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高倉 一紀
科 目 名 担当教員 単 位 数 高倉 一紀 区 分 備 考 2 セメスター 選 4 択 授業目的・到達目標 幼い頃に読んでもらった懐かしい絵本から、 最近のベストセラーや様々な古典まで。 書物は私達にとって極め て日常的なツールであるが、 それは同時に人類の文化形成や社会変容とも深く関わる“文化装置”でもあった。 この講義では、 主に書物の出版流通と蒐集蓄積、 さらには蔵書家と著者、 読者等の問題を取り上げて、 書物の蒐 集が日本の近世文化の形成にどのような役割を果たしたかを探って行く。 つまり、 書物という物理的なメディア を介して発信されたメッセージが、 様々な人の手を経てエンドユーザーとしての読者にいかに伝わり、 いかに時 代に働きかけたのか。 このような問題を、 書物と人との具体的な関わりを通して実証的に考えて行きたい。 主なフィールドは、 江戸時代後期の伊勢国。 経済的な豊かさと高い識字率に支えられて、 書物の大衆化が著し く進展したこの地域には、 現在も多くの関係資料が旧家の土蔵や、 図書館等の書庫に眠る。 受講生にはこの講義 を期に、 書誌学や近世文学等の専門分野における新たな研究のヒントを見出してもらえればと思う。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) 授 ガイダンス:近世蒐書文化論の視座 近世的知識人としての蔵書家 Ⅰ 近世的知識人としての蔵書家 Ⅱ 本居宣長と出版 Ⅰ:学問と思想 本居宣長と出版 Ⅱ:知的発信者として 近世出版事情: 古事記伝 発売停止 近世出版事情:本屋仲間と板株 堀内広城の国学 Ⅰ:知的中継者として 堀内広城の国学 Ⅱ:知的生産の支援 伊勢商人竹口家の人々 竹口家の 「書籍目録」 Ⅰ:二つの目録 竹口家の 「書籍目録」 Ⅱ:蔵書分析 射和文庫:公開文庫の出現 射和文庫の蒐書活動と納本 作家と蔵書家:滝沢馬琴と小津桂窓 業 内 (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30) 容 成績評価の方法・基準 期末テスト90%、 出席10%による。 期末テストは、 講義の理解度を90点上限で評価する。 出席は、 出席率を当 該科目への意欲の程度を示すものとして、 皆出席10点、 5回以上の欠席0点の間で評価する。 受講学生への要望 教 科 書 特に指定しない。 随時プリントを配布する。 参 考 書 高倉一紀 [ほか] 伊勢商人竹口家の研究 (和泉書院) 高倉一紀 「射和文庫の蔵書構築と納本:蒐書文化論の試み Ⅰ」 ( 図書館文化史研究 備 考 ― 173 ― 第24号)