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燃料電池 - 石油エネルギー技術センター

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燃料電池 - 石油エネルギー技術センター
PEC 海外石油情報(ミニレポート)
平成 17 年 3 月 25 日
PISAP ミニレポート 2004-039
燃料電池用水素の製造・貯蔵・供給設備の開発動向(2004/12∼05/02)
<燃料電池>
燃料電池用水素の製造・貯蔵・供給設備の開発動向についてインターネットで収集した
情報を定期的にまとめている。今回は 2004 年 12 月から今年 2 月までの開発状況について
整理した。水素製造装置に関しては、新たに民間 2 社間での共同開発例が多く発表されて
おり、水素貯蔵に関しては水素吸収用の新規材料の開発が多かった。水素ステーションに
ついては米国カリフォルニア州とフロリダ州の 2 カ所で偶然にも同じ日に開設が発表され
た。
1.水素製造装置の開発
新たな共同開発契約が4件成立し、
そのうちの1件は水素発生装置の受注契約であった。
これは米国の固体高分子型燃料電池開発会社Plug Power社が米電力会社デトロイトエジソ
ン社(DTE)のセントクレア発電所(140 万 kW)にオンサイト型水素発生器を設置するもので
ある。
この装置は Plug 社の自己熱改質技術(水蒸気改質と部分酸化改質の併用)に基づいた
高純度圧縮水素発生器(GenSite)で、DTE 社はオンサイト型水素発生器をテストし、実証化
する絶好の機会としている。実際に水素は同発電所の 6 基の発電機の冷却用に使われる。
(資料 1)
他の 3 件の共同開発を順次紹介する。1 件目は固体高分子型燃料電池開発会社 Proton
Energy Systems 社がネバダ大学ラスベガス研究財団と水素製造技術に関するフェーズ 2 を
契約(120 万ドル)したことである。フェーズ 1(120 万ドル)は太陽エネルギー利用により水
を電気分解して水素を製造する技術開発で、2005 年 12 月に終了の予定。フェーズ 2 はこ
れに続くもので、
この目標は高圧でプロトン交換膜(PEM)を用いた水の電解技術により水素
を製造することである。これまでに Proton 社が開発した水素製造設備「HOGEN」は PEM 利
用技術により電気と水から高効率で水素を製造する設備で、すでにスウェーデンのエネル
ギー会社に納入されている。(資料 2)
2 件目は水素エネルギー技術会社 Hy-Drive Technologies 社と流体管理システム会社
Martinrea International 社が、高効率自動車用水素発生装置(HGS;Hydrogen generating
system)の共同開発契約を交わしたことである。HGS は少量の水素発生と燃焼室への水素注
入を行う設備で、燃料節約を図り、CO2、NOx、PM の排出を抑えることが目標である。HGS
を設置することにより、通常の内燃機関の燃焼室に少量の水素と多量の空気を送り燃焼速
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度を上げ、同時にクリーンな燃焼を行うことが可能である。(資料 3)
3 件目はカナダの Plasma Environmental 社 とアルカリ燃料電池メーカーAstris Energi
社による水素製造設備の共同開発である。Plasma 社の PAG(Plasma Assisted Gasifier)プ
ロセスと Astris 社のアルカリ型燃料電池技術を組み合わせ、
廃棄物から燃料電池に適した
水素を製造することを目指す。PAG プロセスとは固体の有機廃棄物(農業廃棄物・脱水スラ
ッジ・廃タイヤなど)を安全で効率よくエネルギー(水素と電力)に変換するプロセスで、具
体的には廃棄物のプラズマガス化により水素濃度の高いガスを製造するプロセスである。
Astris 社は燃料電池では後発会社であり、
2005 年に発電スタックのパイロットを開始する
という。この度の二社の合意事項は、①PAG プロセスによる水素製造の最適化、②PAG プロ
セス実証化のためのパイロットプラント建設の場所選定、③PAG プロセスおよび Astris 社
燃料電池の商業化という 3 段階から成り立っている。(資料 4)
また、
米国エネルギー省(DOE)の国立エネルギー技術研究所(NETL)とカーネギーメロン大
学は共同で水素製造用の新しいコンピューターモデルツールを開発した。原料水素を合金
製の分離膜に通すことにより純水素を製造する際に、コンピューターを利用して分離膜の
最適化を図ろうというもの。金属成分の割合がいろいろ異なる一連の合金を作ってテスト
する必要はなく、スクリーニング用コンピューターツールを使用すれば、どんな組成の合
金製分離膜が水素純度を最高にできるか予測できる。すなわち水素分離膜の選別のために
有用である。化石資源から水素製造時に副生する不純物ガスはブロックされ、純水素のみ
が分離膜を透過する。実際に本研究チームは硫化水素のような不純物ガスの混入を防止で
きる銅・パラジウム合金膜の開発に成功し、コンピューターと実験の一体化により研究開
発がスピードアップされた。(資料 5)
一社単独では燃料電池システムメーカーの Quantum Fuel Systems 社が可搬式水素燃料補
給システムを開発し、米国特許を取得した。
「HyHauler」および「HyHauler Plus」の二つ
のモデルがある。水素は内部組込型水素発生器や外部の低圧水素から受け入れ、35MPa ま
たは 70MPa に昇圧して補給する。本システムは水素製造、貯蔵、搬送、供給のあらゆる作
業時における安全対策が十分に組み込まれている。同社は現在水素インフラ開発促進を目
指し、商業化に取り組んでいる。(資料 6)
2.水素貯蔵システム
水素のオンボード貯蔵は圧縮水素または液体水素として貯蔵されるが、いずれも設備の
大きさおよび重量の点や燃料電池車の走行距離および走行時間の点で十分ではない。そこ
で、最近新しい水素貯蔵材料が幅広く研究されている。今回はナノ物質が 2 件、金属ハイ
ドライドが 1 件発表されている。
ナノ物質ではナノテクノロジーの Nanomix 社が水素吸蔵用の多孔性ナノ構造を有する物
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質を開発し、米国特許を取得した。通常、液体水素は 20K(-253℃)以下の極低温で貯蔵さ
れているが、同社の開発したナノ物質では窒素の液化温度 77K(-196℃)より高温でも貯蔵
可能であるため、貯蔵コストの低減化に直接貢献することになる。さらに水素を効率的か
つ高密度で貯蔵できるため設備も軽量化でき、
自動車や携帯型電子機器などに適用できる。
同社は燃料電池産業向けに商業化するパートナーを捜している。(資料 7)
ナノ物質のもう 1 件はナノ構造のマグネシウム合金である。これはオーストラリアの水
素技術開発会社であるHydrexia Pty社が水素貯蔵の価格問題および性能問題を解決するた
めに開発したもの。同社は水素貯蔵技術の実用化を目的に設立されたクインズランド大学
からのスピンオフ企業である。ナノマグネシウム合金はスポンジのように水素を吸収して
長期間貯蔵することができ、圧力または温度を変えることにより水素を放出できる。米 DOE
が2010 年の目標としている100kg のユニットで自動車500km 走行分の水素を貯蔵すること
も可能としている。(資料 8)
金属ハイドライドは金属合金が水素と結合したときに作られるもので、
この度 GM とサン
ディア国立研究所(SNL)は、ナトリウム・アラネート(NaAlH4)を利用する水素貯蔵の技術開
発を共同で行う事になった。4 年間で 1,000 万ドル規模のプロジェクトとなる。ナトリウ
ム・アラネートの水素含有量は 7.4wt%と高いが、水素放出温度が高いことや水素吸蔵に時
間がかかることが問題であるため、この点を改良することを目標としている。さらにアラ
ネート貯蔵用タンクの設計・製作にも取りかかっている。(資料 9)
なお、ナトリウム・アラネートに関しては他に DOE のブルックヘブン国立研究所とニュ
ージャージー州立工科大学も共同で研究しており、アラネートをチタン化合物で処理する
と水素の吸脱着が促進されることを見出している。水素貯蔵能力が大きく、軽量であるこ
とが必要な燃料電池用にこのハイドライドは最適としている。(資料 10)
3.水素ステーションの建設
米国では 2 カ所で水素ステーションの開設が発表され、他に 1 カ所で建設中である。こ
れらすべてのステーションにシェブロンテキサコが関係している。
カリフォルニア州とフロリダ州の 2 カ所で開設されるステーションの開設日は偶然にも
2 月 18 日の同一日であった。この週は米国内の離れた場所で 2 大イベントが行われ、水素
プロジェクトにとってビッグウィークであったとしている。前者はシェブロンテキサコが
カリフォルニア州チノでオンサイト改質型水素供給ステーションを開設したもので、この
日が開所日であった。このプロジェクトは DOE の民間技術開発支援制度によって、韓国現
代自動車および UTC Fuel Cells 社と共同で進められていたものである。この実証化ステー
ションはテスト車の水素供給用である。水素はオンサイトで製造されるため、水素輸送設
備は必要としない。(資料 11)
後者はフロリダ州オーランドで、同州初の水素ステーションの開設である。水素駆動の
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フォード製シャトルバスの水素供給用で、フロリダ州、フォード、シェブロンテキサコ、
プログレスエナジー社の共同プロジェクトである。この日の起工式でブッシュ知事は
1,500 万ドルの水素エネルギー技術法案を発表し、フロリダ州の水素社会を促進するため
に公害のない水素技術の開発に官民協力して投資を惜しまないことを強調した。しかし、
今回の水素ステーションに供給される水素は、太陽光や風力のような公害のない資源によ
るものではなく、シェブロンテキサコからの供給になるだろうと述べた。現時点で最も安
価な水素製造法は天然ガスのスチーム改質であるが、実際に公害のない資源による水素製
造の到来が待たれる。(資料 12,13)
ほかに建設中の水素ステーションとは、シェブロンテキサコがカリフォルニア州オーク
ランドに計画していたもので、2005 年秋に完成の予定である。燃料電池開発会社ハイドロ
ジェニックス社がシェブロンテキサコと共同で開発した天然ガス改質式水素製造装置を組
み込んでおり、AC Transit 社用燃料電池バスに 150kg/日の水素を供給する。(資料 14)
(TT)
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(参考資料)
1.http://biz.yahoo.com/prnews/041221/nytu055_1.html
2.http://biz.yahoo.com/prnews/050113/nyth103_1.html
3.http://www.energy-business-review.com/article_news.asp?guid=42593E71-846B-42FC
-9894-37658E70C25F
4.http://biz.yahoo.com/ccn/050224/f0beb6c8778777b1f6482c78cccccca9_1.html
5.http://www.spacedaily.com/news/energy-tech-05h.html
6.http://biz.yahoo.com/prnews/050215/latu068_1.html
7.http://www.theautochannel.com/news/2004/12/09/299368.html
8.http://www.physorg.com/news3133.html
9.http://biz.yahoo.com/prnews/050106/deth030_1.html
10.http://www.sciencedaily.com/releases/2004/07/040726084030.htm
11.http://www.fuelcellsworks.com/Supppage2053.html
12.http://www.h2cars.biz/artman/publish/article_673.shtml
13.http://www.renewableenergyaccess.com/rea/news/story?id=22751
14.http://www.fuelcelltoday.com/FuelCellToday/IndustryInformation/IndustryInform
ationExternal/NewsDisplayArticle/0,1602,5351,00.html
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