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剣道のバイオメカニクス的研究 第6報 打撃動作における押し手と引き手
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 剣道のバイオメカニクス的研究 第6報 打撃動作における押し手と引き手の効果 A Biomechanical Study of Kendo. No.6: The Effects of the Pushing Hand and the Pulling Hand on Striking Movement. 脇田, 裕久; 八木, 規夫; 細野, 信幸 Wakita, Hirohisa; Yagi, Norio; Hosono, Nobuyuki 三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科 学. 2005, 56, p. 45-57. http://hdl.handle.net/10076/6679 二重 大学教育 学部研究紀要 第 56巻 自 然科学 (2005)45-57頁 剣道 のバ イオ メカニ クス的研究 第 6報 打 撃動作 にお け る押 し手 と引き手 の効果 脇田 裕 久 *・ *・ 八木 規 夫 細野 A Biornechanical Study of Kendo. No.6: The Effects of the Pushing Hand and the Pulling Hirohisa WlrrrA-, Norio 研 究 目的 Hand on Striking Movernent. YAcr. and Nobuyuki 本研究 は、男子大学 生 の剣道経験者 を対象 と して、 剣道 にお ける面打撃動作 の指導 をす る場合、初 心者 肩 関節 を中心 と した打撃動作 と左 手操作 による押 し手 と引き手 を用 いた打撃動作を比較 し、両動作 のパ ー フォー には肩 関節 を支 点 と して竹刀 を振 り上 げ、両肘 関節 を マ ンスに及 ぼす 影響 につ いて運動学 的観点 か ら比較 ・ 伸展 させて打撃す る方法 が多 くとられ る (第 3種 梃子 : 検討 す る ことを 目的 と した。 57頁 の 資料参照)。 この打撃方法 は、振 り上 げ動作 を 大 き くす る と打撃強度 が あ る ものの相手 の反応 を容易 に し、振 り上 げ動作 を小 さ くす ると有効打突 に必 要 な 打撃強度 が得 に くい。 一 方、熟練者 の打撃方法 は、右手 を支点 に して左 手 で 竹 刀 を回転 させ て振 り上 げ (第 1種 梃子 :57頁 の 資料 参 照)、 振 り下 ろ し動作 で は右手 を相 手 の 喉元 へ 研究方法 実験 は、 二 次元解析 が可能 にす るために 2台 の ビデ オ カメラ (Handycam video 8 sony社 製)を 左右 の斜 め前方 に設置 し、 キ ャ リブ レー シ ョンポ ー ル (200cm ×200cmの 立 方 体 )と 突 き出 し (押 し手)、 左 手 は 自分 の鳩尾 に 引 く (引き 2台 の カ メ ラを 同期 させ るた めの光信号 を撮影 した。 キ ャリブ レー シ ョンポール は、 手)動 作 を行 う偶力 を用 い るため、振 り上 げ動作 が小 打撃 目標物 の 中心 を通 る鉛 直線 が地 面 と接す る点 を中 さ く しか も強度 の あ る打撃動作 で あ る。 この動作 は、 心 に設 置 し、 踏 み込 み 開始線 か ら HOcm離 薄 い布 巾を左手 の小指 で 引 き、右手 の小 指 でわずか に を原 点 と し、打撃方 向を X,水 平座 標 を Y,鉛 直座標 絞 りこむ とい う動作 と類似 して い るため古 くか ら 「茶 D。 巾絞 りの要領 で打 つ」 と説 明 されて きて い る ま た、 森 田のによ る と、 「脊 柱 を隔 て て 対 角線 上 に を Z と した。 年数 10.±4.1年、取得段位 2∼3段 、平均段位 2.9±0. あ る手足 は、常 に同方 向 に動 き、人 が歩 いた り走 った 7)8名 を対象 と し、 重量 530g、長 さ H8cmの 竹刀 を りす る場合、右手 を出 した時 は左 脚 を出 し、左手 を出 用 いて、 中段構 か ら被験者 の右足先端部 に設置 した開 した時 は右脚 を出 してお り、 この対角線動作 を打撃動 始 線 か ら水平 距離 210cm、 高 さ 170cmの 打 撃 目標 物 作 の 中 で有効 に行 うことが よ り良 い打撃 につ なが る」 に向か って次 の 2条 件 による面打撃動作 を各 2試 行 づ と して い る。 この ことは、左手 を前 に押 し出 しなが ら つ実施 させた。第 1は 、肩 関節 を支 点 と して竹刀 を振 右足 を踏 み 出 し、左 手 を引きなが ら左 足 を送 り出す こ り上 げ (第 3種 梃子)、両肘 関節 を伸 展 す る打撃方法 とにな り、相反性神経支配 に基 づ く合理 的 な動作 であ (以下 、条件① と略す)で あ り、 第 2は 右手 を支 点 に る ことを示 唆 して い る。 しか しなが ら、 これ まで肩 関 節 を支 点 とす る第 3種 の梃子 を用 いた打撃動作 と左 手 して左 手 で竹刀 を回転 させて振 り上 げ (第 1種 梃子)、 振 り下 ろ し動作 は右手 を相手 の 喉元 へ 突 き出 し (押 し 操作 に よる押 し手 と引 き手 を用 いた打撃動作 の比較 に 手)、左手 は 自分 の鳩尾 に 引 く (引き手 )動 作 に よ る つ いて運動学 的 に検討 した報告 は見受 け られな い。 れ た地 点 実験方法 は、 二重 大学剣道部男子 (剣道 の平均経験 打撃方法 (以下、条件② と略す)で あ る。 なお、被験 1± 者 の 身 体 的特 性 は、 年 齢 20.7±1.9歳、 身 長 175。 * 二 重大学教育学部 * * 鈴 鹿 工 業高 等専 門学校 2.8cm、体 重 66.9±4.6kgであ る。 分析 は、左右 2方 向か ら同期撮影 した映像 か ら、 400 (msec) 400 (msec) 400 (msec) 150 (cm) 400 (msec) x:p(0.05 (cnr) 159 (cm) (m,/sec)