を主要なテーマとしてとりあげている。このプロジェグトにおいて,
とりあえず現在各地で実施されている高齢者の体力測定法の項目と,その
測定結果をまとめることとなり,集められた資料の中から測定法と年齢区
分及び結果の確かなものを集め,われわれの測定結果と照合した。更に広
く利用されている測定種目については,年齢・性別に各統計値を合算して
平均値と標準偏差を算出し,日本人高齢者の仮の標準値を求めた。
.3
呉市ロータリークラブ等の主催による高齢者の体力測定の結果からの
標準値の再検証
.2 で、求めた仮の標準値が,果たして妥当なものかどうかを検討するため
に,広島県呉市ロータリークラブ,ならびに京都市高齢者さわやか健康ク
ラブの協力を得て高齢者の体力測定を行い,上にあげた標準値と比較して,
その妥当性を検討した。
測定項目は,身長,体重,握力(左・右〉,
垂直とび,肺活量,同 1 秒
値,立位体前屈,閉眼片足立ち,開眼片足立ち及びサイドステップの 01 種
目であり,測定に先立つてメディカルチェックを実施し,その中で安静時
の脈拍数,血圧値の測定を行い,必要に応じて心電図を記録して参考とし
た。測定期日は平成 3 年01 月から11 月であり,受検者は 902
名(男性 801
名,女性101 名)であった。
結 果
.1
京都市高齢者の体力測定の結果
京都市 Y 地区及び K 地区の高齢者の体力測定の結果は,表− 2 C男性),
8 歳であったが, 08 歳以上
表− 3 C 女性)に示す通りである。最高齢者は7
身長 体重
n =20
X
肺活量
gH
cc
6.83
95.7
9.63
41.8
3.6
3.84
5.57
8.21
司.
1o
35.9
7.53
57.9
5.43
18.8
8.46
3.24
3291
4.94
.57 7
9.41
5.47
I7.l
2.3
79.5
8.23
21.5
951
8-45
4.37
0.91
.37 7
39.21
8.3
60.4
0951
2.693
6.67
2.51
9.17
82.9
6.92
81.4
I4.l
0862
8.505
7602
4.973
6.7
84.1
2852
9.546
3.7
84.8
5212
8.07
71.7
512
5.495
.26 I
03.1
1.41
71.2
4.28
39.21
l792
.636
45.3
6.75
64.
5.541
.52 司9
6.7
79.61
29.4
9.85
38.
8.641
71.81
78.4
5.
9.6
.941
48.02
01.4
.65 [
40.7
0.41
62.8[
7
~
3.061
2
日= 8
os
07 ∼47 歳
n=41
os
57 ∼97 歳
n =34
os
08 歳以上
n=I9
X
X
X
D
S
5.lGI
7.061
8.751
l
関8.3
開眼
垂直挑
片足立一
7.07
87.
492 4.7
9.385
42.7
)
左
〈
gk
%
闇
〉
古
(
g(l
c
gk
調掴
, 安静時 宛 力 握 力
z
;
l 砂l直 1 砂
脈拍数
mc
9.261
D
S
gH
血圧|直
革期)
(弛E
mc
sc
e
l反li
立位
横跳ぴ
体前居
回
γ02max
〈体重当り)
mc
gk/lm
6.23
85.8
2.73
0.01
5.72
75.6
2.1
90.01
1.13
4.42
70.6
2.4
28.9
3.82
.7 47
2.04
8.73
9.52
56.6
1.2
57.4
2.1
5.7
1.2
31.7
0.23
63.5
6.32
6.52
1.32
58.6
7.02
43.5
.2
ー1
95.01
6.52
81.8
9.72
73.4 4.2
9.02
3.91
46.7
0.81
81.4
・9.2
48.9
7.2
28.5
20.7
l
関∼6司議
血圧阻
(収縮期)
M測史 ﹁見︶別雰船時泣加問∼い﹁汁市廿 UC田昌尚時用︶薄型
g
高齢者の体力統計値(男子〉
表− 2
司
、
。
α
高齢者の体力統計値(女子〉
表− 3
身長 体重
DS
07 ∼47 歳
n =57
DS
57 ∼97 綾
n=30
DS
日 =11
DS
X
X
X
cc
IC
kg
52.6
0.35
08.6
0.731
48.51
97.5
9.25
96.8
9.41
62.71
39.5
6.15
50.9
1.41
12.61
03.5
0.94
85.7
86.5
0.34
63.7
7.941
3.941
3.841
4.541
1.141
V02max
立位
1 砂1直 1 秒率 安静時 提 力 握 力 開 眼 垂直旋 反復
績桃ぴ 休前庭 〈体重当り)
)
左
〈
片足立
)
右
脈拍数 〈
C冨
g
k
/
I
回
sec
g
k
g
k
lC
c
%
・・
1.7
27.8
1-42
57.6
1.32
30.5
5.28
38.64
8.2
64.7 08.5
お7.
6.9
30.6
8.2
04.7
04.9
7.2
73.4
6.2
38.4
4.63
54.23
3.81
57.5
8.02
59.4
3.8
97.5
s.02
91.5
0.18
49.01
3.57
17.8
2.12
25.4
2.02
53.2
1-42
03.52
9.71 9.81
98.4 64.4
8.6
62.7
7.71
98.6
8.28
62.1
2.5.7
43.8
8.91
08.4
7.71
09.4
8.21 5.51
30.41
3.61
50.4
6.4
95.7
5.41
6.4
4.08
93.8
9.31
90.3
3.31
53.3
3.41
84.4
6.3
78.4
7.51
35.4
0.67
08.
91 日
2.05
4651
3.264
3.08
48.42
9.87
1081
m.2
7831
8.783
6.97 9.57
26.31
3.67
50.9
16•19
9.424
1231
9.953
9.141
64.51
4.87
58.1
5731
6.574
531
1.414
8.731
9.1
7.27
96.21
2021
6.473
249
5.792
51.01
.97 7
34.81
18.4
0.31
1.8
47.7 87.2
W諮
56 ∼臼虚
n=59
肺活量
川鴨川
DS
血圧値
目
〈弛Ril )
g
聞 H
河沼 u
r
X
ili46
06 ∼
n=37
血圧値
〈収箱期〉
g
同 H
06 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
L
h
十l
向
Lm
十
20
Lh
r
u占,dTL
30
114
40
1よ 、 了
50
Strength
L
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1l1廿 ’ ’ R 1 L
1よ 山 寸
60
Grip
ーよ千 L
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L
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kg
9
10
。
10
20
30
40
50
60
70
80
y
r
.s
図
2
握力左右平均修の年齢別変動
一一横断的統計による一一
C、
灯
Standig
Trunk
ixelF
ロn
20
10
。
ー10
10
20
30
40
50
60
70
80
y
r
.s
図
3
立位体前屈の年齢別変動
一一横断的統計による一一
天理大学学報
01
は人数が少ないためにひとまとめとした。男性・女性共に,各測定種目の
平均値は加齢とともに低下しており(安静時血圧値,脈拍数などを除く〉,
加齢による体力の低下を示しているが,この値を従来公表されている 06 歳
以下の平均値と比べてみると,図− 2 の握力(左右平均〉の例のように,
06 歳までの各年齢の横断的な平均値のカーブとなだらかに継がるものと,
図− 3 の立位体前屈のように, 06 歳以上がきわだって断絶した値を示すも
のとがある。前者と同様の傾向を示す測定種目としては,身長,肺活量な
どがあり,後者と同様の例としてはサイドステップがあげられる。他の測
定種目では,今回の 06 歳以上のデータの方が若干高い値を保ちながら,な
だらかに低下している。
日本体力医学会高齢者体力問題プロジェクト・メンパーの測定資料の
.2
集計
上記のプロジェクトに参加しているメンバーに,ここ数年以内に各自の
研究室で行った高齢者の体力測定の実施状況と,測定項目並びに実測値の
送付をお願いしたところ, 21 大学・ 1 研究所から資料の提供を受けた(参
考文献参照〕。
これらの資料の中から,年齢区分が等しく,且つまた,平
均値,標準偏差及び対象の人数がはっきり記載されているものを選んで,
我々の統計値と合わせ,全体の平均値,標準偏差を計算したのが表
4
.1( ∼.01 )である。
集められた資料は,男性09 名,女性061
名の計062
名分であり, サ ン
フ。ルの数が増えただけに,この統計値は各年齢層の実態をよく表している
高齢者体力測定値(平均)
表− 4
.1
(cm)
身長
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
n
121
862
772
451
08
X
.261
.161
.061
.061
20.851
81
44
96
72
子
女
子
男
.S D
n
.5 89
.5 17
8.4
8.4
.4 44
142
034
323
631
03
X
.051 34
.941 53
.941 71
41.7 83
.541 30
.S D
.4 99
.4 37
3.5
.5 36
.6 66
11
06 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
.2
(kg)
体重
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
.3
n
121
762
772
451
08
X
12.95
86.75
.75 11
.65 81
.35 30
.S D
n
42.8
.8 11
79.7
32.8
.7 37
242
034
323
631
03
.S D
X
04.7
79.7
35.7
.7 04
28.7
60.25
92.05
6.94
.84 54
09.54
(kg)
握力(右〉
子
男
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
.4
子
女
子
男
n
X
57
29
87
55
42
.93 7
5.73
.43 8
.13 4
02.4
4.92
子
女
.S D
n
58.6
95.7
.6 51
.6 50
761
531
48
04
31
X
.S D
8.52
8.32
.12 9
.02 7
.51 5
28.4
33.4
04.4
.4 08
.4 77
(kg)
握力(左〉
子
男
n
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
57
29
87
55
42
X
1
4
.73
.53
5.3
.23
.72
2
5
子
女
.S D
n
.6 19
.6 39
.4 99
.5 74
35.4
761
531
48
04
31
X
.S D
.32 6
0.32
6.02
.81 7
9.41
70.4
06.4
20.3
.4 27
.4 08
(kg)
握力(平均〕
子
男
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
n
87
422
542
111
95
X
3.83
6.43
6.3
8.03
6.62
子
女
.S D
n
.6 08
.7 21
.6 21
.6 41
25.6
031
073
582
611
02
X
.S D
.32 8
.12 4
.02 7
9.91
0.02
36.4
14.4
95.4
.4 21
14.6
21
天理大学学報
(ml)
肺活量
.5
子
男
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
.6
.S D
n
X
47
29
87
65
42
8.3603
3.7872 63.316
3.5472
.0432
7
.8612
1
n
51
.60756
! 04.976
.09465
761
331
48
04
31
.S D
X
.2602
.7881
.1071
3.5151
9.7121
1
7
0
60.84
.564
.46414
49.425
93.563
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
95
97
56
94
32
.S D
X
! .385
4.4712
5.902
5.7191
.2361
4.4751
子
女
子
1
.025
78.545
95.805
13.563
51
84
n
521
301
27
73
21
.S D
X
.9241
.0831
.1031
.1711
3.69
9
2
4
7
子
男
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
00
70
子
女
X
.S D
n
.5 1
.4 1
.2 4
9.0
3.2
.7 85
3.8
16.8
93.01
.9 81
562
974
753
351
33
n
931
403
803
261
18
.134
15.283
68.473
.114
.23492
(cm)
体前屈(立位〉
AGE
61
(ml)
n
AGE
.8
.665
子
肺活量( 1 秒値〉
男
.7
女
X
.S D
.01 7
.8 6
.8 4
6.8
3.7
.6 15
39.6
52.7
54.7
4.8
(
秒
〉
開眼片足立
子
男
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
n
59
132
922
311
45
子
女
X
.S D
n
0.61
6.01
.8 3
.5 7
6.3
45.81
.01 59
.8 50
48.5
5.2
952
874
553
841
23
.S D
X
.12
.91
.81
0.81
.51
4
9
7
7
90.6
70.6
72.6
.6 64
45.6
06 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
垂直跳
.9
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
(cm 〕
•
子
男
AGE
31
子
女
n
X
.S D
n
931
003
703
241
08
3.43
0,03
3.72
.32 1
3.91
0.8
.7 07
.7 57
.7 64
40.8
952
874
553
841
23
X
.S D
.12 4
9.91
.81 7
0.81
.51 7
90.6
.6 70
.6 72
.6 64
45.6
反復横とび
.01
子
男
AGE
46-06
96-56
47-07
97-57
-08
n
7
1
231
541
47
23
X
9.03
9.92
4.72
34.6
0.52
.22 1
子
女
.S D
n
30.7
.7 42
401
381
461
48
41
43.7
20.7
.S D
X
.62
2.52
.32
.22
.71
9
8
8
7
.5 15
.5 78
.6 91
.6 16
.7 07
ものと考えられる。
但し,各研究者に共通する測定項目は限られており,年齢・性別に05 名
以上の資料が得られた項目のみを集計することとした(08 歳以上の年齢層
を除く〕。
以上の条件を満たす共通測定項目は表− 4 に示すように,身長,
体重含めて01 種目に留まった。表− 4 は,現在の日本人の健常な高齢者の
体力の実状を表しているものと考え,これを元にして 5 段階の体力評価表
を算出したのが表− 5 (
A,
B )である。表
5 を利用することによって,
06 歳以上の高齢者の体力測定の結果を合理的に評価することができ,また,
この中から幾つかの測定項目を組み合わせて,バッテリーテストを作成す
ることも可能である。
.3
呉市ロータリーグラブならびに京都さわやか健康クラブ主催の高齢者
体力測定による標準値の再検証
.2 で算出された性別・年齢別の日本人高齢者の体力標準値が,果して妥
当なものであるのかどうかを検証するために,最近実施された呉市ロータ
14
天理大学学報
表ー 5
A( )体力テスト 5 段階評価表(男性用〉
2
歳|
60-64
詣|
65-69
歳|
70-74
歳|
75-79
80 一 歳 |
体
重
60-64
65-69
70-74
75-79
80-
禽
歳
歳
歳
歳
握力(平均)
60-64
65-69
マ0-74
75-79
80-
歳
歳
歳
歳
歳
肺活量
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
篇
歳
歳
歳
歳
∼1.351
∼8.251
∼3.351
∼9.251
∼3.151
:2.351
.251
・
:4.351
;0.351
:4.151
3
∼1.951
9∼,5.851
∼2.851
∼:7.51
∼.551
:2.951
6.851
:.851
8.751
:7 8.51
’
3
‘
∼.64 8 : .64 9∼0.5
: 5.54 ∼5.35
∼4.54
: 2.54 ∼幻0.
∼1.54
: 8.34 ∼0;25
∼7.34
; 4.14 ∼1.94
∼3.14
エ
:
:
:
;
;
1.5
6.35
1.35
1.25
2.94
エ
2
512
7681
9671
231
4131
∼0872
∼D842
∼9142
∼002
∼281
:
:
:
:
;
3.36
7.16
1.16
3.06
9.65
.
3
8.43
0.13
5.03
6.72
: 3.2
: 1872
, 1842
: 0242
102
: 381
目
∼1.171
∼;9.61
∼.761
∼;5.761
2∼:6.461
5
∼5.14
∼1.83
∼4.63
∼.33 7
∼8.92 9.92
,
∼5.17
∼7.96
∼0.96
∼4.86
∼5.46
:
:
;
:
;
,
∼3.84
∼4.54
∼5.24
∼8.93
∼3.63
3
再生
: 743
∼643
∼3903 4903
∼0703 1703
∼9762
0862
3542
∼2542
∼2193
∼6073
∼0273
∼953
∼1203
∼
∼
∼
∼
∼
6.17
8.96
1.96
5.86
6.46
5
4
6.14
2.83
5.63
8.3
∼
∼
∼
∼
∼
: 2.171
0.071
9: 0.861
6.761
7.461
4
・
∼2.36
∼6.16
∼0.16
∼2.06
∼8.65
・
2
: 0.82 ∼7.43
∼9.72
∼幻6. : .32 7∼9.03
: 4.42 ∼4.03
∼3.42
: 5.12 ∼5.72
∼4.12
∼.61 7 ; 8.61 ∼お2.
∼412
∼5681
∼8671
∼1231
∼3131
2.561
∼:1.561
3.461
∼;2.461
1.361
3∼:0.361
7.261
∼;6.261
∼061 1. :.061
2
工
5
4
・4.84
∼
∼
∼
∼
∼
5.54
6.24
9.3
4.63
5
3193
: 70/'3
: 1273
; 063
: 203
∼
∼
∼
∼
∼
60 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
表
エ
肺活量( 1 秒値)
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
歳
歳
歳
歳
歳
∼8921
∼821
∼8901
∼ 86
∼5201
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
歳
鼠
歳
歳
歳
開眼片足立
60-64
65-69
70-74
75-79
80-
歳
歳
歳
歳
歳
垂直跳
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
歳
歳
歳
歳
歳
サイドステップ
60-64
65-69
70-74
75-79
80-
歳
宣
告
歳
歳
歳
目
ヱ
立位体前屈
5 叫のつづき
∼181
∼8471
∼461
∼731
∼1931
8.41
∼
−6.1
:.41:5.1-
7-4.4
∼
ー4.2
エ
l
l
1
1
l
エ
∼5642
∼962
∼9812
∼581
∼6571
281
9471
5461
8731
2931
2
91
61
21
7
: 3.1 ∼ 8.8
: 1.0- ∼ 2.8
: ー
し 9 ∼ 6.6
: 3.4- ∼ 0.6
: 3.2- ∼ 8.6
.6
1.5
3.4
8.2
3.2
エ
03
62
32
91
51
42
91
81
41
21
∼ 72
∼ 52
∼ 32
∼ 02
∼ 81
∼ 73
∼ 23
∼ 13
∼ 72
∼ 32
:
:
:
:
9.6
9.8
3.8
.6
1.6
62
: 42
: 12
91
∼ 23
∼ 03
∼ 92
∼ 52
: 053
0972
: 6372
1461
: 212
∼
叫
∼
∼
∼
5
∼4.61
∼5.61
7∼2.51
∼4.61
∼0.61
: .61 5∼
.61 6∼
3.51
∼
: 5.61 ∼
1.61 ∼
5
4
:
:
:
'
:
3.52
1.61
3.21
6.8
9.4
∼7.34
8.34
∼9.62
: 0.72
∼3.02
4.02
∼4.41
・.41
∼ 73. : 4.7
: 83
3
, 23
82
・ 42
∼ 64
∼ 24
∼ 24
∼ 43
∼ 13
:
,
∼ 04
∼ 04
∼ 73
∼ 53
∼ 81
74
34
34
53
23
∼
∼
∼
∼
∼
5
4
' 53
3
: 13
: 03
62
∼
∼
∼
5∼
∼
5
4
3
・ 82 ∼ 43
5
4
3
2
:
:
:
:
:
7 ∼2.52
∼0.61
∼2.21
∼ 5.8
∼ 8.4
∼9403
∼9872
∼5372
∼0461
∼12
: 642
: 072
・0
912
: 681
: 7571
3
∼ 6.6
∼ 0.5
:
∼ 2.4
∼ .2 7 :
∼ 2.
∼ 92
∼ 52
∼2
∼ 81
∼ 41
4
・
3
2
∼ 12
∼ 81
∼ 51
∼ 11
∼ 6
32
81
71
31
11
:
:
,
:
:
2
∼O
∼O
∼0
∼O
∼O
∼
∼
∼
∼
∼
”
2
∼−4.6
: 3.6- ∼ 2.1
∼−5.8
: 4.8- ∼2.0∼
ー01 6. ー
:.01 5∼
−0.2
一
3
2
: 921
: 921
901
: 968
: 6201
51
:
:
:
・
14
14
83
63
91
∼
∼
∼
∼
∼
61
天理大学学報
表− 5(B )体力テスト 5 段階評価表(女性用〕
円。可tFI
歳歳歳歳歳
b
円
一
一
一
一
一
05050
66778
−D Q U 4‘qu
身 長
エ
8.241
∼
.241
∼
1.141
∼
∼
∼
∼
8.831
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u
内
u
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M
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R
9.431u
∼
勾
’
2
:8.741
∼
.641
3∼
:4.641
2∼
5.441
∼
.141
∼
:9.241
2 : .241
:.141
:9.831
:0.531
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∼
.151 6; .151
0∼
.151 7; 8.151
∼
051 1. ,.051
∼
:4.841
3.841
7∼
:8.751
9∼
;3.651
7∼
:1.751
∼
.551
2∼
:9.451
∼
3
4
2
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川
内
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05050
66778
一
一
−
一
一
体 重
9.741
9; .741
5.641
•6.41
6: .141
5
4
3
∼
∼
∼
∼
∼
9.751
4.651
2.751
:7 8.51
0.51
5
品
,
−
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’
屯
内
握力(平均)
60-64
65-69
70-74
75-79
80-
歳
歳
歳
歳
歳
エ
2.61
∼
6.41
∼
6.31
∼
6.31
∼
3.01
∼
3
2
: 3.61
: 7.41
; 7.31
: 7.31
: 4.01
02 9.
∼
0.91
∼
2.81
∼
7.71
∼
7.61
∼
5.52 6.52
; .12 0∼
4.32
: 1.91 ∼
8.2 9.2
; .81 3∼
9.12
: 8.71 ∼
お1.
; .61 B∼
5
4
45555
ι
u
,
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2.03
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週
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∼
5.92
∼
5.32
内
勾
0.2
2.32
3.03 ∼
9.72 ∼
5.72 ∼
1.62 ∼
.92 6∼
。
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u
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u
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∼
∼
∼
肺活量
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
歳
蔵
歳
歳
歳
エ
9231
∼
9811
∼
5701
∼
∼727
∼906
: 0331
: 0911
: 6701
・ 827
076
7181
∼
4561
∼
2941
∼
2521
∼
4301
∼
: 8181
: 5561
: 3941
; 3521
: 5301
5032
∼
912
∼
8091
∼
7771
∼
0041
∼
5
4
3
2
6032
0212
9091
871
: 1041
3972
∼
4852
∼
5232
∼
2032
∼
5672
∼
: 4972
; 5852
6232
: 3032
6671
∼
∼
∼
∼
∼
60 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
表
附量( 1 秒値)|
歳
歳
歳
歳
歳
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
立位体前屈
歳
歳
歳
歳
歳
60-64
65-69
70-74
75-79
80-
閉限片足立
60-64
65-69
70-74
75-79
80-
歳
歳
歳
歳
歳
垂直跳
60-64
65-69
70-74
75-79
80 ー
歳
歳
歳
歳
歳
サイドステップ
歳
歳
∼ 287
∼ 508
∼ 837
∼ 45
∼ 525
エ
エ
∼ 6.5
∼ 6.3
∼ 4.2
∼ 0.2
∼ 1.3
工
∼ 71
∼ 61
∼ 51
∼ 41
∼ 11
.5
.3
4.2
1.2
2.3
7∼8.71
7∼8.31
∼4.31
∼4.1
∼ 9.6
; 81 ∼ 32
∼2
71
61 ∼ 12
∼ 02
51
21 ∼ 81
目
: 9.71
: 9.31
: 5.31
: 5.1
; 0.7
∼ 92
∼ 82
∼ 62
∼ 52
∼ 12
∼1.03
2.03 ∼
: .42 l∼
∼0.42
: 6.42 ∼
∼5.42
: .02 9∼
∼8.02
∼.01 7
8.01 ∼
; 42 ∼ 03
: 32 ∼ 82
l
22 ∼l:'
12 ∼ 72
: 91 ∼ 52
5
:
:
•
:
:
03
92
72
62
22
∼ 53
∼ 43
∼ 23
∼ 23
∼ 82
13 ∼
92 ∼
' 82 ∼
82 ∼
62 ∼
『
5
4
目
.02 5∼
.91 0∼
3.91 ∼
8.91 ∼
0.02 ∼
J
‘
4
3
42
: 32
12
: 02
41
.
4-- 」
3
2
∼ 32
∼2
∼ 02
∼ 91
∼ 31
・
∼
∼
∼
∼
∼
5
∼4.02
∼.81 9 :
∼2.91
∼.91 7 :
∼9.91
: 0.41
: 1.21
: 0.21
: 3.21
: 5.1
3
:
:
:
:
;
: 6702
4591
: 4681
871
: 6041
4-- 」
: 7 4. ∼9.31
: 1.5 ∼0.21
: 8.4 ∼9.1
: 9.4 ∼2.21
; 1.3 ∼4.1
ー
5
∼5702
∼3591
∼3681
∼7871
∼5041
: 5461
: 1751
: 9841
: 731
• 311
3
2
21
11
9
8
6
4
∼461
∼0751
∼841
∼6731
∼211
4121
981
411
69
028
2
’ 1
l
1
l
1
エ
∼ 71
∼ 61
目
∼ 73.
∼ 0.5
∼ .4 7
∼ 8.4
∼ 0.3
−
∼ 11
∼ 01
∼ 8
∼ 7
∼ 5
:
:
:
:
2
: 9.0
∼−8.0
∼−.1 9 : 8.1∼−.2 6 : 5.2∼−.2 7 : 6.2: 4.5∼−5.5
∼0
∼0
∼O
∼O
∼O
3
∼3121
∼81
∼311
∼ 569
∼ 918
, 387
608
• 937
55
・ 625
: 81
: 71
51
: 31
蔚 ∼ 21
75-79
7
80 一 歳 ∼ 6 :
60-64
65-69
5(B )のつづき
2
l
17
•
:
:
:
63 ∼
53 ∼
33 ∼
33 ∼
92 ∼
81
天理大学学報
リークラブ主催の高齢者体力測定,ならびに京都さわやか健康クラブの体
力測定の結果と対照して検討してみた。
表
6 は,平成 3 年01 ∼11 月に実施した両体力測定会への参加者の測定
値を集計して,平均値をまとめたものである。参加者は呉市ロータリーク
ラブ161 名,京都さわやか健康クラブ84 名 の 計 902
名(男性 801 名,女性
101 名)であり,測定項目は身長,体重,握力(左・右〉,垂直とび,肺活
量,同 1 秒値,立位体前屈,閉眼片足立ち及びサイドステップの 01 種目で
ある。
この平均値を,表ー 5 の体力評価表にもとづいて 5 段階法で評価してみ
ると,殆どの平均値が 3 点に集中したが, 46 歳以下及び08 歳以上のグルー
プでは一部の測定種目が 2 点及び 4 点の評価をうけた。
図− 4 は,その結果を 5 段階の星型グラフで表したものである。図
4
A( )
は06 ∼46 歳の平均値を示しており,男性では体重と垂直とびが 4 点とな
り,逆に閉眼片足立ちは 2 点であったが,女性ではすべての種目が 3 点の
同
は07 ∼47 歳の結果を図示したもので,男
範囲におさまっている。図− 4 (
女共にすべての測定結果が 3 点と評価されている。他の年齢層でも殆どの
評価値が 3 点の範囲に分布していた。
以上の結果から考えて,測定種目の選択には若干問題はあるものの,表
- 5 の体力評価表はおおむね妥当なものと考えてよい。
表− 6
身長
C困
男性(°
n)71
女性( n•26)
56
∼
47 歳
男性( n•16)
女性( n•27)
57
体重
揖カ
{
右
)
gk
gk
1.361
3.151
6.36
4.5
0.261
7.051
5.95
0.25
3.261
0.941
1.85
9.25
1.¥61
8.541
9.65
8.64
4.851
2.641
6.45
5.64
3.04
7.32
損カ
(
左
)
垂直跳
k•
C圃
反復
開眼
横跳び
片足立
回
sec
3
73 目
7.22
0.04
0.22
1.03
0.52
0.63
6.¥3 5.62
91 目
8
4.22
6.7
5.4
5.32
2.71
7.12
6.42
8.41
1.12
5.41
立位
肺活量
肺活量
一秒値
体前屈
cc
cc
co
5432
8271
6.2
0872
2291
5251
2.7
5.6
4.4
5152
6171
3491
8041
.3 J
5.5
0.32
4,61
9.3
4.3
2722
0441
9471
9021
0.5
7.12
8.91
3,4
0.3
1242
5941
4.5
1.41 2002
3203
7
4.
∼96 歳
男性( n•25)
女性( n•28)
07
高齢者体力測定平均値(呉および京都〕
∼97 歳
男性( n•31)
女性( n•l6)
7.73
1.42
6.32
3.23
8.91
7.43
1.22
6.33
5.13
1.02
2.81
1.23
1.03
2.82
08 議以上
男性( n•19)
女性(=n )4
0.71
2.41
2571
0211
目
。4
7.0
3日
,
図− 4
)A(
60
体力の 5 段階評価星型グラフ
4歳
0∼7
() 7
B
∼64 歳
身
g勤
﹂
身長
長
肺活量
反復横跳
書量カ
市活孟
E
〈平均〕
﹂い見︶劃零時時泣蜘畑作﹁汁森辻望尚路用︶窓辺
hh
握力
(平均)
反復横跳
ーーーー男子
ー女子
炉ー
D
に
天理大学学報
20
考 察
本研究の目的は序文にも述べたように, 06 歳以上の高齢者の健康増進を
目標として,高齢者各個人の現在の体力を正確に測定し,それを数字で、示
し,以後の体力の維持もしくは増進の資料としで提供することにある。そ
のためには高齢者向きの体力測定の方法と,得られたデータを評価するた
めの評価基準が必要である。
ここでいう『体力』とは,防衛体力を含んだ広義の体力とは異なってお
り,運動能力に近い狭義での体力,則ち行動体力のことである。従って,
走・跳・投等の能力が問題となるが,高齢者の日常生活を考えれば,若年
者のような極端な運動能力は必要でなく,安全に測定することができ,し
かも,筋力,持久力,平衡保持の能力,柔軟性,協応性を一通り測定でき
ることが望まれる。
測定の安全性の確保は,高齢者の体力測定の第一前提である。このため
に実施に先立つて,まず,被検者のメディカル・チェックを行わなければ
ならない。メディカル・チェックの項目としては,被検者の既往症,現在
の疾患,運動匿を尋ねると共に,脈拍数,血圧値,必要ならば心電図等の
検査を行って,以後の体力測定に耐えられる健康状態であるかどうかを判
断しなければならない。被検者が多数の場合には,予め健康に関する質問
紙を配布じて,被検者に記入させおくと効率が良 L 、。メディカル・チェッ
グの担当者は医師が当ることが原則であるが,熟練した体育家や看護婦が
代わって実施することもできる。高齢者では,完全な健康体は希であり,
何等かの疾患を持ち病院に通っている者もいるので,服薬の有無を尋ねる
ことも大切で、ある。特に,高血圧に対応するための降圧剤を服用している
ものは,運動中も脈拍の上昇が低いので,予め調査しておくことが必要で
ある。
次に,測定項目について考察してみよう。表一 7は中西があげた高齢者
の体力測定によく用いられている体力測定項目の一覧表である。このよう
に,体力測定の項目は多岐にわたっており,単純な健康のための測定なの
か,あるいは競技や労働のための測定なのかによって測定項目も異なって
くる。
06 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
12
表一 7 高齢者体力測定に比較的多く用いられている項目の一覧
メディカルチェック関係
安静時心拍数,血圧,安静または負荷心電図,生温,尿検査,血液検査,且
覚症状調査,問診
形態関係
身長,体重,胸囲,腹囲,皮脂厚(キャリパー法,超音波法〉
筋力関係
握力,背筋力,屈腕力,脚伸展力, M M T腹筋力, M M T下肢筋力
筋パワー関係
垂直跳び(紐式〕,立幅跳び,メディジンボール投(座位〕, lQm 速歩行
筋持久力関係
腕立伏臥腕屈伸, 30 秒間上体おこし,仰臥脚上げ保持時間,体支持時間, 30
秒間足上げ回数,足習字(数字),飛行機
敏捷性関係
反復横跳び,ステッピソグ(座位),棒反応,全身反応時間,
上肢敏捷性
タッピングー一一一一一
/
下肢敏捷性
平衡性関係
開眼片足立ち,開眼棒上片足立ち,直線歩行,立位重心動揺度,立位パラン
ステスト(障害者用),その場足踏みテスト
協応性関係
ジグザグ(歩〉,スプーンレース,輪投げ,ダーツ,紐結びテスト,豆運びテ
スト,ビーズつまみテスト,おじゃみ置き換えテスト
柔軟性関係
体前屈(長座位),上体そらし,体側屈率,体稔転度
全身持久力関係
対体重肺活量, 1 秒量,息こらえ時間, 5 21( 〕分間走・歩,急歩, PWC テ
スト, V02 max.
推定法,
(アンダーライン: A テスト作成ノタメノ試行項目〉計43 項目
この表の中から,高齢者問題プロジェグトのメンバーが多用している種
目を調べてみると,メディカル・チェッグ関係では;安静時脈拍数(心拍
数),血圧値,問診が多く,一部では心電図や尿・血液の検査を追加して
いるところもある。形態関係では;身長,体重,皮脂厚( 2 または 3 点法)
をあげるものが多い。筋力,筋パワー関係では;握力,垂直とびがほとん
どである。敏捷性では;反復横とび,座位ステッピングが多く,希に棒反
応時聞を測定しているところもある。平衝性では;閉限片足立ちまたは開
2
天理大学学報
眼片足立ちが相半ばし,直線歩行,その場足ふみを実施しているところも
ある。柔軟性では;立位体前屈を行っているところが多いが,転倒の危険
を避けるために長座体前屈を推奨しているところもある。全身持久性につ
いては,肺活量測定が殆どであるが,肺活量が持久性の指標となり得るか
どうかは疑問であり, 5 分間歩・走または急歩を追加しているところも多
い。また,実験室の測定では, PWC
テストや V02max
測定を行ってい
るところもある。
以上の結果から健常者用の測定項目として:
形態測定一一身長,体重
筋力測定一一握力(左・右)
敏捷性測定一一反復横とび
平衡性測定一一閉眼片足立ち(または開眼片足立ち〉
柔軟性測定一一立位体前屈
呼吸機能測定一一肺活量,同 1 秒値
パワー測定一一垂直とび
の各測定を選択したものである。
なお,閉眼片足立ちと開眼片足立ちのいずれを採用するかについては,
それぞれの主張があり, .3 の検査の際に,両種目を同一集団で実施して調
べてみたが, r=O.
34 (p く10.
)と相関関係は認められるものの,それほ
ど高い値ではなかった。安全面から考えれば,開眼片足立ちの方が優れて
いるが,時聞が長びくのが欠点であり,どちらを採用するのかについては
目下のところ結論が出せない。
また,立位体前屈についても,高い台上で実施するのは危険で、あるとい
う意見もあるが, 02 ∼30cm
の台を使用すれば安全に測定できるともいわ
れてしる。長座体前屈を採用すれば殆ど危険はないが,測定器具と標準値
の決定になお問題がある。
同様に,垂直とびについては,壁面に側対して跳躍する方法は,高齢者
で、は跳躍の最高点で・マークをつけることができない者が多く,危険も伴う
ので,腰部にベルトを巻いて,床から送り出しのできる紐を固定して,跳
躍の高さを測るリープメータ一方式の方が良いと考えられる。しかし,従
来の方法との関係もあり,今後なお検討すべき問題であろう。
60 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
32
高齢者の体力測定に当たっては,安全に実施できることを最優先する必
要があり,上記のような幾分なりとも危険が考えられる測定項目のステー
ションには,補助者を配置するなど特別の配慮が必要である。
なお,本研究では健康な高齢者を対象として,体力測定会場に集合でき
る人達を測定することとした。高齢者の中には寝たきりの人や,家に閉じ
こもったままのものもあるので,今回の対象が,日本人の同年齢層を代表
するものであるとはいえない。しかし,現在健康な高齢者はどんどん増加
しており,前期高齢者(6
0 ∼08 歳)の多数を占めるようになってきている。
したがって,このような様式で高齢者の体力測定を実施する限り,前記の
年齢別平均値ならびに体力評価基準は有効であろうと考えられる。今後,
低体力者や障害者ならびに後期高齢者(8
0 歳以上)を対象とする体力測定
法についても研究を続行して,測定会場に参加することのできない人達の
体力の維持と向上にも,配慮することが必要であろう。
むすび
健康な高齢者の体力測定の方法を検討するため,下記のごとき測定なら
びに調査を行った。
.1
京都市 Y 地区及び K 地区在住の高齢者 6
3
名について, 2 項目にわた
る詳細な体力測定を実施して,年齢別,性別の平均値ならびに標準偏差を
得た。
.2
全国で高齢者の体力問題を研究している 31 大学または研究所に依頼し
て,各自が実施している結果の報告を受け,これらを集計して, 01 項目の
健常高齢者用の体力測定の標準値を算出した。
.3
上の標準値が妥当なものかどうかを検証するために,別に 902
名の高
齢者で01 項目の体力テストを実施し,その結果を検討して, 2 の標準値が
ほぼ妥当なものと判定した。
.4
これらの標準値は加齢とともになだらかに低下しているが, 1 ・2 の
種目で、は,より若い人達の加齢曲線との聞に若干の差異が認められた。
以上を総合して,健康な高齢者用の体力測定法はおおむね妥当なものと
考えられる。
天理大学学液
24
〔謝辞〕
稿を終わるに当たって,今回の研究に多大のご協力を賜った京都大学壮
年体力研究班の方々,ならびに日本体力医学会高齢者問題研究プロジェグ
トのメンバーの方々に深甚なる謝意を捧げます。
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M. .L and
Wilam
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)61
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Sanders
and
evitcno
and
women,
usit
Journal
ni Health
and
sid
巴
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.091
.H : tcefE
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.J .H : Exercis
Company,
fo thgie
巴
fo eht
fo Gerontlgy,
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M.
Vast
lacisyhp
gniart
silaretaL
23 ,)1(
ni 96 ・
dlo-raey
.8891
on
muscle
men
60 歳以上の高齢者を対象とした体力測定法の検討
52
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ex 巴esicr
tni 巴ytisn
ro low
fo hig
M. .L te .la :E 任tce
colP
)81 k
gniart
manual
and
men
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fo Centr
rof
Exercis
women
巴
ecniS
fo ,ega
years
60-79
ta ht
巴
ytisrevnU
Operations
fo ,adirolF
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