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第 27 講 啓蒙思想

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第 27 講 啓蒙思想
第 3 章 西洋思想
第 27 講 啓蒙思想 啓蒙思想(啓蒙主義) 理性により伝統的な因習・迷信・偏見・無知から人間を解放する
→政治面:封建的な社会体制を批判し、近代市民社会の理論である社会契約説を確立
フランスにおいてはアンシャン=レジーム(旧体制)の批判
→宗教面:伝統的な啓示宗教の非合理性を批判し、合理的な自然宗教(理神論)を説く
(理神論とは、神の存在は認めるが、その他の世界の秩序や人間の義務などすべ
ては、機械論的な自然法則に基づく理性によって理解する合理的な宗教観。)
モンテスキュー(フランス)『法の精神』・『ペルシア人への手紙』 イギリスのロックに影響を受け、三権分立・立憲君主制を説き、絶対王政に批判的な立場
を取り、フランス革命やアメリカの民主主義制度に影響を与えた。
→三権分立 = 立法・行政・司法 (それぞれを独立した組織に担わせ三権相互が抑制し均衡を保つ)
cf)ロックの三権分立 26講参照
立法・行政(執行)・連合(同盟・外交)で行政権の優位を主張
司法権と行政権が区別されていない一方で行政権に属していた他国と
同盟を結ぶ外交権(連合権・同盟権)が分立された。
ヴォルテール(フランス)『哲学書簡』『寛容論』
フランス王政の堕落を風刺する作品で投獄されたのち、イギリスにわたりニュートン物理学
やロック経験論を学んだ。
→『哲学書簡』では、イギリスの進歩的な思想・文化・風習を紹介しながら、
フランスの旧体制(アンシャン=レジーム)を政治的・宗教的・科学的に遅れていると
厳しく批判した (『哲学書簡』は別名『イギリスだより』ともいう)
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第27講 啓蒙思想
→寛容論 自然科学的な知識や理神論を基礎に、宗教的偏狭さや教会の横暴さを批判、異論
を受け入れる寛容の精神の必要性を説く
(ヴォルテールによる教会批判は、無神論や唯物論に影響を与えた)
cf)ロックの寛容論
宗教改革以後におけるキリスト教の教派による対立を憂慮して、宗教にお
ける寛容の大切さについて述べたもの。見解の異なる者をも認め尊重し、
自分の信仰に忠実でありながら他人の信仰も認める。さらに国家は個人の
信仰に干渉すべきでないと考えた。
『百科全書』
ディドロ(編集責任者)がタランベールの協力を得て編纂された35巻の百科事典
モンテスキュー、ヴォルテール、ルソーなど執筆に参加した思想家たちは百科全書派とよば
れる。学問・知識を紹介し合理的・科学的思考に導く唯物論的な傾向をもったため、途中か
ら政府により発禁処分を受け非合法で出版された。
中心人物であるディドロは数少ない無神論者で、唯物論的な傾向を強く持っていた。
ルソー 啓蒙思想家たちが基本的に文明の発達を肯定しているのに対し、ルソーは、文明は不平等を
生み出し、理性や知性の発達は人間を利己的にし、堕落させたと主張した。
→「自然に帰れ」 自然状態を取り戻して善良な人間性を回復するべきだ
→『エミール』 孤児である少年エミールが、理想的な教師のもとで成長する過程を描く。
自然な人間性を尊重しながら成長させるためには、人為的な干渉をひかえ
る消極教育が説かれたルソーの教育論。
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第 3 章 西洋思想
以下に示す文章の に当てはまる語句はどれか。[2003・センター・本試験] ルネサンスや科学革命を経た西洋は,地球上で政治的,経済的に支配的地位を占めるにつれ,
自らの優位を誇るようになっていった。確かに の時代でも,モンテスキューの『ペル
シア人の手紙』やヴォルテールの『マホメット』には当時の西洋社会に対する文明批評が見
られ,19 世紀にはヴェルディの歌劇「アイーダ」のように歴史的考証を経たものも現れてい
る。 ① 資本主義 ② 啓蒙主義 ③ 人文主義 ④ 社会主義 フランス啓蒙思想家の説明として最も適当なものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。 [2009・センター・本試験] ① モンテスキューは,人民の革命によって絶対王政を転覆すべきだとした。 ② ヴォルテールは,ロックの経験論に学び宗教的な迷信や偏見を批判した。 ③ ディドロは,王政の保護のもと,宗教を擁護する『百科全書』を編纂(へんさん)した。 ④ サン=シモンは,資本主義の科学的分析に基づいて理想社会を構想した。 ヴォルテールについての記述として最も適当なものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。
[2005・センター・追試験] ① 『百科全書』の刊行の中心人物であり,人民主権,代議制民主主義,個人の権利の保護
などを唱えて,唯物論への転換を示した。 ② 正しい認識をさまたげるイドラ(幻影)を離れて,経験的事実に即して考えれば,人間の
生活は豊かになると考えた。 179
第27講 啓蒙思想
③ 「大地震」という精神的衝撃を受けて,神の前に立つ人間の真のあり方を考察して,自
分がどう生きるかという主体的真理を求めた。 ④ 啓蒙思想の立場から,イギリスの文化を紹介してアンシャン=レジームやカトリック教
会を批判する文筆活動を行った。 寛容論を主張していた人物についての記述として最も適当なものを,次の①∼④のうちか
ら一つ選べ。[1999・センター・本試験] ① ロックは,人は本来,自由・平等であるが,社会契約によってこの自然権を国家へと移
譲した以上,宗教的自由も国家による統治の下に置かれるとした。国家的統治の下でこ
そ,信仰の自由が保障されると考えたのである。 ② ライプニッツは,信仰と理性,神学と哲学を峻別(しゅんべつ)することによって,信仰
上の立場にはかかわらず哲学する自由を主張し,自らは無神論的立場を採った。合理主
義的立場を突き詰める一方,神を純粋に信仰の対象とした。 ③ ディドロは,フランスにおける宗教的対立の原因は,国家が宗教に介入することにある
として,旧体制を批判し,信仰における自由と教会の独立を主張した。絶対主義の唯物
論的傾向に,思想的貧困を見て取ったのである。 ④ ヴォルテールは,イギリスの思想や文化を紹介しながら,政治・宗教・思想の自由にお
けるフランスの遅れを激しく批判し,伝統的偏見や教会の横暴を攻撃した。自然科学的
知識を尊重し,フランスの啓蒙運動を推進した。 『百科全書』に関する説明として最も適当なものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。 [2002・センター・本試験] ① 動植物界の記述を目指し,自然選択にもとづく生物進化論を提示した。 ② 人類史の記述を目指し,ルイ 14 世の時代を歴史的進歩の頂点とした。 ③ 習俗の比較を目指し,ペルシャと対比しながら西洋社会を批判した。 ④ 様々な知識の組織的な解明を目指し,学芸の成果を批判的に吟味した。 180
第 3 章 西洋思想
以下に示す一文は、誰をあらわすものか。それぞれ人物名を答えなさい。 ①死の瞬間に魂(プシュケー)も肉体とともに消滅するので苦痛はない。 よって死は恐れるに足りない。そもそも死は存在しない。 ②柔弱謙下こそ最後には勝利する。「上善は水のごとし」。 ③知識は自然を支配する力となる。「知は力なり」。 ④この世のすべて(救われる者)は神の意志によって予定されている。 ⑤魂は常にイデアに憧れている、その精神的欲求(情熱)がエロースである。 ⑥知識は白紙(タブラ=ラサ)の精神に印象が刻印されることで生まれる。 ⑦ジェントリ(在地貴族)によるエンクロージャー(囲い込み)を批判。 ⑧自我は超自我の監視を受け、リビドーの無秩序な噴出を抑制する。 ⑨「良識(理性)はこの世でもっとも平等に分配されている」。 ⑩アルケーは「火」である。「万物は流転する」。 ⑪すべてのものは相互に寄り合って成立し無条件にそれ自体では存在しない。 ⑫イエスが死によって人間の罪を贖ってくれた(贖罪の思想)。 ⑬人間は偉大さと悲惨さ、無間と虚無の二面性を持ち、その中間を揺れ動く中間者である。 ⑭家族愛を重視する儒家の愛を「別愛」と批判し、平等な「兼愛」を説く。 ⑮青年期は「マージナルマン(境界人・周辺人)」である。 ⑯人間は神によって、自由意志を与えられた存在であり、自らの考えで自らを作れる。 ⑰全ての存在は無でもなく有でもない「空」である。 ⑱現実に生き生きと働く現実の「心」がそのまま「理」である。 ⑲宇宙の調和(ハルモニア)と秩序(コスモス)は「数」で成り立っている。 ⑳共和政治は衆愚政治の危険があるも最も安定的。中庸的民主主義が理想である。 181
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