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ヤスパース・ハイデッガー・サルトルの思想 ヤスパース

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ヤスパース・ハイデッガー・サルトルの思想 ヤスパース
第3章
西洋思想
ヤスパース・ハイデッガー・サルトルの思想
キルケゴールにはじまる有神論的実存主義
⇒ ヤスパース
ニーチェにはじまる無神論的実存主義 ⇒
ハイデッガー・サルトル
ヤスパース
(ドイツ)『理性と実存』『哲学』
真の自己(実存)に目覚めるためには、限界状況において挫折することと、実存的交
わりが必要である。
①
限界状況
人間が越えられない、科学で制御できない人生の壁=死・苦悩・争い・責め
自己の有限性を自覚し全ての現象を包み込む超越者(包括者)を感じて真の実存へ生成
②
実存的交わり
限界状況の中で真の実存に目覚めるには自分一人では不可能なので、同じく真の実
存に目覚めた他者と関係を結びながら孤独や絶望を克服する
愛と孤独をはらんだ真剣な出会い=愛しながらの戦い
11
第 35 講
ヤスパース・ハイデッカー・サルトルの思想
ハイデッガー
『形而上学とは何か』
『ヒューマニズムについて』
(ドイツ)『存在と時間』
①
現存在(ダーザイン)
人間は自分の存在意味(自分は何者か)を問うことのできる存在
他の存在者と関係しつつある世界‐内‐存在というあり方を持つ=存在の中に住む
②
ひと(ダス=マン)
日常生活に埋没し平均的で画一的・無責任な「ひと」に堕落
来的な自己から発する良心の声に従い主体的な自己(実存)を取り戻す
③
死への存在
人間は死に向かって生きる存在・自己の有限性を自覚し真の実存を確立
サルトル
『実存主義はヒューマニズムである』『嘔吐』
(フランス)『存在と無』
①
「実存は本質に先立つ」
物には「何であるか」という本質が予め定められているが、
人間はまずこの世に存在(実在)し、その後から自らの自由な行為によって自己が何
であるか(本質)を定義する。
12
第3章
西洋思想
人間とは自由な存在である
(人間は神によって造られたものではなく、自由に自分を創造するものである。
)
②
「人間は自由な刑に処せられている」
自ら選んだ行為に対する責任は自分にある
③
アンガージュマン(社会参加)
人間は社会参加することで自己を拘束すると同時に、自らの自由な行為によって新
しい状況を創造する。人間が自己のあり方を選択することは、他者のあり方、全人類
のあり方を選択することにつながり、我々は全人類の運命に参加していく必要がある。
④
対自存在(投企的存在)
事物のように自己に対する意識を持たない「即自存在」に対し、自己に対する意識
を持ち、たえず開かれた未来の可能性に向かって新しい自己を形成する人間のあり方。
ボーヴォワール
(フランス)サルトルと契約結婚という新しい男女関係を実践
「人は女に生まれるのではない。女になるのだ。」
『第二の性』
・女性という存在は生得的なものではなく、社会の中の習慣などにより人為的につく
られる
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第 35 講
ヤスパース・ハイデッカー・サルトルの思想
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第3章
西洋思想
近代以降,科学技術的な知とは異なる知を示した思想家がいる。彼らについての記述とし
て適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。[2000・センター・本試験]
①
モンテーニュは,懐疑論的な立場から,偏見や独断を排して不断に自己省察を行う
ことで,人間性の真実を深く探究した。
②
パスカルは,順序正しく推論を行う「幾何学的精神」に対し,直観的で感性的な「繊
細の精神」の重要性を説いた。
③
ヤスパースは,ともに本来の自己をめざす者同士の実存的交わりを「愛しながらの
戦い」と呼び,これを無神論的実存主義の原則とした。
④
シュヴァイツァーは,科学技術による自然支配が生命の軽視をもたらしたことを批
判し,倫理の原理として「生命への畏(い)敬(けい)」を唱えた。
ヤスパースの思想の記述として最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
[2010・センター・追試験]
①
人間は、技術を通して、生物学的に限界づけられた身体能力を拡張することで、本
来的な実存の回復を果たすことができる。
②
人間は、技術の高度に発達した現代社会において、乗り越えることができない限界
状況に達している。
③
人間は、技術を通して、自然に手を加えて新たな事物を作り出すことで、包括者と
しての自然の完成を手助けすることができる。
④
人間は、現代の技術をもってしても、死や苦悩の問題を解決し得ないところに、そ
の有限性を有している。
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第 35 講
ヤスパース・ハイデッカー・サルトルの思想
ハイデッガーの思想の記述として最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
[2012・センター・本試験]
①
人間は、誰もが自分の死を受け入れなければならず、死の自覚を介して、初めて本
来的な自己の在り方を獲得することができる。
②
人間は、生存への非合理的な意志のために、不断の欲求に駆り立てられ苦の世界に
生きるが、意志の否定によって苦から脱却する可能性をもつ。
③
人間は、単独者として神の前に立つことによって、神への信仰へと飛躍し、真の自
己を回復することができる。
④
人間は、不断に自己自身を超克しようとする意志によって、新たな価値を創造し、
ニヒリズムを克服することができる。
良心についてのハイデッガーの見解として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ
選べ。[2008・センター・本試験]
①
良心とは,他者に対する思いやりと倫理的な道理や義務とを具えた人間本来の心で
ある。
②
良心とは,日常生活に埋没した画一的な自己を本来的な自己へと呼びさます,現存
在の呼び声である。
③
良心とは,
「してはいけない」という守護神からの呼びかけで,悪を禁止する警告で
ある。
④
良心とは,社会的権威を内面化したもので,自我を監視し,欲望や衝動を抑制する
超自我である。
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第3章
西洋思想
西洋現代の思想家ハイデッガーの見解として最も適当なものを,次の①~④のうちから一
つ選べ。[2006・センター・本試験]
①
厳密な推論を機械的に遂行する「幾何学的精神」だけではなく,人生にとっては,
より柔軟で細やかな「繊細の精神」もまた重要である。
②
人間は技術によって,自然を利用する仕組みに取り込まれてしまっているが,根源
としての存在の呼びかけに従わねばならない。
③
言語やその他の記号による認識は,生の純粋な持続を空間化してしまうので,実在
はむしろ直観によって捉えられねばならない。
④
自然界には自然法則が成立するが,神や自由や不滅の魂といった事柄については,
道徳法則に基づいて考えねばならない。
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第 35 講
ヤスパース・ハイデッカー・サルトルの思想
「良心」について考察した現代の思想家たちについて、フロイト、ヤスパース、ハイデッ
ガーの考えとして最も適当なものを、次の①~⑥のうちからそれぞれ一つずつ選べ。
[2002・センター・追試験]
①
良心は,人間が死,苦,争い,罪といった状況から逃避し,自己を喪失するのを妨
げる。人間は良心を介して超越者を感ずるが,良心は超越者の声ではなく,自己自身
の声である。
②
普通の人々の良心は,残酷さという本能が自己自身に向けられたものであり,一つ
の病理である。それに対して,真の良心は,自己に誠実であること,自己を肯定する
ことを要請する。
③
良心はきわめて複雑な感情である。それは,共感などの社会的本能に由来し,他人
の称賛によって導かれ,理性,利己心,宗教的感情に支配され,教育や習慣を通じて
強化される。
④
良心の呼び声は本来的な自己の声である。死への不安から逃れ,日常の世界に埋没
し,平均的で画一的な存在になった人間に対して,良心は本来的な自己というものに
気づかせる。
⑤
良心の呵責とは義務に反したときに感ずる苦痛である。人間は,刑罰のような外的
な制裁によってだけでなく,良心の呵責という内的な制裁によっても,自己を規制す
るようになる。
⑥
良心は,両親,教育者,社会的な環境の影響によって形成されるものである。それ
は,自己を監視する法廷,自我の検閲者として機能し,欲望や衝動を禁止したり抑制
したりする。
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第3章
西洋思想
「連帯」という言葉に関して、この言葉は 19 世紀以降様々な文脈の中で用いられたが、
サルトルにおいてはそれはどのような主帳と結び付けられているか。次の①~④のうちから
正しいものを一つ選べ。[2011・センター・本試験]
①
人間の決断は私的ではあり得ず、常に全人類への責任を伴う。しかし、この責任を
回避せず進んで引き受け、社会的に連帯することが必要である。
②
人間は自分一人では真の自己に目覚めることはできない。だからこそ、実存的交わ
りにおいて他者と連帯することが必要である。
③
人間相互の疑惑や不信によって生じた過去の戦争を反省し、人類の知的・精神的連
帯のうえに平和を築くことが必要である。
④
キリスト教を中心とするこれまでの道徳は、強者に対するルサンチマンに基づいた、
弱者による連帯が作り出したものである。
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第 35 講
ヤスパース・ハイデッカー・サルトルの思想
「実存」を重視した思想家にサルトルがいる。その思想の記述として最も適当なものを,
次の①~⑤のうちから一つ選べ。[2006・センター・本試験・改]
①
人が罪を赦(ゆる)され,神によって正しい者と認められるには,外面的善行は不要
であり,聖書に書かれた神の言葉を導きとする,内面的な信仰のみが必要だと主張し
た。
②
誰にとっても成り立つような普遍的で客観的な真理ではなく,自分にとっての真理,
すなわち自らがそれのために生き,また死にたいと願うような主体的真理を追求した。
③
生命は神に通じる神秘的なものであるから,人間を含むすべての生命に対して愛と
畏敬
の念をもつべきであり,そのことによって倫理の根本原理が与えられると考えた。
④
日常的な道具は使用目的があらかじめ定められており,本質が現実の存在に先立っ
ているが,現実の存在が本質に先立つ人間は,自らつくるところ以外の何ものでもな
いと考えた。
⑤
宇宙はそれ以上分割できない究極的要素から構成されているが,この要素は非物体
的なもので,それら無数の要素が神の摂理のもとであらかじめ調和していると主張し
た。
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第3章
西洋思想
サルトルについての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
[2000・センター・本試験]
①
自己の死を自覚することによって,日常性に埋没した無責任で匿名的な「ダス・マ
ン」のあり方を乗り越えていく態度を説いた。
②
人間を根源的に自由な存在として捉え,たえず未来へ向けて自己を投げ出し,新た
な自己を創造していくあり方を主張した。
③
死や苦のように克服できない究極の壁を限界状況と名づけ,これを直視することに
よって,人間は自己を包括する超越者の存在を感じるとした。
④
人間の選択や思考は身体を媒体にしてなされるものだと考え,身体におけるくみ尽
くしがたい経験を繰り返し取り上げ直す可能性を示した。
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第 35 講
ヤスパース・ハイデッカー・サルトルの思想
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