Comments
Description
Transcript
平成21 年1 月28 日 ミニレポート 2008
PEC 海外石油情報(ミニレポート) 平成 21 年 1 月 28 日 ミニレポート 2008-025 第 2 世代バイオ燃料の開発状況(2008/10~12) <バイオ燃料> 第 2 世代バイオ燃料のひとつとして、植物油、動物油脂、あるいは森林廃棄物等の熱分 解油を、製油所内の水素化処理装置で石油と混合処理あるいは単独処理して得られるディ ーゼル燃料およびジェット燃料がある。これらは再生可能輸送用燃料と呼ばれ、石油精製 技術を使用することから石油会社およびエンジニアリング会社が力を入れて開発に取り組 んでいる。ここでは 2008 年 10 月から 12 月までの間の動きを紹介する。 1. (米国)再生可能ディーゼルの税優遇制度を変更 Bush 前大統領が 10 月 3 日に署名して成立した緊急経済安定化法(Public Law 110-343)のなかの 2008 年エネルギー改善・延長法は、再生可能ディーゼルの取り扱い を次のように変更している。 1)再生可能ディーゼルの税控除(1 ドル/ガロン)を 2009 年 12 月 31 日まで 1 年延 長する。 2)石油と混合処理して製造される再生可能ディーゼルは税控除の対象外とする。 (説明)再生可能ディーゼルは、100%で使用する場合と石油に混合して使用する 場合がある。バイオ原料を単独処理して得られた再生可能ディーゼルを石油に混 合する場合は税優遇の対象である。しかし、バイオ原料と石油を混合したものを 処理して得られた再生可能ディーゼルは税優遇の対象から外された。 ConocoPhillips と世界最大の食肉供給会社 Tyson Foods は共同で Borger 製油所 (テキサス州、原油処理能力 14.6 万 BPD)で牛脂と石油との混合処理を開始し、 製品中の再生可能ディーゼルの税控除を受けていたが、2008 年 12 月末で税控除 が打ち切られた。 3)再生可能ディーゼルは、バイオマスを原料とし ASTM 規格の D975 または D396 を 満たすものとされていたが、エネルギー長官が別途指定する「その他の規格」を満 たす液体燃料も再生可能ディーゼルとする。 (説明)D975 はディーゼル、D396 は燃料油の規格である。 4)バイオジェット燃料を再生可能ディーゼルと見なして税優遇の対象とする。 (説明)米国で使用されているジェット燃料は、軍用規格または ASTM 規格のいず れかを満たすものとされている。今回、それらの規格を満たすバイオ燃料を税優 PEC 海外石油情報(ミニレポート) 遇することにした。これにより空軍および航空業界でのバイオ燃料の使用を促進 される。 参考;緊急経済安定化法(全文) http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=110_cong_p ublic_laws&docid=f:publ343.110 2. (米国)UOP が熱分解油の安定化技術の開発に取り組む 米国のエンジニアリング大手 Honeywell の子会社 UOP が、エネルギー省から 150 万 ドルの助成金を得て、バイオマスの熱分解油(バイオ原油)について、経済性のある 安定化技術を開発する。森林および農業の廃棄物を原料にして生産されるバイオ原油 は再生可能燃料油の原料となるが、腐食性があり貯蔵安定性も悪い。UOP は、熱分解 技術会社 Ensyn、国立再生可能エネルギー研究所(NREL) 、パシフィック・ノースウエ スト国立研究所(PNNL)およびろ過・分離・精製技術の大手 Pall 等と共同で技術開発 を行う。 参考; http://www.reuters.com/article/pressRelease/idUS175032+28-Oct-2008+P RN20081028 3. (米国)Dynamic Fuels が再生可能輸送用燃料製造プラントの建設を開始 Tyson Foods および Syntroleum が折半出資している Dynamic Fuels は 10 月 6 日に、 ルイジアナ州のガイスマーで再生可能輸送用燃料の製造プラントの起工式を行なった。 同プラントは、 動物油脂を原料にして Syntroleum の Bio-Synfining と呼ばれる水素化 処理技術を使用するもので、製造能力は年約 7,500 万ガロン、2010 年に運転を開始す る予定である。 参考; http://www.vision2020.louisiana.gov/pressroom/gov-jindal-attends-dyn amic-fuels-plant-groundbreaking.aspx 4. (イタリア)Eni は Livorno 製油所でのバイオディーゼル油の製造を延期 イタリアの国営石油会社 Eni は、同社の Livorno 製油所(原油処理能力:8.4 万 BPD) に、再生可能バイオディーゼルの製造プラント(能力 6,500 BPD)を建設する計画で あったが、EU がバイオ燃料の混合割合の強制値を引き下げる方向にあることを受けて 計画を中断した。同プラントは、UOP が基本技術を有する Ecofining と呼ばれる水素 化処理技術で植物油等を処理する。 参考; PEC 海外石油情報(ミニレポート) http://www.allbusiness.com/trends-events/delays-postponements/116932 50-1.html http://www.uop.com/pr/releases/PR.EniEcofiningFacility.pdf 5. (ニュージーランド)ニュージーランド航空がバイオジェット燃料の試験飛行 ニュージーランド航空は 12 月 30 日に、同社のジェット旅客機 Boeing 747-400 に 4 基装着されているエンジン(Rolls-Royce 製)のひとつで、再生可能ジェット燃料と 通常のジェット燃料を等分混合した燃料を使用して約 2 時間の試験飛行を行い、成功 裡に終了した。使用した再生可能ジェット燃料は、UOP が第 2 世代の再生可能原料で あるジャトロファの油を水素化処理して製造した。 参考; http://www.businesswire.com/portal/site/home/permalink/?ndmViewId=ne ws_view&newsId=20081230005376&newsLang=en (YY) 本資料は、 (財)石油産業活性化センター石油情報プラザの情報探査で得られた情報を、整理、分 析したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは [email protected] までお願いします。 Copyright 2008 Petroleum Energy Center all rights reserved