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第9回国際エタノール年次会議<クリーンエネルギー>(平成16年3月30日)

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第9回国際エタノール年次会議<クリーンエネルギー>(平成16年3月30日)
PEC 海外石油情報(ミニレポート)
平成 16 年 3 月 30 日
PISAP ミニレポート 2003-061
第 9 回国際エタノール年次会議
<クリーンエネルギー>
2004 年 2 月 17、18 日、再生可能燃料協会(RFA)主催の「第 9 回国際エタノール年次会議」
がフロリダ州マイアミで開催された。会議のテーマはエタノール政策とマーケティングで
あり、特に種々の政治的課題、なかでもエネルギー法案に重点が置かれた。ここでは流動
的なエネルギー法案に関しては軽く触れ、
カリフォルニア州等における MTBE 廃止後のエタ
ノール添加改質ガソリンの動向、エタノール配送に関するトピックス、セルロース由来エ
タノールの開発状況などについてまとめた。
1.MTBE からエタノールへの転換
ニューヨーク州はガソリン添加剤を MTBE からエタノールへ転換した。
専門家筋ではガロ
ン当たり 0.5∼0.75 ドルという価格の急騰と移行期間中の供給問題が予想されたが、移行
中や廃止後にこれらの問題は生じていない。実際、ニューヨーク州における改質ガソリン
(RFG)の価格は 3.8%低下し、RFG と従来のガソリン間の価格差はなくなった。カリフォルニ
ア州では RFG の価格は MTBE の時に比べて 0.08 ドル/ガロン下がった。ニューヨーク州は
燃料全体の約 45%しか自前で製造できないため、
周囲の地域から自由に RBOB(エタノールと
混合するガソリン基材)を手配することができる。
このことが従来ガソリンと RFG との間の
価格差をなくした要因である。
一方、カリフォルニア州の場合、転換は 2003 年に始まったが、デービス知事は価格の急
騰と供給問題を心配し、MTBE の廃止を 2004 年まで延期した。しかし、ほとんどの精製業
者は転換計画を前倒しにしている。
経済関係のコンサルティング会社である LECG の調査で
は、
転換中および転換後のエタノール混合ガソリン価格は MTBE 添加ガソリンに比べてガロ
ン当たり 0.08 ドル安いことが判明した。
注)現在、
米国では燃料エタノールの製造には 52 セント/ガロンの補助金が出ている。
2.エタノールの配送
Burlington Northern Santa Fe 社(BNSF、電鉄会社)、Shell Oil、および US Development
Co.は「エタノール急行」を共同で設立した。これは荷下ろし設備とトラック/パイプラ
インターミナルを繋ぐ、95 両の専用貨車である。エタノール列車は BNSF 鉄道を走り、エ
タノールを中央中継基地から直接南カリフォルニアの Lomita Rail Terminal へ運ぶ。この
仕事は US Development Group が請け負っている。この設備は 24 時間以内に 95 両の貨車か
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らエタノールを荷下ろしすることができる。エタノールは Lomita Rail Terminal から 3
マイルの専用パイプラインにより Shell Oil の Carson Terminal へ配送される。エタノー
ルはそこからトラックか、短いパイプラインで近くの軽質油製造ターミナルへ運ばれる。
「エタノール急行」はロサンゼルスエリアで必要なエタノール混合燃料の 80%を配送す
ることができる。2003 年にスタートしてから既に 9300 万ガロンを配送しており、現在で
は毎月 2800 万ガロンを配送することができる。
今後、米国北東部で同様の計画が実行される。計画は 2004 年の第 3 四半期に開始され、
4 ヶ月で完成させる予定である。
3.世界のエタノール事情
米国のエタノール業界は表に示すように、この 10 年間で驚異的な成長を遂げている。昨
年新しいプラントが 7 基加わり、生産能力は年間 3 億ガロン増加した。また、15 基が現在
建設中である。
プラント数
農場経営者所有プラント数
生産能力 (億ガロン/年)
1993
27
3
10
2003
75
34
31
米国で販売されたガソリンの 30%はエタノールを含有しており、その内訳は以下の通りで
ある。
用途 (2003)
改質ガソリン
冬場の含酸素化合物
従来ガソリンのオクタン価向上剤
ミネソタ州(E10)
合計
数量 (億ガロン)
13.5
2.5
9.5
2.6
28.1
国際エタノール市場は年間約 2∼3%の成長をとげている。その大きな理由は豊富な原料
にある。原料の約 2/3 は気候の温暖な西半球に偏在している。しかし、World Perspectives
Inc.によれば、天然ガス(肥料製造や燃料等に使われる)の価格上昇により、農業が経済的
に見合わなくなり、世界的には多くのエタノールプラントは閉鎖される。一方、ブラジル
はエタノールの輸出に期待しており、2003 年の 10 億リットルが 2013 年には 44 億リット
ルに伸びると考えている。ブラジルのエタノール生産および輸出の大きな伸びが米国をは
じめ各国の生産者にとって大きな問題となることが予想される。
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4.セルロース由来エタノールの開発状況
米国で使用されている全てのエネルギーの中で再生可能燃料が占める割合は以下に示す
ようにまだ小さい。
石油 39%、天然ガス 24%、石炭 23%、原子力 8%、再生可能燃料 6%
再生可能燃料の内訳は以下の通りである。
バイオマス 46%、水力発電 46%、地熱発電 5%、風力 2%、太陽光発電 1%
セルロース由来バイオマスはエネルギーバランスが高く、温室効果ガスの排出が少ない
ため、地域経済の改善に繋がる。セルロース由来バイオマスの化石燃料エネルギー比(ある
燃料のエネルギー/その燃料を製造するために使用された化石燃料エネルギー)はコーン
エタノールが約 1.4、ガソリンが 0.8、電気が 0.4 であるのに対して、約 18 と非常に高い。
この効率を生かすために、DOE は 2000 年に国立バイオエネルギーセンターを設立した。
このセンターの目標は 2010 年までに農業廃棄物を原料とした最初の大規模なバイオリ
ファイナリーを開発することである。バイオリフィナリーではリグニン(原料の 15∼20%を
占める)、ヘミセルロース(23∼32%)、セルロース(38∼50%)からエタノールや副産物の最適
製造法を確立する。開発に協力している研究所はパシフィック・ノースウェスト国立研究
所、アイダホ国立工学・環境研究所、アルゴンヌ国立研究所、オークリッジ国立研究所、
国立再生可能エネルギー研究所である。
(1)デュポン
エタノールを大量(年間 50∼60 億ガロン)に製造するにはリグノセルロースの転化が不
可欠である。
リグノセルロース処理の大きな利点は原料価格が安いということである。
C5、
C6 糖を原料として使用することは収率を高め、廃棄物を低減し、全体の経済性を高める効
果がある。デュポンが考えているバイオリフィナリーのコンセプトはコーングレーンとコ
ーンストーバー(刈り入れ時の残存物)がバイオリフィナリーに入り、エタノール、電気/
スチーム等、および付加価値の高い化学品がバイオリフィナリーから出てくるというもの
である。
(2)国立再生可能エネルギー研究所(NREL)
NREL は C-5 および C-6 糖をより経済的に分解する 2 種類の酵素菌株を開発した。
Zymomonas Mobilis は酵母に比べて発酵速度が 300∼400%速く、原料からエタノールへの
転化率が高い。
デュポンと共同で 2002∼2007 年の間に、
この菌の更なる改良を進めている。
もう一つはアラビノース発酵酵素である。最近まで発酵法で L-アラビノースをエタノール
へ転化する酵素は知られていなかった。L-アラビノースは主に価値の低いバイオマスに含
まれる C-5 糖である。NCGA と共同でこの酵素開発研究はさらに進められる。
さらに、DOE は酵素の価格を 1/10 以下にするという低価格化を進めている。計画の初年
度である2000 年には、
酵素の価格はエタノール1 ガロン当たりおよそ5.50 ドルであった。
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現在では約 0.5 ドルになっており、2004 年中にさらに低下するものと見られている。
(3)Genencor 社
Genencor 社は酵素のコストを 1/10 に低減する DOE の計画に参加して、酵素製造コスト
の低減と酵素の性能向上に取り組んでいる。コスト低減目標は 2003 年 4 月に達成され、商
業化プロセスの検討が進められている。バイオマスは多くの異なった材料から構成されて
いるため、リグノセルロースの転化は困難である。例えば、代表的な地方自治体の固体廃
棄物の 45%はセルロースであるが、15%は灰、3%は蛋白質、9%は他の炭水化物等である。
5.エタノールと大気質
2001 年の自動車製造者連盟の研究によると、最新の排気ガス抑制技術を駆使した自動車
にエタノールを使用すると CO が 30%低減することが確認されている。さらに最近の研究で
は CO は HC に比べてオゾン生成に大きな役割を果たしている。以前の研究では、オゾン生
成に対して CO は 20%、HC は 80%の影響を与えているといわれていた(簡単なモデルを使っ
た 1999 年の National Academy of Sciences レポートによる)が、複雑な最新のモデルを使
用した最近の研究では、CO の影響は 60%に達している。
オンロード自動車製造業者はエタノールがエミッション低減に有効であるとは考えてい
ない。即ち、旧式の車の場合のみ CO 低減効果があり、古い車が新しい車に置き換わると、
エタノールの効果は減少する。GM や他の自動車会社がフレキシブル燃料車(FFV)を大量に
製造する理由は CAFE のクレジットを得るためである。
6.エネルギー法案
共和党院内総務のフリスト上院議員と民主党院内総務ダシェル上院議員の間で、エネル
ギー法案の総予算を 340 億ドルから 130 億ドルへ減額することで合意が得られた。大幅な
減額であるが、ブッシュ大統領が要望している 80 億ドルに比べるとまだ巨額である。
(シカゴ共同事務所)
本資料は、(財)石油産業活性化センター石油情報プラザの情報探査で得られた情報を、整理、分析
したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは [email protected]
までお願いします。
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