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交通管制システム

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交通管制システム
平成 28 年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集
G-2
車線変更に車両速度を考慮した交通流シミュレータの構築
Construction of Road Traffic Simulator Considering Vehicle Speed in Lane Change
○木内 康晴 1, 高橋 友彰 2,泉 隆 2
*Yasuharu Kiuchi1, Tomoaki Takahashi2,Takashi Izumi2
Abstract:The traffic control system in expressway has roles for securing safety, smoothing, and comfort of drivers. The advanced of
the traffic control system has become essential that provides the prediction information. This study is aiming at improving comfort of
the drivers by providing the prediction information. This report describes the construction of the traffic simulator considering vehicle
speed in lane change.
Table 1. Input and output data of traffic simulator
1.まえがき
道路利用者あるいは道路交通の安全,円滑,快適性
パラメータ
出力
を確保するため,交通管制システムが果たすべき役割
・シミュレーション時間
・車両の位置
は大きい.
なかでも道路利用者に直結する情報提供は,
・シミュレーション区間長
・車両の速度
安全運転や利便性向上の面からも,重要である。交通
・分合流地点および比率
・予測所要時間
管制システムが行う道路情報板等からの提供情報[1]
・車両流入タイミング
は,車両感知器等の収集設備から得られる現時刻の交
・自由速度(最高速度)
通状況をもとに作成されているため,実際には車両の
・通行規制
移動時間に伴い交通状況が変化し,提供された情報と
・車線数
は異なることがある。そこで,車両の移動時間に伴う
交通状況変化を提供情報に加味するために,交通流シ
ミュレータの構築を検討する。
2.交通流シミュレータの概要
交通流は,流入する車両台数,現在の交通量,道
路形状(分合流や上り坂,下り坂の有無など),車線
規制などの様々な要因から決定される。本稿では,
シミュレータはセルオートマトンモデルを用い,車
線変更の手法を検討した。
2.1. セルオートマトンモデル
セルオートマトンモデルとは,
セル(1 つの四角形)
を格子状に並べ道路を模擬し,一定時間ごとに決め
られたルールにより状態を変化させていくモデル
である.なお本研究でのルールは以下の通りとする。
・1 セルの長さ:1[m]
Figure1.Distribution of actual vehicle speed
度特性を持たせるために速度補正係数 α を設定する。
速度補正係数 α には,図 1 に示す高速自動車国道等に
お け る 設 計 速 度 別 の 実 勢 速 度 状 況 [2] の 設 計 速 度
・普通車の車長:5[m](5 セルで 1 台を表現)
・大型車の車長:9[m](9 セルで 1 台を表現)
80km/h の分布を平均値で正規化した値とし,後述の車
両速度算出結果に乗じることで速度特性を持たせる。
2.2. シミュレータのパラメータと出力情報
2.4.車両速度算出
構築する交通流シミュレータのパラメータと出力
各車両の速度算出には,前方車両との車両間隔等か
情報を表 1 の通りとする.これらのパラメータを変更
ら注目車両の速度を算出する車両追従モデルを用いる。
することにより,あらゆる道路に対応することが可能
前方車両が急ブレーキ(最大減速度)で停止した場合
である。
でも,前方車両に追突することなく停止できるような
2.3.速度補正係数
速度制御を行うために,前方車両の速度,前方車両と
の車両間隔,自車両の空走距離を用いて注目車両の速
同一空間を同一時刻に走行する車両でも,速度の速
度を算出する。計算式は式(1)の通りである。ここで,
い車両と遅い車両が存在する。そこで、車両ごとに速
1:日大理工・院(前)
・情報 2:日大理工・教員・情報
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平成 28 年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集
V注 は注目車両の速度,a 注 は注目車両の減速度,L は
注目車両と前方車両との車間距離,D は注目車両の空
走距離,V前 は前方車両の速度,a MAX は急ブレーキを
・道路全長:14.75km
・規制速度:80km/h
・分流箇所:6 箇所
・合流箇所:4 箇所
・車線数:3 車線
・最大減速度:5m/s2
踏んだときの最大減速度である。なお,空走距離は文
・交通量:2015 年 3 月 23 日(月)の車両感知器データ
献[3]を参考に決定した。
・その他:7 時 2 分~7 時 44 分に 12.09kp 付近で交通

V前2

V注  2  a注   L  D 
2  a MAX

事故が発生し,追越車線を車線規制

   (1)


2.5 車線変更の判断
車線変更の判断には,図 2 に示すように以下の 3 つ
の手法を用いる。
手法 A:前方車両との車間距離のみで車線変更[4]
注目車両と各車線の前方車両との車間距離 Ln をそ
れぞれ車線変更指数 βn とし,βn が最大となった車線
へ車線変更をする。
手法 B:前方車両との車間距離,注目車両の速度補正
係数で車線変更[5]
Figure3. The result of road traffic simulator
注目車両と各車線の前方車両との車間距離 Ln に,
右側車線には速度補正係数 α を乗じた値,左側車線に
図 3 より,手法 C は発生した交通事故による渋滞は
は速度補正係数 α で除した値を車線変更指数 βn とし,
手法 A,B より再現されているが,渋滞の解消が実時
βn が最大となった車線へ車線変更する。
間よりも早くなっている。これは,空走距離などのパ
手法 C:前方車両との車間距離,前方車両との速度差,
ラメータを全車両に一律に与えていることや,車線変
注目車両の速度補正係数で車線変更
更可能な場合は車線変更するなど,ドライバの個性を
手法 B の車間距離 Ln に,注目車両と各車線の前方
車両との速度差 Vn’から,タイムステップΔt で変化
考慮した動きを表現できていないためと考えられる。
4.まとめ
する車間距離を加味し,右側の車線には速度補正係数
交通管制システムの情報提供の高度化を目指し,自
αを乗じた値,左側の車線には速度補正係数αで除し
車両が移動する時間を考慮するために交通流シミュレ
た値を車線変更指数 βn とし,βn が最大となった車線
ータを検討し,実道路網を模擬した道路における交通
へ車線変更する。
流シミュレーションを行った。
今後は,個別車両ごとのパラメータの設定方法の検
討などが挙げられる。
5.参考文献
[1]高羽禎雄,泉隆,甲賀一宏他編著:
「高速道路の交通
管制技術ハンドブック」
,電気書院 (2005-09)
[2]平成 19 年度規制速度決定の在り方に関する調査研
究 報告書」,
規制速度決定の在り方に関する調査研究
委員会 (2008-03)
[3]「わかる 身につく 交通教本」
,全日本交通安全協会
Figure2. Judgment of the lane change
(2015-04)
[4]木内康晴,高橋友彰,泉隆 「交通状況予測のための交
:
3.実験
構築した交通流シミュレータを検証するために首
通シミュレータの構築」第 42 回ファジィ・ワークショ
ップ,セッション B-2 (2016-03)
都高速道路湾岸線西行きの千鳥町~辰巳 JCT 間につい
[5]木内康晴,高橋友彰,泉隆:
「実勢速度を考慮した交
て,車両感知器データを用いてシミュレーションを行
通流シミュレータの構築」電気学会
い,旅行時間の比較を行った。結果を図 3 に示す。な
YPC Y-144 (2016-08)
お,諸条件は以下の通りである。
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産業応用部門
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