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要旨(その1) - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
急変するGTL投資 平成17年5月18日 調査部 鈴木 信市 1 要旨(その1) z z z 2005年4月、GTLプロジェクトに関する3つの大き な動きがあった。 カタールのアティアエネルギー大臣は、同国が進 めていた3つのGTLプロジェクトを、より責任ある 資源保護の観点から、最大3年遅延させると発表。 対象プロジェクトは、ConocoPhillips, Marathon, 新 規SasolChevronのGTLプロジェクト。 本発表の背景には、同国においてLNGプロジェク トとGTLプロジェクトとを同時平行で進めることの 困難さが認識され、よりプロフィットの大きいLNG プロジェクトを優先するというカタールの決断が あったもの、と推定される。 2 要旨(その2) z z ナイジェリアのEGTLのオーナー(Chevron Nigeria Ltd., NNPC ) は 、 EPC コ ン ト ラ ク タ ー と し て 、 JGC 、 KBR 、 Snamprogettiよりなるコンソーシアムを選定。実施が危ぶ まれていたプロジェクトが動き出すこととなった。建設費は 17億ドル。GTLの生産開始は、当初計画より2年遅延し、 2009年初めの見込み。 常識的には採算性の乏しいGTLプロジェクトをChevronが 進める決断をした理由は、油価が高いうちに原油生産を 確保する目的があったもの、と推定される。すなわち、 Chevronは、原油生産に伴い生産される随伴ガスを処理す る装置の一つとしてGTLを選択し、原油生産と合わせて、 ナイジェリアの事業全体として利益のマキシマイズを図っ ているもの、と考える。 3 要旨(その3) z z アルジェリアのSanatrachは、上流開発と統合した GTLプロジェクト計画のオープンビットを開始する と発表。事業者決定は、本年12月の予定。GTL生 産量は、3.6万B/D。 アルジェリアのガス価(生産コスト・輸送コスト)は 高く、GTL生産規模もスケールメリットを追求でき るほどの大きさではないことから、GTL事業そのも のは魅力に乏しいと考えられる。上流事業の魅力 が、有力な会社からのプロポーザルを引き出すた めのポイントとなる。 4 0.主要プロジェクトからのGTL供給予想 (単位:千 B/D) 状況 計画数量 現在 新規・可能性 既存 当初 南ア Sasol 南ア PetroSA マレーシア Shell カタール Sasol 生産中 生産中 生産中 建設中 ナイジェリア Chevron EPC コントラ クター決定 34 カタール Shell FEED 終了 間近 カタール ExxonMobil プレ FS 終了 FEED 計画中 カタール ConocoPhillips カタール SasolChevron カタール Marathon アルジェリア Sonatrach (イラン)Shell 意向表明 意向表明 意向表明 提案者募集 構想 合計 時期 (年) 最終 時期 (年) 150 30 15 34 195 70 2006 第 1Q 2009 初め 2009 154 2011 80 130 60 36 (70) 668 100 2009 100 N.A. 140 2011 154 ← 2012 160 2013 130 2011 120 2011 36 N.A. (140) 1080 N.A. ← N.A. 2011 N.A. ・カタールの3つのプ ロジェクトは、最大3 年の遅延が決定。 ・ナイジェリア ChevronのGTLプロ ジェクトの生産時期 は、2007年から2009 年初めに変更 ・アルジェリアは、本 年12月に事業者決 定後、6年目にGTL 生産開始の予定。 5 1. カタールのGTLプロジェクト 2005年4月 アティアエネルギー大臣発表内容 2005年4月、カタールのアティアエネルギー大臣は、同国が進め ていたGTLプロジェクトを、より責任ある天然ガス資源の管理の観 点から、最大3年遅延させると発表 z 遅延させるとして、ノミネーションされたのは、次の3つのプロジェ クト – ConocoPhillips – Marathon – 新規SasolChevron (Oryx-3) z その他の以下のGTLプロジェクトには、影響は無い、という。 – Sasol Oryx (Oryx-1) – SasolChevron Oryx拡張 (Oryx-2) – Shell Pearl – ExxonMobil z 6 1.カタールのGTLプロジェクト ShellのPearl GTL Project (Shell社パンフレット Pearl GTL Projectより転 載) Shellの当初スケジュール -FEED 2004年3月-2005年5月 -EPC契約テンダー 2005年5月-2006年初 め -EPC 3年程度 -生産開始 2009年 Shellは、本プロジェクトの最終投資 判断時期を、鋼材費高騰の動向予 測が困難なことを理由に、当初予定 の2005年から、2006年に変更。しか しながら、2009年の生産開始予定は 不変。プロジェクト遂行に何らかの工 夫があるか? 7 1.カタールのGTLプロジェクト 分析(その1) z カタールがGTLプロジェクトを遅延させると決断した背景には、以下の 事情があると推定。 – カタールでは、現在、多くのLNGプロジェクト、GTLプロジェクトが提 案されている。全て、North Field(可採埋蔵量900TCF)のガスを利 用するプロジェクトである。 – カタールは、25BCFDの生産を100年間継続したい意向があり、埋 蔵量・生産量維持の観点から、ガス関係プロジェクトを整理・検討 する必要が出てきた。 – また、質の高いベンダー、コントラクター、サブコントラクターは数 が限られ、プロジェクト間で取り合いになっている。この面からも、 プロジェクトを絞る必要が出てきた。 – LNGプロジェクトとGTLプロジェクトを比較すると、カタールにより多 くのプロフィットをもたらすのはLNGプロジェクトの方である。 – LNGプロジェクトのマーケットは、当面の間、心配なく確保できる見 通し。LNGプロジェクトの遂行には、問題が少ない。 8 1.カタールのGTLプロジェクト 分析(その2) 今回のカタールの決断は、ガスをマネタイズする意欲の高い産ガス国 における、LNGプロジェクトと比較した場合のGTLプロジェクトの評価・ 価値が正直に現れたものと考える。 z GTLプロジェクトの候補地として最も有望なカタールのGTLプロジェクト のいくつかが遅延することは、GTLの発展の短期的な絵姿の変更を迫 るものである。すなわち、GTLプロジェクトは、よりスローペースで進展 する。 z 今回のカタールの決定があるにもかかわらず、企業が認識するGTL候 補地としてのカタールの重要性は変わらない。なぜならば、現在の GTL技術は、当面の間、極めて限られた地域にしか適用できない技術 であるからである。現時点では、GTLを推進する企業にとって、GTLを 適用する地域に関する選択の余地は少ない。 z 今後のGTLプロジェクトの発展は、ChevronとShellの2大メジャーの GTLプロジェクト実現に対する意欲に大きく依存する。 z 9 2. ナイジェリアのGTLプロジェクト Escravos GTL Project概要(その1) 上流事業 今回のEPCコントラクターの決定により、長い間ペンディ ングとなっていたEGTLプロジェクトが稼動することと なった。 プロジェクト名 Escravos GTL プロジェクト 天然ガスソース Escravos Gas Project Phase 3 事業者 NNPC 60%、 CNL 40% GTL プラントへのガス供給方 プラント渡し 式 GTL プラントへのガス供給量 300MMCFD NNPC:Nigerian National Petroleum Corporation CNL:Chevron Nigeria Ltd. (ChevronTexacoの子会社) 10 2. ナイジェリアのGTLプロジェクト Escravos GTL Project概要(その2) プラント場所 GTL 事業者 生産規模 稼動時期 現在のプロジェクトの段階 Lagos の南東 100km CNL75%/NNPC25% (SasolChevron はライセンサー) 合成ガス:ATR(Topsoe) FT 合成:Co 系触媒スラリー床反応器(Sasol) 水素化分解:Isocracking(Chevron) 34,000b/D(10 年以内に 100,000b/D への拡張計画あり) 2009 年初め EPC コントラクター決定 EPC コントラクター JGC、KBR、Snamprogetti (Lump sum Turn Key 契約) GTL 投資金額 1700 百万ドル ファイナンス調達 製品 ChevronTexaco(Sasol もファイナンスの一部負担) ディーゼル:22,100 b/d ナフサ:10,300 b/d LPG:1,600 b/d 主として、欧州を予定 GTL 事業 GTL プロセス構成 市場 11 2. ナイジェリアのGTLプロジェクト Escravos GTL Project 場所 GTLプラントサイト(現在) GTLプラントサイト(将来) 砂による地盤改良がなされてい る (SasolChevronのHPより転載) 12 2. ナイジェリアのGTLプロジェクト Escravos GTL Project 経緯 z 2001.7-2002.4 基本設計 – Foster Wheeler z EPCコントラクター ビット – 入札者は以下の2社 z z z JGC,KBR,Snamprogetti連合 Technip-Coflexip 2005.1 ナイジェリアの大統領アドバイサーは、 GTLプロジェクトのキャンセルの可能性を発表 – 理由:プロジェクト金額が19億ドルにもなっており、同 程度のプロジェクトであるOryxプロジェクト(10億ドル) に比べて、高すぎる。 13 2. ナイジェリアのGTLプロジェクト Escravos GTL Project 分析 z z 本GTLプロジェクトの投資金額は17億ドル(単位 生産能力あたり投資金額5万ドル/b/D)であり、 GTL単独プロジェクトとしては常識的には採算性 に乏しい。 ChevronがこのようなGTLプロジェクトの遂行を 決断した理由は、以下と推定する。 – 当面、原油は高油価で推移する。 – Chevronは、ナイジェリアでの原油生産を確保したい が、随伴ガスを処理する装置が少ない。 – Chevronは、随伴ガスを処理する装置の一つとしてG TLプラントを建設して原油生産を確保した方が、ナイ ジェリア事業全体として、利益をマキシマイズできる。 14 3. アルジェリアのGTLプロジェクト 概要 z 本年4月、アルジェリア政府・Sonatrachは、 Tinrhertフィールドの油ガス田開発を含む統 合型GTLプロジェクトのオープンビットの開始 を宣言 z 落札者決定は、本年12月を予定 z プロジェクト概要 – 油ガス田開発:ウェットガス田・油田開発等 – GTLプロジェクト:36,000b/D – 予想合計コスト:30億ドル 15 3. アルジェリアのGTLプロジェクト 上流開発対象油ガス田 z Tinrhertフィールド – 対象ガス田:17フィールド – 対象新油田:7フィールド – 既開発生産6油田からのフレアガス回収 z 予想埋蔵量 – – – – z ガス:5.3TCF LPG:155m3/MMm3 コンデンセート:186m3/MMm3 原油:37MMm3 探鉱の結果、埋蔵量が不充分の場合には、 Tinrhertフィールドの未開発ガス田をプロジェクト 対象として、追加する。 16 3. アルジェリアのGTLプロジェクト 陸上設備計画 z ガス関係 – 集積システム – パイプライン – ガス処理プラント z z コンデンセート抽出プラント LPG抽出プラント – GTLプラント(36,000b/D) z 新規油田関係 – パイプライン – 原油処理設備 z 成熟油田関係 – 随伴ガス回収装置 17 3.アルジェリアのGTLプロジェクト 分析 z z アルジェリアのGTLプロジェクトに、誰がプロポーザ ルを出すか、注目される。 GTLプロジェクトそのものとしては、魅力に乏しい。 – アルジェリアのガス価は、カタール、ナイジェリアに比べて 高い。 z z 生産コスト 輸送コスト(ガス生産とGTLプラントの距離が大) – GTLプラントの規模は、スケールメリットを追求するには、 比較的小さい。 z z パッケージである上流事業がどの程度魅力的かが、 有力企業からのプロポーザル提出の有無を左右す る。 GTLメジャーズとして、プロポーザル提出の可能性が18 あるのは、Chevron(Sasol)か?