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家庭用燃料電池 - 三井住友信託銀行

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家庭用燃料電池 - 三井住友信託銀行
住友信託銀行 調査月報 2009 年 8 月号
2010 年代に見込まれる新潮流∼家庭用燃料電池
家庭用燃料電池
∼家庭部門の二酸化炭素排出量削減に貢献できるか∼
1. 日本の二酸化炭素排出状況
京都議定書は 2008 年から 2012 年までの温室効果ガス排出量1の基準年度2比
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6%削減を求めているが、2006 年度の日本の二酸化炭素排出量は 12 億 7400 万
トンと 1990 年度比で 11.3%増加した。米国、中国、ロシア、インドに次いで
世界で 5 番目に位置し、世界全体の 4.3%を占めている。部門別3では、産業部
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門が 36%、次いで運輸部門が 20%を占め、家庭部門は 13%となっている。排
出量を 1990 年度と比較すると、産業部門の 4.6%減少に対し、
運輸部門で 16.7%、
家庭部門で 30.0%増加しており、運輸、家庭部門での削減が急務となっている。
家庭部門の排出量削減に効果が期待される新エネルギーとして、2009 年から
一般販売が始まった家庭用燃料電池に着目する。
2. 家庭用燃料電池の強み・弱み
燃料電池は水素と酸素の化学反応により発電する仕組みで、発電時に熱と水
が発生し、二酸化炭素が発生しないことが特徴である。もっとも、水素は通常
大気中に存在せず、都市ガスやLPガス、灯油等から精製する必要があり、その
過程で同時に二酸化炭素を排出してしまう。それでも、同じ量の燃料を燃焼さ
せた場合と比べ排出量は圧倒的に少ない。さらに家庭用燃料電池では、発電時
に発生する熱を給湯や暖房等に利用することで、発生したエネルギーの70∼80%
の活用4を可能にしている(図1)。国による実証実験では、排熱の再利用効果
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も加えると、一般家庭で年間1.16トン、
図1 家庭用燃料電池の仕組み
約39%の排出量削減効果が確認されて
いる。家庭用燃料電池の一般販売を始め
燃料処理
装置
燃料電池の普及により都市ガス等の需
燃料
都市ガス・
LPガス・灯油
要回復に期待を寄せている。
家庭用燃料電池の強みは機器と燃料
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2
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3
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PT
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4
PT
燃料から
水素を
精製
直流
電気
排熱
インバー
ター
熱回収
装置
燃料電池ユニット
があれば安定した発電を行えることで
1
PEFCスタック
水素と酸素を反応
水素
た大手ガス会社や石油元売りは、家庭用
お湯
空気
(酸素)
(資料)住友信託銀行調査部作成
電気
温室効果ガスには二酸化炭素以外にメタンや一酸化二窒素、代替フロン等が含まれる
二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素の基準年度は 1990 年、代替フロン等は 1995 年
資料:環境省「平成 20 年環境・循環型社会白書」 発電時のCO2 排出量を消費量で配分
資料:財団法人新エネルギー財団「我が家のハッピープロジェクト」
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貯湯槽
お湯
貯湯ユニット
住友信託銀行 調査月報 2009 年 8 月号
2010 年代に見込まれる新潮流∼家庭用燃料電池
ある。太陽光発電と異なり、地域や気象条件の違いによる発電量変動が少ない。
また、都市ガスの供給網やSS等の燃料供給のインフラが既に整っていること
も安定運用を可能にしている。
一方で、普及へのハードルは機器の値段とサイズにある。各社が発表してい
るシステムの価格は 300 万円を超え、2009 年度は 1 台当たり上限 140 万円の国
の補助金制度5が始まっているが、導入費用 200 万円前後は簡単に購入できる価
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格ではなく、太陽光発電が補充金を合わせると 100 万円を切る価格になる場合
もあることと比較すると割高である。また、機器のサイズが大きく、一定量の
電力使用が前提となることから、集合住宅や単身者世帯への導入に適さない。
3. 二酸化炭素排出量削減に向けて
各発電方式には長所、短所が存在する。家庭用燃料電池等の新エネルギーの
排出量削減効果は大きいが、一般家庭の電力全てを賄うことができないため、
電力消費のピーク時には電力会社から電気を購入する必要がある。また、降雪
の多い地域では太陽電池に向かない場合もある。生活スタイルや家族構成によ
って家庭用燃料電池が適さない場合もある。新エネルギーよりもむしろ電力会
社から電気を購入するオール電化や従来の電気とガスの組合せが排出量削減に
効率的な場合もある。今の電力使用環境を維持しながら、排出量削減を進める
ためには、複数の発電方式から、使用環境に応じて最適な発電方式、組合せを
見つけることが有効になると思われる。
様々な組合せを考えた時、家庭用燃料電池は排出量削減効果の高さと安定し
た発電能力で、他の発電方式と組み合わせやすい。特に、自然エネルギーを使
った発電方式との併用方式はそれぞれの特徴が活かしやすく、住宅メーカーか
らは家庭用燃料電池と太陽光発電を組み合わせた商品が発売されている6。家庭
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用燃料電池の初年度販売目標は約5000台。導入コストの高さ等から当初のユー
ザーは環境意識の高い人に限定されるが、この層に普及することで排出量削減
効果の高さが認識されることになるだろう。技術向上による小型化や販売数量
増加による低価格化の実現によって一般家庭への導入が加速し、二酸化炭素排
出量削減につながることが期待される。
(栗本:[email protected])
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※本資料は作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を
目的としたものではありません。
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補助金制度の詳細は一般社団法人燃料電池普及促進協会HP(http://www.ene-farm.org/)参照
旭化成ホームズの「W発電ヘーベルハウス」
「http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/product/sorakara-fplus/index.html#title」参照
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