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数 学 の か た ち
数 学 の か た ち ∼味わい数学のすすめ∼ @Author M asasi.Sanae([email protected]) @Version 1.00;2002.12.18 はじめに 直方体の対角線の長さを求めるにはどうしたらよいでしょう。多分,数学に少し自身のある人は,縦・横・高さを測り, 三平方の定理を使って計算するのではないでしょうか。これを別な角度から考えると,簡単に求めることができます。直 方体を横の長さの分だけ移動し,最初の隅の点と移動したあとの対角点の間を測るのです。 少しずるいといわれるかもしれませんが,何も難しく考えるだけでなく,発想を豊かにすることで簡単に解けてしまう こともあるのです。数学にはそうした発想の豊かさが大切です。 第1章 1_1 パスカルの三角形 数列の宝庫 パスカルの三角形 ( a + b) n を計算して展開式に現れる各項の係数を並べると,下図左のような配列が得られます。このように並んだ数の 配列をパスカルの三角形といいます。パスカルは“賭けを中断した際の公平な配分方法”の中から「パスカルの三角形」 を発見したといわれています。 この三角形の任意の数はその 1 つ上の段の隣接する 2 項の和になっています。( a + b) n の展開は ( a + b) n = n ∑ n Cr a n − rb r r =0 で与えられ,右辺の係数 n Cr を 2 項係数といいます。隣接する 2 項の和になっていることを式で表すと n C r = n−1 C r−1 + n−1 Cr ですが,これは次の様にもかけます。 n! (n − 1)! (n − 1)! = + r !( n − r )! (r − 1)!( n − r )! r !( n − r − 1)! n! ( n − 1)! ( n − 1)! = + r ! s ! ( r − 1)! s ! r !( s − 1)! (n = r + s ) ・・・① これは ( a + b) n = ( a + b )( a + b) n −1 の係数を比較するでわかります。 パスカルの三角形を調べると,いろいろな数列が現れます。例えば各段の右から 2 番目の数を小さい方から順位に並べ た数列 1,2,3,4,5,6,・・・ は自然数の数列です。また,右から 3 番目の数を並べた数列 1,3,6,10,15,21,・・・ は三角数,右から 4 番目の数を並べた数列 1,4,10,20,35,・・・ は四面体数と呼ばれる自然数列です。上図右で点線の上に並ぶ数の和を求めてみましょう。得られた和を順に並べてでき る数列 1,1,2,3,5,8,・・・ はフィボナッチ数列と呼ばれ,隣接 2 項の和が次の項になっています。下図左のように n 段目に並ぶ数の和を求めて得ら れる数列 1,2,4,8,16,32,・・・ 1 は第 n 項が 2 n −1 で与えられます。また各数を横に見てみましょう。 1,11,121,1331,14641,161051,… こうしてできた数列は第 n 項が 11n−1 で与えられます。6 段目の 1,5,10,10,5,1 は十の位の数字を左の数字に加えて 計算します。 各数を次図のように斜めに見てみます。例えば右下がり 3 列目の数列 1,3,6,10,15,21,・・・ の和を考えます。n 番目までの和を Sn とすると, S2 = 1 + 3 = 4 , S3 = 1 + 3 + 6 = 10 , S4 = 1 + 3 + 6 + 10 = 20 出てきた数は最後の数の左下にある数になっています。 1_2 自然数で割った余りでつくるパスカルの三角形 パスカルの三角形に現れる数字の剰余系を考えてみましょう。次図左はパスカルの三角形の各数を 2 で割ったときの余 りを並べたものです。さらに右図では 2 で割り切れる数を○,割り切れない数を●であらわしました。シンメトリックで なかなか美しい模様が姿を現しましたね。 これは自分自身を拡大(縮小)したものを自分自身の中に含むという構造が,無限に繰り返された形をしています。こ れを自己相似な図形(フラクタル図形)といいます。 次の下図左は 3 の剰余系,右図は 5 の剰余系で,先ほど同様に割り切れる数を○で表し,割り切れない数を●で表して います。 これを別な角度から考えてみましょう。次のような図形を考えます。 1.ある点から反時計回りに 60°回転して一定距離の前進 2.次に時計回りに 60°回転して同じ距離だけ前進 3.最後にまた時計回りに 60°回転して同じ距離だけ前進 こうして 3 本の線分をつなげます。次に各線分を 3 分の 1 に縮小し,各線分にはめ込みます。ただし,1 番目と 3 番目 には逆向きにはめ込みます。さらに,各線分をまた 3 分の 1 に縮小し,今と同様にはめ込みます。次図のように,この操 作を何度も繰り返していきましょう。すると先ほどのパスカルの三角形に近づいてきました。このフラクタル図形が有名 2 なシルピンスキーのギャスケットです。 1_3 パスカルの三角錘 −3 次元への拡張 ( a + b) n と同様に ( a + b + c ) n の展開式の場合を考えてみましょう。展開してみると,次のようになります。 n n n n =1 =2 =3 =4 a +b +c a 2 + b 2 + c 2 + 2ab + 2bc + 2ca a 3 + b 3 + c 3 + 3a 2b + 3ab 2 + 3b 2c + 3bc 2 + 3c 2a + 3ca 2 + 6abc a 4 + b4 + c4 + 4 a 3 b+ 4 ab3 + 4 bc3 + 4 b3 c + 4 a 3 c + 4 ac3 + 6 a 2 b 2 + 6 b2 c2 + 6 a 2c 2 +12 a 2 bc + 12 ab 2 c + 12 abc 2 3 項についての係数は ( a + b + c) n = ( a + b + c )( a + b + c) n−1 の係数を比較することで,次の様に求まります。 n! ( n − 1)! (n − 1)! (n − 1)! = + + (n = r + s + t ) r ! s! t! ( r − 1)! s! t ! r !( s − 1)! t! r ! s!( t − 1)! ・・・② 2 項係数,3 項係数の式①②が同じように与えられるのがわかります。 また各 n の値に対して 3 項係数を並べると,下図のような三角形ができます。 この三角形を 2 段ずつ取り出し,次図のように重ね合わせてみましょう。○の数字が上の段になります。すると任意の 数はその 1 つ上の段の隣接する 3 項の和で求まるのがわかります。 この三角形を三角錐の断面と考え,右図のように積み上げてみましょう。これは立体的 なパスカルの三角形(パスカルの三角錐)と考えることができます。側面は普通のパスカ ルの三角形となっていますね。 3 第2章 黄金比の不思議 黄金比と黄金長方形 2_1 黄金比と呼ばれる 1 : 1+ 5 ≒1:1.618 という比率はそのバランスの美しさで,古代ギリシャ以来何世紀にもわたり人々 2 の美的感覚を魅了してきました。黄金比は,プラトン時代のエウドクソスが考え,後にイタリアのレオナルド・ダ・ビン チが名付けたと言われています。 美しさの比率である黄金比で長さを分けることを黄金分割といい,絵画や彫刻,建築 など様々な分野で取り入れられています。代表的なものに,ギリシャ遺跡のパルテノン 神殿の縦と横,ミロのビーナスのおへそから上と下,名刺の縦と横などがあります。 また自然界にも多く存在し,オウム貝,ひまわり種,松ぼっくり,土筆(つくし)な どに見られます。 さて縦と横の比が黄金比になっている長方形を考えてみましょう。これを「黄金長方形」 といいます。一般的な名刺の形はまさに黄金長方形の代表といえます。 黄金長方形は「長方形から正方形を切り取った残りの長方形は元の長方形と相似」になっています。この黄金長方形か ら黄金比 1+ 5 が出てくることを確かめてみましょう。 2 右図のような長方形 ABCD を考えます。 黄金比の条件より AB:AD = DE:DC AB = 1 , AD = x とおくと 1: x =( x −1):1 ∴ x2 − x − 1 = 0 これより x = 1+ 5 1− 5 が導かれます。 ( x = は負となり不適) 2 2 連分数とフィボナッチ数列 2_2 1+ 1 1+ 1 1+ のように,分数の中に同じ形の分数が入れ子になっているような分数を考えます。このような分数を 1 1 +L “連分数”といいます。次の様に具体的に x に 1 を代入して少しづつ値を見ていきましょう。 1= x 1+ 1+ 1 x 1 1 =1 2 1 =2 2= 1 1+ 3 2 1 x = 1.5 1 1+ 1+ 1+ 1+ 1 1+ x 1 1 1 1+ 1+ x 1 1+ 1 1+ 1 1+ 1 1+ 1+ x 5 3 = 1.666L 8 5 = 1.6 13 8 = 1.625 得られた数値はある値にどんどん近づいていきます。この値は正確にはいくらなのでしょう。 x =1 + 1 1+ 1 1+ より x = 1 + 1 1 +L 分母を払って整理すると これより x= 1 x x2 − x − 1 = 0 1+ 5 1− 5 = 1.61803L ( x = は負となり不適) 2 2 ここにも“黄金比”の値が顔を出しました。上の表で分数の分母の値を並べて見ましょう。 1,1,2,3,5,8,13,・・・ この数列は前の 2 数の和が次の数になっています。この数列を“フィボナッチ数列”といいます。実は黄金比とフィボ ナッチ数列には深い関係があるのです。フィボナッチ数列はひまわりの種の配列など,自然界の現象の中にもよく登場し ます。 4 2_3 円柱・円錐・球と黄金比 小学校からおなじみの円柱・円錐と球。この 3 つの立体図形に秘められた関係があるのをご存知ですか。次の図のよう に,半径 r,高さ 2r の 3 種類の立体図形を考えてみましょう。 そしてそれぞれの図形の体積を考えてみます。 円錐の体積は 円柱の体積は ゆえに 1 2 V1 = × π r 2 × 2 r = π r 3 球の体積は 3 3 V3 = π r2 × 2 r = 2π r3 V =π r 2 × 2r = 2π r 3 4 V2 = π r 3 3 V1 : V2 : V3 = 1 : 2 : 3 3 種類の図形の体積の比は,見事に 1 : 2 : 3 となっていますね。見方を変えれば円錐と球を合わせれば,円柱の体積にな るともいえます。 今度は表面積を考えてみましょう。球の表面積は S2 = 4π r 2 でおなじみですが,円錐と円柱の面積は少し面倒です。円 柱の表面積を求めてみましょう。円柱は側面積と上下の 2 つに円の面積を足せばよいので, S3 = 2 r × 2π r + 2 × π r2 = 6π r 2 次に円錐の表面積を考えます。円錐の母線の長さは,三平方の定理より r ですから, 1 S1 = × 5 r ×2π r +π r 2 =( 5 +1)π r 2 2 結局 3 種類の表面積の比は ゆえに S1 : S2 : S3 = 1+ 5 :2:3 2 1+ 5 : 2 : 3 となり,残念ながら体積のときのようなきれいな値にはなりませんでした。し 2 かし,こんなところにも黄金比の値が顔をのぞかせていたのです。 2_4 封筒で作る黄金比 そんな黄金長方形コンパスと定規で作図する要領で,どこにでもある封筒を使って作ってみましょう。2組作って最後 に重ねると相似になっているのがわかりますよ。 ①封筒の底 AB を折り返し正方 形 ABCD を作ります。 ②BC の中点 F と点 D を結んで 折ります。 ③DF を点 F を頂点として反対 の辺に重ねます。 ④2 つの辺の交点 G から垂線 GH を折ります。 ⑤長方形 ABGH が黄金長方形 になります 。 ⑥同じものを 2 枚作って重ね ると相似なのがわかります。 5 第3章 ライフゲーム ライフゲームは,1970 年にケンブリッジ大学の数学者コンウェーによって考案されたシミュレーション型のゲームで す。ライフゲームに現れる様々なパターンは,生物社会の象徴のようなもので,「適当な環境のもとでは新しい生命が誕 生するが,過疎あるいは過密の状態では死滅する」という宇宙における生命体をモデル化しているといえます。 碁盤のような目を持った平面を考える。いくつかのマス目を選んで“細胞”を置く。置かれた“細胞”に対して,以下 のルールに従って,新たな“細胞”の配置を決定する。 右の図のように,1つのマス目Pの周りの8個のマス目にある“細胞”の数をNとしたとき, 生存:Nが2または3ならば,P点にある“細胞”はそのままにしておく。 死滅:Nが1以下または4以上なら,P点にある“細胞”は取り除く。 誕生:P点に“細胞”がなく,Nが3ならば新しく“細胞”を置く。 ただし,これらの約束は,面上の全てのマス目について,同時に行うものとする。 《例1》 《例2》 ここで,最初の“細胞”の配置を第1世代,ルールに従って再配置されたものを第2世代,…とする。また,“細胞” の周りの個数を“隣人の個数”と呼ぶことにする。 第1世代が次のパターンで始まるとき,どんな変化を見せるか試してみてください。 (1) (2) (3) (4) (6) ライフのパターンは,主に次のいずれかになります。ほとんどは数世代,数十代を経て死滅する①型のものです。 ①最終的に死滅する(死滅型) ②最終的に形が変わらない図形になる(安定型) ③最終的に周期的に形が変わる(周期型) ④その他 ②の安定型には,次のようなものがあります。それぞれ,呼び名? がついています。 (1) ブロック (2) 蜂の巣 (3) パンの塊 6 (4) 桶 (5) 蛇 (6) ボート (7) 池 ③の周期型には,次のようなものがあります。 (1) 赤信号 (2) ビーコン (3) 時計 次のように 10 世代目から周期型になるものもあります。 ④その他のパターンの代表的なものが「一定のパターンを繰り返しながら,常に移動し続ける」というものです。次のよ うなものがあります。 (1) グライダー (2) 宇宙船 このように様々なパターンが存在し,既に多くのパターンが研究されています。是非,自分だけのオリジナルのパター ンを発見してみてください。 7 第4章 4_1 暗号のはなし シーザー暗号 インターネットや電子メールなどの普及に伴い,プライベートな情報や重要なデータがネットワークを通じて大量に流 れるようになりました。インターネットでは,ホームページのデータや電子メールのデータが,コンピュータからコンピ ュータへとバケツリレー式に送られていきます。 いろいろなコンピュータの間をデータが送られていくとき,このデータを見ることが可能なのです。つまり電子メール などは,誰か知らない人に読まれてしまう危険性があるわけです。盗聴だけが危険なのではありません。情報の内容を勝 手に書き換えてしまったり(改ざん),誰かが正当なユーザーになりすましてネットーワークを悪用(なりすまし)する 危険性もあるのです。 それらの脅威を防ぐための解決法として,暗号化が注目を集めています。たとえ,データが盗み出されても第三者に解 読できなければ,データとしての価値はないからです。暗号というのは第三者に情報をもらさないようにするために,情 報の見た目を変えてしまう手段のことです。暗号と聞くと大げさで,自分は関係ないと思う人も多いでしょう。しかし, 既に現在,電子商取引ではクレジットカード番号等の情報を送信する際に暗号化が施されています。 そんな暗号のごく簡単な例を紹介しましょう。暗号の歴史は古 代ローマ時代にまでさかのぼり,ジュリアス・シーザーがガリア =ローマ間の通信に用いたといわれる「シーザー暗号」が有名で す。このシーザー暗号は,文字をアルファベット順に特定の文字 数だけずらすといった非常に簡単なもので,換字式(かえじしき) 暗号ともいいます。 例えば「apple」という言葉をアルファベット順に 3 づつずらすと「dssoh」が得られます。 暗号にする前の元のデータを「平文(ひらぶん)」といいます。シーザー暗号の場合「アルファベット順に 3 づつずら す」という規則で暗号を作成しています。これを「暗号方式(アルゴリズム)」といいます。 この暗号文を相手に伝えます。その際,この暗号文が周囲に洩れてしまっても暗号化されている文なので元のデータを 知られずにすみます。そしてこの暗号文を得た相手は,この暗号文から平文を得る作業を行う必要があります。この作業 のことを「復号」といいます。正当な受信者でない人が暗号文から平文を得ようとする場合は「解読」と呼びます。 さて復号を行う際に問題になるのは暗号化のときに何文字ずらしたか,という情報です。このずらした数がわからなけ ればシーザー暗号を利用したことがわかっていても復号することができません。このずらす数を変えることで様々な暗号 のパターンを作り出すことができます。この値のことを「鍵」といいます。 このシーザー暗号には,鍵が 1 文字ずらす場合から 26 文字ずらす場合のせいぜい 26 パターン程度しかないため,全て のパターンで暗号文を逆にずらしてみて何らかの文が得られるかどうかを試してみることが可能です。そこでこのシーザ ー暗号を改良した「多文字置換暗号」という暗号化を見てみましょう。 これはシーザー暗号を複雑化したもので,平文の文字一字一字に鍵を当てはめその数だけ右にずらす(はみ出た場合は 先頭に戻る)というものです。それでは“I am a boy”という文章に鍵“7324”を用いて暗号化してみましょう。 平文 I a m a b o y 鍵 7 3 2 4 7 3 2 暗号文 p d o e i r a つまり暗号文“ p do e ira”が得られました。しかし多文字置換暗号も簡単に解読されるケースが多く, それほど安全ではありません。キーワードが繰り返し使用されることや,使用頻度の高い文字を元に キーワードが簡単に推測されてしまうなどの欠点があります。 シーザー暗号以外の古典的な暗号としては,転置式暗号や円盤式暗号などがあります。転置式暗号 とは平文の構成要素の順序を変えて暗号文にする方法です。例えば何行かに平文を書いてそれを縦の 列に暗号化する。そして更に 1 列目,2 列目,・・・と順番に読んでいくのではなく,例えば 1 列目, 3 列目,2 列目,・・・といれかえて読んでいく,ということをするのが転置式暗号というものです。 例えば“かぎはつくえのにばんめのひきだし”という平文を暗号化すると右の表のようになります。 この表は上記の平文を横向きに 4 行に書いたものです。それを縦向きに 1→3→2→4 の順番に書き直 すと“かくばひはのめだぎえんきつにのし”となります。これが暗号化された文章になります。そ してこの方法で作られた暗号を転置式暗号といいます。 円盤式暗号とは「シーザー暗号」をかんたんに作る暗号機のことで,次のようにして作成しま す。まず内側の小さい円盤を適当に回して位置を決め,外側の大きい円盤の好きな文字を,長い方 の矢印で指します。そのとき,短い方の矢印が指している小さい円盤の文字を読みます。暗号にす る文章の文字を長い矢印でさして,そのときの短い矢印の文字を書いていくとどんどん暗号ができ ていきます。 3_2 RSA 暗号 父から預かった銀行のキャッシュカードのパスワードを忘れた A 君は,父に次のようなメールを打ちました。 父さんへ キャッシュカードのパスワードを忘れたので教えてほしい。他人に知られると困るので次の計算で出た数字をメ ールで教えてくれ。 『まずパスワードの数字を 37 乗する。次に出た数値を 2491 で割る。そのときの余りの数字。』 8 さてこのメールの内容に関して,いくつかの疑問が生じてきます。 ①4 桁のパスワードの数字を 37 乗して 2491 で割るなんて計算,どうやってやるのだろう。 ②送られてきた数字から本当にパスワードがわかるのだろうか。 ③このメールを誰かに盗聴されたら,その人にもパスワードを知られてしまわないか。 それでは送信するパスワードを「1234」として,これらの疑問を解き明かしてみましょう。 《疑問①》 123437 はそのまま計算すると 36 回の掛け算をしなくてはいけません。膨大な数になることが予想され,なにより電卓で は計算できないでしょう。欲しい値は 2491 で割った余りなので,2491 より小さい数になるはずです。ある整数で割った ときの余りが等しいとき 2 つの整数は「合同」であるといい記号「≡」であらわすことにします。これを用いると, 12342 =1522756 ≡755 12344 =7552 =570025 ≡2077 12348 =20772 =4313929 ≡2008 123416 =20882 =4032064 ≡1626 123432 =16262 =2643876 ≡925 ここまでで 5 回の掛け算をしています。それでは 123437 を求めてみましょう。 123437 =123432×12344×12341 ≡925×2077×1234 =1921225×1234 ≡664×1234 =819376 ≡2328 つまり A 君の父さんは「2328」という数字をメールで送ればいいことになりますね。 《疑問②》 送られてきた数字から A 君はどうやって元の数字を復元するのでしょうか。次の表を見て下さい。この表は左端の数字 を上端の数字乗して 21 で割った余りを求めたものです。 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 4 8 16 11 1 2 4 8 16 11 1 2 4 8 16 11 1 2 3 9 6 18 12 15 3 9 6 18 12 15 3 9 6 18 12 15 3 4 16 1 4 16 1 4 16 1 4 16 1 4 16 1 4 16 1 4 5 4 20 16 17 1 5 4 20 16 17 1 5 4 20 16 17 1 5 6 15 6 15 6 15 6 15 6 15 6 15 6 15 6 15 6 15 6 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 8 1 8 1 8 1 8 1 8 1 8 1 8 1 8 1 8 1 8 9 18 15 9 18 15 9 18 15 9 18 15 9 18 15 9 18 15 9 10 16 13 4 19 1 10 16 13 4 19 1 10 16 13 4 19 1 10 元の数字が何であれ 7 乗,13 乗,19 乗,…すると元に戻ることに気づきましたか。ある数字を 17 乗したとすると,出 た数字にまた 5 乗してやる,即ち 17×5=85 乗で元に戻るのです。 C=M17 → C → M=C5 実は A 君はもらった数字を何乗すれば元に戻るか知っていたのです。まず次の計算をします。 23282≡1659 23284≡2217 23288≡346 16 32 2328 ≡148 2328 ≡1976 232864≡1179 97 そして父さんからもらった「2328」を秘密の数字「97」を元に 2328 ÷2491 を計算します。 232897=232864×232832×232816×23281≡1179×1976×148×2328≡1234 こうやって A 君は父さんからパスワード「1234」を手に入れることができました。 《疑問③》 「37 乗して 2491 で割ると 2328 になる」ということを,もし他人が盗聴したとしたらパスワードを知られてしまうので はないか。実はこれぐらいの数字ではコンピュータに解析させればすぐにわかってしまうでしょう。しかし,割る数字を 150 桁ぐらいだとどうでしょう。これだとたとえコンピュータでも膨大な時間がかかるのです。 少し理論的なことをお話ししましょう。異なる 2 つの素数 P,Q を決めます。そして N=P×Q で割った余りの世界を考 えます。これを N を「法」とする世界といいます。P−1 と Q−1 の最小公倍数を L とするとき,N を「法」とする世界 では全ての数はk×L+1 乗するとどんな数も必ず自分自身に戻るのです。つまり元の数を X とし,L と素な数 D,E に 対して次の式が成り立ちます。 (XD)E≡X (ただし DE=k×L+1) 先ほどの例で言えば A 君は 2 つの素数 P=47,Q=53 を最初に選んで置き,N=PQ=47×53=2491 を法とする世界を作り 出したのです。そして 46 と 52 の最小公倍数 1196 と素な数 E=37 と選んで父さんに計算させました。その後 D=97 で復元 させたのです。法とする数 N (= P×Q)と E は「公開鍵」,D は「秘密の鍵」となります。しかし N と E を公開しても大 丈夫なのは不思議ですね。 結局,重要なのは 2 つの素数 P と Q です。この数字から N=PQ を作り出すのは簡単ですが,反対に N を 2 つの素数 P, Q の積に表す,つまり素因数分解する効率の良い方法は見つかっていないのです。この暗号の秘密は「素因数分解の困難 性」に起因していたのです。 9 第5章 フーリエ級数 「全身を真綿でくるみ、さらにホウタイでぐるぐる巻きにして、真夏でも閉めきった部屋の中で思索した」(フーリエ 自伝より)。若くして「フーリエ級数」を発表したフーリエは、数学者であると同時に、エジプト文明の研究に熱中した 考古学者でもありました。猛暑の中で研究すると、スムースに研究がはかどるという彼の奇人ぶりはとても徹底していた ようです。さて、そんな彼が発見した「同じ周期を持つ波はどんなに複雑なものでも単純な波の合成である」という事柄 を簡単に見ていきましょう。 5_1 波の合成 この単純な波とは sin 波と cos 波のことです。時間 t を横軸にとってグラフを描くと,同じ形をした波が何度も繰り返 し描かれます。このように同じ形を何度も繰り返すことを「周期性がある」といいます。ここでいくつか言葉について整 理しておきます。 ・1 秒間に描かれる波の回数を「周波数」といい,単位はヘルツ(Hz)を用います。 ・1 秒間に進む角度のことを「角速度」といいω(オメガ)で表します。 ・横軸からの波の振れ具合を「振幅」といいます。 sin 波,cos 波の 1 つの波が現れる角度(周期といいます)は 360°ですから 角速度=周波数×360° が成り立ちます。次の例では(1)は周波数が 3,角速度 1080°,振幅 1 の sin 波,(2)は周波数 4,角速度 1440°,振幅 2 の cos 波を表しています。周波数 k,振幅 a の sin 波(cos 波)は y = a sin kω t( y = a cos kω t )で表されます。 (ω = 360 ° ) (2) y = 2cos1440°t = 2cos4ω t (1) y = sin1080° t = sin3ω t 振幅は横軸からの波の振れ具合が 1 である波を合わせたものと考えることができます。 それでは違った種類の振幅と周波数を持つ sin 波と cos 波をいくつも合成 して新しい波を作ることを考えます。次のような振幅を持つ波の合成をして みましょう。 6 つの波を合成すると,かなり複雑な波ができあがりましたね。この波の合成 具合をわかりやすくする方法があります。それが「スペクトル」と呼ばれるも のです。波を合成する際の周波数と振幅を次のような棒グラフにするのです。 左が sin 波,右が cos 波を表しています。 10 sin cos 周波数 1 3 1 周波数 2 1 2 周波数 3 2 3 5_2 波のかけ算 三角関数 sin kω t , cos kω t のグラフどうしをかけ合わせることを考えてみましょう。かけ合わせるとは,同じ t の値 における sin kω t , cos kω t の値をかけて値をとることをいいます。簡単のために 1 秒間に描かれる波を考えます。 (1) sin 波×cos 波 cos ωt cos2ω t cos3ω t sin ω t s i n 2ω t s i n 3ω t ここで面積に注目してみましょう。右の図を見てみましょう。横軸より上 の面積を+,下の面積を−だと考えるます。すると,上に上げたグラフはす べて 1 秒間に描かれる波の面積が 0 になっているのです。 (2) sin 波×sin 波,cos 波×cos 波 sin ω t s i n 2ω t s i n 3ω t sin ω t s i n 2ω t s i n 3ω t 先ほどと同じように面積に注目してみると,周波数が違うときは面積が 0 になりますが,同じときは同じ値にはなりま せん。いったいいくらになるでしょう。次の図のように足りない部分を補ってやると,長方形になります。これより面積 は 1/2 になるのが分かります。cos 波についても同様の事がいえます。 これまでのことをまとめると,次のようになります。 ① sin 波×cos 波の面積=0 ② sin 波×sin 波,cos 波×cos 波の面積は,周波数が同じ時 1/2,周波数が違うとき 0 同じ周波数をもつ波をかけないと面積が 0 になってしまうのです。ここがポイントです。 11 5_3 波の分解 それではいよいよ本題の波の分解に入りましょう。簡単にするため次の 6 つの波を合成し下図左のようになったとします。 sin ω t, s i n 2ω t , s i n 3ω t ,cos ω t,cos2 ω t, cos3ω t ( ω = 360 ° ) 逆にこの波が,これら 6 種類の波を何個ずつ使って合成されているか,を求めれば良いわけです。そのために波のかけ算 を使います。 図左のように合成された波に sin ω t をかけて,図右になったとします。先ほど見たように sin ω t をかけた時に面積が 0 にならないのは同じ周期を持つ sin ω t だけでしたから,この面積は sin ω t から作られるものしかありません。sin ω t × sin ω t から作られる面積は 1/2 でしたからグラフの面積を S とすると S÷ 1 = 2S 2 sin ω t は 2S 個使われていることになりました。他の波の場合も同様です。つまり 6 種類の波が何個ずつ使われているかを 求めるには, 「合成された波に,違った周波数を持つ波をかけ,その面積の 2 倍がその周波数を持つ波の個数」 になることがいえます。 それでは波の面積はどうやって求めればよいでしょう。「細かく分けて足す」ことが基本でしたね。 次の図は 10 等分,30 等分,50 等分していったものです。どんどん波の面積に近づいていきますね。これを「区分求積法」 といいます。 10 等分 30 等分 50 等分 こうして遂に,複雑な波を形成している波を,違った周波数を持つ単純な波に分解する方法を手に入れたのです。 これを最後に数式を使って表してみましょう。 異なった周波数を持つ sin 波,cos 波を sin ω t, s i n 2ω t , s i n 3ω t ,L ,cos ω t ,cos2ω t, c o s 3ω t, L ( ω = 360 ° ) として,これらを合成した波を次のように表します。 f (t ) = a1 sin ω t + a2 sin2ω t + a3 sin3ω t + L + b1 cos ω t + b2 cos2ω t + b3 cos3ω t + L = ∑ (a sin nω t+ b cos nω t) n n これを「フーリエ級数式」といいます。このとき sin 波,cos 波の振幅を an,bn とすると an = 2 ∫ 1 0 f (t) s i n n ωt , bn = 2 ∫ 1 f (t) c o s nω t 0 で表されます。この式を「フーリエ展開」といいます。 これまでは話しを簡単にするため,合成された波が 1 秒間に 1 回現れるように進めてきました。しかし,実際には 1 秒間 にもっと多くの回数の波が現れます。また,簡単な波を sin 波,cos 波としてきましたが,もう一つ定数波(時間では変化 しない波)を付け加える必要があります。更に詳しい話しを知りたい人は,是非調べてみてください。 12 第6章 カオスについて 「カオス理論」という言葉を聞くと,とても難しい印象があります。しかし,今まで抽象的にしかとらえられなかった数 学が,コンピュータを使うことによって一瞬にしてビジュアライズされたとしたらどうでしょう。そんな驚きと感動を,コ ンピュータは与えてくれます。 非線形な世界における様々な現象が,私たちを創造的な世界へと導き,「数学=発見」へと発想を転換させてくれます。 6_1 線形な漸化式 漸化式 xn+1 = a xn + b(a, b は定数、n = 0, 1, 2, ・・・)で定められる数列 {xn}は n の値をどんどん大きくしたとき,どの 様な値をとるかを調べましょう。 例えば a=0.7,b=1 のとき,即ち xn+1 = 0.7 xn + 1 の場合を考えてみましょう。初期値を x0=1 として計算して第 20 項ま で計算してみます。 1,1.7,2.19,2.533,2.7731,…,3.3279,3.3295,3.3307,3.3315 だんだん一定の値に近づいてくるのがわかります。これをグラフに表したのが,次の左図です。同様に初期値を x0=5 として,グラフ化したのが右の図です。初期値を変えても同じ値に近づくのがわかります。 a=0.7,b=1,x0=1 a=0.7,b=1,x0=5 それでは係数 a の値を変えて,どんな動きをするかを見てみましょう。係数 b と初期値 x0 は b=1,x0=1 とします。 a=1 a=2 a=−1 a=−0.4 これより,一定の値に近づく場合,どんどん値を変えて不安定になる場合,2 つの値をとりながら安定する場合の 3 通 りがあることがわかります。それらを,それぞれ収束,発散,振動といいます。まとめると次のようになります。 (1) |a|< 1 のとき 一点に収束 (2) |a|= 1 のとき a = 1 で発散,a =−1 で振動 (3) |a|> 1 のとき 発散 6_2 非線形な漸化式 同様にして,今度は定数 a を含む次のような非線形な漸化式を考えてみましょう。 xn+1 = a xn (1−xn ) (a は定数、n = 0, 1, 2, ・・・) 少し難しい式ですが,線形の漸化式からは想像もつかないような,興味深い内容が数多く含まれています。 それでは a の値をいろいろと変えてグラフの変化の様子を見てみましょう。今度は第 100 項まで(n=100)を計算させ てみます。 13 a=0.6 a=1.8 a=2.8 a=3.2 a=3.5 a=3.9 最初の 3 つは一定の値に収束するのが分かりますが,あとの 3 つはどうでしょう。分かりやすくするために最後の 10 項(n=90∼n=100)だけを取り上げてみます。 a=3.2 の場合は 2 つの値を,a=3.5 の場合は 4 つの値を交互に取るようですが,a=3.9 の場合はいろいろな値をとります。 ① a = 0.6 ・・・ 0 に収束 ② a = 1.8 ・・・ 一定値に収束 ③ a = 2.8 ・・・ 振動しながら一定値に収束 ④ a = 3.2 ・・・ 振動しながらある 2 つの値に次第に近づき,2 つの値を交互に繰り返す ⑤ a = 3.5 ・・・ 振動しながらある 4 つの値に次第に近づき,4 つの値を交互に繰り返す ⑥ a = 3.9 ・・・ すぐにははっきりとした規則性は見いだせない ①∼③のように軌道が最終的に 1 つの点に落ち着くとき,その点を安定不動点といいます。④ ,⑤のように振動しなが らある 2 つ(または 4 つ)の点に近づきその点を繰り返すとき,その点を安定 2(または 4)周期点といいます。まとめ ると,つぎのようになります。 (1) 0 < a < 1 のとき 一定値 0 に収束 (2) 1 < a < 3 のとき 0 でない一定値に収束 (3) 3 < a < 4 のとき 最初は 2 つの値で振動,その後 4 つの値で振動,その後は・・・ 0<a<3 については簡単な性質をすぐに見いだすことができます。しかし,a の値が値 3 を過ぎるとき非常に複雑な 様相を示すことがわかります。つまり、a>3 のときの様子を探っていけば,更に新たな発見が出てきそうです。最初は 2 つの点で周期性を示し,次に 4 つの点で周期性を示します。そのまま,どんどんその周期性は倍々ゲームのようになっ ていくのでしょうか。 14 6_3 カオス的領域 これまでのことから,a>3 のときの様子を調べていけば新たな発見が生まれそうだということがわかりました。そこ で,最終的な値だけをとってその様子を調べてみましょう。横軸に係数 a、縦軸に xn の値をとります。xn の値を初項か ら第 100 項までを計算し,その最後の第 80 項から第 100 項までの点を単純にプロットして見ます。 見慣れないグラフが姿を現したのではないでしょうか。このグラフを「分岐ダイアグラム」といいます。この分岐ダイ アグラムをみると,先ほど考察したとおり,次のことがすぐにわかります。 (1) 0 < a < 1 のとき 一定値 0 に収束 (2) 1 < a < 3 のとき 0 でない一定値に収束 問題は 3<a<4 の部分です。範囲を拡大して描いたのが上図右のグラフです。a = 3 をすぎてから 2 つに分岐し,そ の後 4 つに分岐しているのは既に観察したとおりです。その後はやはり 8 つに分岐しているようです。そのあとは少しわ かりづらいようなので,更に拡大して考察してみましょう。 3.8<a<3.9 の部分を拡大したのが左の図,3.83<a<3.87 の部分を拡大したのが右の図です。よくみると驚くことに, 白く筋のようになっている部分(これを「窓」といいます)に,自己相似な図形がみえてきました。つまり,分岐が発展 する様子は自己相似な構造(フラクタルという)をなしているのです。 実は,3<a<4 の間における様子を厳密に調べると, (3) 3< a ≦ 1 + 6 においては 2 つの値の間を振動 (4) 1 + 6 < a < 3.570・・・ においては いろいろな値を振動 (5) a ≧ 3.570・・・ においては 非常に複雑な動きを示す ということがわかっています。この最後の部分の領域が「カオス的領域」と呼ばれています。 15 第7章 7_1 折り紙と数学 折り紙で作る内心・外心 中学校のときに授業で,コンパスと定規で内心円や外心円の作図を習います。内接円なんて描いてみると案外面倒です し,またきちんとうまく円が描けなかったりしますよね。次に紹介するのは折り紙で内心・外心を作図する方法です。写 真の図では分かりやすいように色線を入れています。 《内心の取り方》 ①適当な三角形を用意 ②各頂点を先頭に隣り合う辺と辺 ③できた 3 つの線の交わりが内心 を合わせます ④できた内心を頂点にして辺を合 ⑤折れ目を入れたところと各辺の わせると,ほらピッタリ! 交点が円の半径 《外心の取り方》 7_2 ①適当な三角形を用意 ②各辺の両端を合わせております ④できた外心と各 3 つの頂点を結ん で合わせると,ほらピッタリ! ⑤外心と各頂点を結ぶと円の半径 ③できた 3 つの線の交わりが外心 一発で切る 下の図のような直線でできた多角形を考えます。この多角形をはさみできるとしたら,周りの辺に沿って何度も方向を 変えながら普通は切りますね。しかし,この多角形をある規則で折り,はさみをたった1回だけ真っ直ぐに入れるだけで 作ることができるのです。 16 いったいどう折ったらよいのでしょう。次に,簡単に折り方を説明しましょう。実際に自分で折ってみて,一発で切る ことができるととても感動しますよ。是非チャレンジしてみてください。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 線分でできた適当な多角形を用意。 右上の角と右下の角の 2 等分線 A,B を山折り,交点から垂線 C を谷折りします。 すると山線 D が自然に決まります。ここが重要! 山線 D と上真ん中の角の 2 等分線の交点から垂線 F を決めます。E を谷,F を山にして折ると山線 G が決まります。 同様に次の角の 2 等分線 H との交点から垂線 I を折り,H を山,I を谷にして山線 J を決定。 残りの 2 つの角からの 2 等分線が山線 J で一致! 垂線 M と L を山,K を谷にして折り返してみよう。 17