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企業向け銀行貸出の現状について

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企業向け銀行貸出の現状について
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
企業向け銀行貸出の現状について
国内民間企業部門は、配当支払額の増加や、設備投資の高い伸びなどによって
2006 年度は9年ぶりに資金不足となった。これを受けて、企業向けの銀行貸出は
明確に増加したが、2007 年度に入ってからは、設備投資の伸びが鈍化しているこ
とで銀行貸出も伸び悩んでいる。また、低迷が続く銀行貸出の利鞘も、向こう1∼
2年は目立って拡大する可能性は低い。
1.資金不足に転じた国内企業部門
2007 年末に公表された国民経済計算確報から、部門別の資金過不足(2006 年度)
を見たのが表1である。目立つ動きとして、民間非金融企業部門の資金過不足が▲
1.9 兆円と不足超になったことが挙げられる。これは、97 年度以来9年ぶりのこと
で、2005 年度の+10.8 兆円と比較すると、企業部門の資金ポジションは▲12.7 兆
円悪化したことになる。
(表1)
。
表1
部門別の資金過不足(ISバランス)
(兆円)
2005
2006
非金融法人企業
21.8
1.1
うち民間企業
10.8 ▲ 1.9
うち公的企業
11.0
3.1
金融機関
12.3
2.4
一般政府
▲ 30.9 ▲ 4.9
家計
9.1
13.9
対家計民間非営利団体
▲ 0.2
0.7
海外部門
▲ 18.4 ▲ 20.6
(資料)内閣府「国民経済計算確報」
前年差
▲ 20.7
▲ 12.7
▲ 7.9
▲ 9.9
+ 25.9
+ 4.8
+ 0.9
▲ 2.2
そして 2005 年からの資金過不足変化幅▲12.7 兆円の内訳を見ると、表2の通り
になる。
表2
民間非金融企業部門
資金過不足前年差の内訳
(前年差、兆円)
営業余剰
+ 2.5
プラス
財産所得
+ 3.5
項目
受取利子
+ 1.2
(+)
配当受取
+ 1.7
財産所得(支払)
▲ 5.4
マイナス
支払利子
▲ 1.2
項目
配当支払
▲ 3.7
(▲)
法人税支払
▲ 2.2
可処分所得
▲ 1.7
設備投資
▲ 5.1
投資等
在庫品増加
▲ 1.2
(▲)
土地の購入(純)
▲ 4.8
合計
▲ 12.7
(資料)内閣府「国民経済計算」
1
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
① 営業余剰が+2.5 兆円、財産所得の受取が+3.5 兆円増加した
② これら所得増加分は、
利子や配当の支払増加
(それぞれ IS バランス▲1.2 兆円、
▲3.7 兆円、合計で▲5.4 兆円の悪化要因)でほぼ相殺された
③ その上、法人税支払が増加(▲2.2 兆円悪化要因)したため、可処分所得は
▲1.7 兆円の減少
④ 設備投資 5.1 兆円増加、土地純購入 4.8 兆円増加などで資金需要が大幅に増加
⑤ この結果、最終的に IS バランスは前年比▲12.7 兆円悪化し、企業部門が資金
不足に陥った
この中で目を引くのは、配当支払額が+3.7 兆円と大幅に増加していることであ
ろう。実際の金額で見ると、2005 年度の 14.1 兆円から 2006 年度に 17.8 兆円とな
っており、増加率では+26.3%に及ぶ。また、税引き後利益(営業余剰―純金融費
用−税金)に占める割合はここ数年急ピッチで上昇し、2006 年度には 50%を上回
っている(図1)
。
図1
民間非金融部門の利益と配当
(兆円)
40
(%)
60
税引後利益
配当支払額
配当性向(%、目盛右)
30
50
40
20
30
20
10
10
0
0
1999 2000 2001 2002 2003 2004
(資料)内閣府「国民経済計算確報」
2005
2006
また、もう一つの金融費用項目である支払利息額は、2005 年度の 7.6 兆円から
2006 年度に 8.8 兆円と、率
にして+15.3%の増加。有利
図2 民間非金融部門の支払利息と平均金利
(兆円)
15
支払利息額
支払平均金利(%、目盛右)
子負債に対する比率(平均支
払金利)は 2.1%で、前年差
+0.3 ポイントの上昇となっ
た。年度半ば(2006 年 7 月)
のゼロ金利政策解除や、長期
(%)
3.0
2.5
10
2.0
5
1.5
金利の上昇を反映した動き
といえる(図2)
。
0
1.0
1999 2000 2001 2002 2003 2004
(資料)内閣府「国民経済計算確報」
2
2005
2006
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
2.銀行貸出額の関係
こうした資金需給の動きは、2006 年度に銀行貸出額が増加したことにも現われ
ていた。日本銀行「貸出・資金吸収動向等」から銀行貸出の伸び率を見ると、2006
年半ばには一時前年比+2%程度まで増加率が高まった(図3)。
図3 銀行貸出額伸び 率の推移
(前年同月比、%)
4.0
3.0
2.0
合計
1.0
都銀等
0.0
地銀・第二地銀
-1.0
-2.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112
2006
2007
(資料)日本銀行「貸出・資金吸収動向等」
しかし、2007 年度に入ってからの銀行貸出は、伸び悩みの傾向を強めている。
2007 年 12 月の銀行貸出額(特殊要因調整前)は前年同月比で+0.2%と、23 ヶ月
連続で前年比プラスを維持しているものの、その伸び率はゼロ近傍まで低下した。
特に、
「都銀等」に限ってみれば 2007 年 4 月以降前年比マイナスが続くなど、伸
び悩みの色が濃い(図3)
。
民間企業・政府部門・個人部門別の銀行貸出額を見ると、直近 2007 年9月末時
点では、公的部門向けの貸出が大きくマイナスになっているのが貸出全体を押し下
げているが、民間企業向けに限ってみても、明らかに伸びが鈍化していることが確
認できる(図4)
。
図4
(前年同期差、兆円)
15
貸出先別貸出額の推移
10
5
0
-5
公的部門
個人
民間企業
合計
-10
-15
-20
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
2005
2006
(資料)日本銀行「貸出先別貸出金」
3
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
2007
Ⅲ
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
図4の民間企業向け貸出の動きを業種別に見ると、金融保険業(特に貸金業・非
預金信用機関)向け貸出の減少が特に目立っており、民間企業向け貸出の頭打ちは、
この業種向けの貸出減少によるところが大きいことがわかる。
金融保険業を除いた貸出額は、07 年 9 月末でも前年差+1.9 兆円とまだ増加して
いるものの、6 月末まで同+3 兆円を上回る増加幅からは鈍化している。製造業向
け貸出が堅調なペースでの伸びを維持する一方で、運輸業やサービス業など、前年
比マイナスに転じる業種も出てきているなど、伸び悩みの傾向が次第に明らかにな
っている(表3)
。
表3
業種別 民間企業向け貸出額増減
2006
Ⅰ
合計
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
(前年差、兆円)
2007
Ⅱ
Ⅲ
-0.5
4.7
3.7
5.5
2.2
1.0
0.6
製造業
建設業
情報通信業
運輸業
卸売業
小売業
金融保険
貸金業・非預金信用機関
不動産
各種サービス
医療・福祉
その他のサービス
物品賃貸業
-1.0
-1.3
-0.2
-0.1
-0.0
-0.7
2.9
3.2
1.1
-1.0
0.1
-0.3
0.7
0.3
-1.1
0.3
0.3
0.1
-0.4
3.5
2.7
1.6
0.1
0.1
0.7
0.7
0.6
-0.8
0.2
0.2
-0.4
-0.6
2.2
2.0
2.2
0.1
0.2
0.6
0.8
1.3
-0.8
1.2
0.5
-0.2
-0.6
2.1
1.4
2.1
-0.1
0.1
0.5
0.8
0.7
-0.7
1.3
0.0
-0.7
-0.6
-1.2
-0.7
2.6
1.0
0.1
1.2
0.7
1.3
-0.6
0.9
-0.1
-0.1
-0.7
-2.1
-0.8
2.7
-0.1
0.1
0.1
0.4
1.1
-0.5
0.8
-0.2
-0.3
-0.6
-1.4
-0.8
2.3
-0.5
0.0
-0.2
0.5
金融保険除く
-3.5
1.2
1.4
3.4
3.4
3.1
1.9
(資料)日本銀行「貸出先別貸出金」
企業の資金需要・および銀行借入の動向を、上場企業の決算データから詳細に分
析した 調査月報 2007 年 10 月号『国内企業の資金需要・借入・現預金の動き』
H T U
U T H
では、現預金と借入の両建て保有を解消する動きが出ていることが、貸出の伸びを
抑制している可能性を指摘した。2006
年 7 月のゼロ金利政策解除後、借入金
利が緩やかながら上昇する中、企業が
図5 民間非金融法人企業の現預金増減内訳
(前年差・兆円)
12
外貨預金
譲渡性預金
定期性預金
現金・流動預金
現預金合計
10
資金需要の発生に対して新規借入では
8
なく手許資金の取り崩しで対応する
6
(結果として現預金と借入の両建て保
4
有が解消される)ケースが増えている、
2
0
ということである。その後、2007 年度
-2
半ばにおいても、企業の保有する現預
-4
金は流動預金を中心に減少傾向が続い
-6
Ⅰ
ており、実際に銀行貸出を抑制する要
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
2005
2006
(資料)日本銀行「資金循環統計」
因となっている(図5)
。
4
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
2007
Ⅲ
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
しかしこの他にも、貸出伸び悩みの要因が出てきていると考えている。すなわち、
設備投資の伸び鈍化による資金需要の頭打ちである。
日銀短観(2007 年 12 月調査)によると、2007 年度上期の設備投資(土地投資
額含む)計画額は、全産業前規模で前年比+4.6%となっている。前年比プラスは
維持されているものの、2006 年上期の設備投資伸び率実績は同+11.1%、同下期
+7.9%であり、昨年度と比較すると伸び率が低下していることが確認できる(図
6)
。
図6
日銀短観による設備投資伸び 率(全産業全規模)
(前年同期比、%)
12
11.1
10
9.7
8
8.0
7.9
6
4
2
4.3
5.2
(計画)
5.8
4.6
2.6
0
上
下
上
下
上
2003
2004
(資料)日銀短観
下
上
2005
2006
下
上
07
こうした投資の伸び鈍化は、資金需要の伸びを抑制し、企業部門の資金余剰幅を
拡大させる要因となる。財務省「法人企業統計季報」による経常利益は、2007 年
7-9 月期の伸び率が前年比▲0.7%とマイナスであり、減価償却分を考慮したキャッ
シュフロー(経常利益÷2+減価償却費)の伸び率も低下している(図7)
。投資
が一定であれば、キャッシュフローの伸び鈍化は資金需要の増加につながるが、実
際には設備投資の伸びが低下していることで資金余剰幅が拡大し、貸出伸び悩みの
原因になっている可能性が高いと考えられる。
図7
経常利益とキ ャ ッシ ュ フ ロー 伸び 率の推移
(前年同期比、%)
40
35
経常利益伸び率
30
キャッシュフロー伸び率
25
20
15
10
5
0
-5
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ
2004
2005
2006
(資料)財務省「法人企業統計季報」
5
2007
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
表1で見た 2006 年度の国民経済計算のデータをもとに、現在の当部経済見通し
に基づいて 2007 年度以降の企業部門 IS バランスをラフに試算すると、2007 年度
から 2008 年度にかけて小幅ながらプラスに転じるという結果が得られた。
図8
民間非金融企業部門の資金余剰
(兆円)
25
24.6
20
(試算の前提条件)
23.3
20.9
12.1
10
2006
(実績)
予測
15
10.8
9.1
5
3.2
0
2.3
2007
(予測)
2008
(予測)
営業余剰
伸び率
+ 2.5
+ 2.3
+ 1.9
固定資産投資
伸び率
+ 7.5
+ 2.1
+ 4.5
▲ 1.9
-5
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
(資料)内閣府「国民経済計算」より住友信託銀行調査部作成
また、2007 年度から 2008 年度にかけての企業収益・設備投資の伸び率組み合わ
せ別に IS バランスを試算すると、表4のような結果が得られた。これによると、
IS バランスがゼロに近づく、あるいはマイナスになるには、
(名目)投資額の伸び
率が5%程度は必要になることが示唆される。
表4 企業収益・投資伸び率別の企業部門ISバランス試算値
(2007-2008年度平均値)
(兆円)
営業余剰伸び率(%)
0.0
名目
設備投資
伸び率
(%)
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
1.0
4.0
4.4
4.8
5.2
5.6
6.0
2.0
2.9
3.3
3.7
4.1
4.5
4.9
3.0
1.8
2.2
2.6
2.9
3.3
3.7
4.0
0.7
1.0
1.4
1.8
2.2
2.6
5.0
▲ 0.5
▲ 0.1
0.3
0.7
1.1
1.5
6.0
▲ 1.6 ▲ 1.2 ▲ 0.8 ▲ 0.4 ▲ 0.1
(資料)内閣府「国民経済計算確報」より住友信託銀行調査部作成
0.3
既に公表されている GDP 速報値における名目設備投資額の伸び率は、2007 年度
上期(4-9 月)で前年比+1.3%に留まり、2006 年度実績である+6.2%から大幅に
鈍化している。今後、景気の先行きに対する不確実性の高まりが設備投資を抑制す
る可能性を考慮すると、目先設備投資の伸びが5%まで上昇する可能性は低く、従
って企業部門の資金不足幅が更に拡大することは期待しにくい。また、図5で見た
ように、既にかなりの高水準に達している現預金が減少基調に転じていることも踏
まえると、向こう1∼2年は銀行貸出が伸びにくい状態が続くと見込まれる。
6
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
3.銀行貸出の利鞘の動き
企業向け銀行貸出の利鞘の動きは、どのように見ておけば良いだろうか。
昨年半ばから、いわゆる「サブプライムローン問題」が顕在化し、企業の社債利
回りと国債利回りの差が拡大しているが、日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート
調査」で貸出利鞘DI(貸出の際の利鞘が「拡大」と回答した企業から「縮小」と
した企業割合を引いて算出)を見ると、下位格付企業のDIはプラスになっている
ものの小幅であり、上位格付は直近において再びマイナス幅を拡大しているなど、
銀行貸出の利鞘に目立った動きは出ていないようである(図9)
。
60
図9
(拡大−縮小)
貸出利鞘設定DIの推移
上位格付
中位格付
下位格付
40
20
0
-20
-40
2003
2004
2005
2006
2007
(資料)日銀「主要銀行貸出動向アンケート調査」
このように社債市場と銀行貸出の間で相違が出ている背景には、銀行が受け入れ
ている預金と、貸出残高の差が拡大していることがあると思われる。
全国銀行の資産・負債の動きを見ると、2000 年頃までは預金残高と貸出残がほ
ぼ等しかったが、それ以降は貸出が減る中で預金が増加し続け、直近では預金が貸
出を約 70 兆円上回っている(図 10)
。
図10 銀行の貸出残高・有価証券保有額と預金残高
(兆円)
270
07/11
預金残
251兆円
貸出金
預金残高
240
210
180
貸出残
183兆円
150
1995
1997
1999
2001
2003
2005
2007
(資料)日本銀行「民間金融機関の資産と負債」
7
住友信託銀行 調査月報 2008 年 2 月号
経済の動き∼企業向け銀行貸出の現状について
こうした銀行にとっての「余剰資金」が、銀行貸出の利鞘を抑制している可能性
があると見ている。この状態が今後、どのように推移するかを見通すためには、家
計部門の資金の動き、すなわち家計所得の動向が重要となろう。
この観点から、国民経済計算確報の家計可処分所得の動きを見ると、2006 年度
は前年比+0.8%と、2005 年度(同+0.9%)に続いて1%弱の伸びとなった。所得
項目別の内訳を見ると、2005 年度に引き続いて雇用者報酬の伸びが可処分所得を
押し上げている他、2006 年度は財産所得の伸びが大きく貢献している。2006 年度
において家計が受け取った利子は 5.2 兆円、配当は 7.3 兆円に及び、前年度よりも
それぞれ+1.4 兆円、+0.7 兆円増加している。2006 年度には定率減税の半減・廃
止などで税負担が増加したが、そのマイナス分を財産所得の増加が補った形である
(図 11、12)
。
4.0
図11
(%)
家計可処分所得伸び 率の推移
図12 家計が受取っ た利子・配当の推移
(兆円)
14
3.0
利子支払
財産所得
社会保障給付受取
その他負担
自営所得他
税・社会保障負担
雇用者報酬
可処分所得伸び率
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
受取利子
配当
12
10
8
7 .3
6 12.5
4
2
-3.0
-4.0
6 .6
4 .9
7.0
2 .9
5.4
3 .1
4.8 3 .5
4.5
3.8
2 .3
5.2
0
2000
2002
2004
2006
2000 2001 2002 2003 2004
(資料)内閣府「国民経済計算確報」
(資料)内閣府「国民経済計算確報」
2005
2007 年度以降も、こうした可処分所得の伸びは続くだろう。最近は一人あたり
賃金は伸び悩んでいるものの雇用者数が増加しているため、総額で見た雇用者所得
の増加トレンドは続いている。また、財産所得に関しては、企業の配当性向が上昇
基調にあることから、引き続き家計所得を押し上げるだろう。更には、最近の住宅
販売低迷で家計部門の資金需要が出にくくなる可能性も考慮すると、家計の銀行預
金残高はまだ増加すると見られる。
先に見たように、今後銀行貸出が伸び悩むことを前提とすると、銀行貸出残高と
預金残高のギャップが急速に縮小するとは考えにくい。従って、当面は銀行貸出の
利鞘も大きくは動かない可能性が高い。
(花田: [email protected] )
H T U
U T H
※本資料は作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を
目的としたものではありません。
8
2006
Fly UP